BBTime 138 一時しのぎ

BBTime 138 一時しのぎ
「今走ってゐること夕立来さうなこと」上田信治

本日鹿児島は夕立・・かなりの雨でした、今は打ち水効果で涼しい風が少し吹いています。句は字余り(二十字)で内容から区切りは真ん中です・・こんなのもありなんですね。自転車にしろ、徒歩にしろ、傘や合羽がなければ走るか雨宿りするかです。今回は雨宿り「一時しのぎ」について

夕立ならばいずれ止み陽が射します、もし不幸にも止みそうにない時は「本降りになって出て行く雨宿り」という川柳(誹風柳多留:はいふうやなぎだる)のように濡れ鼠となるしかありません。
さて一時しのぎ1:歯科臨床で来院理由の多くは「痛み」です。聞くと「前に痛みがあったが二、三日で治ったので・・」とのこと。腹痛や筋肉痛と違って「歯の痛み」はほとんどの場合が炎症で、原因を処置しないと治ることはありません。患者さんのおっしゃる「治った」はおそらく「痛みが和らいだ、消えた」のことでしょう、が「一時しのぎ」ですので、受診されることを勧めます。
一時しのぎ2:痛みで来院されて処置をします。一回で痛みが消えることもあれば、二、三回かかることもあります。数は少ないのですが・・痛み消失とともに来院消失となる方がいらっしゃいます。次回トラブル時来院の際には抜歯となる可能性が大です。はっきり言って勿体ないです!

一時しのぎ3:大学の時に習った言葉で「最終補綴物:さいしゅうほてつぶつ」があります。痛みが出て神経を抜いて、根の治療をして土台を入れて、削って型とって、かぶせる。この被せ物のことですが・・卒後臨床に携わるうちに「なぜ最終なの?」「最終じゃないじゃん」と思うようになりました。最終、言い換えれば「最後」・・にもかかわらずやり変える必要が出てきたり・・一連の治療の中では最後のステップの意味で、その日の最終列車の「最終」のような意味でしょうか。対してテンポラリーという言葉があります、「一時的な」とか「臨時の」という意味です。仮歯(かりば)をテンポラリーと呼ぶこともあります。時に「最終」でなくとも「テンポラリー」でもいいんじゃない?と思うことがあります。現在、条件を満たせば(前歯から数えて)4番目と5番目の歯=4番、5番、小臼歯(しょうきゅうし)まで白い歯が保険治療可能です(もちろん仮歯ではなくて最終補綴物として)。その後ろ6番目と7番目は今のところ保険診療では金属になります。レジンの仮歯は白いのに本歯は金属・・嫌ですとおっしゃる方も当然いらっしゃいます。陶器の白い歯になると十万前後かかります。前置きが長くなりましたが、言いたいことは・・最終ではなくテンポラリーの白い被せ物でも良いのでは?ということです。仮歯の材料も色々あります、噛み合わせ、噛む力、食べ物などによって個人差はあります、数年で作り変える必要がある場合もあるでしょう、もっと持つかもしれません。口の中において「最終」という言葉はそぐわない気がします。天然歯(てんねんし:自分の歯)でない限り「最終」ではなく「テンポラリー、一時しのぎ」の考え方がケースによっては良いのかなとも思えます。

さだまさしの歌に「雨やどり」があります。「前歯から4本目に虫歯がありまして」・・「口元から虫歯がキラリン」。正確には虫歯の治療跡が「キラリン」でしょう、今なら白い歯が可能ですから「再会の確証」にはならなかったかも。ちなみに英語で「夕立=shower、シャワー」今回のBeat は「shower」です。おまけで鳥獣戯画の雨宿りも!4040
「雨宿り 止み待つ合間 歯を磨き」カルノ

https://youtu.be/dqDcb7Q9kSI

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