BBTime 376 歯を溶かす

BBTime 376 歯を溶かす
「堪ふる事いまは暑のみや終戦日」及川 貞

本日「終戦の日」・・新聞第一面に「8月15日は、戦没者を追悼し平和を祈念する日です」との政府広報。今夏も酷暑でしたが(暦の上ではもう秋)、暑いとつい飲みたくなるのがジュースの類。今回「酸蝕歯:さんしょくし」について。因みにスイカで酸蝕歯になったとは聞いたことがありません、ご安心ください。

つい先日来院の女子高生、予診表に「部活があるので今日しか来れない」と。このような文言を見ると「歯と部活、どちらが大事なの?」と歯科医として思いますが、ご本人や親御さんにとっては「部活優先」なのでしょう。さて、その高校生の口を見ると、軽度のムシ歯が散見されます。「お菓子結構食べる?」「ジュースをよく飲む?」の質問には「No」。なぜだろうと思い、もしかして「スポーツドリンクは飲む?」と聞くと「Yes」。これが原因です!数日前ネットで「酸蝕歯…酸性食品 歯を溶かす」の記事(読売新聞8/10付け)を読みました、以下記事より抜粋。

『歯が痛くなったり、しみたりする原因はむし歯だけではない。酸味が強い飲食物や、逆流した胃酸の影響で、歯の表面が溶けてしまう「 酸蝕歯」の可能性もある。近年はむし歯、歯周病に次ぐ「第3の歯の病気」として問題になっている』『具体的には、数値が小さいほど酸性度が強いことを示す「pH値」が、5.5以下になるとエナメル質が溶け始めるとされる。レモン、グレープフルーツなどのかんきつ類や炭酸飲料、スポーツドリンクといった清涼飲料水の一部はpH3前後のため要注意。黒酢も同じような値で、健康や美容に良いからと飲み続けた人が酸蝕歯になった例も報告されている記事より抜粋。

スポーツ飲料・イオン飲料は目的があります。端的に言うと「運動後(スポーツ後)に失われたものを素早く補うための飲み物がスポーツ飲料」であり、
「イオン飲料」とは、カリウムやナトリウムなどの電解質が入っている飲み物のことで、成分や使い方などによってスポーツ飲料とか経口補水液などと呼ぶこともあります」(引用元)。いずれにせよムシ歯に関してみればコーラや炭酸ジュースと同じです、かなりの砂糖が入っています。

記事には『
だらだらと飲み食いをしてしまう人は、歯が酸に何度もさらされてしまうので、間食の回数を減らす。酸性の飲食物をとった後は、水で口をすすいだり、お茶や牛乳を飲んだりして、口の中をできるだけ中性に近づける。ガムをかんで唾液をたくさん出すことで、口を中性に保つ方法もある。必要以上に酸性の飲食物を避けることはないが、酸から歯を守るという意識を日頃から持つことが欠かせない』とあります。

高校生には「スポーツドリンク飲んだ後には是非水を飲んでください。うがいしてください」とアドバイス。理由は「いかに早く酸性に傾いた歯の表面を中性に戻すか」です。学生の頃、授業で「酸蝕症:さんしょくしょう」として特殊な仕事(酸の蒸気を吸い込むような作業)につく人に見られる歯の症状と習いました。ポカリスエット発売前のことです。今や小学生から年配の方まで「酸蝕歯」のリスクはあります。予防法として1)必要ないのに(運動してないのに)スポーツドリンクを飲まない。2)必要があり飲んだ後には、水やお茶でうがいする、もしくは口に含んでぶくぶくごっくん。くどいようですが「痛くないのに鎮痛剤を飲まない」「炎症がないのに抗生物質を服用しない」などと同じことで、必要ないのにイオン飲料スポーツ飲料を飲まないことです。詳しくはこちらこちらを。9600


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