BBTime 552 磨く

「明け方の夢でもの食う寒さかな」辻貨物船

大方、夢の中では食べる寸前に目が覚めます。句の食べ物は何だったのでしょうか。解説には『寒い日の明け方、意識は少し覚醒しかけていて、もう起きなければと思いつつ、しかしまだ蒲団をかぶっていたい。そのうちにまた少しトロトロと眠りに引き込まれ、空腹を覚えてきたのか、夢の中で何かを食べているというのである。誰もが思い当たる冬の朝まだきの一齣(ひとこま)だ。まことに極楽、しかしこの極楽状態は長くはつづかない。ほんの束の間だからこそ、句に哀れが滲む。いとおしいような人間存在が、理屈抜きに匂ってくる。物を食べる夢といえば、子供のころには日常的な飢えもあって、かなりよく見た。でも、せっかくのご馳走を前にして、やれ嬉しやと食べようとしたところで、必ず目が覚めた。なんだ夢かと、いつも落胆した。だから大人になっても夢では食べられないと思っていたのだが、あれは何歳くらいのときだったろうか。なんと、夢で何かがちゃんと食べられたのだった。何を食べたのかは起きてすぐに忘れたけれど、そのもの本来の味もきちんとあった。それもいまは夢の中だという自覚があって、しかも食べられたのである。感動したというよりも、びっくりしてしまった』(解説より抜粋)。今回は「磨く」についてのお話。

朝日新聞「折々のことば」です。
『磨くということは、何かと何かを擦り合わせること。擦り合わせないと磨かれない。関口怜子    
 物は他の物と何度もこすれ合うことでぴかぴかしてくる。人も同じ。自分とは異質な人、理解しにくい人、話がうまく通じない人との摩擦をくり返し体験する中で人として艶(つや)やかになってゆくと、仙台を拠点に長く子どものためのアート・ワークショップを展開してきたハート&アート空間ビーアイの代表は語る。そんな遭遇を希(のぞ)むなら自分のほうから出かけていかなくちゃと。』

この文章を読みながら溜飲を下げると同時に「歯磨き」における「他の物」とは何だろうと考えました。単純には「歯と歯ブラシ」でしょうけど、「人も同じ。自分とは異質な人、理解しにくい人、話がうまく通じない人との摩擦をくり返し体験する中で人として艶(つや)やかになってゆく」を踏まえれば「歯」と「歯ブラシ」とは考えられません・・ここでの「磨く」とは、まさに切磋琢磨。

歯磨きにおける「ものと他のもの」とは「歯と歯ブラシ」ではなく「歯の汚れと気持ち」だと考えます。「キレイを保ちたい」「健康でいたい」「美味しく食べたい」等々。「汚れ」とはズバリ「食べること」であり「生きる」ことに他ならないのです。歯を使わずに生きることはできません、食べることで当然歯は汚れます。その汚れを落とすことが「歯磨き」なのです。こう考えると歯磨きとは、「日々の生活」vs「生き方」もしくは「生き様」vs「人生哲学」・・歯をキレイにしている人はキチンと生きている人だと思います。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 549 唇

「数へ日やレジ打つときの唇うごく」小原啄葉

画像はどう見ても「レジ打つ人」の唇には見えません(笑)が。皆さんマスクしておられますので、そもそも「唇」は隠れています。今回は「唇」についてのお話。解説には出てきませんが「唇うごく」は「くちうごく」と読むのでしょう(おそらく)。先日の朝日新聞「折々のことば」に目が留まりました。

『唇のまわりに、文化が横たわっている。 ミッシェル・セール  食べる、味わう、話す、歌う、泣く、笑う、愛撫(あいぶ)する。口は文化を最も基本的なところで担う器官だ。知性の原型もそこから蠢(うごめ)きはじめる。赤子は物の形状を囓(かじ)って確かめるし、考えるとはそもそもが、ものごとを吟味すること、つまり味わい分けることだ。そしてホモ・サピエンス。語源をたどれば「味わう人」を意味する。フランスの哲学者の『五感』(米山親能訳)から』(朝日新聞12/16付「折々のことば」)。

かなり前ですが、拙文に「さてタイトルの三つの語句(マンジャーレ・カンターレ・アモーレ)。イタリア語をかじった方はご存じ、イタリアに興味ある人にも耳なじみの言葉でしょう。イタリア人は「食べる・歌う・愛する」ために生きていると、よく日本では評されます。これに関するイタリア人の興味深い記事を見つけました。来日後はじめこそ面白いと感じたが、あまりにも目にするので、今では次元の低いステレオタイプだと思うようになったとのこと。同時に、ふと気がついたそうです。この三つはすべて「口という器官」が関係している!言われてみればそうですね。食べる、歌うはもちろんのこと、彼の解釈では「愛する=キス」で、やはりくち」(ハナ通信No.73)。

