BBTime 657 生きるヒント

「花柘榴生きるヒントの二つ三つ」森 慎一

2024/05/25投稿 5/31加筆 6/4追加
まさに「時不待人:時人を待たず」早くも五月下旬です。句の解説は『こころが瞬間にぶつかって句が成る。よくあることなのだろうか。人事句でありながら、花石榴(はなざくろ)の実が一樹にぽつりぽつりとあるのを、永年見つづけてきた人の句。花はたくさん咲くが、実は少ない。やはり、二つ三つ。『風のしっぽ』所収』(引用元)。解説を読んで混乱するのは柘榴の花と実の時期です。花柘榴(柘榴の花)は初夏五月から七月、実は十月から十一月です。今回はセミナーのネタとして「生きるヒント=健康に老いる」について。

訪問診療に行き始めていろいろな気付きがあります。当たり前ですが、最後まで食べられます。コミニュケーションが取れなくなっても、ご家族のことがわからなくなっても、食事されます。食べるということは「口腔ケア」が必要になります。・・・先日ラジオを聴いていて合点しました。

ラジオ登場は「澤田誠:さわだまこと」氏。
かいつまんで話していきます。
1)脳は100%使われている!
『脳は考えたり記憶をしたりする以外にも、身体を動かしたり、内臓を制御したりしています。眠っているときでさえ脳はせっせと働いていて、起きているときよりも活発に活動する脳部位もあるくらいです。一部分だけが動いて、他の部分が休んでいるということもなく、全ての部位がそれぞれの役割を果たしながら、協調的に活動しています。』(引用元)。
*有意識下では数%しか使われていないが、正しい解釈のようです。いろいろなことを忘れても(記憶を引き出せなくても)食事はできるのです。
*「あなたはだあれ?」なのにご飯を食べる・・脳の約95%は生きることに使われています。一般的に言う「記憶」は脳のほんの数%が行う作業でしかありません。

2)使わない記憶は劣化していく!・・去る者は日々に疎し
『記憶を保管するネットワークは活性化されると、そのつながりが強化されます。逆に、あまり使われないネットワークのつながりは弱くなります。よく使う記憶は強化され、使わない記憶は劣化していくのです。非常に合理的な仕組みです』(引用元)。
『脳は非情ともいえるほど合理的です。使わない記憶は必要がないと判断して、ネットワークを作るのに必要なシナプス(神経細胞の連結部)を刈り取っていきます。その結果、ネットワークのつながりは弱くなり、最終的に記憶は失われます』(引用元)。
『きちんと覚えていた記憶も、思い出さないでいると、少しずつ薄れていきます。そのおかげで、私たちは過去と現在を区別することができます。昨日朝食をとった記憶が、食べた直後と同じように今日もありありとよみがえってしまったら、「もう朝ごはんを食べ終わった」と勘違いしてしまいますが、実際には、そのようなことは起こらないのは、脳に忘れる仕組みが備わっているおかげです』(引用元)。
*食べたばかりなのに「ご飯は?」・・まさに生きるために脳が働いている証拠です。何度もトイレに行きたい・・これも同じ、排泄しなければ健康を害する(生命に危険が及ぶ)ので脳が働きます。

3)思い出は美しすぎて!(記憶違いは必然)
『情報を長期的に取っておく「長期記憶」は大脳新皮質の神経細胞のネットワークに保管されていますが、思い出ごとに1つにまとめられて、1ヵ所に保管されているわけではありません。要素ごとにバラバラに別の場所に保管されています。そして、思い出すたびにそれぞれの保管場所から呼び出されて、ひとまとまりの記憶として再構成されるのです。』(引用元)。上下ひと揃いの服を上下バラバラ(ジャケットとパンツ(ズボン)にわける)にしまうようなことです。では、なぜこのようにするのか?
『記憶は、未来に役立てるための貴重なデータベースです。未来の生存確率を少しでも上げるために、脳は苦労して情報を取り込み、取り込んだ情報を取捨選択して整理し、記憶として保管しているのです。記憶があれば、過去に経験したのと似たような出来事があったときに、より適切な対処方法を考えることができます』
『ひとまとまりに保管しない方が、応用範囲が広がります。実際には、脳は、もっともっと細かく分けて保管しています。そして、さまざまなシチュエーションに応用できるように備えているのです』(引用元)。
『記憶はオーケストラに似ています。オーケストラの音楽を作るのは、いろいろな楽器の奏者たちの奏でる音です。大勢の奏者によって奏でられる曲がひとまとまりの記憶です』
『このようなことを繰り返していくと、本来とは別の奏者が間違って演奏した曲や、多くのメンバーが欠けた曲のほうが上達してしまい、元々の曲自体(つまりは元々の記憶)が変わってしまうのです』(引用元)。
*その方のおっしゃるストーリーの場所や時期が異なるのはこのためです。

