BBTime 316 究極の治療

BBTime 316 究極の治療
「春のかぜこんぺいとうが効きました」田辺香代子

この方には金平糖が薬となったようです。プラセボ(偽薬:ぎやく、プラシーボ)効果という言葉があります。「プラセボ効果とは、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられることを言う」ウイキペディアより。今回は気になる記事について。先日「歯の神経抜く治療は半数が再発!?…感染防御が不十分のケース多く」の見出し。「歯の痛み金平糖で消えました」とはならないので・・記事を読んでいきましょう。

イラストのように歯の中には、根っこの先の小さな穴から血管と神経がきています(図では下の方から)。ムシ歯は図の上の方(歯冠部:しかんぶ)から進行します。歯髄(しずい:血管と神経)が感染すると歯髄炎となり痛みを感じるようになり、「ムシ歯が深いので神経を取りますね」となります(抜髄:ばつずい)。多くは物理的に歯髄を除去(抜髄)します。引き千切って掻き出します。その後空っぽになった歯髄腔(しずいくう)に薬剤(多くはガッタパーチャ)を詰めて一区切りとなります。

記者の方が指摘する問題(再発)はここから始まります。「この治療、痛みが取れれば、とりあえずはOKと思ってしまいますが、その後に問題を抱えてしまうことが少なくありません。細菌を含んだ組織の取り残しなどで、治療後に根の先端から歯茎の周囲に感染が広がってしまうのです。根の治療後をエックス線写真で調べると、なんと4~6割に陰影が見えるという大学病院の報告もあります」記事より。

記事ではラバーダムやマイクロスコープ(顕微鏡、メガネタイプ拡大鏡にあらず)にも触れていますが、結論から言うと記事の最後に「神経を抜く歯内療法はうまくいかないから『しない』方がいいでしょ。だから『しない療法』って言うんですよ」と、虫歯外来を担当する親しい歯科大学教授が「なんちゃって歯内療法」をシャレにしていました。しないですめば苦労はしませんよ。筆者もすでに根にトラブルを抱える身、どうするか現在進行形で悩んでいます。そこで、せめて新たに歯を傷めないために、定期的に歯科に通って、虫歯が進む前に対処するべく努めてはいます。それが歯にとってベスト、長い目で見てきっと安上がりですね。」とあるように「しない療法・治療しない」が最高の治療なんです。

話飛びますが、昔スキューバダイビングをしていました。よく行ったスポットは007のロケ地にもなった丸木浜(鹿児島坊津)です。潜っていると画像のような海の生物が目の前に!貝類、サザエなども目の前に!潜りながら思いました。「なぜ、逃げないんだろう?」当たり前です。彼らの棲家がそこであり小生が侵入者です。極論を言えば「人はここに来てはいけない」のです。そう思った時から捕るのをやめました。

これはご覧になった方も多いでしょう、歯科用パントモと呼ばれるレントゲン像です。学生時代に歯科エックス線の授業で海外のパントモ(特にアメリカ)がよく出て来ました。それらを見ていてふと「根充(根の治療)してない」「アメリカは抜髄・根充はせずに抜歯なのかな」と思いました。理由がありました、米国ではすぐ訴訟(歯科医が訴えられる)になるので再発の可能性のある治療は避けるとのこと。

自己弁護・言い訳です「歯科医も人」神様じゃありません。歯医者目線では治療した全ての歯において「神経抜いたあとピタッと根充して再発しない」なんて「無理でしょ」と大きな声では言いませんが、小さな声できっぱりと言いたくなります。ラバーダムやマイクロスコープ使用は今の保険点数(保険の料金)、診療形態、患者さんの経済的希望を考慮すると厳しいです。一本の歯の根の治療に十万円も払いますか?被せ物まで含めると一本あたり軽く二十万円超えます。「それを言っちゃおしめえよ」と言われますが「人が人の歯を削ってはいけない」し「人が人の歯の神経を抜いてはいけない」のです。

歯ブラシ一本の値段、様々です。しかしこの一本の歯ブラシで数十万の治療費を回避できるのも事実です。究極の治療とは予防です。後手後手治療ではなく先手先手予防へ頭を切り替えるだけで可能なのですが・・ね。これまた難しいのも事実です。最後に記者の方も「しないですめば苦労はしませんよ。筆者もすでに根にトラブルを抱える身、どうするか現在進行形で悩んでいます」と書いてますように、すでに抜髄処置を受けた方で再発した時は、再度根管治療(根の治療)を受けるか抜歯の二択です。はっきり言って現在「根尖病巣」を持つ方はその事実を受け止めて、他の歯が轍を踏まないようにされるのがベターだと思います。究極の治療とは「予防」です。治癒率50%の治療を「しない」為にも先手先手予防へ。9670

