BBTime 463 恙なく
「恙なき雲つぎつぎに半夏かな」廣瀬直人
解説が少々難解です・・『季語が「半夏(はんげ)」であるのは間違いないが、どの項目に分類するかについては、いささか悩ましいところのある句だ。というのも、単に「半夏」といえば一般的には植物の「カラスビシャク」のことを指すからである。だが、私の知るかぎり、この植物を季語として採用している歳時記はない。ならば当歳時記で新設しようか。でも、待てよ。歳時記をめくると、半夏が生えてくる日ということから「半夏生(はんげしょう)」という季語があって、こちらは全ての歳時記に載っている。今年は昨日7月2日がその日だった。そこで悩ましいのは、掲句の中味はカラスビシャクを知っていても、こちらの季語の意味を知らないと解けない点である。すなわち、「恙(つつが)なき雲」は明らかに、半夏生の日の天気によって米の収穫を占った昔の風習を踏まえている。梅雨の晴れ間の空に「つぎつぎに」生まれる白い雲を眺めながら、作者は昔の人と同じように吉兆を感じ、清々しい気持ちになっているのだ。だとすれば、何故「半夏かな」なのだろう。ここをずばり「半夏生」と押さえても字余りにもならないし、そのほうがわかりやすいし、いっこうに差し支えないのではないか。(後略)』(解説より一部)。冒頭画像は半夏生(今年は今日)
「如何にいます父母 恙無しや友がき 雨に風につけても 思い出づる故郷」唱歌故郷(ふるさと・1914年発表)の二番の歌詞です。ここに出てくる「恙無し:つつがなし=病気や異状が無く、いつもと変わりがない様子」は、画像のツツガムシによる病気「ツツガムシ病」に由来すると昔聞いたことがありましたが、誤りでした。「恙虫=恙虫病→恙無し(病気になっていない)=健康で変わりない」ではなく正しくは「恙(病気や災難のこと)=これを引き起こす妖怪が恙虫→その後にダニ(画像)がある病気の原因であると判明し「ツツガムシ」と命名(1899年)」とのことで、妖怪恙虫が先で実在のツツガムシが後でした。詳しくはこちら「つつがなしや」もどうぞ。長い枕となりました(笑)、今回は「恙なく」について。
ほぼ毎日目を通すサイト「ほぼ日」の今日のダーリンに
『じぶんの生きている周辺の空気を、
なんの意識もせずに思い切り呼吸できる。
つまり、じぶんの一日中吸っている空気を信じられる。
これ、考えてみたら当たり前のことですよね。』
これも言わばツツガナシ、コラムは続いて
『なんにも特別なことを考えたりせず、
思い煩ったりもしないで生きていけるって、
根本的に大事なことなのだと思います。
信じられる環境に生きていることが、
人をのびのびさせてくれる。
そういう環境があってこそ、
人それぞれのいいところが発揮されていく。
それは、さまざまな場所で実際にやってみて
証明されつつあることのようです。』(6/30今日のダーリンより前半)
同感です!朝日新聞「折々のことば」6/7には
『生き物として生きる以上、
中と外をきっちり分けることなんてできないの。
(中村桂子)
呼吸、飲食、排泄(はいせつ)、悪寒、そして聴く、嗅ぐ。たしかに物が出入りしたり、互いに共振したり。人はあくまで自然の一部。環境の内、他の生命とのつながりの内にあることを忘れてはならないと、生物学者は言う。そして「『地球に優しくしましょう』。それって上から目線よね」とやんわり諫(いさ)める。インタビュー「生きることは、時間を紡ぐこと」(「暮しの手帖」第6号)から。』
今日のダーリンに加えこの文章も、ごもっともだと思います。
ヒトは何気なく空気を吸い込み、木になる実を採り、地に生える草を摘み、海や川で魚を森で獣を狩り、深く考えることなく口に運んでいたのだと思います。医療がなかったため妖怪の仕業と恐れ、時に病に倒れていたのでしょう。この頃「ムシ歯」は世にほぼ存在しませんでした。いまだに野生の動物はムシ歯とは無縁です。ヒトのみが禁断の果実を口にして「ムシ歯」という「恙」に悩むようになったのです。今のようにムシ歯が問題となったのは恐らくここ二百年のこと。あまりにも短期間に次から次へと「禁断の果実」を口にしてしまったのです。ムシ歯のみならず、飲酒喫煙による問題、食べ過ぎによる肥満など枚挙にいとまがありません。妖怪恙虫の正体は「煩悩」ではないでしょうか?
ムシ歯における「アマビエ」は残念ながら存在しません。日々歯を磨くしかありません。歯磨きを考えずに(歯を磨かずに)生活したい方は「旧石器時代」の食生活に変えるしか方法はありません、不可能です。平成令和の食生活を楽しみたい方は「食べる」のワンセットとして「歯磨き励行」しかないのです、残念ながら。恙なく食を楽しむために、ご歯愛の程、歯磨きの程。
歯磨きとは直接は関係ないのですがヒントを見つけました。イチロー氏が答えます、オススメです。おとなクラスの「質問:感情を抑えるにはどうしたらいいですか」に答えて「その先のことを考えるんですよ」。これヒントかも、美味しく食べて余韻に浸るとき「また美味しく食べるには」と考える・・すると「歯を磨こう・キレイに保とう」と歯ブラシに手が伸びるのではないかと・・我田引水ですかね。ではでは 4820