BBTime 679 歩きました50km!

「一歩在り百歩に到る桜かな」永田耕衣

2025/3/29投稿 3/30追加
一週間前の3/22土曜日50km歩きました!参加したのは「関西エクストリームウォーク50K」。まずは掲句解説から『句集では掲句の前に、「一歩をば痛感したり芹なずな」があります。春がやって来た実感です。今、「やって来た」と書きましたが、春はやって来るものであると同時に、こちらから一歩近づいていかなければ訪れるものではないという、当たり前の真実に気づかされます。若い頃なら、これを実存というのだななどと観念的に片づけていました。しかし、「痛感」という言葉は、身に起こる切実な情ですから、「芹なずな」に同化するほどの強い思い寄せがあります。掲句では、「一歩」 から出発して「百歩」に到っています。満開の花の盛りは、じつは、桜の側にあると同時に、見る側が作り出すのだという教訓を得ます。花見は座って見るばかりでなく、歩いて歩いて歩き尽くしてこそ、花が盛る、そんな、花と人との双方向的な対峙を教わりました。このおじいちゃんは、やはり、桜に対しても貪欲でした。『永田耕衣五百句』(1999)所収』(引用元)。では早速スタートしましょう!

登録順に50人ずつ出発、いよいよです。最近「歩く」について色々と考えており、「人はどのような理由で歩みを止めるのか?」この疑問を解明したくイベントに臨みました。

朝八時頃スタート。天気にも恵まれ、暑くもなく寒くもない絶好の「歩き日和」。まずは大阪城へ向かいます。友人男性と二人での参加。小生、毎日のように一万歩以上歩いており、参加前予想(希望)は「10時間台でゴールできるんじゃない」でした。では、歩きながら感じたことを書いていきます。

1)人が歩みを止める理由・・わかりました!二つあります。ひとつは「痛み」もうひとつは「日没」。小生の痛みは、足の筋肉や関節ではなく「足裏のマメ」。両足とも五百円玉二個分ほどの大きなマメができ、歩くたびにじわっと痛みました。今回、1ヶ月前購入のソールの薄い靴「vivobarefoot」でスタートし、途中で予備持参のkeenサンダルに替えました。「日没」に関しては、現代社会では照明があり歩行可能ですが、原始人には無理だったでしょう。
2)歩きの本や記事にもありますが「歩いても痩せない」。言い換えれば「歩くだけ」ではさほど脂肪は燃焼しない・エレルギーを使わない。歩いても歩いても、疲れないのです。人にとって「歩く」行為は非常に効率の良い動きなのです。
3)歩くと走るは全く違う・・小生、過去に2回フルマラソン完走(約四時間半)経験あります。歩くと走るは別物!ゴール後の満足感・達成感がマラソンとは比べ物にならないくらいあっさりしたものでした。

4)走りとは別である証拠として「疲れない」「ペースはさほど落ちない」「ゴール後の達成感が小さい」。その昔、小学校などで「罰:ばつ」として「廊下に立っとけ!」「校庭五周走って来い」などありましたが、おそらく「校庭五周歩いて来い、十周歩け」は罰にならないと思います。歩きは人にとってさほど負荷とはならないのです。

5)歩いて分かりました。「歩き」は本来、移動手段ではありません。呼吸と同じように、心臓が血液を送り出すように、人にとって当たり前過ぎるほど当然の行為行動なのです。
6)痛みと日没がなくても際限なく歩けるとは思いません。おそらく時間にして一日12時間、距離にして30~40キロが一区切りでしょう。

7)歩くときは少し遠くを見て、胸を張って、手を振って等々。これは現代人が作ったスタイルだと思います。歩くときは「足元」をしっかり見て歩かないと危険です。原始人において、道は舗装されていません。原始人の歩みを止めた「痛み」は、足裏の怪我でしょう。裸足で道なき道を歩いていたのですから。

8)直立二足歩行したことで「ヒト」となりました。歩くという行為は最も人間らしい行為行動です。もっとも人間らしい行為を、日々怠れば体に不具合が出るのは当然。自動巻き腕時計をたまにしか使わなければ長持ちしないでしょう。

9)やっとゴール(スタートと同じ場所)が見えました。この時思ったことは「もう歩かなくていい、痛みから解放される」だけでした。

10)アップルウオッチの画像。連続八万歩は、日頃「一日一万歩」歩いてますとは、全く意味が違います。休み休み、止まり止まり歩くのが本来の歩きだと痛感、こじつけですが漢字「歩」は少し(歩いて)止まるです。

11)スタートとゴールが異なるのは歩き開始の「押し忘れ」。ワクワクの緊張感・高揚感からかスタート時にボタンを押していませんでした。もし知り合いから「参加してみようかな?どう」と聞かれたら、即答「すすめません」
12)今回、友人と二人参加だったからこそ完歩できました。ひとり参加であったなら、途中で足のマメなどの大義をつけてリタイアしていたでしょう、間違いなく。もちろん参加者の中には一人参加で黙々と歩いて完歩された方も多かったと思います。驚きは、30キロ過ぎても女性グループがおしゃべりしながらスタスタと歩いておられました。複数で喋りながら歩くのが良いようです。