BBTime 314 究極の予防

BBTime 314 究極の予防
「春宵や食事のあとの消化剤」波多野爽波

消化剤飲むくらいなら食事抜けばいいのにと思いますが、背景はわかりません。楤の芽(たらの芽)の天麩羅大好物です。昔、楤の芽名人について行ったことがあります。楤の芽スポットをご存じで自作の道具を持って行かれます。50cm位の棒の先に1m弱の荷造り用の白いペラペラした紐がつけてあります。楤の芽は先っちょ(高いところ)についてますので、この道具で引っ掛けて引き寄せて(楤の木は曲がって)芽を摘むのです。楤の木を自宅裏に植えたこともありますが、10本ほど植えて半分は腐ってダメでした。根付いた残りも数年は芽をつけましたが、やはり枯れました。

最近「不食」「断食」などの言葉をネットでよく目にします。不食とは「ふしょく:食べ物を摂取しないで生活すること。主に宗教的行為や食事療法として行われる断食、絶食とは異なり、食欲と闘わずして食べない行為を指す」出典はこちら。断食とは「だんじき:食物を断つこと」です。プチ断食、月曜断食などもよく目にします。実は1ヶ月ほど前から完全に朝食を抜きました。それまではヨーグルトとか果物などを口にしていましたが今は紅茶かお茶、水のみです。すこぶる気持ち良いのです、それが!「今更、そんなこと言うてんの」と声が聞こえそうですが。

朝はどうしてもバタバタします。完全朝抜きにすると「時間的余裕」「カロリー過剰摂取防止」「歯を汚さない」等々、一石三鳥も四鳥も。歯を使わない、歯を汚さないは究極のムシ歯予防法です!使わないから汚れないのは当たり前、食べないからムシ歯にならないのは当たり前と言えば当たり前なのですがね。実践可能ポイント1)朝、出勤前に少しの空腹感を覚えます。この空腹感をネガティブなものではなくポジティブな感覚として解釈します。「胃の中がキレイになった!」2)昼、しっかりした空腹感が我が身を襲います。昼はトースト2枚の弁当を食べます。重度空腹は「茶腹も一時」の言葉通り軽い食事でおさまります。3)晩御飯は普通に食べます。4)朝と昼の間、昼と晩の間に口にするのはマイボトルのお茶とミンティア(フリスク)のみ。

使えば使うほど歯は汚れます。汚れれば汚れるほど磨く必要が生じます。使わなければ、その分汚れませんし、ムシ歯のリスクは減ります。「朝食完全抜き」のメリットは片手に余るほどあると確信する今日この頃ですが・・いかがでしょうか?これぞ究極の予防法です・・本末転倒じゃないの?の声が聞こえてきそうですがね。

画像は「上村松園の春宵」です。句の解説には「せつかくの春宵なるに、色気なきこと甚だしき振るまいなり。されど、かくまでの色気なき振るまいを材に、かくまでに妙な色気を点じ得たる爽波は、さながらに達人とも名人とも言うべけんや。なあんて、擬古文は難しいものですね。春宵の少しぼおっとしたような感覚が、よく伝わってきます。よほど、胃の弱い人だったのでしょうか。胃弱の文学者といえば、有名なのは漱石でしょう。しきりにタカジヤスターゼを飲んでいた様子が、『吾輩は猫である』の苦沙弥先生の描写にうかがわれます。「彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色を帯びて弾力のない不活発な徴候をあらわしている。そのくせに大飯を食う。大飯を食った後でタカジヤスターゼを飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二、三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ垂らす。これが彼の毎夜繰り返す日課である。……」。先生の胃弱は終章にいたるまで言及されており、よほど漱石がこの持病に苦しめられていたことがわかります。ここでもう一度掲句に返ってみると、味わいはずいぶんと変わったものに感じられますね。爽波と漱石とは、もちろん何の関係もありません。春宵の過ごし方といっても、当たり前ながら人さまざまで、誰もがうっとりとしているわけではないのだと、作者はいささか不機嫌なのでしょう」解説より。

終わりに「春宵:しゅんしょう」といえば「春宵一刻値千金:しゅんしょういっこくあたいせんきん」。「春宵一刻値千金とは、春の宵は趣深く、そのひとときの時間は千金にも値するということ」引用元はこちら。春の宵に晩御飯抜きは辛いですが「春朝(しゅんちょう)一刻値千金」として朝食抜きは値千金かと。ちなみに朝食完全抜きならば出勤前はうがいのみでOKです!気になればリステリンなどのマウスウオッシュでうがいというか「歯洗い」で大丈夫!と思いましたが、昨夜の歯磨きが完璧とは言えないでしょうから、お時間あれば朝磨きを!8500