4)隠れ脳梗塞
『神経細胞が加齢で死ぬ主な原因は、血流不足です。脳は体重の40分の1程度の重さしかありませんが、身体全体の約2割の酸素を消費します。酸素を消費するのは脳にある細胞たちです。すべての細胞に酸素を届けるために、隅々まで細かい血管が張り巡らされています』
『年を取って、動脈硬化などで血管の内側が狭くなると、その細い血管内まで血液が流れにくくなります。また、悪玉コレステロールや糖が多い血液によって血管が傷つけられたり詰まったりします。年齢を重ねていくと自覚できないほど小さな脳梗塞が脳の中で起こる確率が高くなるのです。その隠れ脳梗塞が起こると、そこから先で血液を待っていた神経細胞は死んでしまいます。小さな脳梗塞は健康な40代で3割、60代になると7割の人に見られると言われています』(引用元)。
『過度な飲酒習慣の継続は、確実に脳に悪影響を及ぼします。脳も臓器のひとつですから、身体の健康と精神や知的活動の健康は、直結しています。飲酒習慣によって睡眠の質が悪くなったり、栄養バランスが悪くなったりして、身体の健康状態が悪化すると、脳にも影響するからです。   脳の細胞を少しでも減らさないために私たちにできることは、たくさんあります。血管の健康を保ち、適度な運動をし、質の良い睡眠をとりましょう』(引用元)。
*生活習慣病:体重や体型、血液検査のデータは意識しますが、脳の数値データは健康診断には現れません。脳も臓器!お忘れなく。

5)認知予備能とは
『認知症の傾向は40代から始まっていると言われています。認知症を予防したいという人は、なるべく若いうちから、脳をいたわり、運動や充分な睡眠など、身体によいことを始めるとよいでしょう』
『高齢者の死後脳の解剖研究から、明らかに認知症を発症しているだろうと思われる脳の状態でも、生前はまったくその症状が認められなかったという例が報告されました。脳の損傷や変性があっても、柔軟で豊かな脳であれば、認知機能が保持される「認知予備能」があると考えられるようになりました』(引用元)。
『認知予備能は、高齢になっても人との交流を絶やさなかった人に見られることが分かっています。人との交流は脳の複数の部位を活性化させます。専門的で高度な仕事をしているだけでは、脳は限られた箇所しか使われません。長い間使われなかったシナプスは刈り取られ、細胞も死んでしまいます。   普段とは違う余暇活動や、人との交流を絶やさないことによって、さまざまな部位の脳の細胞を活性化させておけば、細胞の数が減っていっても機能を保つことができるでしょう』(引用元)。
*認知予備能をしっかり持つためには・・まずは「感謝の意を伝える」ことでしょう。声に出してジェスチャーを添えて!より多くの人と交流するためには、あなたが相手から受け入れられなければ無理です。常に好奇心を持って人との交流をすることが予備能を保つコツです。
*現在、介護職に携わる方は予備能保持にプラスで有ると言えましょう、ただしストレスが多くなければ・・ですがね。

