予防 2.0-008-0829 予防という言葉の持つ誤ったメッセージ
長々と「治療的治療」「予防的治療」「予防的予防」
について書いている目的はただひとつ、次のことです。
「治療は今回で終わりです、次回から予防のメンテナンスを
お勧めします」と言ったとしましょう。
もしくは患者さんから
『今日で治療は終わりですか?』との問いに
「はい、治療は終わりました」と答えたとしましょう。
危惧するのは「治療終了」=「口の中は健康」という
メッセージを相手(患者さん)に与えてしまうのではないかということです。
「口の中は健康」=「歯科医院に通う必要はないですよ」
「治療終了」=「通院の必要性なくなりましたよ」
という誤解を与えているのではないかということです。
保存・補綴などの治療も終わり、クリーニングも受けたとします。
その時点では「ほぼ、口の中は健康です」と言えましょう
しかし、その数秒後にはプラークは形成され始めています。
毎秒、毎分、毎時間、毎日・・プラークは厚みを増し、
その分、局部的に確実に炎症は進行しています。
いつも比較するのは爪と髪の毛です。
爪や髪の毛が伸びたことはすぐに分かります。
理由は簡単「見えるからです」
口の中の軽微な炎症は見えません、
バイオフィルムの熟成も見えません
日常生活に支障がないとしても、
口腔内では確実に炎症が進んでいます。
ゆえに「治療終了」=「口の中は健康」=「通院不必要」
というメッセージを与えてはいけないと思うのです。
歯やハグキは食器同様毎日汚れるものです
皿の上で料理が腐っても、その皿は炎症を起こしません。
しかし、口腔内でプラークがたまると確実に炎症は起こります。
炎症は病気であり治療が必要となります。
「治療終了後」=「願う!口腔内健康維持」=「通院必要」
この式が普及するためにも
「予防」という言葉の使い方を再考すべきではないでしょうか。
「口腔内が日常生活において支障無し」は有り得ますが、
「口腔内が健康である(医学的に全くの健康)」はひょっとすると
有り得ないことなのかも知れません。