BBTime 208 ICEが消える!
「雪とけて村一ぱいの子ども哉」小林一茶
「雪が溶けたら何になる?」「氷が溶けたら?」の答えは地域によって様々。南国鹿児島では誰もが「水になる」と答えるでしょうが、北国雪国では「春になる」も正解のようです。タイトル「 ICE が消える!」アイス(氷)とも読めますが、今回のICEは「内燃機関:internal-combustion engine」のこと。
拙ブログで毎度おなじみ「らじるらじるの聞き逃し」。今回はカルチャーラジオ科学と人間「電池が起こすエネルギー革命」旭化成顧問吉野彰氏のお話。この方は「リチウムイオン電池」を発明した人です。13回にわたる長いお話(30分×13回)でしたが、終盤に近づくにつれ目茶苦茶面白くなりました。(聞き逃しは3/1で終了しています)
朗報!なんとyoutubeにアップしてありました!こちらで聞くことができます。
途中銀塩フィルムの話が出てきます。「ある日突然銀塩フィルムは無くなりました、その理由はなんでしょうか?」「実はデジタルカメラではないのです」「デジカメが世に出てきた時にフィルム会社は『デジカメは敵に非ず恐るるに足らず』と判断したそうです」「画素数(クオリティ)コスト(費用)は段違いに銀塩フィルムが良い(勝っている)。デリバリー(供給体制)でやや劣るかな」「むしろデジカメ普及当初はプリントアウト需要が増え、むしろフィルム会社は利益が伸びた」「ところがあるモノが世に出てきて忽然とフィルムが消えた(2002年)」「そのあるモノとは・・」
カメラ付き携帯(シャープ製)が犯人だったんです。当時、銀塩フィルムの画素数が1000万画素かたやデジカメですら25万画素程度、携帯カメラの画素数はもっと低かったと思います。にもかかわらず銀塩フィルム式カメラを駆逐した理由は?それは画像の流れを変えたからとのこと。
銀塩フィルムは「撮影済みフィルムパトローネをDPE(現像焼付拡大)ショップに持ち込んで数日後に取りに行き、必要あらば焼き増しを頼む」の流れでした。さて2000年冬に後発シャープがカメラ付きケータイを世に出したものの思惑通りには売れず、シャープは頭を抱えます。対策会議で幹部が開発者に「このカメラ付きの意図は?」その答えは「これで撮った画像はプリントせずにメールで送るんです」「なるほど!」ということで「写メール」の名をつけ攻勢に転じたところ大ヒット、瞬間業界トップになったそうです。その後は皆様が知る通り・・。カメラ付きケータイは写真の価値観を変えてしまったのです。
リチウムイオン電池なのになぜ?フィルムの話。吉野氏がおっしゃるにはこのフィルムの話は非常に示唆に富むとのこと。簡単に結論を言うと「2025年までは少しづつ変化する」「2025年からはかなりダイナミックに変わる」「ガソリン自動車から電気自動車へ変わる、と同時に自動運転車へ」「無人タクシーのイメージ。AIEV:人工知能電気自動車(吉野氏命名)」「AIEV が普及すると自分で運転する必要がなくなるので、人はマイカーを持たなくなる」「日常費用(ガソリン代、駐車場代他)が減り、広い駐車場は不要となる。10人で1台を保有するイメージ」「月一万円で乗り放題、スマホのコストに似ている」・・・ということは「車は売れなくなる」・・ICE が消えてゾッとするのは車メーカー?
吉野氏は車の近未来は絵空事ではなく、恐らく現実のものとなるでしょうと話されています。高を括っていたフィルムメーカーの敵はデジカメではなくカメラ付きケータイでした。車社会のこれからを劇的に変化させるモノは何か?吉野氏にはそれがなんであるかが見えているように聞こえました。小生が思う、車の近未来が絵空事ではない二つの出来事を紹介します。ひとつはトヨタが売り出したロボット「KIROBO:キロボ」なぜトヨタがロボットを作るの?売るの?吉野氏話を聴いていて小生なりに理解しました。「これからの世の中・車社会・ネット社会・エネルギー事情に最も合致しているものは自動運転車(AIEV)の開発商品化です」と吉野氏曰く。よってトヨタはロボットキロボを作ることなんてお茶の子さいさいなんです。もうひとつがシェアサイクルです。
大都市のみならず地方都市においても「シェアサイクル新規スタート」のニュースを目にします。なぜだろうと思いました。車が小型化電気化なら分かりますが、なぜここにきて「自転車なの?」昔々ラッタッタ(本名:ロードパル)が流行りました。自転車おばさん(失礼)がラッタッタに、ラッタッタおばさんが軽自動車に・・。まだこの流れは理解できます。でもなぜ今更、自転車なの?
恐らくこのベースにあるシステム・考え方が「持たない・所有しない」です。必要な時だけ借りる、観たい時にクラウドから映画、聞きたい時にクラウドから音楽、映画ソフトを所有しない、音楽CDを買わない、マイカーは不要・・。従来エコに配慮した商品やサービスには若干の料金上乗せがあった(レジ袋有料化など)。しかし、これからの商品やサービスは八方美人的で、便利でエコで安くなる、とも吉野氏。
話の中に白熱球も出てきます。白熱球、レコードなどエジソンが世に出したものが消えていく、レコードの後継者CDも風前の灯火。振り返ると小生の世代はこの劇的な変動がまさにオンタイム。吉野氏はおっしゃいます「1995年の人に、今のIT社会を説明してもまず信じないでしょう、そんなことはあり得ないと否定するでしょう」。平成が終わり時代が移ります。ムシ歯がなくなる日もそう遠くないと確信します。2570
吉野彰氏のインタビュー記事はこちら、是非!
おまけ:自動運転車の無人ドライバーから見える(であろう)動画です。
発見!(3/2)カルチャーラジオ科学と人間「電池が起こすエネルギー革命」
旭化成顧問吉野彰氏の話はyoutubeで聴くことができます!
https://youtu.be/YS2oIBCJhcw