イタリア人と言えば・・こんな言葉も。『「陽気にならないと、人はいい仕事ができないぞ」ディエゴ・マルティーナ  日本文学研究家・詩人が引くイタリアの塗装職人の言葉。一日中マスクをしているからか、それとも世間の空気のせいか、仕事中は鼻歌をほとんど歌わなくなった。歌は嫌な仕事にものせてくれるし、まわりの空気もほぐす。適度のゆるみがないと、作業も軋(きし)んで不快な音を立てる。イタリア人は何より「余裕」を大事にする。無理をするのは御法度。『誤読のイタリア』から』(朝日新聞7/26朝刊「折々のことば」より)。歌う・・まさにカンターレ!

唇の脇役」も投稿しております、どうぞ。「唇のまわりに、文化が横たわっている」を考えるに、動物であれば何はさておき「食べる」ことが最優先事項。まさに物事のイロハとはイ=胃、ロ=くち、ハ=歯となります。これがヒトなら、より正しくは恐らく「歯口胃=ハロイ」。歯と口を同じとすれば「ハ・イ」。「ハイ」に携わるのが「ハイシャ(歯医者)」・・おあとが宜しいようで 皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 548 耳

「楽観的蜜柑と思索的林檎」神野紗希

これを見るとただ単に連語?と思えるような俳句です。解説には『句集「すみれそよぐ」(朔出版)から。ミカンとリンゴを楽しんでいる感じ。我が家の卓上には、ミカンとリンゴのほかに黒くなりかけた欲情的バナナ、すこし硬い禁欲的キウイ、そして軟化した蠱惑的(こわく)柿がある。そういえば、物理学者で俳人、随筆家だった寺田寅彦に今日の句の先例のような句がある。「客観のコーヒー主観の新酒かな」』(毎日新聞2020.12.25朝刊)。さて、今回は前回「歯と眼」に続く「耳」・・耳寄りなお話。

炬燵みかんで楽観的、ニュートンやジョブズでりんごは思索的なのでしょうか。さて小生の好きな耳に「食パンの耳」があります。色々な活用法がありますが、マイブームは「耳とデュカ」です。いたってシンプル、耳にデュカをのせオーブンで5分ほど焼き、オリーブオイルをのの字にかけてハイ、イタダキマス、サラダがあれば最高です。

昨今毎日のように耳にする「フードロス」問題、まことにもったいない話です。水上勉さんの本に「野菜の切れ端、葉っぱなどを使いちゃんとした料理にするのが精進料理である」というような下りがありました、御意。パンの耳のさらに良いことは「安い」こと。いつもパン屋にあるとは限りませんが重宝しています。美味しく頂いて食物の有り難みを感じ、同時に歯の有り難みも噛みしめてください。

先日、拙ブログの読者の方より「曲の選考基準は?」との質問、お答えします。二つあります。ひとつはブログ内容に「ちなんだ曲」。もうひとつは「いい曲みっけ!」での選択。今回は「いい曲みっけ」の曲です。数日前朝、ラジオから昔懐かし「September」のイントロ・・ところが男性アナウンサーは曲名紹介で「December」・・あれ?十二月ではなく九月でしょ!と突っ込みました。再度、曲の終わりに「ディッセンバー」と。調べましたら何とありました。もちろん原曲はアース・ウインド・アンド・ファイアの「セプテンバー」で、この曲のクリスマスバージョン「ディッセンバー」があったのです。もう一曲は「林檎」にちなんでフランス人歌手「Pomme:ポム(林檎)」の曲です。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 543 Disaster

BBTime 543 Disaster:大惨事
「あたたかき十一月もすみにけり」中村草田男

本日11/3で霜月は始まったばかりですが・・句の解説(1999/11/30)『昔から、この句が好きだ。なんということもないのだけれど、心がやすまる。実際に今年の十一月も暖かかったが、そういう事実を越えて、何か懐かしい響きを伝えてくれる句だ。意図的に使われている平仮名の、心理的な効果によるものだろう。字面は詠嘆的なのだが、詠嘆がまといがちな大袈裟な身振りを、やわらかい平仮名がくるんでしまっている。ほど良い酔い心地。そんな感じもする。』(解説より抜粋)。1999年から二十年余り・・今では!今回はイギリス開催中の「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」に絡めてのお話。

