BBTime 540 サトウとは(歯)

BBTime 540 サトウとは(歯)
「恋びとよ砂糖断ちたる月夜なり」原子公平

先日(10/4)、朝日新聞「折々のことば」に目が留まりました。『「何も考えずに楽な姿勢をとれること」は、健康な人が持つありがたい機能なのである。山本健人 人は自分の全身を見ることができなくても、その容量(ボリューム)は熟知していて、それを動かしたり横たえたりする時も、無意識にいろんな関節や筋肉を操っていると外科医は言う。体はかなり重い物体でもあるのに、眠っている間もたえず寝返りを打って、床ずれしないようにしている。体が黙って判断し動いていてくれるから、人は別のことに集中もできる。『すばらしい人体』から。』(10/4日付)

このコラムにある「寝返り」のみならず、人体にはすばらしい機能が盛り沢山です。本「すばらしい人体」には唾液の話も出てきます。機能のひとつに「緩衝能:かんしょうのう」があり、それは『唾液緩衝能とは、口腔内のpHに変化が起きたとき、唾液が正常な範囲に口腔内を保とうとその変化に抵抗するはたらきのことである。口腔内のpHは安静時に6.7~7.6と中性(pH7)に近い数値を示すが、飲食物摂取や口腔内にいる酸生産性をもつ細菌が酸を産出するなどして変化することがある。これに対して唾液は緩衝液として作用して、口腔内環境を守る』(引用元)。床ずれを防ぐ寝返り同様、歯を酸から守る機能がしっかりあるんです。にもかかわらず、なぜムシ歯になるのか?その原因のひとつは「サトウ」です。

サトウの歴史は古く・・『砂糖の歴史は古く、その発明は2500年前と考えられている。インドからイスラム圏とヨーロッパへ順に伝播してゆき、植民地に開拓されたプランテーションでは、多数の奴隷を働かせることで生産された。19世紀末になると「高級品」ではなく、一般に普及する食品となり、20世紀以降になると、地球規模で生産調整が行われるようになった』(wikipediaより)。日本においては・・『日本には奈良時代鑑真によって伝えられたとされている』『江戸時代初期、薩摩藩支配下の琉球王国では、1623年儀間真常が部下を福州に派遣して、サトウキビの栽培と黒糖の生産法を学ばせた。帰国した部下から得た知識を元に砂糖生産を奨励し、やがて琉球の特産品となった』(wikipediaより)。その後、少々飛びますが・・『1939年には一人当たり砂糖消費量が16.28kgと戦前の最高値に達し、2010年の消費量(16.4kg)とほぼ変わらないところまで消費が伸びていた。しかしその後、第二次世界大戦の戦況の悪化にともない、砂糖の消費量は激減し、1945年の敗戦によって、砂糖生産の中心地であった台湾や南洋諸島を失ったことで、砂糖の生産流通は一時大打撃を受け、1946年の一人あたり消費量は0.20kgまで落ち込んだ。その後1952年に、砂糖の配給が終了して生産が復活し、日本の経済復興とともに再び潤沢に砂糖が供給されるようになった』(wikipediaより)。

ふんだんに摂取できるようになったのは、つい最近のことです。その変化(砂糖大量摂取)にヒトの体が対応できていないのです。四十年も前のこと、叔父が「私が若い頃、ムシ歯は文明病だから、ムシ歯になると自慢していた」言っていたことを、ふと思い出しました。唾液の持つ緩衝能を活かすには、食事(おやつも含む)の回数を減らすことをオススメします。食後に水でのうがいも良い方法です。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。1210



追加:俳句の解説です。『このときの作者は、おそらく医者から糖分を取ることを禁じられていたのだろう。だから、月見団子も駄目なら、もちろん酒も駄目。せっかくの美しい月夜がだいなしである。そのことを「恋びと」に訴えている。とまあ、自嘲の句と今日は読んでおきたい。そして、この「恋びと」は具体的な誰かれのことではない。作者の心のなかにのみ住む理想の女だ。幻だ。そう読まないと、句の孤独感は深まらない。「恋びと」と「砂糖」、「女」と「月」。この取り合わせは付き過ぎているけれど、中七音で実質的にすぱりと「砂糖」を切り捨てているところに、「感じがいいなア」と思わせる仕掛けがある。つまり、字面に「砂糖」はあるが、実体としてはカケラもないわけだ』(解説より抜粋)。

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