BBTime 383 味のある

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「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」渥美 清

ほぼ毎日読むエッセイに「今日のダーリン」があります。糸井重里氏のほぼ日刊イトイ新聞の冒頭コラムです。本日(9/4)分を読んで頭に浮かんだのがこのひと「寅さん」。以下スクリーンショットです。

「やさしく、つよく、おもしろく。」この順序が大事なんだよと、よく言う。なによりまず、「やさしく」からはじまる。他の人が「愛」と呼んでいるのと同じようなことだ。そして、「つよく」がそれを支える。「よわさ」のままで、ほんとうになにかするのは、ちょっと難しすぎるだろう。約束は、つよくないとなかなか守れない。そして「おもしろく」は、最後にくるのだけれど、この「おもしろく」はめしのタネです、と、ぼくは言う。腹の皮がよじれるほど笑う、というようなことではない。ふつうにしていて、しかも「おもしろい」のがいい。ふつうであることは、たいしたことなのだけれど、そこに「おもしろく」がないとそのまま埋もれてしまう。

「おもしろく」って、どういうことですか?と、よく質問されてきたような気がする。そこにはっきりした答えがあるとも言えない。ぼく自身も、その「おもしろく」ってどういうものか、ずっと考えてきているのだ。どうすれば「おもしろく」なるのか、よくわかってはいないのかもしれないけれど、実際に「おもしろい」ものは、たくさんある。それは、「いい人ってどういう人?」と訊かれて、なかなか説明しきれないのだけれど、現実には、たくさんの「いい人」がいるというのと、とてもよく似ている。

前にも書いたかもしれないけれど、ぼくの知っている、ぼくよりかなり年上のご夫婦がいて、その旦那さんが、ぼくに、さらっと言ったことがある。「女房はね、おもしろいんですよ」と、少し離れたところにいた奥さまを見ながら言った。「かわいい」ご婦人だというのは、見ていてわかった。でも、「おもしろいんです」と言われて、はじめて、なんだか、とてもうらやましいお二人なんだと思った。ぼくの言う「やさしく、つよく、おもしろく。」の「おもしろく」というのは、こういうことだ、たぶん。「あのこは、やさしくて、つよくて、おもしろいね」と、そんなふうに言われる人に、こどもたち、育つといいね。  今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。「おもしろくない」ということは、ほっといたらダメだね。

読み返すほどに読み返しました。「やさしく、つよく、おもしろく。」を漢字にすると「愛情、正義、滋味」でしょうか。糸井さんのおっしゃる「おもしろく」とは「味のある」のような気がします。「おもちや」や「あんぱん」で触れたTED も同じく。『「あのこは、やさしくて、つよくて、おもしろいね」と、そんなふうに言われる人』になるためには、やはり磨く必要があるでしょう。英語に代表される外国語習得を例とするならば、単語や文法を覚えることはできても会話や文章のユーモア・センスまでマスターするなると、ちと難しいように思えます。だからこそ、最後の文章『「おもしろくない」ということは、ほっといたらダメだね。』なのでしょうか。これは冒頭の句の「どうする」に通ずるような・・。

『三木露風の童謡「赤とんぼ」を思い出す。三番の結び。「……、とまっているよ、竿の先」。掲句の作者も見ているように、よく赤とんぼ(だけではないけれど)は、秋の日に羽を光らせて「じっとしたまま」でいることがある。休息しているのだろうか。が、鳥のように羽をたたまずにピーンと張ったままなので、緊張して何か思案でもしいるような姿に写る。露風の詩はここまでで止めている(この詩が、露風十代の俳句を下敷きにしていることは以前に書いた)が、掲句はもう一歩踏みだしている。お前、明日はどうするんだい。そう言ってはナンだが、何かアテでもあるのかい。この優しい呼びかけは、もとより自身への呼びかけである。お互いに、風に吹かれて流れていく身なのだからさ。と、赤とんぼを相棒扱いにして呼びかけたところに、露風とはまた違う生活感のある人間臭い抒情味が出た。作者は、ご存知松竹映画「『男はつらいよ』シリーズ」で人気のあった寅さんだ。いや、寅さんを演じた役者だ。渥美清は、俳号を「風天」と称していた。「フーテンの寅」に発している。掲句は朝日新聞社発行の雑誌「アエラ」に縁のある人々の「アエラ句会」で披露された45句のうちの一句。熱心で、句会には皆勤に近かったと、亡くなった後の「アエラ」に出ている。このことを知ると、どうしても「寅さん」が詠んだ句だと映画に重ね合わせて読んでしまう。止むを得ないところだが、しかし、そういうことを離れて句は素晴らしい。「どうする」の口語調が、とりわけて利いている。』解説より。

寅さんを敬愛し、第45作「寅次郎の青春」にエキストラとして参加した小生にとって寅さんは永遠です。去る8/27は、第1作「男はつらいよ」の公開から50年でした。朝日新聞に「月刊寅さん」がスタート。こじつけですが「やさしく、つよく、おもしろく。」のムシ歯予防を考えています。近々、第一弾「歯と歯茎にやさしい歯ブラシ」をご紹介予定、乞うご期待!8001


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