先日(10/27)アップされた動画は必見です。会議場に恐竜が現れてのスピーチ。内容は『皆さん、よく聞いてほしい。私は絶滅について、1つか2つのことくらいは知っているんだ。だから、あなたに話をさせてくれ。・・これは明らかなことだと思うが、絶滅に向かうことは悪いことだ。人間たちは自分たち自身も絶滅させるのか?それは、過去7000万年の間に私が聞いた話の中で、最も馬鹿げている。・・少なくとも、私たちは小惑星の直撃を受けた。あなたの言い訳は何なのだ?あなたは気候災害の責任者なんだ。しかしながら、政府は毎年、数千億の化石燃料に公的な助成金を費やしている。巨大な隕石への助成金として年間数千億ドルもの大金を費やすと想像してみたらよい。それが、今あなたたちがしていることなのだ!・・それらのお金で出来る他の全てのことに、考えをめぐらしてみてほしい。世界を見渡せば、貧困の中で暮らしている人がいる。(お金の使い道として)彼らを助けることの方が理にかなっていると思わないか。私には分からないが…このまま、人類の絶滅にお金を払っていくのか?・・ちょっと真面目に言わせてほしい。あなたは今、経済を立て直し、このパンデミックから立ち直るとても大きな機会を手にしている。これは人類にとって、大きなチャンスなんだ!・・だから、私の大胆なアイデアを披露しよう。絶滅を選ぶな。手遅れになる前に種を救おう。あなたたち人間が言い訳をするのをやめ、変わり始める時が来たのだ。ご静聴ありがとう。』(出典はこちら)。

これは人事(ひとごと)ではなく、全国民全地球人において、今から真摯に取り組み行動を開始すべきことです!もう、言われるまでもなく日々実践されている方も多いことでしょうが、追加してください。歯科医師からのお願いはズバリ「歯科治療の削減」です。歯磨き不足・メンテナンス不十分で奥歯にムシ歯ができました。歯科医院に行くと「ムシ歯ですので削って、型をとって、パラジウム合金の詰め物を入れます」・・残念ながら、毎日のようにこのようなこと(歯科治療)を行っています。この金属インレーが歯にセットされるまでに、どれほどの化石燃料が消費され温室効果ガスが排出されることでしょう。ムシ歯を作らなければ、この治療は発生しませんから排出量ゼロです。繰り返します、どうかムシ歯をつくらないでください。歯科においての温室効果ガス排出ストップにあなたも参加してください。お願いします!皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。5160




「It’s time for you humans to stop making excuses and start making changes.」

BBTime 541 株を守る

BBTime 541 株(くいぜ)を守る
「やすませてもらふ切株冬あたたか」宮澤ゆう子

先日、都城市内の公園で発見!思わず「ウサギには読めないのに」と思いました(笑)。そうです、北原白秋の「待ちぼうけ」。まずは、句の解説『座ることができる大きさの切株とは、どれほどの樹齢なのかと調べてみると、松の場合、直径10センチで樹齢50年、40センチで100年~200年が目安という。大きな切株であればさらに樹齢を重ねており、掲句の「やすませてもらふ」に込められた擬人観もたやすく理解できる。大木であった頃に広げていた枝に羽を休める小鳥や、茂る葉陰を走り回っていたリスは消えてしまったが、今では旅人が憩う切株として姿を変えた。本格的な冬を間近に控えた明るい空気のなかで、数百年を過ごした歳月に、今腰掛けているのだという作者の背筋の伸びるような思いが伝わる。長い時間をかけ大木となった幹はあっけなく切り倒され、年輪をあらわにした切株となり果てた。とはいえ、無惨な残骸とはならず、あたたかな日を吸い込みながらまた長い時間を過ごすのだ。『碧玉』(2009)所収』(解説より)。ちなみに今年の立冬は11/7、半月余りのフライング、ご容赦の程。

切株注意の立て札はこの公園の片隅にあります。さて1924年大正13年発表の「待ちぼうけ」・・その歌詞は『1)待ちぼうけ、待ちぼうけ ある日せっせと、野良稼ぎ そこに兔がとんで出て ころりころげた 木の根っこ 2)待ちぼうけ、待ちぼうけ しめた。これから寝て待とうか 待てば獲物が驅けてくる 兔ぶつかれ、木のねっこ 3)待ちぼうけ、待ちぼうけ 昨日鍬取り、畑仕事 今日は頬づゑ、日向ぼこ うまい切り株、木のねっこ 4)待ちぼうけ、待ちぼうけ 今日は今日はで待ちぼうけ 明日は明日はで森のそと 兔待ち待ち、木のねっこ 5待ちぼうけ、待ちぼうけ もとは涼しい黍畑 いまは荒野(あれの)の箒草(はうきぐさ) 寒い北風木のねっこ』(引用元はこちら)。

