BBTime127 「何かに強くこだわる・着替え」認知症ケア革命的技法

BBTime127 「何かに強くこだわる・着替え」認知症ケア革命的技法
「力ある風出てきたり鯉幟」矢島渚男

この句を見て自宅窓から眺めていますが一匹も泳いでいません、時代でしょうか。今回「ユマニチュード」第四話です。第一話第二話第三話もそれぞれどうぞ。
ユマニチュード第四話「何かに強くこだわる・着替え」
*今回はケアを受けている人が何かに強くこだわっている場合にどうすれば良いのか?について教えてください。
『例えば、御自宅にいらっしゃるのに「家に帰る」と言ってどこかに行ってしまおうとする時、「ここがあなたのお家ですよ」と否定したり「なんでそんなことを言うの」と、ついつい家族の方は言ってしまいがちですが、こういう場合ご本人としては「ここにいることが不安です」ということを別の表現で伝えようとしていると考えてください。そうしてその気持ちを抑圧しないようにした方が良いです。ダメだと言われて嫌な感情だけが記憶に残る、そうするとますますここにいることに不安を感じるようになり、悪循環の始まりになります』

『この場合、基本的なコミュニケーションの技術「見る・話す・触れる」を使って対応します。まずは目の高さを合わせて正面からゆっくりと近づいていきます。イメージとしては相手の視線を掴みに行くような感じです。いきなりその方の顔の前に出てしまいますと、まるでびっくり箱を目の前で開けたようなことになりますので、できれば3メートル位手前からその方に近づいていきます。そして「どこかに行きたい」とおっしゃっているのであれば、なぜそこに行きたいのかを聞いてあげて下さい。もちろん筋が通っていない場合、例えば退職して何年も経つのに「仕事に行く」とか、その方は90歳過ぎて子供さんも50歳過ぎているのに「小学校に迎えに行く」とか、このようなこともあります。私たちケアする方にとっては全く現実的ではないことであっても、ご本人にとっては重要な理由になっているのです。記憶は新しいものから徐々に失われていきます。ご本人は90歳でもその時は30代まで遡っているのかもしれません。「あなたの子供さんは50歳を過ぎていますよ」と言うのではなくて「じゃあ、お迎えにいきましょう」と出かける準備をして実際に出かけてみることもひとつの方法です。こうすることで自分の希望が妨げられた、断られたと言う辛い感情が残らないのです。認知の機能が落ちていらっしゃる方は出かける準備をするうちに、興味の対象の矛先を変えるだけで、気が変わったり、忘れてしまうこともよくあります。「じゃあ出かけるために洋服を着替えましょう」と別の部屋へ移動するうちに行きたかったと言う気持ちを忘れてしまわれることもあります。また実際にご自宅を出て庭を歩いているうちに「おうちへ帰ろう」とご本人からおっしゃることもあります』

*そのような行動と合わせて、相手がイライラしているときにはどう対処すればよろしいのでしょうか?
『相手がイライラしていると私たちもイライラしますよね、しかし、そこをグッと堪えて「あなたのことを大事に思っていますよ」ということを相手にしっかり伝えることがケアの重要な技術なんです。その方と私たちに危険の及ばないことを確認した上で、その方の気分が落ち着くようなところにゆっくりと触れてみることが良いでしょう。具体的には感覚の鈍いところ、背中や肩やふくらはぎです。そのような場所にゆっくりと触れる、しかも手のひらを大きく広げた状態で触れると良いです。触るときはまるで飛行機が着陸するかのように指先からゆっくりと触れて、また離れる時は逆に飛行機が離陸するように、別の言い方をすると名残を残すように手を離して行きます。相手の方をぎゅっと抱きしめる、ハグすることも効果的です。認知の機能の低下した方と過ごしていると相手の方からハグされる場面もよくあることです。ハグに応えてこちらもハグすることも効果的です』

*着替えを嫌がる場合がどうすれば良いのでしょうか?
『可能であれば複数で対応する、介護する人とご家族の方と役割を分担して行う方法があります。重要な事はみんなが一緒に手を出すのではなく、役割を二つに分けるのです。ひとりは注意を引き付ける、楽しくお話をする、優しく触れるなどでその方の注意を十分に惹きつける。その方が楽しい時間を過ごす一方で、その間に他の人が着替えを行うのです。一度に周りの人が声をかけたり、触れたりするとケアを受ける人の方が不安になって拒否することがあります。またその際には「今から手を拭きますね」と実況しながら、「気持ちよくなりますね」「さっぱりしますね」というような前向きの言葉をかけることもお忘れなく。ご家族がその方以外にはいらっしゃらない、もしくはひとりでケアをしないといけない、このような場合も当然あります。こういう時にはその方の注意を惹きつけておくモノを用意しましょう。例えばペットとかご本人がお好きなお人形や写真など、その方の注意を引くことができるモノ、しかもそれがお好きなものである、そのようなものを常に手元にいくつか用意しておくと良いのではないでしょうか』

*時に、うまくいかないこともあると思います。うまくいかない時にはどうすればよいでしょうか?心に余裕がないとできませんよね。
『うまくいかない時はあります。うまくいかなくても自分を責める必要は全くありません。うまくいかなかった時は、なぜ上手くいかなかったのかなあと考えて頂ければ良いです。多くの場合、お伝えしたことのどこかに答えがあると思います。ひとつひとつ、やってみられれば良いと思います。そして、これ以上無理だという場合には周りに助けを求めてください。全部自分で引き受けない、自分ひとりで悩まない、頑張りすぎないことも介護には必要なことです』
今朝(5/5)のラジオでユマニチュードについてリスナーの方の質問に答える話があり、その中での情報です。「高齢者ケア研究室」がユマニチュードの動画をアップしています、是非見てください!

今回のBeat はボーズのスピーカーの動画で見つけました、リフレッシュしてくれそうな曲です。PARKS の”Sweater Weather”です。4760


ラインスタンプ第二弾「漢字オバケ2
第一弾「漢字オバケ1」はこちら

 

 

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