BBTime 313 歯磨き二秒

BBTime 313 歯磨き二秒
「亀鳴いて全治二秒となりにけり」岩藤崇弘

勿論、亀は鳴きません。「亀鳴く」とは春の季語で以下引用「平井照敏の解説。「春の夜など、何ともしれぬ声がきこえるのを、古歌『河越しのみちの長路の夕闇に何ぞと聞けば亀の鳴くなる』(為兼卿)などから、亀の声としたもので、架空だが、春の情意をつくしている」(解説より)とのこと。ついでに「二秒」これまた解説より「さあ、わからない。わからなくて当然だ。現実的なことが、何も出てこないからだ。でも、なんとなく可笑しい。(中略)「ええっ」と感じた途端に、「全治二秒」と畳み掛けられて、何が全治するのかなどと考える暇もなく、「なりにけり」と納得させられるのである。ミソは「全治二秒」の「二秒」だろう。一秒でも三秒でも極度に短い時間を表すことはできるし、一見「二秒」の必然性はないように見える。が、違うのだ。「二秒」でなければならないのだ。というのも、一秒や三秒では、ほんの少し字余りになる。字余りになれば、読者が一瞬そこで立ち止まってしまう。立ち止まられると、畳み掛けが功を奏さない。四秒でも駄目、次は五秒とするしかないけれど、これでは即刻全治ではなくなってしまう。間延びしてしまう。「二秒」だから、読者に有無を言わせない」(解説より)。

さて「二秒」で治る病気は何だろうと考えるに・・あるとしたらそれは「仮病」では?と思いました。亀鳴くも架空、仮病も架空・・繋がりますね(笑)。今回は二秒についてのお話。時にブラッシングの話で「電動歯ブラシ使ってます」と患者さん。電動歯ブラシは大きく二つに分かれます「ブラウン型」と「ソニケア(ソニッケアー)型」。ブラウン型は丸いブラシが回転ではなくツイストします、ソニケア型はブラシの振動で汚れを落とします。

イラストはブラウンです、両者一長一短でしょう。しっかり磨いた感を求めるならブラウン、ゆっくり磨きたい方はソニケア型でしょうか。ベストは「朝ブラウン・昼手磨き・夜ソニケア」だと個人的には思います。電動歯ブラシのポイントはいずれも「二秒間」!歯ブラシを当てたらその場所で「二秒間」は同じ場所を磨くことがコツです。二秒間の間に水の流れ(水流)が発生して汚れを振動と流れで落とします。下のイラストはソニケア。

もうひとつのコツは「始めは歯磨き粉は使わない」です。ブラシ部分を湿らせたら歯磨き粉つけずに口腔内(こうくうない・口の中)へ。ご自分の唾液での電動磨きをお勧めします。磨いているとボディに唾液が垂れてきますので、タオル地のハンカチでボディを持って磨くと良いでしょう。湯船派の方なら湯船に浸かってゆっくり電動もオススメです。要は二秒間と唾液磨き。歯磨き粉使用しないと落ち着かない方は、最後に大豆大くらいのペーストつけて仕上げ磨きを。

ソニケアHPの画像です。二分間の徹底ブラッシング・・計算すると二秒×14本×2面(ほっぺた側とベロ側)×2(上下)=112秒・約二分です。仮病は「全治二秒」もあり得ることですが、ブラッシングは電動でも二分は必要です。手磨きならば一日トータル十分は欲しいところ。電動歯ブラシのコツは「二秒」と「始めから歯磨き粉は使わない」です。ブラシの大きさにコンパクト(小さめ)があればこちらを勧めます。外国のメーカーは基本的に欧米人仕様ですから日本人には大きめです。6300

BBTime 311 百年仕様

BBTime 311 百年仕様
「かごめかごめだんだん春の近くなる」横井 遥

ひと雨ごとに春の近づきを感じます。「かごめかごめ」や「ずいずいずっころばし」などの童謡には子供に理解困難な事象を歌詞に含めることで覚えさせたとも聞きます。お茶壺のことを説明してもわからない子供に歌わせることで理解させたという解釈です(ずいずいずっころばし)。玩具も同様でウイキペディアには「子供にとって遊びは余暇ではなく生活行動そのものであり、その中で玩具は活動の方向性を作り出す。遊戯の目的である、自然法則を理解するための準備や文化・社会生活へ適応するための訓練は、玩具の意義にもそのまま当てはめることができる」とあります。良い玩具ほどユニバーサルデザインに配慮しているとも言えるでしょう。

前回BBTime310「柳と歯」で砂糖消費量について触れた手前調べてみると、意外にも1970年頃のピーク時に比べて半分近くに減ってきていました。1972年に日本人一人当たり年間消費量が30Kgであったのが2016年には16.6Kgまで減っています(引用元)。

減少した砂糖に対して増加してきているのが「パン」です。2010年頃についにご飯(米)をパンの消費が追い越して、実は今の日本人の主食は「パン」なんです。と言うのは早計で、コンビニおにぎりもお米ですが統計には明瞭に出てきませんので、日本人の主食は「パン」とはまだ言えないようです。いずれにせよ「パン」が日本人の食事のメインになりつつあるのは事実でしょう。お米(炊いたご飯)に砂糖は入っていませんが菓子パンはもちろんのこと食パンにも砂糖は入っていますし、歯科医師目線だとご飯よりパンの方が食後に歯の周りに残りやすい(ひっつきやすい)のでムシ歯のリスクが高いように思えます。(下グラフ引用元はこちら

書きながらふと主食別の歯ブラシがあってもいいなと思いました。「お米ブラシ」とか「パンブラシ」「野菜ブラシ」などなど。まあこれは半分冗談ですが、砂糖消費量が減ってきているのにムシ歯はなくならないし、大人の歯周病も依然問題です。これからさらに高齢者社会化していくことを考えるに、やはり「今」に合った、これからの社会に適応した新発想の「歯磨き・歯ブラシ」が必要となるでしょう。考えました!