この方が「韓非:かんぴ」。その著書「韓非子」に出てくる「守株待兔:しゅしゅたいとくひぜをまもりてうさぎをまつ)」からヒントを得て歌詞「待ちぼうけ」は作られました。「守株待兔」から「守株:しゅしゅ」という言葉が生まれました。・・その意味は『本来は、古い習慣に確執し、全く進歩がないこと、また、臨機応変の能力がないことの意味であり、韓非はこの説話を、古の聖人の行ったような徳治を行うべきだという儒家の主張を批判し、「昔の統治方法をそのまま用いるのではなく、時代に合わせて変えるべきだ」という文脈で用いた』とのこと(wikipediaより)。

「待ちぼうけ」を耳にするといつも思います。歯科医師は「待ちぼうけ」の農夫と同じではないのか?診療所の中にいて「ムシ歯ができました」「歯が痛いです」「・・」などの困っている人を待っています。他の病気ならいざ知らず、ムシ歯はほぼ完全に回避できる唯一の病気です。なぜ切株を撤去しないのか?撤去できないのなら冒頭の画像のように立て札を立てないのか?・・いまだに「転げた兔」を待っているような気がするのです(自戒をこめて)。来年夏を目標に「切株撤去」すべくシステムをすたとしようと画策中です。ではでは皆さま、切株にご注意!ご自愛の程ご歯愛のほど。2510



追加:守株については「BBTime 073 新嘗祭:にいなめさい」に書いておりました。是非こちらもどうぞ。

BBTime 540 サトウとは(歯)

BBTime 540 サトウとは(歯)
「恋びとよ砂糖断ちたる月夜なり」原子公平

先日(10/4)、朝日新聞「折々のことば」に目が留まりました。『「何も考えずに楽な姿勢をとれること」は、健康な人が持つありがたい機能なのである。山本健人 人は自分の全身を見ることができなくても、その容量(ボリューム)は熟知していて、それを動かしたり横たえたりする時も、無意識にいろんな関節や筋肉を操っていると外科医は言う。体はかなり重い物体でもあるのに、眠っている間もたえず寝返りを打って、床ずれしないようにしている。体が黙って判断し動いていてくれるから、人は別のことに集中もできる。『すばらしい人体』から。』(10/4日付)

このコラムにある「寝返り」のみならず、人体にはすばらしい機能が盛り沢山です。本「すばらしい人体」には唾液の話も出てきます。機能のひとつに「緩衝能:かんしょうのう」があり、それは『唾液緩衝能とは、口腔内のpHに変化が起きたとき、唾液が正常な範囲に口腔内を保とうとその変化に抵抗するはたらきのことである。口腔内のpHは安静時に6.7~7.6と中性(pH7)に近い数値を示すが、飲食物摂取や口腔内にいる酸生産性をもつ細菌が酸を産出するなどして変化することがある。これに対して唾液は緩衝液として作用して、口腔内環境を守る』(引用元)。床ずれを防ぐ寝返り同様、歯を酸から守る機能がしっかりあるんです。にもかかわらず、なぜムシ歯になるのか?その原因のひとつは「サトウ」です。

サトウの歴史は古く・・『砂糖の歴史は古く、その発明は2500年前と考えられている。インドからイスラム圏とヨーロッパへ順に伝播してゆき、植民地に開拓されたプランテーションでは、多数の奴隷を働かせることで生産された。19世紀末になると「高級品」ではなく、一般に普及する食品となり、20世紀以降になると、地球規模で生産調整が行われるようになった』(wikipediaより)。日本においては・・『日本には奈良時代鑑真によって伝えられたとされている』『江戸時代初期、薩摩藩支配下の琉球王国では、1623年儀間真常が部下を福州に派遣して、サトウキビの栽培と黒糖の生産法を学ばせた。帰国した部下から得た知識を元に砂糖生産を奨励し、やがて琉球の特産品となった』(wikipediaより)。その後、少々飛びますが・・『1939年には一人当たり砂糖消費量が16.28kgと戦前の最高値に達し、2010年の消費量(16.4kg)とほぼ変わらないところまで消費が伸びていた。しかしその後、第二次世界大戦の戦況の悪化にともない、砂糖の消費量は激減し、1945年の敗戦によって、砂糖生産の中心地であった台湾や南洋諸島を失ったことで、砂糖の生産流通は一時大打撃を受け、1946年の一人あたり消費量は0.20kgまで落ち込んだ。その後1952年に、砂糖の配給が終了して生産が復活し、日本の経済復興とともに再び潤沢に砂糖が供給されるようになった』(wikipediaより)。

ふんだんに摂取できるようになったのは、つい最近のことです。その変化(砂糖大量摂取)にヒトの体が対応できていないのです。四十年も前のこと、叔父が「私が若い頃、ムシ歯は文明病だから、ムシ歯になると自慢していた」言っていたことを、ふと思い出しました。唾液の持つ緩衝能を活かすには、食事(おやつも含む)の回数を減らすことをオススメします。食後に水でのうがいも良い方法です。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。1210



