BBTime121「見る・話す・触れる」ことの重要性:認知症ケア 革命的技法その2
「神のみぞ知ることの多すぎる春」稲畑廣太郎
掲句を読んだ時、はじめ気が付きませんでした。解説を読んでハタと・・。リズムが五・五・五・二なんです、このような句もあるんですね。さて今回はユマニチュード第二話「見る・話す・触れる」について。これを聞くとこれまたハタと・・。では聴き取り始めます。第一話「ユマニチュードは何か」はこちら。
ユマニチュード第二話:「見る・話す・触れる」ことの重要性
*ユマニチュードによって会話ができないくらい認知が低下している人の状態が、劇的に良くなるというお話(第一話)をいただきました。そのための技法が「見る・話す・触れる」の三つの柱で成り立っているということで、今日はそれについてお話しいただきます。まずは「見る」これはなぜ大切なんでしょうか?
『私たちの全ての行動には、私たちが意識していない様々なメッセージが込められています。「見る」ということを通じて相手との様々な関係性を伝えています。例えば「あなたを見ない」ということは「あなたは存在しない」という事を伝えています。介護をしている多くの方は相手を「見ていない」とは思っていらっしゃらないでしょう。口の中のお世話をする、オムツを替えるなど相手を見ないとできないことが沢山あります。しかし、あなたはここにいます、あなたは大切な存在ですよ、と言うことを伝えるために相手の目をしっかり見ないといけないのです。しかも相手からもしっかり見てもらわないとだめです。このアイコンタクトがとても大事になります』
*アイコンタクトの時に、どういうことがポイントでしょうか?
『もし私が上から見下ろすように相手の方を見ると、私は威張っている、私が何かを支配しようとしていると思われるのではないでしょうか。また横から見るというのは、猜疑心があるまたは攻撃的な見方となります。チラッとしか見ない、これは自信のなさというメッセージを相手に伝えてしまいます。ですから介護する私たちが相手の方を見る時には、そのような見方ではない見方をした方が良いのです。まず相手の視線の高さと自分の視線の高さを合わせる、正面から見る、すごく近い距離から見る、長い時間見るです。このような見方をした方が良いのです。特に認知症の方は認知機能が落ちているので、周りにあるものに対する意識の向け方が非常に難しくなります。ですから相手の目の前に自分が行かなければなりません。相手の方の視線を自分が捕まえに行く姿勢が重要になります。例えば椅子に座っている方に後から声をかける場面が数多くあると思いますが、これは良くありません。できるだけ避けたいことです。このような場合にはその方を追い越して、正面から目の高さを同じにして見る必要があります。しかも非常に近い距離で長く見るようにしてください。ただし、じっと見ているだけだと、攻撃的なメッセージになりかねませんので、次にお伝えする様々な技術(話す・触れる)を織り交ぜてください』
『続いて話すについて。認知機能が低下しているとこちらが話しかけてもなかなか応えてくれない場面が多いと思います。返事が返ってこない人にずっと話しかける事はなかなかしにくいものです。そこに言葉を溢れさせる工夫が必要です。例えば、体を拭こうとしている時に相手の方に体を動かしてもらう工夫です、左手を上げてくださいと頼んでみます。その時に重要なのはこちらが話しかけた後に「3秒ぐらい待つ」と事です。見ることも大切ですが介護においては「待つ」ことも非常に重要な技術です。3秒くらい待って相手の方が動いてくれなくても、もう一回頼んでみます。それでも返事がない場合は今度は言葉を変えてみます。私の顔を触ってみてください、天井を指差してください、など別の表現を使うことによって結果的に手を挙げてもらう。このような方法が有効なこともあります。それでも相手の方が動いてくれない場合は、自分の行動を実況中継のように言葉にして伝えてみてください。例えば腕を拭こうとします、ではこれから左腕を上げます。その時に使う言葉には注意してください。できるだけポジティブ(前向き)な言葉を使ってください。「今日は寒いですね、痛いね、ごめんね」ではなく「かなり暖かくなりましたね」「腕が伸びると気持ちいいでしょう」「私も嬉しいわ」など前向きな言葉を使うようにしてください。前向きな言葉を使うということもケアの技術です。こちらの問いかけを増やす、それが介護のエネルギーになります、そうして相手の反応が生まれてくるようになるのです』
『次に「触れる」です。介護の場面では必ず相手に触れますよね、しかし触れ方にも実に大きな意味・メッセージがあります。介護の場面で思わずやってしまいますが、手を掴んで持ち上げると言うのは極めて自然な動作なんですけれども考えてみてください、例えば電車の中で男性の腕を掴んで「この人痴漢です」これは掴むことが「罰する」という意味を持つことになります。ですから腕を持つ場合は上から掴むのではなく、下から支えます。下から支えて、なおかつ触れてる面積も広い方がより相手に安心感を与えます。指だけではなく手のひらを使って、手のひらだけでなく腕全体を使って相手の手を持ち上げる。できるだけ多くの面積で相手に触れながらケアをする、これが重要です。また触れる場所も重要です。敏感な場所は相手の方をびっくりさせるのでより鈍感な場所から触れるのもポイントです。顔や手はとても敏感です。顔や手に触れるのは最後がいいです。一方、鈍感な場所は背中や肩、腕ならば上の方になります。肩から肘にかけての上腕が鈍感な場所になります。明日はさらに具体的な場面を想定して話を進めます』
やはり聞き取りはエネルギーを使います(汗)。今ならこちらでオリジナル音声聞けます。書きながらラジオから「三遊亭円歌さんがお亡くなりに・・」の訃報。三遊亭歌奴時代に「山のあな、あな」で大人気になられました。ということで、今回のBeatは三遊亭歌奴「授業中」と桂枝雀師匠の「山のあなた」これは泣く落語です(泣き笑)。脈絡は全くなしですが(笑)三つ目はThe Beatles – Hello, Goodbye です。
https://youtu.be/nTgSNXFtMG8
LINEスタンプ「漢字オバケ」第一弾に続き、第二弾リリースしました。
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第二弾はこちらです。9570