「パンにバタたつぷりつけて春惜しむ」久保田万太郎

2025/03/07 パニス開店五周年記念日投稿 3/15加筆・画像追加
パニスという名のパン屋が鹿児島市にあります。店名「panis」に引かれて足を運びました。訪問初日こそ二番目でしたが、以後一番乗りでお店に通いました。日々、行列ができるパン屋です。残念ながら、おやつ堂オープン後は一番乗りできなくなりましたが。句の解説に『・・バターではなく〈バタ〉、これは今でも雑誌「暮しの手帖」で使われているはずである。こう表記されるとバターがにわかにレトロな雰囲気を持ち、美味しそうに思えてくるのは私一人の感覚だろうか。昨今は〈バタ〉をたっぷり塗ることも少なくなった・・』「食の一句」櫂未知子著78頁より。鹿児島市は春、句は惜春ですがご容赦のほど。

panis:パニスとはラテン語で「パン、糧(かて)」の意。
その店名をつけたパン「パニス」が出たと聞いて即訪問。
冒頭画像が「panis」(パニス提供画像)。
1)お店の名前を付けた理由は?・・「当店ならでは唯一無二のパンです」
2)理由は?・・「このパンの主な材料はパンなんです」
3)ご説明を!・・「色々なパンを作る過程でパンの耳など切れ端が出ます。それらを捨てずに活用できないかと思っていました。あるセミナーで切れ端を煮て「おかゆ」のようにしたものをベースに新たなパンを作ることを知り、まさに切れ端ひとつ捨てたくない、フードロスゼロを実現したいという思いと合致しました」
4)すぐに新製品は完成したのですか?・・「いいえ!試行錯誤でした。模索するうちに当店オリジナルの意を強くし最終的にパニスと命名しました」

煮る前の「パンの切れ端など」(パニス提供画像)。
5)作り方を簡単に教えてください・・「切れ端を水煮してフードプロセッサーにかけてお粥状にします。その、いわば「おかゆ」に小麦粉、野菜などからとった出汁、自家製酵母、塩などを加えドゥを作ります。発酵後釜へ」

出汁(ダシ)を取るための野菜など(パニス提供画像)。
6)パニスの食べ方は?・・「食事パンとして何にでも合います。切れ目に野菜などを挟んでサンドもおすすめです」「パスタやスープの付け合わせとしても合いますよ」

パニスのドゥ。

7)パン「パニス」の今後の展開は?・・米粉パン「「コメパーニュ」同様、当店オリジナルとしてじっくり育てていきたいと思います。チーズを加えたものなども考えています。人に美味しい、地球に優しい、パニスならではのパンを焼いていきたいですね」
8)蛇足ながら味は(小生の感想)・・噛むと、まず意外な食感に驚きます。モチモチというよりシットリ。薄い薄い塩味、野菜の出汁、言わば超薄味の野菜スープのような味で、シェフのおっしゃるようにパスタに好相性間違いなし!冒頭の句と違ってバタをつけなくとも充分に味わえるパンです。是非一度ご賞味あれ。
・・美味しい優しいお話ご馳走様でした(有難うございました)。まさにシェフのお人柄が存分にドゥの中に入っていると痛感しつつ、お店を後にしました。まさにパニスは「心の糧」。地球に優しい美味しいパンを食べて、ご自愛の程ご歯愛の程。