追加:俳句の解説です。『このときの作者は、おそらく医者から糖分を取ることを禁じられていたのだろう。だから、月見団子も駄目なら、もちろん酒も駄目。せっかくの美しい月夜がだいなしである。そのことを「恋びと」に訴えている。とまあ、自嘲の句と今日は読んでおきたい。そして、この「恋びと」は具体的な誰かれのことではない。作者の心のなかにのみ住む理想の女だ。幻だ。そう読まないと、句の孤独感は深まらない。「恋びと」と「砂糖」、「女」と「月」。この取り合わせは付き過ぎているけれど、中七音で実質的にすぱりと「砂糖」を切り捨てているところに、「感じがいいなア」と思わせる仕掛けがある。つまり、字面に「砂糖」はあるが、実体としてはカケラもないわけだ』(解説より抜粋)。

BBTime 539 ワインとは(歯)

BBTime 539 ワインとは(歯)
「月の夜のワインボトルの底に山」樅山木綿太

先日、酒屋さんでボジョレーヌーボを予約してきました。今年の解禁日は11/18(木)。ワインの記事を見つけました。記事『「ワイン離れに歯止めがかからない」フランス人が代わりに飲み始めたもの』・・ここ百年程で消費量が約三分の一に減少したとのこと・・『フランスで1人当たりの年間ワイン消費量の統計をとるようになったのは、1850年のことだ。当時の消費量は多く、年間平均約121リットルで、ミディアムサイズのグラス(175ミリリットル)で1日に2杯近い量だった』(記事より)。『ところが1960年代にそうした状況は急速に変化を遂げ、収入が増えるにつれ、食生活も大きく変わっていった。ワインの消費量が減少しはじめたのは、この時期である。1980年を迎えると、1人当たりのワイン消費量は年間約95リットルにまで減り、1990年には71リットルに、そして2000年にはたったの58リットルにまで減った。つまり20世紀のあいだに、ワインの消費量は半減したことになる。今世紀に入っても減少傾向は続き、最新のデータでは年間約40リットルで、1926年の記録を70%も下回っている』(記事より)。

しかも他のアルコール飲料においても同等のようです・・『この傾向はあらゆるアルコール飲料に当てはまる。ビール、蒸留酒、シードルも消費量が徐々に減っているのだ。これに対して、1人当たりの消費量がいちばん伸びている飲み物は、ミネラルウォーターと湧き水を使用したスプリングウォーター(1990年からほぼ倍増)、フルーツジュース、炭酸飲料で、いずれもアルコールを含まない』(記事より)。

歯科で「ワイン」と関係があるのは赤ワインによる着色です。着色のことをステインと呼び、PMTC(プロによる機械での歯のクリーニング)によって取り除くことができます。タバコのヤニ取り歯磨きなどを使ってご自分で除去も可能ですが、歯の表面を傷付ける可能性が高いのでプロ(歯科衛生士)にお任せあれ。

着色の主犯はタンニンです。タンニンによる着色はお歯黒と同じような理屈ですので、ムシ歯予防の観点から見ればプラスですが、やはり歯は白い方がベターでしょう。着色を避けたい方は『歯の表面の乾燥もステインがつきやすい原因なので、色の濃い飲み物や食べ物を口にする前後にお水を飲むのは効果的です』『歯科医院でのメンテナンスもおすすめ。むし歯や歯周病予防のための定期的な通院とあわせてステイン対策を取り入れるといいでしょう』(引用元はこちら)なども参考になさってください。

ある時、英会話の先生(アメリカ人)と「20年経たないと価値がわからないものは?」との会話で彼の答えは「WINE」。仮に20年寝かす必要のあるワインなら、はじめの20年は忍の一字で抜栓せずに買い続け、21年目からは毎年飲めるとのこと。理屈は御もっともですが・・ムシ歯予防について話していた時のひとこまでした。20年と言わず、永久歯ならば六歳から生え始め、歯の大切さ・歯が白い(金属の詰め物がない)ことの価値を本人が実感し、歯を守るようになるのは高校生からだとしても丸十年かかります。ちなみに十年後に花開く(飲み頃)ワインは結構力のあるワインです。

タンニンや丸十年の時について考えながら飲んでも味わえないでしょう。飲んでから考えるとして、秋の夜長に赤のみならず白も楽しんでください。では乾杯!A votre sante!(あなたの健康をお祈りします)。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。9360



追加:おっと句の解説を忘れておりました。『人がワインを手にしたのは古代メソポタミア文明までさかのぼる。醸造は陶器や革袋の時代を経て、木製の樽が登場し、コルク栓の誕生とともにワインボトルが普及した。瓶底のデザインは、長い歴史のなかで熟成中に溶けきらなくなったタンニンや色素の成分などの澱(おり)を沈殿させ、グラスに注ぐ際に舞い上がりにくくするために考案されたものだ。便宜上のかたちとは分かっても、ワインの底にひとつの山を発見したことによって、それはまるで美酒の神が宿る祠のようにも見えてくる。ワインの海のなかにそびえる山は、月に照らされ、しずかに時を待っている』(解説より)。祠:ほこら