1)空間的に近い:どこでも磨ける・手を伸ばせば届く(どこにでも置ける) 2)時間的に便利:いつでも磨ける 3)心情的に近い:いつも一緒にいたい・愛しい・おもちゃのような愛着感・おもちゃデザイン 4)経済的に優しい:手がとどく価格 5)存在理由:健康維持のため・美味しいのため。子供が肌身離さず持つぬいぐるみ、大人が携帯するスマホ、のような歯ブラシであり、結果的にいつでもどこでも手元に歯ブラシがあるので歯を綺麗にできる、が狙いです。ぬいぐるみのような愛着、スマホのように小型で便利、爪楊枝のような場所と場面(時)を選ばない歯ブラシ。

洗い物をするときに目的やモノによって使用する洗剤や道具を変えると思います。今の日本人の食生活や食習慣、ライフスタイルは急激に変化しているのに歯磨きや歯ブラシだけが旧態依然としているように思えてならないのです。旧態依然とは「食後に薄ら寒い洗面に行って、歯ブラシに歯磨き粉をつけて、グー握りでシャカシャカやって、ガラガラうがいして終わり」のスタイルです。百年人生到来ならば歯の使用年数・必要年数も約百年(永久歯は100ー6=94年ですが)。百年使用に見合った仕様:手入れ方法の「歯磨き・歯ブラシ」が必要となるのではないでしょうかね、と思いつつ春近し!2600

この歌「三月の水」についてはBBTime 101「三月の水」をご覧ください。

BBTime 310 柳と歯

BBTime 310 柳と歯
「そばへ寄れば急に大きく猫柳」加倉井秋を

「柳と歯を結びつけるものは?」に何をイメージされますか。「柳刃」は包丁、「柳葉魚」と書いてシシャモ、答えは「爪楊枝」です。ヤナギには「柳」と「楊」の二つの漢字があり、検索すると『「柳」はその漢字の形が示す如く枝が長くたれさがる、シダレヤナギのことです。そして「楊」はネコヤナギやカワヤナギとかのようなしだれないヤナギのことです』出典はこちら。ではなぜ楊(ヤナギ)を爪楊枝として使ったのか?理由があります。これまたネットでは「柳の樹皮に鎮痛効果や解熱効果があることは、紀元前から知られていたそうです。紀元前5世紀頃活躍 した、今日でも医学の父と呼ばれるギリシャの医師ヒポクラテスは、この柳の樹皮を医療に用いていたそうです。インドや中国でも柳の樹皮や葉を痛み止めなどに使用したそうです。中国の古典には、柳の枝を 使った楊枝は、歯痛の時噛めば痛みが止まる、と記載されているそうです」詳しくはこちら。アスピリン製造にヤナギ樹皮からの抽出エキスを使うとのこと。ちなみに小生の好きな楊枝は「さるや」です。

BBTime308「安心ブラシ」BBTime309「目薬ビン」で書いた後に「歯ブラシの歴史」を検索したところ興味深い内容でした。現在の歯ブラシの原型は約五百年前1498年の中国に遡るようです。以下引用「一説には、1498年に中国の皇帝が骨や竹を台にして、豚の固い毛を植えつけたものが発祥とされています。また、西洋では、17世紀ごろのフランスで獣骨の柄で馬毛が植えられたものが使われるようになりました。イギリスでは1780年、獣骨に穴を空けた柄に獣毛を針金で留めた歯ブラシが作られ、各国に普及していったとみられます。日本では江戸時代に小枝の先端を煮て鉄鎚で叩き、木綿針の櫛ですいて木の繊維を柔らかい房状にした「房楊枝」が使われました」出典はこちら。五百年前の皇帝の歯ブラシと、今の歯ブラシの形がほぼ同じとするならば違和感を感じざるを得ません。食事内容・食生活習慣・健康意識などにおいて五百年前と同じ訳ないのに・・いくら歯は昔も今も同じとは言え。こちらにわかりやすく「歯磨きの歴史」について繙(ひもと)いてあります。また引用文章中の「木綿針の櫛」とは恐らく「木綿針を櫛状にした道具」のことだと小生は理解します。「ハコビ」の作り方に画像が出ています。

さて1498年頃日本は室町時代(1338-1573)、世界は・・1474(文明6)年:一休が大徳寺住職になる。1490(延徳2)年:足利義政没。銀閣の完成。1492年:クリストファー・コロンブスがバハマ諸島に到達(アメリカの「発見」)。1498年:バスコ・ダ・ガマがインド航路を「発見」。1499年:アメリゴ・ベスプッチが南アメリカを「発見」(出典はこちら)。

