BBTime 435 ハミガキ

BBTime 435 ハミガキ
「芹レタスセロリパセリよ血を淨めよ」山本左門

句を見てふと・・「芹」だけが漢字なのはなぜだろう、レタスなどは西洋野菜だから?。句の解説に『自然から遠ざかるほど、人は病気に近づく。京都浄瑠璃寺の住職がラジオで話していた。作者の焦燥感も、そこに根拠を持っている。歴史上、自然が昨今ほどに人間の問題となったことはないのである。その意味で、まことに現代的な俳句だ。この句は、小川双々子が主宰する「地表」(一宮市)で、今年度の地表賞を受賞した作品のひとつ。双々子は、左門句が現在の俳壇に蔓延する季語季題趣味と無縁であることを評価し、さらに言う。「季語は業のようなものだから、その純正なはたらき(詩としてのはたらき)を駆使するなど容易ではない。大方は<俳>などというはたらきを計るから、自らの居場所さえ解らなくなる為態となる」。(清水哲男)』(解説より)とありますが、後半は理解困難でした。ちなみに、芹は春、セロリは冬、レタスは春、パセリは夏の季語です。「自然から遠ざかるほど、人は病気に近く」・・賛成です!やはり人間も動物、人間の非動物化は奢りだと思います。今回はハミガキ(歯磨き粉・歯磨きペースト)について。

先日ネットで面白い記事を見つけました。『「歯磨き粉で歯を磨く」という習慣はいつから私たちの生活の一部になったのか?』(出典はこちら)。アメリカでの話ですが・・本「習慣の力」より抜粋。『1900年代はじめのある日、アメリカのクロード・C・ホプキンスという有名な実業家のもとに、旧友が新しいビジネスのアイデアを持ち込んできた。彼はヒット間違いなしのすばらしい製品を発見したという。泡立ちのよいミント味の練り歯磨きで、商品名は「ペプソデント」』(57頁より)。

『クロード・ホプキンスを何より有名にしたのは、「どうすれば消費者のあいだに新しい習慣を生み出せるのか」を考案した一連のルールだ』『しかし、そのホプキンスも旧友からペプソデントを持ち込まれたときには、あまり興味を示さなかった。アメリカ人の歯の健康状態が急速に悪化していることは周知の事実だった。国が豊かになるにつれて、人々は甘い加工食品を大量に購入するようになっていた。第一次世界大戦の徴兵が始まったとき、あまりに多くの新兵にムシ歯があったため、口腔衛生に対する意識の低さは国家の安全を脅かす問題だという政府見解が出されたほどだ』(57-58頁より)。『問題は、歯磨きの習慣がないこの時代には、ほとんど誰も練り歯磨きを買わないことだった。口腔衛生が国家の問題となっても、誰も歯を磨かなかったのである』(59頁より)。

『パートナーシップを結んで5年もたたないうちに、ホプキンスはペプソデントを地球上でもっとも有名な商品の一つに仕立て上げ、その過程で歯磨きの習慣を生み出す手助けをした』『最初に広告キャンペーンを打ってから10年後の世論調査で、アメリカの人口の半分以上にとって歯磨きが日常の儀式になったという結果も出ている。ホプキンスは歯磨きを生活習慣として確立する手助けをしたのだ』(59-60頁より)。・・続きは記事を参照ください。

ホプキンスが注目した「膜」とはバイオフィルム(biofilm)のことでしょう。『バイオフィルムとは微生物の集合体のことです。数種の細菌がコミュニティーを作って増殖した膜状のもので、細菌が外的要因(薬剤、体内の免疫反応、口腔内の環境変化など)から身を守るために作ります。台所や風呂場の排水口や川底の石にヌルヌルとした膜ができることもありますが、あれがバイオフィルムです。また、口腔内の細菌のかたまりである歯垢(プラーク)もバイオフィルムのひとつです。  歯周病の直接の原因は歯垢、つまりバイオフィルムです。歯と歯肉の境目には歯肉溝(しにくこう)とよばれる浅い溝があり、そこにたまった歯垢中の細菌が歯周病の原因になります。』(ライオンのサイトより)。

「膜:バイオフィルム」に注目したのは正しいことですが・・『リンゴを食べたり、歯を指でこすったり、歯を磨いたり、勢いよくうがいすれば、膜ははがれる。練り歯磨きは膜をはがすには何の役にも立たない。実際、当時の有名な歯科研究者の一人が、どの練り歯磨きも役に立たないし、とくにペプソデントは役に立たないと語っている』(61頁より)。

うがった見方をするようですが、ホプキンスが友人より頼まれた歯磨き粉(ペプソデント)を売らんがために仕掛けた広告により、副産物として「歯を磨く習慣」の確立へ繋がったというわけです。もちろん主産物は「ペプソデントを売る」です。

日本の歯磨き粉の幕開けを元禄年間(1688-1704)の「乳香散」とするならば、アメリカよりも200年も早いことになります・・詳しいことは「BBTime 唾液磨き」を。それにしても「役に立たない歯磨き粉」を売らんがためとは言え、結果的に歯磨き習慣の確立へ繋がったということはスゴイ事だとは思います。今回皆様に伝えたかった事は「歯磨き粉は必須ではない!」ということ。百年前のペプソデントと比べれば今のハミガキにはフッ素(フッ化物)を始めムシ歯予防・歯周病予防に効き目のある成分が入っているハミガキもありますが、過信は禁物!

今また、細菌やウイルスに効果のある「ラクトフェリン」が注目されています。ラクトフェリンは唾液にも入っています。個人的意見ですが、まずは唾液磨きを!物足りない方は最後に少し歯磨き粉をお使いください。始めから歯磨き粉を使うのは唾液のラクトフェリンがもったいない!ご自愛の程、ご歯愛の程。0670


追加:念の為、現在使用中のハミガキの成分を見てビックリ!薬用成分はフッ化ナトリウム(いわゆるフッ素)のみでした。さらにビックリは長い長い名前の「ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド」なんと片仮名で31文字。フッ化物の歯の表面での停留時間を長くするためのコーティング剤としての成分のようです。少しでも長くするように、31文字となっているのではないでしょうけど(笑)まさしく寿限無。このハミガキ(下の画像)は歯科医師がオススメするスタンダードなものです。この良心的なハミガキですらこうです。ドラッグストアには色々な薬効成分を謳ったハミガキが並んでいます。チューブに書いてある事は嘘ではないにせよ、実際に歯磨き時に歯の表面や歯茎に対して謳ってあるほどの効果は無いでしょう、恐らくゼロです。少なくともその値段を払う価値はありません、無駄遣いです!

さらに注意して欲しいのは「白くなる」を謳っているペーストです。「白くなる」理由が単に研磨剤の作用で「白くなる」場合、厳密に言うと歯の表面を削っていることになります。上等な磁器や銀食器を荒い研磨剤で磨くと台無しになってしまいます。同じ事が歯においても起こります、ご注意ください。ポイントは「低研磨:ていけんま」の表示があれば安心です。結局、約百年前発売のペプソデントと令和のハミガキと大差無しです。なぜなら「バイオフィルム」には薬効成分が効かないからです。ヌルヌルしているバイオフィルムですが、薬剤に対する硬いガードを持っています。イラストの跳ね返されている矢印がその意味です。ということでヌルヌルバイオフィルムを除去する方法は「物理的」に除去するしか無いのです。すなわち「歯磨き」しか効果的なバイオフィルム除去法はありません。ダラダラとある程度の時間の「唾液磨き」を重ねてオススメします。「タチブラシ」も合わせてオススメします!

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