BBTime 479 二足歩行
「薄く薄く梨の皮剥くあきらめよ」神野紗希
解説に『作者はべつに一本の皮を垂らそうとしているわけではなさそうだが、それでも「薄く薄く」剥こうと心がけている。なかなかに集中力を要する作業だ。何のためかと言えば、自分に何かを「あきらめよ」と言い聞かせるためである。自分自身に決断をうながすための、いわば手続きのような作業として可能な限り薄く薄く剥こうとしている。しかし剥きながら、なお決断することをためらっている様子もうかがえる。なんという健気な逡巡だろうか。下五にずばり「あきらめよ」と配した句柄は新鮮だが、内実は古風な抒情句と言えるだろう。好きだな、こういうの。』(解説より一部抜粋)。前回「オイシ教」に引き続き梨の句になりましたが、深い意味はナシ(笑)。今回は美味探求が人類誕生の鍵かも?について。
三井誠著「人類進化の700万年」に、直立二足歩行を人類が獲得した理由がいまだ謎であり、有力な説として「食糧提供仮説」が出てきます。その説とは・・子育て中のメスによりたくさんの食糧を運んでくるオスは気に入られて、子孫繁栄となる。たくさん運ぶために両手(前足)で食糧を持つようになり、直立二足歩行するようになったのではないか・・というものです。こちらもどうぞ。
ここで注意すべきことは『人類のオスは、メスへ食糧を運ぶために二足歩行に適した体に進化し、繁殖する機会を増やした』と考えるのではなく、『二足歩行ができるように進化した人類のオスは、メスに食糧を運ぶことで繁殖の機会を増やした』の方が進化を考える上では適切であろうとのことでした。進化は「目的を持って進むのではなく」「遺伝子に起きる偶然の変異、それがもたらす体や行動の変化がそもそもの始まりだ」とのこと。キリンは高い枝の葉を食べるために長い首になったのではなく、たまたま長い首の生き物が生き残った、と考える方がベターのようです。
より多くの食糧を運ぶオスがメスに気に入られた・・一歩進んで、より美味しい食糧を運ぶオスはもっとモテた!有り得ない話ではないと思います。渋柿より甘い柿、青いバナナよりも完熟バナナ。こう考えると、人類誕生の頃から「美味探求」する人類はいた!宗教が成立する何百万年前から「美味探求」をしていたのかも知れません。美味探求は宗教よりとてつもなく古く、ヒトのDNAにインプットされているのではないでしょうか。
時に「懐かしい味」に出会い、この言葉を時に口にし、喜びや幸福を感じます。人にとって「懐かしい最古の味」とは、紛れもなく「美味しい(味)」であるとは言い過ぎでしょうか。人を好きになり恋に落ちる、美味しい物を探す。「恋愛」と「美食」は、ヒトのヒトたる所以であると思えてきました、直立二足歩行と同じように。では今宵も美味しいものを食べて、ご自愛の程ご歯愛の程。明晩は中秋の名月です!6370
https://youtu.be/QEdPe1SxitI