「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その11

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その11
−ニコラ歯科を開いた理由

またまた、横道にずれますが、10/18付けの朝日新聞「天声人語」に、面白い話しが出てました。10/18は発明王エジソンの没後80年だそうです。考えてみるとすごいことです。この80年の間に夜がどれほど明るくなったことか。ちなみに、電球を発明したのはエジソンではなくジョセフ・スワンで、エジソンの功績は「電灯の事業化に成功した」ことのようです。一方、コラムでは「現代人が周囲で生じる急激な変化を十分に理解するために必要とする英知は、発明それ自体か進歩する速度に比べると、はるかに遅々とした進歩を示すにすぎない」(物理学者:池内了)という深い洞察の文章も紹介しています。「いろいろな発明・進歩に人々がついて行けない、逆に支配されている」と書いてあります。
今回の「歯は磨いても、もらうもの」と少々似ていると思いませんか。歯のためには良いと理解できても、生活習慣のほうが先にきて、取り入れることができない(もしくは取り入れない)。先日、ある百貨店の外商の男性との話です。外回りで多くの人に会われるから、是非クリーニングを!とオススメしたら「1ヶ月の小遣いが3万なんです。通勤の電車賃(約160×2×20日=6400)、昼飯は千円までは行きませんが(1000×20=2万円)、残り3000円です。あと、私タバコ吸いますんで・・(クリーニング代はでません)」でした。もちろん、人の価値観はそれぞれです。喫煙者ならよけいにクリーニングが必要と思われるのですが、このかたの優先順位はタバコでした。しかも、ご自分でヤニがついていると認識されていても・・。まだまだ「歯は磨いても、もらうもの」という新しいサービスは認知度が低いのかもしれません。しかし、情報として知ったとしても、知った人が生活に取り込むスピードは遅々のようです。その遅々の歩みの中で、確実にムシ歯は発生します。このように考えてくると、ムシ歯予防の相手(敵)はムシ歯菌ではなく、生活習慣・価値観なのかもしれません。

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