一休宗純和尚が活躍され銀閣寺が建てられた頃・・当時の一般人の口に砂糖が入ることはなかったでしょう。ネットで調べてみると正倉院目録に記録があるようです。「日本における砂糖の最初の記録は、「正倉院」献納目録の「種々薬帖」の中に「蔗糖二斤一二両三分并椀」の記録があります(825年)。当時は大変な貴重品であったため、ごく一部の上流階級が用い、それも食用ではなく、むしろ薬用でした。その後、鎌倉時代末頃から大陸貿易が盛んになり、砂糖の輸入も増加しました。1543年にポルトガル人が種子島に上陸し、砂糖を原料としたカステラ、コンペイトウなどの南蛮菓子をもたらしましたが、当時の大陸貿易の品目の中では生糸、絹織物、綿織物に次ぐ重要輸入品が砂糖でした。」また「江戸時代の初期、最初に砂糖の製造を始めたのは当時の琉球(沖縄県)でした。1623年に琉球の儀間真常が中国に使いを出し、砂糖の製造方法を学ばせ黒糖を製造したと言われています。その後、琉球をはじめ奄美大島、喜界島、徳之島おいても、さとうきびは製造増産され、管轄していた薩摩藩に莫大な収益をもたらしました」出典はこちら、こちらも参照のほど

平成の今(残り二ヶ月半ですが)ほとんどの日本人が毎日砂糖を口にします。いえ、母乳のみの乳飲子以外の全ての日本人は日々砂糖を摂取するでしょう。にもかかわらず「毎日道具No.1」歯ブラシが五百年前と大差ないとしたら・・これは大問題です。歯ブラシの形云々のみならず「歯磨き」そのものを根本から見直すべきだと思うのです。洗面台の前で歯磨き粉(ペースト)をつけて歯ブラシで磨いて嗽(うがい)して終わり・・これを今風に変えるべき!なぜなら歯磨きによってムシ歯がなくなっていないからです(もちろん歯ブラシだけでムシ歯予防は無理ですが)。歯ブラシ同様、歯磨き粉も昔(江戸時代)を今尚引きずっているように思えてなりません。今の日本人の食べ物・食習慣は高度経済成長期(1954-1973)以降に急激に変化したと思います。端的に言うと毎日大量の砂糖を摂取しながら、歯磨き習慣は昔のままで、ムシ歯がなくなるはずはありません。ゆえに「今」に合った「ネオ歯磨き=新歯磨き習慣」へ変えるべきだ!と日々歯を磨きながら思うのです。「ネオ歯磨き」と「安心ブラシ」を世に出すべく・・歯を洗う毎日です、ハイ精進します。2140

おまけ:現在オススメの「ネオ歯磨き」は唾液磨きフリスク磨きです、歯を「磨く」から歯を「洗う」へ。歯ブラシに関しては「磨いても磨いても安心な歯ブラシ」を模索中です。

BBTime 309 目薬ビン

BBTime 309 目薬ビン
「ふくらんで四角薬屋の紙風船」小沢信男

節分立春と過ぎた途端、鹿児島は暖かくなりました。掲句の季語は?と調べたところ「風船」で春。今回は眼科で処方された目薬のビンについてのお話。コンタクトレンズのこともあり数ヶ月おきに眼科に行きます。最近気がついたことに「目薬ビン」は歳歳年年瓶不同:さいさいねんねんビン同じからずなんです。先日手にした目薬は蓋を取って指そうとするとポタリ!瓶の胴体を意識して押さなくてもポタリ!目薬も高齢化対策なのでしょうか。高齢者のみならず、指の力の弱い方、普通の人でも慣れれば便利です。最初、指そうとしていきなりポタリ!には驚きましたが(下の画像は別です)。

目薬ビンのみならず爪切りなどでも使い勝手に工夫した道具を見かけます。iPhoneやiPadの拡大機能も便利ですし、CMが話題となったメガネ式拡大鏡(ハズキルーペ)が受けたのも頷けます。ユニバーサルデザイン・ユーザーフレンドリー・ユーザビリティなどを謳った商品が増えています。ユニバーサルデザイン=文化言語国籍や年齢・性別などの違い、障害の有無や能力差などを問わずに利用できることを目指した建築(設備)・製品・情報などの設計(デザイン)のことである(ウイキペディアより)。詳しい具体例はこちらを。

句の解説に「そういえば、ありましたね。四角い紙風船。薬屋がおまけにくれた風船を、ふくらませてみたら四角だった。丸い風船のイメージがあったので、ちょっと意表を突かれたというところ。いかめしい感じの商売の薬屋だから、やっぱり風船もいかめしいや……。と、作者は心楽しくも腑に落ちている。そんな作者の納得顔が想像されて、もう一つ読者は楽しくなるという仕掛け。ところで、四角い紙風船はなかなか巧くつけない。どうかすると、とんでもない方角に飛んでいってしまう。不人気の理由である。そこへいくと、誰が発明したのか、丸い風船は実によくできている。形状の美しさもさることながら、ついているうちに内部の空気量が調節されるメカニズムの妙には、いつも驚かされてきた。寺田寅彦あたりに「紙風船論」はないのかしらん。ないのであれば、誰か専門家にぜひとも書いてほしいテーマである。」解説より。これを読んで「丸い紙風船」もユニバーサルデザインだと思いました。