お替り:ワインの瓶の底の山(パント)についての蘊蓄です。『パントはキック・アップとも呼ばれる、瓶の底のへこみである。その目的について一致した説明は無い。以下によく使われる説明を挙げる。パントが大きいワインは良いワインの印である。古い吹きガラス時代の名残で、吹き口をつけた跡である。瓶を倒れにくくするためである。底が平らな場合、小さな誤差でも不安定になる。くぼみはこれを解消するために付けられたものである。沈殿した澱を底にため、グラスに流れ込むのを防ぐためである・・・』引用元はこちら「BBTime 061 知る人ぞ得」をどうぞ。

BBTime 535 歯の命綱

BBTime 535 歯の命綱
「秋の日に干す沖海女の命綱」桑原立生

句の解説に『海女には「磯海女」と「沖海女」があり、磯海女は比較的浅い海を潜るため一人でも可能だが、沖海女は船で沖に出てからの作業なので、船を操り、合図を送る相手が必要となる。海女は海中の作業のなか、呼吸の限界で浮上の合図を船上へと送り、合図を感じたらパートナーは命綱を一気に引き上げる。20メートルにもなるという命綱を引き上げるには、わずかなタイミングが命取りになるため、命綱の多くは家族が担当するという。文字通り命をつなぐ綱の実物は驚くほど華奢である。透き通るような秋の日差しのなか、干されるなんのへんてつもないロープの名が命綱だと知った瞬間、それはかけがえのないものとなる。へその緒という命綱で母とつながっていた彼方の記憶が、ふと脳裏をよぎる。『寒の水』(2013)所収』(解説より)。今回は「歯の命綱」とも言える「歯髄:しずい」についてのお話。

先日、小生にとって叱咤激励の記事を見つけました。記事『「4割が失敗するのにメリットなし」歯医者で絶対に受けてはいけない”ある治療”』・・残念ながら、これは本当です。『日本と海外では歯科治療の内容が大きく異なる。歯科医の堀滋さんは「特に注意してほしいのは『歯の神経を取る』という根管治療だ。日本では成功率が6割と低く、メリットもほとんどないのに、広く行われている。歯の神経を取ってしまうと、取り返しがつかない」という――』(記事より)。以下ポイントを抜粋します。

【歯科医】そうですね。神経を取る治療というのは、歯医者さんで「根の治療」とか「根管こんかん治療」と呼ばれるもの。これは、むし歯が神経まで達しているときに、神経を取って、歯の根の深い部分まできれいに掃除をして封鎖するという治療です。ただし、歯医者さんで「神経を取る」と言われたときは、その治療を本当にやるべきか慎重に考えたほうがいいですよ。』(記事より)・・この場面で、患者の立場の方は一言言ってください。「神経取りたくないんです!」「歯が死んでしまうんでしょ」と。

【歯科医】実は、日本では保険で行う根の治療の成功率が世界に比べてものすごく低いんです。これは、初めて根の治療を行った場合のデータですが、アメリカで専門医が神経を取る治療を行った場合、成功率は90%。ところが、日本だと60%ぐらいです。【患者】え? 4割も失敗? 失敗するとどうなるんですか?【歯科医】再治療しますが、そのたびに歯が薄くなり、歯が割れて抜歯になって、インプラントを入れる……というパターンですね。』(記事より)。
【歯科医】いやいや。そもそも、神経を気軽に取ってはダメ。当院では、神経を取らなければならないケースは1年間で1~2本もないくらい。最新の手法を用いれば、かなり進行したむし歯でも神経を残せる時代です。【患者】えっ。神経を取らずに治療できるんですか?【歯科医】神経を取ることはすべて最悪の結果につながります。そのときは「痛みがなくなってよかった」と安心するかもしれませんが、安易にやることじゃないんです。』・・これは本当です!

