BBTime 246 大丈夫
「大丈夫づくめの話亀が鳴く」永井龍男
俳句好きの方は気づかれたと思いますが「亀が鳴く(亀鳴く)」は春の季語です。
最近いろんな場面で「大丈夫です」を耳にします・・いろんな意味があるようで。「間に合ってます」「要りません」「可能です」等々。この大丈夫・・本来名詞で「だいじょうふ」と読み「りっぱな男子。ますらお。偉丈夫(いじょうふ)」のこと(コトバンクより)。次なる意味で形容動詞「1 あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。「地震にも大丈夫なようにできている」「食べても大丈夫ですか」「病人はもう大丈夫だ」2 まちがいがなくて確かなさま。「時間は大丈夫ですか」「大丈夫だ、今度はうまくいくよ」[補説]近年、形容動詞の「大丈夫」を、必要または不要、可または不可、諾または否の意で相手に問いかける、あるいは答える用法が増えている。「重そうですね、持ちましょうか」「いえ、大丈夫です(不要の意)」、「試着したいのですが大丈夫ですか」「はい、大丈夫です(可能、または承諾の意)」など」とあります。まさしくこの「補説」の使い方をよく聞きます。ちなみに副詞として「まちがいなく。確かに。「大丈夫約束は忘れないよ」」の使い方も。金ちゃんも大丈夫(ふ)!
先日、患者さんとの会話で「ムシ歯かなと思うのですが、(別の歯科で)大丈夫と言われました(が納得いきません)」とのこと。問診で(歯科以外の)医科での「大丈夫」も時折耳にします。医者歯医者の「大丈夫」にはいくつかの真意が推測できます。1)医学的に全く問題ない・病気ではない 2)厳密には病気だが治療する程ではない(と医師歯科医師は診断した) 3)その時の状態・検査結果においてその医師歯科医師は異状を認めないもしくは診断できない(レントゲン・各種検査データ・診断能力が根拠)。
鬼ちゃんは「大丈ブイ」をしていますが、「大丈夫」「問題ない」と言われて納得いかない、腑に落ちない時には是非「どう、大丈夫なのですか?」「何が問題無いのですか?」と勇気を持って突っ込んで聞かれてみてはいかがでしょう。それでも「大丈夫」の返事なら迷わず医者歯医者を変えましょう。変えた方が「大丈夫になれる」と思います。あなた(患者さん)にとって「大丈夫じゃない状態」なのに根拠も示さず「大丈夫ですよ」の診断は不十分です。
当たり前ですが、ヒトは超精密ロボットよりも優れた体の仕組みを持っています。すなわち「原因なければ症状なし」です。噛むと痛い・しみる・噛みにくい等々、必ず原因があります。レントゲン撮って直接見て噛み合わせ調べて・・「大丈夫ですよ」と歯科医師が言ってもあなたが大丈夫でなければ、必ず何か原因があります、潜んでいます。先に書いたように元々「大丈夫」は頑丈な人のこと、健康体そのもの。
句の解説から。「季語は「亀鳴く」。春になると亀の雄が雌を慕って鳴くのだそうな。もちろん、鳴きゃあしない。でも亀を見ると鳴いてもよさそうな顔つきはしている。浦島太郎に口をきいた亀は海亀(それも赤海亀の「雌」だろうという説あり・昨夜のNHKラジオ情報)だが、俳句の亀は川や湖沼に生息する小さな亀だ」「さて「大丈夫」という話ほどに、「大丈夫」でない話はない。ましてや「大丈夫づくめ」とくれば、誰だって何度も眉に唾する気持ちになる。そんなインチキ臭い話につき合っているうちに、作者はだんだんアホらしくなってきて、むしろ逆に愉快すらを覚えたというところか。鳴かない亀の鳴き声までが聞こえてくるようだと、気分が落ち着いた」今回は大丈夫のような大丈夫でないお話でした!4060
「空の声が 聞きたくて 風の声に 耳すませ」
「海の声が 知りたくて 君の声を 探してる」
「体の声が聞きたくて 心の声に耳すませ」
「体の声を知りたくて 心の声を探してる」