ネットで「ユニバーサルデザインの七原則」を見つけました。面白いことに「丸い紙風船」はかなり合致してます。「誰にでも公平に利用できること」「使う上で自由度が高いこと」「使い方が簡単ですぐわかること」「無理な姿勢をとることなく少ない力でも楽に使用できること」。

BBTime303「楔状欠損」BBTime304「ややこしい」BBTime305「諸刃の刷子」BBTime307「鬼の面」BBTime308「安心ブラシ」と今回。やはり歯ブラシは今以上にユニバーサルデザインであるべきだし、極端な言い方ですけど、どんな使い方をしても製品事故(歯や口を傷つけない)を今以上に起こしにくいデザインにすべきだと切に思います。現在模索中の「安心ブラシ」を世に出すべく精進します。0230
https://youtu.be/Ay1PBV4IHaA

https://youtu.be/La4Dcd1aUcE

https://youtu.be/ftKZJrwGbQ4

BBTime 305 諸刃の刷子

BBTime 305 諸刃の刷子
「一生を泳ぎつづける鮪かな」星野恒彦

解説に「季語は「鮪(まぐろ)」で冬。なぜ冬なのか。冬に食べるのが、いちばん美味だからである。鮪にかぎらず、多く動植物の季節への分類は、食べごろをポイントになされている。その意味で、歳時記は人間の食い気がいかに旺盛かを示す「食欲辞典」の趣もある。ところで、掲句は食欲とは無関係だ。おそらくは、魚市場かどこかで丸のままの大きな鮪を見ての感慨だろう。べつに鮪でなくても、鯛や平目でも構わないようなものだが、しかし、鮪の流線型というのか紡錘形というのか、とにかく猛烈なスピードで泳ぐための体型があって、はじめて句が生きてくる。英語では、鮪を「tuna(ツナ)」と言う。ギリシャ語の「突進」という言葉に由来するそうだ。古代から、鮪の高速遊泳に、人々は目を瞠っていたというわけである。すなわち、鮪は一生をひたすら「突進」しつづける魚ということであり、比べれば鯛や平目のイメージは休み休み泳いでいるような感じがする。一生を突進しつづけるとは、勇壮にして豪放だ。が、他方では、何故に突進しなければならないのか。何故に、そんな運命に生まれついたのか。そうした哀しい感情もわいてくる。そういう句だと思う」解説より。

干支にちなんで「猪突猛進」ではないでしょうけど、マグロは「海中では口と鰓蓋を開けて遊泳し、ここを通り抜ける海水呼吸する。泳ぎを止めると窒息するため、たとえ睡眠時でも止まらない」とウイキペディアにあり、猪突猛進どころか睡眠猛進でイノシシより上手(うわて)です。さてヒトは残念ながら「一生を磨きつづける皓歯かな」です(皓歯:こうし・白い歯)。この時期「歯を磨くと痛い」「冷たいものが滲みる」の主訴で来院する方が多いので、前回「ややこしい」前々回「楔状欠損」に続いて再度歯磨きのお話。

画像は天皇の「三種の神器」のひとつと言われる「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」で片刃ではなく諸刃(もろは)の剣です。「諸刃の剣:もろはのつるぎ」とは「諸刃の剣とは、一方では非常に役立つが、他方では大きな損害をもたらす危険もあるというたとえ。また、相手に打撃を与えるが、自分もそれと同等の打撃を受けるおそれがあるというたとえ」とあります(出典はこちら)。歯ブラシも使い方によっては「諸刃の剣」となってしまうのです。

日本IBMのホームページに楔状欠損について「ブラッシングの害」の記事があります。歯を守る道具である歯ブラシの使い方を誤ると「歯を削る道具」となってしまいます。心当たりの方は是非変えてください。1)始めから歯磨き粉は使わない。2)グー握りをやめて鉛筆握りで磨く。3)歯を磨くではなく、歯を洗うイメージを持つ。以上3点を是非お試しください。

1)始めから歯磨き粉は使わない→オススメ歯磨き粉:ライオンのチェックアップです。チューブ表には「フッ化物高濃度配合(1450ppmF)・低発泡・低香味・低研磨・キシリトール」の言葉が表示されてます。楔状欠損を避けるには「低研磨」が有効です。歯磨き粉不使用でも問題ないと小生は確信しますが、気になる方は仕上げに少量使う程度で充分です。