【歯科医】わたしたちが歯の神経と言っているものは、歯の中心の空洞の中にある歯髄しずいのことです。歯髄には神経組織と血管が集まっていて、歯に栄養を運んだり、食べ物を噛んだときの刺激を脳に伝えたりしています。この歯髄を取れば、歯に血液が行かなくなる。そうすると、歯に栄養が行かないだけでなく、白血球の免疫作用も働かなくなるので、細菌の侵入に対する防御力がなくなります。つまり、感染症になりやすくなるとか、ばい菌の毒素が全身に回りやすくなる原因になるんです。【患者】あれ? それじゃ、せっかく治療しても余計悪くなっているような……。【歯科医】そう。神経を取ってしまうと歯は弱る一方。しかも、痛みを感じないので、むし歯が再発しても気づきにくくなります。神経を取るメリット全然なしじゃないですか。だから、歯医者さんで「神経を取る」「取っても何の問題もない」と言われたらそれは大間違い。』(記事より抜粋)。

【歯科医】違います! 歯にお金をかけるんじゃなくて、歯を大事にしましょうという話をしているんです。お金をかければ歯がよくなるという考え方も間違い。そもそも、日頃のケアをきちっとしていれば、お金をかける必要はなくなります。そこにお金はかかりませんよね。【患者】そうですね。失礼しました……。【歯科医】やはりきちっと予防をしていかないと意味がないということ。これまで60年持たせればよかった歯は、寿命が延びたことによって、そこから20年、30年、40年と使い続けなければならなくなっています。だから、歯に対する価値観を昔と変えなければいけない。治療をするなら最善の治療を選び、予防を怠らないようにしましょう。そうやって歯を大切にすれば、天然の歯だったら100年でも持つ可能性がありますよ。』(記事より)。

端折って紹介しました(悪しからず)。揚げ足を取る気は無いのですが・・ひとつだけ。この記事を読んだ方は「では、どうすれば神経を取らずに済むの?」と思われるのでしょう・・そうなんです。寅さんなら「それを言っちゃあ、おしめいよ」と言いそうですが・・残念ながら「予防しかない」のです。

皆さま、一に予防、二に予防、三に予防、よんに予防!・・まだ大きな声では言えませんが、皆様の予防をアシストする「お店」を計画中です(来年夏オープン)。ではでは皆さま、まだまだ残暑厳しい折、ご自愛の程ご歯愛の程。少しずつ風は秋ですので、ちなんだ曲を!8210



https://youtu.be/_GrhwErRkMg
追加:「残念ながら「予防しかない」のです」・・もうひとつありました!ブログ中にも書いていますが、歯科医の説明で「ムシ歯が深いので神経取りますね」と言われたら、まずは「取りたくありません!」と強く抵抗してください。万が一、歯の個別のレントゲン(通常デンタルという)を撮ってなければ、レントゲン撮影を希望して再度説明を求めてください。残念ながら全ての歯科医は、あなたの歯も神経も守ってはくれません。歯科医の中には、治療後(ムシ歯の処置)に痛みや違和感が出る(患者さんが感じる)のを嫌い、ムシ歯が深ければ「即」神経を抜く治療を選択する歯科医もいます。やはり、あなたの歯を守るのはあなた自身なのです。ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 529 看脚下

BBTime 529 看脚下:かんきゃっか
「涼しやとおもひ涼しとおもひけり」後藤夜半

早くも葉月八月、うだるような日中ですが、僅かばかりの涼を!
句の解説には『涼し。暑い夏だからこそ、涼しさを感じることもまたひとしお、と歳時記にある。朝涼、夕涼、晩涼、夜涼から、風涼し、星涼し、灯涼し、鐘涼しなど、さまざまなものに、ひとときの涼しさを詠んだ句は多い。涼し、は、読むものにわかりやすく心地よい言葉であり、詠み手にとっても、使いやすく作りやすい。それにしてもこの句は、さまざまな小道具や場面設定がいっさい無い。暑さの中を来て木陰に入ったのか、あ、涼しい、とまず思う瞬間があり、それから深く息を吐きながら、やれやれ本当に涼しいな、と実感しているのだろう』(解説より抜粋)。今回は温暖化阻止、環境問題についてのお話。

「看脚下」かんきゃっか:脚下(あしもと)を看(み)よ。禅寺の玄関で目にする禅語です。『圜悟克勤(えんごこくごん)が「看脚下」(かんきゃっか)と答えました。つまり「真っ暗で危ないから、つまずかないように足元をよく見て歩きましょう」と答えたのです。この言葉が師匠の心にかない「そこだ、その通り」と絶賛したということです』(引用元はこちら)。足下といえば先日、靴を買いました。メーカーは「allbirds:オールバーズ」。このブランドは環境問題に真っ向から向き合っています。

──そもそもニュージーランドの代表まで務めたプロサッカー選手が、なぜフットウェアブランドを始めたのでしょうか?
ブラウン:私自身、スニーカーをコレクションするような、いわゆるシューズマニアではちっともありませんでした。根本にあったのは地球温暖化を食い止めるためのサステナビリティの実現であり、着眼したのはインパクトの大きさでした。世界の二酸化炭素排出量のおよそ10%をファッション産業が占めている中で、フットウェアの産業規模の大きさが重要だったのです。世界では年間200億足ものフットウェアがつくられ、同じだけどんどん捨てられています。そうしたサイクルの中で、環境負荷を軽減する必要が喫緊だと考えたのです。私の共同創業者のジョーイ・ズウィリンジャーは再生可能エネルギーに関するスタートアップで働いていましたが、彼との出会いがきっかけとなって、ブランドを始められることができました。目標は、はじめもいまも、ネットゼロインパクトのフットウェアを生み出すことです』(引用元)。

