BBTime 343 五月後六月

BBTime 343 五月後六月
「五月雨の降のこしてや光堂」松尾芭蕉

句の解説には『旧五月十三日、芭蕉と曽良は平泉見物に訪れ、別当の案内で光堂(正式には金色堂)を拝観している。「おくのほそ道」の途次のことだ。句意を岩波文庫から引いておく。……五月雨はすべてのものを腐らすのだが、ここだけは降らなかったのであろうか。五百年の風雪に耐えた光堂のなんと美しく輝いていることよ。とまあ、これは高校国語程度では正解であろうが、解釈に品がない。芭蕉はこのように光堂の美しさをのみ詠んだのではなくて、光堂の美しさの背景にある藤原氏三代やひいては義経主従の「榮耀一睡」の夢に思いを馳せているのだからである。有名な「夏草や兵どもが夢の跡」はこのときの句だ。ところで光堂であるが、現在は鉄筋コンクリートの覆堂(さやどう)で保護されている。たとえば花巻の光太郎山荘と同じように、元々の建物をそっくり別の建物で覆って保護しているわけだ。家の中の家という感じ。芭蕉の時代にも覆堂はあり(と、芭蕉自身がレポートしている)、学者によれば南北朝末の建設らしいが、いずれにしても五月雨からは物理的に逃れられていた。『おくのほそ道』の文脈のなかではなく、こうして一句だけを取り出して読むと、光堂はハダカに見える。また、ハダカでなければ句が生きない。その意味からすると状況矛盾の変な句でもあるのだが、覆堂の存在を忘れてしまうほどの美しさを言っているのであろう』とあります(解説はこちら)。ちなみに旧五月十三日は六月十五日(令和元年)です。金色堂についてはこちら

鹿児島は先日(5/31)梅雨入りしました。ご存じのように「五月雨:さみだれ」とは梅雨のこと。本来「さつきばれ」とは「梅雨の晴れ間」であって、五月(現代のごがつ)の晴れではないのです。句は旧暦五月十三日に詠まれたので六月十五日(今年)。現代では五月=さつきと解釈されますが、このように正確には旧暦五月=さつき=現代六月となります。ややこしくなりました・・結局「さつき=六月」なんです。

去る三月にNHKラジオ第二「私の日本語辞典」「歳時記を読み直す」シリーズでのお話。本「季語の博物誌」をベースに著者の工藤力男氏と話は進みます。「さつき」の項で「さ」は「稲の霊」の意味を含むとのこと、さつきとは梅雨時ですので湿っぽいイメージとのこと。こちらで聴けます(6/2現在視聴可能)。

画像は紫陽花(錦玉:きんぎょく)です(引用元)。紫陽花は雨に濡れているほうがしっくり来ます。さて強引ですが口の中について。以前「したしたこおか」に書きました、口の中(歯)でいつも潤っているのが下の前歯です。かたや濡れにくいのが上の前歯の唇側なんです。下の前歯にむし歯を作る方はよほどの方(失礼)です。上の前歯は唾液が届きにくく濡れにくいので、むし歯になりやすいのです。言い換えれば「唾液の力」「むし歯から歯を守る力」が及びにくいのが上の前歯なんです。よって、むし歯になりやすいところ、お握り食べて「歯に海苔」になりやすいのも上の前歯なんです。

下の前歯は始終唾液で濡れている・潤っている反面、歯石(しせき)の付きやすくなります。お茶やコーヒーの渋も付きやすくなります。これから暑くなり水分補給(一日1リットル以上が目安)が肝要となります。水やお茶を一口含んだら、すぐさまゴクンと飲み込まずに上の前歯を十二分に濡らしてから飲んでください(可能ならば)。いつまでもあなたの歯が「光」輝き続けるように!7570


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