2)グー握りをやめて鉛筆握りで磨く→オススメ歯ブラシ:花王ピュオーラ歯ブラシ薄型コンパクト:HPには「ネバつき・口臭・歯肉炎などの歯周トラブルを意識している人の約半数が歯ぐき下がりを気にしており、歯周疾患、咬合とともに歯みがき時の「強すぎるブラッシング圧」がその原因のひとつであるといわれています。また、ブラッシング圧が強めの人は、いつものクセで無意識のうちに強い力で磨いてしまうことで歯や歯ぐきを傷つけてしまったり、気になる歯ぐき下がりを引き起こす要因となっていることがわかりました。(2016年 花王調べ)」とあります。

3)歯を磨くではなく、歯を洗うイメージを持つ→唾液で(歯磨き粉不使用)歯をだらだら洗う。歯を守る道具が歯を傷める道具にならないために、この三点を試してください。

おまけ:4)ミンティアブリーズ磨きは楽しく長続きします。方法は超簡単!一粒口に入れて歯ブラシでチョコマカダラダラ磨き。5)絶対歯を傷めない洗い方(磨き方)→うがいです、またフロスも歯を傷めません。

マグロの握り・マグロ丼・他マグロ料理を堪能しつづけるためにも、歯ブラシを諸刃の剣にしないことをオススメします。6000

BBTime 304 ややこしい

BBTime 304 ややこしい
「鮟鱇のややこしき骨挵りけり」山尾玉藻

「手篇に弄ぶと書く挵(せせ)るは、その字が表す通り、箸で食べ物をつつきまわすこと。決して行儀がよいことではないが、対象が鮟鱇であることにより、納得の一句となった。河豚にまさる美味と呼ばれる鮟鱇だが、グロテスクな見た目同様、その身もきれいな切り身となるわけではなく、どの部位もかなり複雑な形態をしている。骨にも皮にもゼラチン質の身をまとい、料亭によっては「骨についた身はすべてしゃぶって食べつくしてください」とまで言われるほど。」解説より

イラストは奥歯です。鮟鱇までは複雑ではないにせよ、前歯奥歯ともにシンプルな形態ではなく、加えて歯と歯の隣り合う部位は複雑というよりも磨くには窮屈です。鮟鱇の身や骨ならばしゃぶる事もできますが歯の場合、歯ブラシや糸(フロス)で丁寧に磨くしかありません(小生の意見)。歯を文字通り隅々までキレイにすることは実はかなり「ややこしい」のです。今回、口友二本で紹介した二本についての一言。

どちらか一本ならば「花王ピュオーラ歯ブラシ薄型コンパクト」を選びます。汚れ落ちなら「ライオンSP-T」に軍配を上げますが、だらだら唾液磨きにはピュオーラがベターです。軽くてスリム、鉛筆握りしやすい歯ブラシ。普通と柔らかめの二種類あり、歯茎に問題なければ「ふつう」で良いでしょう。

「ながらスマホ」はオススメしませんが「ながら磨き」「だらだら磨き」はオススメですと言うより必要です。なぜならば、歯の形態は複雑で汚れの溜まりやすい場所はここかしこに有ります。そうなると必然的に磨く時間は長くなります。鉛筆握りしやすく軽いこの歯ブラシ是非お試しあれ。もちろん歯磨き粉つけずに「唾液磨き」で!複雑な形態、窮屈な磨きにくい場所をキレイにするには色々な方向からのアプローチ(歯磨き)が必要となります。鉛筆握り磨きの可能な方にはお勧めの一本です。3636


おまけ:文珍さんの本の中でややこしいを「赤子の小便」とも(笑)「赤子=ややこ+小便=しい」。ネットを見ると、ややこしい(赤子しい)の対義語がおとなしい(大人しい)とのこと本当かいな?ややこしいの意味は「複雑で厄介である」。歯をキレイにするのは赤子しい、ご自愛の程、唾液磨きの程。

BBTime 302 ヤメルカイ

BBTime 302 ヤメルカイ
「美しき名を病みてをり花粉症」井上禄子

画像は「病める貝(あこや貝)」です。
「病める貝の吐き出した美しい異物、それが真珠です。澁澤龍彦
鷲田さんのことば:人生とは長患いみたいなもの。思うようにはゆかぬその思いを、人は内に痼(しこ)りのように溜(た)め込む。その痼りがもし、吐瀉(としゃ)物のように形の崩れたものではなく、瑕(きず)のない美しい球となって吐き出されたなら、それこそ患う人性への究極の慈悲といえるかもしれない。幼き頃よりの夢を叶(かな)えるべく、老いて天竺(てんじく)に向かう親王の幻想と怪奇の旅を描いた小説『高丘親王航海記』から。(鷲田清一)」折々のことば1/13より。

養殖真珠を簡単に説明します。人が他の貝(ドブ貝)から作った「核」と呼ばれる小球を真珠貝の中に無理やり入れ込みます。真珠貝はその異物(核)を貝体内で無害化すべく貝殻の成分でコーティングしていき、何層にもコーティングされたものが真珠となります。よって「病める貝」(詳しくはこちらあちら)なんです。