昨今の水害や異常気象、先週からの異常な高温、温暖化の影響と考えざるを得ません。温暖化は決して人事(ひとごと)ではなく、温暖化阻止は今日からあなたにできる事です。いつものようにこじ付けですが、ムシ歯予防することにより、今や金(ゴールド)より高いパラジウムを節約できます。歯や金属を削るための電気を節約できます。それよりも何よりも、あなたの治療に費やす時間とお金、不愉快さをゼロにできます。予防に勝る治療なし、予防に勝る温暖化阻止なし!歯科の予防にはセルケア(ご自分での歯磨き)とプロケア(歯科衛生士によるケア)があります。是非、充実した予防ライフ実践で温暖化阻止を!ムシ歯予防が環境保護につながる、歯を白くする(磨く)と地球はより青くなる、歯を守ることが地球をまもること。皆さま、くれぐれも暑さにはご注意、ご自愛の程ご歯愛の程。次の曲で暑い暑い暑い夏を乗り切ってください。9370




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「美しき緑はしれり夏料理」星野立子

好きな句です。席に着いた人の口から「美味しそう!」と聞こえてきます。庭先でのバーベキューに供されたサラダでしょうか。今回はオイシイ!がキーワードのお話。

最近目にした二つの記事。ひとつ目は「カゴメ、植物由来食品の開発で提携 健康関連スタートアップのTWOと」の記事(日経新聞4/14)。『カゴメは14日、健康関連スタートアップのTWO(東京・渋谷、東義和代表)と植物由来の原料を使った食品開発で提携したと発表した。大豆などの植物由来原料を使った食品は「認知度向上が大きな課題」(カゴメの山口聡社長)だ。カゴメはTWOと組むことで、新しい商品の開発を共同で進める』(記事より抜粋)。

『株式会社TWOは2021年4月、プラントベースドフード(植物由来原料)ブランド「2foods」(トゥーフーズ)を立ち上げ、 同時にカゴメ株式会社とも業務提携することを発表した。 2foodsのコンセプトは、味覚を刺激する美味しさ「Yummy」と、食べることでカラダを整える健やかさ「Healthy」、この2つを併せ持つ、“ヘルシージャンクフード”。おいしさやビジュアル、食欲をそそる香り、そして、手頃な価格で、すべてプラントベースドフードの食事やデザート、ドリンクなど合計約60種類を提供する。
また、4月14日には飲料・食品・調味料の大手メーカー「カゴメ株式会社」と業務提携契約を締結し、プラントベースドフードの新しいプロダクトを共同開発する他、プラントベースドフードの普及・マーケットのますますの拡大を図る予定だ』(出典はこちら)。

『植物性食品は健康にいいだけではなく、地球環境にも優しい。いま、人口増加による動物性たんぱく質の供給不足がある中、植物性たんぱく質は動物性のたんぱく質に比べ、生産に必要な水や温室効果ガスの排出量、必要土地面積、飼料が軽減されると言われている。そのため、人口増加によって深刻化している食糧危機を解消する手段のひとつとしても、世界中から期待を寄せられている食品だ』(出典元)。薬はともかく、食べ物においては「良薬口に苦し」ならず「良薬口にも美味し」のようです。

料理のデリバリー増加につれて容器も進歩しているようです。二つ目の記事は「ラーメンがのびない 新型容器が覆す「出前の当たり前」(記事はこちら)。その内容は『容器はフードデリバリー大手の出前館と、食品トレー最大手のエフピコが共同で開発した。特徴は、麺や具材を入れる上の皿と、スープを入れる下の皿に分かれており、麺がのびないことだ。みそ熊の岡本さんは「作りたての麺の硬さに近い形で運ぶことができる」と利点を語る』(一部抜粋)。

この記事を読んで思い出したのが「鰻重と鰻丼」の違いで、見ての通り鰻とご飯が別々(鰻重)か、ご飯の上に鰻がのっている(鰻丼)かです。一説によると出前の際に鰻が少しでも冷めないように熱々のご飯にのせたと聞きます(こちら参照)。同じテークアウトでも、ラーメンは別々に鰻は一緒にすることで美味しさを保つ、古今東西「美味求真」への情熱は冷めないようです。ムシ歯予防も美味求真・・皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。6220
https://youtu.be/Sz4TT3QoPJw

おやつ:「おいしい予防」を考えております、来年夏スタート!