13)完歩翌日翌々日と二つの驚きがありました。ひとつは「足の裏の回復スピード」が速いこと。先に書きましたように「筋肉や関節の痛み」は出ませんでした。痛みは「足裏のマメ」だけ・・一晩寝ると翌朝は40%ほど回復、二晩寝ると80%ほど回復。痛みの減少の速さに驚きました。
14)二つ目の驚き・・ゴール時の達成感はイマイチでしたが、回復とともに再び普通に歩けるようになった時、「喜び」をひしひしと感じました!ほとんどの人が記憶していない「初めて立った、歩いた時」に感じる喜びに近いものかも知れません。
15)今回、改めてイヤ初めて「歩く」ことの大事さを身を持って知りました。フルマラソン完走や富士山登山とは全く異質でした。まさに「歩く」とは最も人間らしい行動であると痛感した「12時間57分」。大会関係者の皆様に感謝!友人S氏に深謝!
皆様、ご自愛の程ご歯愛の程

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16)歩きは「疲れない」と4)に書きました。今回のように歩き目的で、さほど荷物を持っていない場合です。重い物を持たず、筋肉や関節に問題がなければ疲れません。長距離・長時間歩くことで「心の疲労」は生じるでしょう。今回も街中歩きであったため、もう少し気持ち良い景色であればと思いました。いずれにせよ歩くことでは、肉体は疲れません。
17)ボチボチ、ヨタヨタ、トボトボなど、歩く姿を表す言葉があります、これらは精神状態がベース。今回のように精神的に終始問題なければ、歩くペースはさほど落ちません。
18)自動巻き腕時計を引き合いにしました。今朝も歩きながら考えました、これは言い得て妙!ローターに相当するのが「足」、ローターの回転が「歩き」。ローターが回ってゼンマイを巻き、小さな歯車のひとつひとつまで動くのです。歩くことで血液のみならず神経、ひいては頭の巡りまでしっかり循環させ機能させる・・これは間違いないでしょう。
19)最も人間らしい行動=歩きを自ら放棄してしまっている現代人、問題が出ないわけがありません。歩きの放棄には、それぞれ理由はあるでしょう。ヒトとして人として、一歩でも多く歩く日常を心がけたいと切に思いました。


BBTime 678 パニスのパニス

「パンにバタたつぷりつけて春惜しむ」久保田万太郎

2025/03/07 パニス開店五周年記念日投稿 3/15加筆・画像追加
パニスという名のパン屋が鹿児島市にあります。店名「panis」に引かれて足を運びました。訪問初日こそ二番目でしたが、以後一番乗りでお店に通いました。日々、行列ができるパン屋です。残念ながら、おやつ堂オープン後は一番乗りできなくなりましたが。句の解説に『・・バターではなく〈バタ〉、これは今でも雑誌「暮しの手帖」で使われているはずである。こう表記されるとバターがにわかにレトロな雰囲気を持ち、美味しそうに思えてくるのは私一人の感覚だろうか。昨今は〈バタ〉をたっぷり塗ることも少なくなった・・』「食の一句」櫂未知子著78頁より。鹿児島市は春、句は惜春ですがご容赦のほど。

panis:パニスとはラテン語で「パン、糧(かて)」の意。
その店名をつけたパン「パニス」が出たと聞いて即訪問。
冒頭画像が「panis」(パニス提供画像)。
1)お店の名前を付けた理由は?・・「当店ならでは唯一無二のパンです」
2)理由は?・・「このパンの主な材料はパンなんです」
3)ご説明を!・・「色々なパンを作る過程でパンの耳など切れ端が出ます。それらを捨てずに活用できないかと思っていました。あるセミナーで切れ端を煮て「おかゆ」のようにしたものをベースに新たなパンを作ることを知り、まさに切れ端ひとつ捨てたくない、フードロスゼロを実現したいという思いと合致しました」
4)すぐに新製品は完成したのですか?・・「いいえ!試行錯誤でした。模索するうちに当店オリジナルの意を強くし最終的にパニスと命名しました」

煮る前の「パンの切れ端など」(パニス提供画像)。
5)作り方を簡単に教えてください・・「切れ端を水煮してフードプロセッサーにかけてお粥状にします。その、いわば「おかゆ」に小麦粉、野菜などからとった出汁、自家製酵母、塩などを加えドゥを作ります。発酵後釜へ」

出汁(ダシ)を取るための野菜など(パニス提供画像)。
6)パニスの食べ方は?・・「食事パンとして何にでも合います。切れ目に野菜などを挟んでサンドもおすすめです」「パスタやスープの付け合わせとしても合いますよ」

パニスのドゥ。

7)パン「パニス」の今後の展開は?・・米粉パン「「コメパーニュ」同様、当店オリジナルとしてじっくり育てていきたいと思います。チーズを加えたものなども考えています。人に美味しい、地球に優しい、パニスならではのパンを焼いていきたいですね」
8)蛇足ながら味は(小生の感想)・・噛むと、まず意外な食感に驚きます。モチモチというよりシットリ。薄い薄い塩味、野菜の出汁、言わば超薄味の野菜スープのような味で、シェフのおっしゃるようにパスタに好相性間違いなし!冒頭の句と違ってバタをつけなくとも充分に味わえるパンです。是非一度ご賞味あれ。
・・美味しい優しいお話ご馳走様でした(有難うございました)。まさにシェフのお人柄が存分にドゥの中に入っていると痛感しつつ、お店を後にしました。まさにパニスは「心の糧」。地球に優しい美味しいパンを食べて、ご自愛の程ご歯愛の程。