「人間に寝る楽しみの夜長かな」青木月斗
2023/09/16投稿
先日(9/9)地元民放ラジオ(MBC)出演でした。句の解説は『秋の「夜長」。ようやく暑い夜の寝苦しさから解放されて、一晩通して眠れるようになった。この時期にこの句を読むと、はらわたに沁み入るようなリアリティを感じる。とくに会社勤めの人たちにとっては、そうだろう。私もサラリーマン時代には、寝る前にひとりでに「寝れば天国」とつぶやいていたものだった。若かったから、むろん寝ない楽しみもあったけれど、くたくたに疲れて眠る前の至福感もまた、格別だった。江戸期の狂歌に「世の中に寝るほど樂はなかりけり浮世の馬鹿は起きて働く」があり、これは昼間も寝ている怠け者の言い草を装っていながら、眠らないで頑張る人たちへの痛烈な風刺になっている。なぜ、そんなに頑張るのか。わずかな蓄財のために、親方に鼻面をひきまわされながらも頑張って、それでお前の一生はいいのかと辛辣だ。当時の私はこの狂歌を机の前に貼り付けて、何もかもぶん投げてしまいたいと切に願っていたが、ついにそういうことにできずに、今日まで来てしまった』(解説より抜粋)。寝る楽しみもさることながら「食べる楽しみ」もあります。ラジオで話した内容を文章化してみました。
「おやつ堂」はどんなお店ですか?
・・おやつ堂には「ムシ歯予防カフェ」が枕詞として付いています。メニューは看板の「ソンナバナナジュース」をはじめ、コーヒー、抹茶、ワインなど飲み物は全て砂糖を含みません、砂糖ゼロです。飲み物以外ではドーナツ、和菓子、チーズなどを常備しております。全て取り寄せで言わばスイーツのセレクトショップです。
「ムシ歯予防カフェを開こうと思ったのは?」
・・1990年に歯科医院を開業しました。開業当初、子供さんのムシ歯を見つけると親御さんを診療室に呼んで「ここがムシ歯です」「甘いものをあまり食べないように」「もう少ししっかり磨くように指導してください」とか真顔で話していました。ある時、小学四年生くらいの男の子だったでしょうか。ムシ歯があったのでお母さんに「もっと磨くようにいてください」と話したところ、お母さんが男の子に「だから言ったじゃない」と。すると男の子は「僕、磨いたもん」お母さん「でもムシ歯ができてるじゃない」男の子「ちゃんと磨いたよ」・・二人は徐々にヒートアップして男の子は泣き顔に・・。はたで見ていて「そうだよね、この子はちゃんと磨いたんだ!けど磨き方が足りなかっただけだ」・・。
そのような経験を踏まえて、2011年に天文館近くにクリーニング専門の「ニコラ歯科」を開業しました。自費診療の歯のクリーニング専門施設です。「歯は、磨いてももらうもの」を掲げてのオープンでしたが、約十ヶ月で閉めざるを得ませんでした。
その後、勤務医として働きながらも、頭の中では「歯を磨けばムシ歯にはならない、予防できる、回避できる!」との考えが渦巻いていました。病気の中で唯一ほぼ完全に予防できる、回避できる病気が「ムシ歯」。かたや巷では「グルメブーム」・・ランチ、ディナーからスイーツに至るまで。年を経るごとに盛り上がります。グルメブーム、美味しいを求める欲望とムシ歯予防を結びつけられないかと悶々する日々でした。
ある時「あれこれ難しく考えずに、ムシ歯予防とグルメをシンプルに結びつければ良いのでは?」・・この時、ムシ歯予防カフェの誕生です。より美味しく食べるためには、口の中の食器(食具とも言います)が、食器である歯がキレイでなければ味わえません。美味しいと思われた時に、少しでも口の中の食器の大切さ・健康を再認識していただければと思うのです。このような考えのもとに、ムシ歯予防カフェが私にとっての究極の予防歯科スタイルです。
ムシ歯予防カフェと謳っているには根拠があります。ドリンクは砂糖ゼロでもスイーツには砂糖が入っています。心配御無用、希望される方には歯磨きのプロ(歯科医師)が歯磨きチェックをします。また、その人に合った歯磨きのタイミング、歯磨き粉(歯磨きペースト)の選び方、使い方もアドバイスいたします。ドリンク砂糖ゼロだけでは勿論不十分で、プロの歯磨きチェックがあるので「ムシ歯予防カフェ」なんです。
近年の研究で歯周病と認知症の因果関係、ズバリ言うと、認知症の発症のひとつの原因が歯周病であることが明らかになりました(BBTime603「プラーク三種」参照の程)。
「美味しい」の一言が歯を守る。ムシ歯予防は歯周病予防につながり、歯周病予防は認知症予防につながる。「美味しい」の感動が人生を守る、「美味しい」のひと言が人生を味わい尽くす秘訣であると心から思います。
以上がラジオで話した内容です。おやつ堂に是非お越しください。営業日営業時間などはインスタグラムにてお知らせしております。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。