6)意思ではなく記憶が将来を決める!
『将来の認知症のリスクが心配になってきた世代の人たちにとっては、記憶力という言葉を聞くと、ぎくりとしてしまうかもしれません。何か物忘れをするたびに、もしかして自分は認知症になってしまったのではないかと不安になるからです』(引用元)。
『私たちの脳はまず生き残り、そして子孫を残すために、記憶という能力を発展させました。スマートフォンを手に入れた現代人も、とっさの判断や無意識に下してしまう数々の決断は、脳内の記憶をもとに行われます。また、何かを経験した時に、何の情報を残して何を忘れてしまうかということも、私たちの脳の中にすでにある記憶をもとに判断されています。   自分の意思で決めていると思う人もいるかもしれませんが、意思が関与できる部分はほんのわずかです。ヒトが意識できる情報量は脳内で処理されている情報の100万分の1以下だという説もあるくらいです』
『記憶というのはただの情報の集積ではありません。脳は記憶を形成し、活用するために、情報の抽出、再編集、関連付けを常に行っています。脳の中の記憶はあなた専用にカスタマイズされた唯一無二の情報源なのです。  もっといえば、私たちは、それぞれ脳の中に外界を解釈するための、記憶をもとに作られた自分だけの世界を持っているのです』(引用元)。
『脳の中に作られた世界のことを、私は「マインドセット」と呼んでいます。(中略)簡単には「思考の癖」とも説明されます』
『私たちが何かを経験し、記憶すると、このマインドセットが変化していきます。育っていくと言ってもいいかもしれません。マインドセットが豊かで健全な状態であれば、自分の望む未来に進みやすくなります。逆に、マインドセットが乏しく偏ると、その人の判断や行動は決まったパターンから抜け出せなくなり、自分にとって本当に利益になる合理的な選択ができなくなります。   マインドセットが私たちの未来を左右します。そしてそのマインドセットを形成する基礎になるものが記憶なのです』(引用元)。
*高村光太郎「道程」には『僕の後ろに道は出来る』とありますが、後ろに出来た道を踏まえて、これからの「道」「人生のゴール」を歩むのです。

「脳」は生存維持装置であって、本来は記憶装置ではないと理解してください。脳もひとつの臓器、体に良い事は脳にも良いのです。健康的な生活(食事・睡眠・運動)が健康な脳を維持します。良質の睡眠について一言。歩くことと早寝早起きの習慣化で良質の睡眠を得ることができます。詳しくはこちら「BBTime 651 リズム」をご覧ください。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:六月四日は何の日?かつて「むし歯予防デー」で、今では「歯と口の健康週間」となってます。始まりは1928年(昭和3年)。実はこの年に始まったもうひとつの健康づくりに関することが・・「ラジオ体操」なんです。
おまけ:花柘榴・・紅一点の「紅」はこの花のこと。王安石の詩「万緑叢中紅一点」が出典だとか、詳しくはこちらを。
*オススメ本 だいじょうぶだよ ぼくのおばあちゃん 長谷川和夫

この絵本の原作者「長谷川和夫」氏登場のラジオ番組見つけました。6/11午前2時まで視聴可能です)。6/14は認知症予防の日、ドイツ人医師アロイス・アルツハイマーの誕生日にちなんで。

ラジオはこちら! ジャンプ先、上から三番目、是非お聴きください。


BBTime 656 オレンジページ

「くちびるに夏欲しければ新茶飲む」小迫倫子

2024/05/17 投稿
前回投稿から三週間ほど空いてしまいました!まずは句の解説から『載せようか、載せまいか。何日か思い悩む句がある。偉そうにしているわけではないけれど、私なりの評価が定まらないからだ。この句も、そのひとつ。若々しく新しい感覚ではある。だが、どこか私にはいぶかしい。それは「新茶飲む」という表現のせいだ。これまでの句では、茶は「汲む」ものであり「喫する」ものでありと、「飲む」というストレートな言い方はゼロに近かった。茶には「飲む」だけでは伝わらない風合いがあるので、多くの俳人はあえて婉曲的な表現を選んできたのだろう。そんななかで、作者はずばり「飲む」と詠んでいる。ミルクやジュースと同じ「飲み方」をしている。そういうふうに読める。おそらくは、このあたりの表現法が今後の俳句の大問題になるはずで、当サイトの読者はどうお考えになるだろうか。「喫茶」という言葉が持つ色気を追放したときに、どんな新しい風が吹いてくるのか。私にも、大いに興味がある。その意味で、この作品は重要だと考え紹介することにした。小迫さんは1969年生まれ。『21世紀俳句ガイダンス』(現代俳句協会)所載。(清水哲男)』(出典元)。今回は、空いた三週間の間にアップしたブログのご紹介(言い訳です)。BBTime 655「シンブログ」でご案内の通り雑誌オレンジページネット版に先月から投稿しております。

No.001「くう」001:惜春のバタークッキー
「BONJOUR KUCHIBUE の BUTTER COOKIES」

No.002 「あそぶ」001:バウハウスのポスター

オリジナルはこちら

No.003「くう」002:河内晩柑(かわちばんかん)

オリジナルはこちら

No.004「くう」003:日本一の豆腐

オリジナルはこちら

と言うことで言い訳がましくアップしました、ご容赦のほど。では皆さん、ご自愛の程ご歯愛の程。