「ムシ歯をつくらない」ことが歯医者の仕事なのです。
一見当たり前のことのように思えますが、
これには、落とし穴があるのです。
日本の今の保険制度は「疾病」(=病気)を対象としています。
しかし予防の対象は健康です。
保険診療の相手は患者さんですが、
予防サービスの対象は健康びとなのです。
健康びとが保険証を持って歯科診療所を訪れても
満足な予防処置・予防サービスは受けられないのです。
慣例的に「歯が痛い人が歯医者に来る」であり、
歯医者に来る人は「患者さん」でした。
充分なる予防サービスを受けるには、
言わば「歯のスポーツジム的な施設」が必要となると思います。
歴史的に歯科大学の勉強は「まず、ムシ歯ありき」でしたし、
当然、歯科診療所は「患者ありき」です。
もちろん、数十年前は「ムシ歯の洪水」
と言う言葉があったくらいですから、
歯の健康人は「どこに行けばいいの?」なんて発想はなく、
歯を磨くのは、守るのは、その人自身だ!
という考え方が固定観念となってしまった訳です。
しかし、時代は変わりました。
ムシ歯を治す歯医者の時代から
ムシ歯をつくらない歯医者の時代へ、
変遷が始まっているのです。
ひとびと、健康びとのほうが時代を先取りしています。
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歯ブラシや歯磨き粉の種類の多さに驚愕します。
関心の高さが商品の種類の多さを現しています。
ムシ歯を治すのが歯医者の仕事だと
信じて疑わないのは歯医者自身であり、
その考えが時代に合っていないとは
気が付いていないのも歯医者自身なのです。