「人生とは長患いみたいなもの」・・まさしくそう思います。煩悩・欲望という核(異物)を植えつけられ、もしくは自ら手にしての人生、それが「人性:じんせい=人間としての性質」だと言われればそれまでですが。植えつけられた「痼り」を「自己解釈」「自己都合」などで幾重にも肯定化してゆきます、その結果・・。

これを読んで面白いと思いました。ムシ歯予防は逆なんです。煩悩欲望によってスイーツを食べると、あなたの真珠である「歯」は幾重にも砂糖でコーティングされます。しかし、その都度ありがたくないコーティングを取り除けば、生まれ持った真珠は幾つになっても白いまま輝き続けるのです。

「No sweets, No life」大賛成です。甘味のない人生なんて!ムシ歯をつくるからといって「甘いものをヤメルカイ?」辞めたくないです!だからこそ人も「病める貝」であり「人生とは長患い」だと合点します。みなさん諦めて歯を磨きましょう。「吐瀉物のように形の崩れた」ムシ歯ではなく「瑕(きず)のない美しい」健康な歯を保ち美味しい人生を送るために!冒頭の句は「花粉症」が季語で春、あしからず。0780

BBTime 301 シセキ巡り

BBTime 301 シセキ巡り
「よく食べてよく寝て人日となりぬ」青山 丈

「人日:じんじつ」って何?人日とは本日一月七日のことです。「古来中国では、正月の1日をの日、2日を狗()の日、3日を)の日、4日をの日、5日をの日、6日をの日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていた。そして、7日目を人の日(人日)とし、犯罪者に対する刑罰は行わないことにしていた。また、この日には7種類の野菜(七草)を入れた(あつもの)を食べる習慣があり、これが日本に伝わって七草がゆとなった。日本では平安時代から始められ、江戸時代より一般に定着した。人日を含む五節句が江戸幕府の公式行事となり[1]将軍以下全ての武士が七種粥を食べて人日の節句を祝った」ウイキペディアより引用。ここに出てくる五節句とはご存じ「年間の五つの節句人日(じんじつ)(正月7日)・上巳(じょうし)(3月3日)・端午(たんご)(5月5日)・七夕(しちせき)(7月7日)・重陽(ちょうよう)(9月9日)」のことです(コトバンクより)。今回はよく食べるためのシセキを巡るお話。

画像は「The Pioneer Plaque:パイオニアプラーク」と呼ばれる銘板で「この金属板は1972年1973年に打ち上げられた宇宙探査機パイオニア10号11号に取り付けられた銘板で、人類からのメッセージを絵で記したものである」(ウイキペディアより)。プラークとは「銘板」のことでもあります。夏目漱石関連のプラークもロンドンにあります。銘板:めいばん=小型の平板に銘柄(仕様)を表示したものである。銘柄を表記する板、またはプレート、コーションラベルのこと。

歯科で言うプラーク:plaqueは歯垢(しこう)のこと、そのプラークをベースに石のように固くなったものが「歯石:しせき」。史跡巡りの際に目印となるのが「プラーク」・・正月早々駄洒落ですみません(笑)。下の画像は漱石滞在の家屋。

さて、歯石のつきやすい場所は下の前歯(両側糸切り歯までの六本)の舌側(ぜっそく)です。理由はそのすぐ近くに唾液の開口部があるからです。鏡を見ながらベロを上に上げると一本の筋がピーンと見えます。筋(小帯:しょうたい)の歯に近い方の付け根にプクッと膨らんだ部分が左右一対あります。この舌下小丘から唾液が出てくるために下の前歯の舌側はいつも唾液で濡れており、結果的に唾液中のカルシウム成分が沈着して歯石となって行きます。ところが唾液にはムシ歯予防効果もあるために、もっともムシ歯になりにくいのも下の前歯のベロ側なんです。

過去にも書いておりますが是非「唾液磨き」をオススメします。唾液磨きの利点は「1)唾液の持つムシ歯予防効果を活用できる。2)歯磨き粉不要。3)歯磨きする場所が広がる(洗面以外でも可能)。4)うがいの必要ないため「だらだら磨き」が可能」などです。溜まった唾液ゴックンに抵抗感のある方は、磨く前に水やお茶で口をゆすいでから磨かれると良いでしょう。

いつも唾液で潤っているのが下の前歯でムシ歯になりにくい、反対に唾液が届きにくいのが上の前歯の唇側なんです。皆様、思い当たる節があると思います。上の前歯はムシ歯治療受けたけど、下の前歯は無い。繰り返しますが唾液にはムシ歯予防効果があります!その唾液を使わずお金を出して歯磨き粉を買って磨くなんて・・。気になる方は気になった時に歯磨き粉を使われたらいかがでしょう。

本年四月をもって平成も終わり新元号に変わります。言い換えれば「新時代」へ突入します。これを機に旧習慣から新習慣へ変えてみられては?小生もここ一年ほどで「米抜き」「朝食抜き」の生活に変えましたが、結局どうってことない(苦痛なし)!今の方が絶対ベターと感じます。あなたも是非「唾液磨き」を新習慣に!8120