Miten原稿100915号「爪と髪と歯の違い」
今年はことさら暑い夏で、立秋が過ぎても秋の気配どころか真夏のような日々でした。そんな中、時に涼しさを運んでくれるのが「涼風」これは夏の季語。同じ風でも秋になると「秋風」これは勿論、秋の季語。「涼風といひ秋風といふ頃ぞ」という矢島渚男の句があります。
さて「セルフケア+プロケア=100%予防可能」。この式が頭の中でいつもグルグルと回っています。なぜ、今まで日本において実現していないのだろうと言う素朴な疑問です。別の事例として、ツメと髪の毛に関して今回考えてみました。
まずツメは?
ツメの健康維持(清潔に保つ)=セルフケア+プロケア(ネイルケア)としましょう。おそらくセルフケア99%で、ネイルサロンなどでのプロケアは 1%位でしょう。小生はネイルサロンには行ったことはありません。セルフケアで99%とは言わず、ほぼ100%近くツメの健康はご自分で維持できるでしょう。なぜ自分自信で可能なのか?
1−ツメが伸び過ぎると日常生活において肉体的に困る。
2−ツメ切りなどを使って家庭でツメを切ることができる。
3−自分の目で、伸びた状態とつんだ状態を確認できる。
4−費用はツメ切り器具購入費用くらいで他にはかからない。
5−ツメを切る方法を知っている(スキルを持っている)。
では髪の毛は?
髪の毛の清潔維持=セルフケア80%+プロケア20%(おおよそ)
毎日自分で洗いますが、自分で髪の毛を切ることはまずありません。
1−髪の毛は伸び過ぎても肉体的にはあまり困らない。
2−自宅で髪を切ることはできるが自分自身ではかなり困難。
3−髪の伸び具合はおおかた鏡を使って確認できる。
4−自宅洗髪はシャンプー代程度、床屋カットには費用がかかる。
5−おおかた洗髪方法は知っているが、カットのスキルは無い。
ではでは歯は?
1−プラーク(汚れ)がたまっても初期はさほど肉体的に困らない。
2−多くの日本人は自宅で歯磨きをしてはいるが実は不十分。
3−たまったプラークを自分自身で確認することは困難である。
4−自宅磨きは消耗品程度、歯科医院でのプロケアの費用がかかる。
5−おおかたの磨き方は知ってはいるが、実は不十分なスキル。
こうしてみると、ツメは伸び過ぎると肉体的に困ることがアラームとなり、 自宅でわりと簡単に安価にツメを切ることは可能です。髪の毛は肉体的には困りませんが、衛生的文化として床屋などに髪を切りに行くことが、習慣・文化となっています。歯は初期においてさほど肉体的な困り事は無く、 鏡を使って見てもなかなかわかりにくいし、自宅磨きのみならず プロケアの必要性がまだまだ認識されていません。
ところで、秋によく聞くフレーズが「天高く馬肥ゆる秋」ですが、ふと「馬肥ゆる」って肥えた馬を食べるの?確かに馬刺はあるけど・・・と疑問を持ちました。調べてみると意外なストーリーが・・。西暦82年頃成立の「漢書:かんじょ」の「匈奴伝」が出典のようです。昔、中国では北方民族匈奴の侵入に悩まされていた。夏に腹一杯草を食み(はみ)秋になると丸々と肥える。来たるべく厳しい冬を前に、いつ来るや知れない匈奴の侵入に備えよ、という警戒の意味で語り継がれたそうです。とはいえ日本ではこの季節「食欲の秋」です。最後に味覚についてひと言付け加えて今回のお話を終ります。
味覚は舌にある味蕾(みらい)がその役をにないますが、口の粘膜やのど(咽頭、喉頭)でも感じます。これが味わうとなると、視覚、触覚(舌触り)、臭覚、聴覚(歯ざわりと音)の五感を総動員させ、嗜好を加味すれば人間特有の精神活動とでも言えましょう。おもしろいことにこの味覚は、国(民族)によって多少異なります。日本人の味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つと言われ、ドイツ人は甘、酸、塩、苦(四原味)です。フランス人などは四原味に、アルカリ味、金属味を加えて六味、インド人は四原味に渋味、辛味、不了味(腐敗臭)、淡味を加えて八味とします。味覚だけならば味蕾があれば用は足ります。しかし味わうとなればそれなりの道具が必要です。心のこもった料理をきれいな食器に盛られても、それを味わう道具がおそまつでは充分に味わうことはできません。味わう道具とは、歯と顎です。口の中の食器である歯と顎をもう少しきれいにしてほしいものです。(ハナ通信No.4より)
まだまだ、考察は続きます。また来月!
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