BBTime 225 希望:Esperanza

BBTime 225 希望:Esperanza
「くちびるに夏欲しければ新茶飲む」小迫倫子

このような句を見ると俳人(作者)の思考回路はどうなっているんだろうと驚かされます。さて今回は仕事中(歯科治療)の患者さんとの会話で最近感じたことについて。それは「希望」です。患者さんは謙虚なのか、遠慮深いのか、言い出しにくいのか、控えめな方が多いように感じます。特に補綴物(ほてつぶつ:被せ物)や義歯(いれば)について「もっと希望を主張してもいいのに」と感じます。

歯科治療(保険内でも保険外でも)は無料ではありません。保険内治療であってもしかるべき自己負担額の料金を支払うわけです。お店で商品を買うのと同じ、パーマ屋さんでのカット、スポーツジムでの会費、食堂での料理等々・・歯科治療もひとつの商品。「歯医者任せ、医者任せ」ではなくシンプルに希望をもっと主張してください。先日患者さんから「ここの治療は今後どのようになりますか?」と質問されました。この質問であれば歯科医として一般的な治療順序を説明します。この患者さんのポイント(希望)は「金属を入れたくない・白いものを入れて欲しい」が希望でした。希望がはっきりした時に「遠慮なくご希望をおっしゃってください」と伝えました。

ソムリエのいるレストランで食事するとしましょう。一言「お任せします」ではソムリエの方は極めて「無難なワイン」を選ぶかもしれません。やはり食事する人自身が好みや希望、予算などをはっきり伝えた方が「ピッタシワイン」が出てくると思います。歯科治療も同じです。詰め物・被せ物であれば色、材質、治療費などの説明を求めることは当たり前のことと思います。ユニクロで夏服を買います、色・柄・材質・価格・サイズなどしっかりチェックしますよね、同じです。ましてや自分の体です。義歯(入れ歯)であれば金具の着く位置、金具(ばね)のデザインなど確認することは可能です(本来はすべきです)。

とは言え、聞きにくい・何を聞けば良いのかわからない・聞きづらい・聞けないが実情でしょう。しかし繰り返しますが、自分の体です、勇気を持って!過去に「五つの質問」で似たようなことを書いています、是非御参照ください。

「他人のオーダーに応えるということは、仕事の基本である。」押井守
鷲田さんのことば:仕事は自分のためだけにするものではない。それを通じて誰かの暮らしを支えること。集団の維持に不可欠なある役を担うこと。人は「注文に応えて」生きる。ただし注文を額面どおりに受け取っていいかは別の問題。注文者の思いを超えてその言葉に託されたミッションに応えるのでないと、業務と言えても仕事とは言えないだろう。映画監督の『ひとまず、信じない』から。(鷲田清一
拡大解釈すると「患者さんの言葉」に潜む希望(時にわがまま)を医療従事者は読み取る努力をすべきだと思います。(従事者にとって)簡単な方法があります。こちらから患者さんへ提案するのです。選択可能な治療方法・回数・期間・大まかな治療費・予後(治療後の経過)・治療しなかった場合のリスクなどを歯医者から提案するのです。

先日街角で見つけたオシャレなアパート、名前が「Esperanza:エスペランサ:希望」です。どうぞ、遠慮することなく本音の希望をおっしゃってくださいませ。今回の一言:本音の希望を言いましょう!今回の楽曲:エスペランサが出てくる「Gloria Estefan Abriendo Puertas」9250

おまけ1:冒頭の句と画像をこちらでも使っていました、ご覧下さいませ。「BBTime 038 無事の人その参 欲」
おまけ2:本「曲芸師ハリドン」(原題 ESPERANZA)おすすめです!
おまけ3:「希望」のタイトルでこちらにも書いておりました。

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