BBTime 271 食べるために

BBTime 271 食べるために
「九月来箸をつかんでまた生きる」橋本多佳子

解説に「多佳子は生来の病弱で、とくに夏の暑さには弱かったという。したがって、秋到来の九月は待ちかねた月であった。涼しくなれば、食欲もわいてくる。「さあ、また元気に生きぬくぞ」の気概に溢れた句だ」とあります。1950年頃の句で奈良にお住まいだったようで、扇風機しかない当時、病弱な作者にとって暑さを乗り切るのは大変だったのでしょう。

9/1の折々のことばにまたしも溜飲を下げました!
寂しくなった時、うまいもん食べたいと思うんや。嬉(うれ)しい時、おいしいもん食べよと思うんや。だから、人は食べるために生きるんや 田村隆
鷲田さんのことば
料亭「つきぢ田村」の三代目は、祖父からそう聞かされたと回想する。生きるために食うのであれば何でもいい。けれども人はものを味わい分ける。ただ受け入れるのではなく、よく調べて判断する。つまり吟味する。ちなみにホモ・サピエンスというときのサピオー(知る)も辞書によれば原義は「味わう」である。『隠し包丁』から。(鷲田清一」朝日新聞折々のことばより

カルノなりに解釈します。『寂しくなった時、うまいもん食べたいと思うんや』=寂しい時、寂しさを紛らわす・自分自身を慰める・己を癒すために「うまいもん」を食べる→「うまいもん
」は癒しです!
『嬉(うれ)しい時、おいしいもん食べよと思うんや』=嬉しさを誰かと共有したい、感謝の気持ちを共有したいから「おいしいもん」を食べる→「おいしいもん」は感謝です!
『だから、人は食べるために生きるんや』=喜怒哀楽の織りなす日々、さまざまなシーンで「食べる」ことが悲しみを半分に、喜びを倍にしてくれるのです。「生きるために食べる」やなしに「食べるために生きる」深い深い意味を持つように思えます。

「うまいもん」「おいしいもん」の基準は人それぞれですが、「あまいもん」は老若男女に共通する「美味しいもの」でしょう。ムシ歯予防のために「甘いものを制限しなさい」なんて荒唐無稽な話です。「食べるために生きる」も「ムシ歯予防」も味わい深いと思うホモ・サピエンスのカルノでした。BBTime 261「あんぱん」も是非お読みください。0230


おまけ:ブログアップ後に「ほぼ日」読んでいたら、これぞまさしく「うまいもん」を見つけました。美味なるものを「うまいもん=癒し」と「おいしいもん=感謝」に分けるとするならば「ラーメン」はまさしく「うまいもん」で、最後に出てくる「とんかつ」は「おいしいもん」かも。


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