BBTime 147 あたしゃ入れ歯でも

BBTime 147 あたしゃ入れ歯でも
「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」風天

 いきなりの「寅さん」登場でビックリかもしれませんが、掲句の作者「風天」とは寅さんこと渥美清氏の俳号で、昨日8/27は「男はつらいよ」第1作目の封切り日だったそうです。『時は1969年、昭和で云うと44年。我が国ニッポンは高度経済成長に翳りが見え始め、夏休みも終わろうとする八月の27日。渥美清扮する寅さんが繰り広げる・・・』のようなくだりをツルッと話すのが前回の「立て板に水」と云うのでしょう。「香具師の口上:やしのこうじょう」も立て板に水です。ちなみに8月4日は寅さんの命日でした。(1996年享年68歳)

「さあ、もう、ヤケだ、ね。ヤケのヤンパチ日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが わたしゃ入れ歯で歯が立たないよ、ときた!」数ある寅さんの口上の中でも有名なセリフです。口上ですから目くじらを立てるのは大人気ないですが、ゴボウじゃあるまいし茄子に歯が立たないと云うのはいただけません(笑)。

実は、男はつらいよ第45作「寅次郎の青春」にエキストラとして出演しました。自分で言うのもなんですが、一瞬の半分くらいで自己認識不能な程度です(山車担ぎのシーン)。橋の上で後藤久美子の後ろを小走りで走る時に彼女のバッグに手が当たってしまいました・・このシーンは見事にカット。男目線かもしれませんが「寅さん」は日本人の男心恋心人情の原風景なのかもしれません。長距離フェリー(宮崎〜東京)の映画室ではいつも「男はつらいよ」でスクリーンが合わないためでしょう、少々ひょろ長い映りでした。

トンボの顎は頑丈です。かと言って決して人の顎は華奢(きゃしゃ)ではありません。歯が立たない入れ歯は入れ歯に原因があります。仕立屋さんが「あなたは太っているから」「あなたは痩せているから」と言う理由で着心地の悪い服を仕立てたりはしません。入れ歯も同様、顎の形・大きさに合わせて作るのが入れ歯です。おそらく日本で入手可能な身につけるモノで、百人中百人完全オーダーメイドは「入れ歯」だけでしょう。しかしながらオーダーメイドゆえに製作者(歯科医師・歯科技工士)によって差がでるのも事実です。ラーメンや食堂であれば味の違いは個性や好みとすることも可能ですが、入れ歯の合う・合わないは個性や好みという話ではありません。

また「初入れ歯装着」は全ての人において「初体験」になります。これがさらに問題なんです!初入れ歯が「ぴったりくる」入れ歯であれば「結構噛めるじゃん」となるし、「合わなくて痛ければ」入れ歯は痛いものだ、「話しづらい」ならば入れ歯だからしょうがない、となってしまうのです。ラーメンならば食べ比べは可能ですが、短期間でここあそこで入れ歯作り比べは不可能です。

普通に食べて、普通に話せて、普通に歌えて、普通に綺麗で、普通に笑えるのが入れ歯です。痛いのが、合わないのが、話しづらいのが、落ちてくるのが入れ歯・・ではありません!「あたしゃ入れ歯で」ではなく「あたしゃ入れ歯でも」が当たり前だと認識してください。(当たり前でないゆえに入れ歯安定剤が売れるのでしょうね・・泣)

話飛びますが学生の頃、MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)のミュージカル「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」などをよく観ました。「男はつらいよシリーズ」もMGMミュージカル同様、老若男女に愛される映画です。歌に相当するのが、寅さんの啖呵売(たんかばい)でしょうか。今度、寅さんに「ヤケのヤンパチ日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが わたしゃ入れ歯で歯が立たないよ、と言いたいとこだが。そこのおあ兄いさんおあ姉さん、この入れ歯だけは違うのよ。どうしてどうして 茄子でもゴボウでもバリバリのごぼう抜きよ!」とでも口上を垂れてもらいましょう、ということで今回のBeat は巴里のアメリカ人から「I got Rhythm」です。4260

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