BBTime 451 ユーモア
「目には青葉尾張きしめん鰹だし」三宅やよい
どこかで聞いたような・・『思わず破顔した読者も多いだろう。もちろん「目には青葉山時鳥初鰹」(山口素堂)のもじりだ。たしかに、尾張の名物は「きしめん」に「鰹だし」。もっと他にもあるのだろうが、土地に馴染みのない私には浮かんでこない。編集者だったころ、有名な「花かつを」メーカーを取材したことがある。大勢のおばさんたちが機械で削られた「かつを」を、手作業で小売り用の袋に詰めていた。立つたびに、踏んづけていた。その部屋の写真撮影だけ、断られた。いまは、全工程がオートメーション化しているはずだ。この句の面白さは「きしめん」で胸を張り、「鰹だし」でちょっと引いている感じのするところ。そこに「だし」の味が利いている。こういう句を読むにつけ、東京(江戸)には名物がないなと痛感する。お土産にも困る。まさか「火事と喧嘩」を持っていくわけにもいかない。で、素直にギブ・アップしておけばよいものを、なかには悔し紛れに、こんな啖呵を切る奴までいるのだから困ったものだ。「津國の何五両せんさくら鯛」(宝井其角)。「津國(つのくに)」の「さくら鯛」が五両もするなんぞはちゃんちゃらおかしい。ケッ、そんなもの江戸っ子が食ってられるかよ。と、威勢だけはよいのだけれど、食いたい一心がハナからバレている。SIGH……。『玩具帳』(2000)所収。(清水哲男)』(解説より)。今回は「ユーモア:humor」について。
先日(5/13)日経新聞「春秋」に見つけました、お見事!
さて日本のみならず、欧米各国、韓国、中国など「解除」に動き出しました。コロナ禍あと(ポストコロナ)では、コロナ前に戻るのではなく「New Normal:新しい日常」へ移行すべき、移行しましょうとの空気です。賛成です。そこで必要なひとつが「ユーモア」であるような気がします。笑いではなくユーモア・・シンプルに考えるにユーモアとは思いやり・尊敬(リスペクト)。
時に笑いは「虐」を含みます。以前、漫才などの「お笑い」によく見受けられました。(虐:ぎゃくはギャグのネタなり?) かたや落語の笑いには「虐」をほとんど感じません。最後まで「笑い」のない落語、場面によっては「泣けてくる」落語、「泣き笑い」の人情噺があるのも頷けます。笑いの中でもユーモアに近いのが落語なのかも。マスクを着けるのも思いやり、手を洗うのも思いやり、最前線でリスク背負って働く方にも思いやり・・・
朝日新聞「折々のことば」に有るようにユーモアは「理性の微笑」。笑いは自己免疫力をアップします。ユーモアは相手の免疫力までアップさせると思います。ただし、ユーモアには、笑いよりもワンランク上のセンスが必要な気もします。
画像は浅葱:あさつき。「味噌・醤油・塩・酢・浅葱・初鰹」瀬戸正洋(せとせいよう)・・俳句です。本「食の一句」には『調味料、そして薬味、初鰹。単語の羅列だけでできた句。たとえば映画のカメラが台所を撮影しているような感覚がある。味噌を映し、醤油を映し・・・と来て、最後は初鰹をクローズアップ。本当は鰹に添えたさまざま調味料を描写したのかもしれないが、(後略)』(82頁より)。ユーモアは日々の調味料・・・あなた(他人)に、もっと! You more. 4000
おまけ
「新しい日常の新しい常識」
コロナでもタダでは起きぬ!