BBTime 262 もも

BBTime 262 もも
「桃食うて煙草を喫うて一人旅」星野立子

解説に「車中吟だろう。車内はすいている。おまけに、一人旅だ。誰に遠慮がいるものか。がぶりと大きな桃にかぶりつき、スパーッと煙草をふかしたりもして、作者はすこぶる機嫌がよろしい。「旅の恥はかきすて」というが、可愛い「恥」のかきすてである。昔(1936年の作)のことだから、男よりも女の一人旅のほうが、解放感が倍したという事情もあるだろう。私は基本的に寂しがり屋なので、望んで一人旅に出かけたこと」とのこと。国鉄からJR へと乗り継いだ小生も一人旅は好きでした(多かった)。小生ならさしずめ「桃食うてシャンパン飲んで一人旅」即席ベリーニを楽しみましょか。

さて桃は「不老長寿の果物」と言われますが、先日(7/21)平均寿命の記事を目にしました。「2017年の日本人の平均寿命は女性が87・26歳、男性が81・09歳で、いずれも過去最高を更新した。20日に厚生労働省が発表した「簡易生命表」で明らかになった」朝日新聞記事より
平均寿命の上位5カ国・地域
〈女性〉香港87・66歳 日本87・26歳 スペイン85・84歳 韓国85・4歳 フランススイス85・3歳
〈男性〉香港81・70歳 スイス81・5歳 日本81・09歳 ノルウェー  80・91歳 スウェーデン80・72歳

前回「あんぱん」で「人は甘いものが好き」ではなく、進化論的には「人が好いたものが甘かった」と書きましたが、先日JR 車内でひとり考えておりました。甘いもの、果物でもお菓子でも食べた時に感じる安堵感・幸福感もこれと関係しているのではないか?と。その昔、笑い療法士の講習会で「笑い」の原点は「嘔吐」であろうと習いました。歩いていたヒトが何か見つけた→「食べ物だろうか?」→匂いを嗅いで、ちょっと舐めて→「大丈夫そう」→ガブリ!・・ありゃりゃ中が腐っていた→ゲっと吐き出す(嘔吐)→「ああ、助かった(病気にならずに済んだ)」→安堵で笑顔(笑い)

人が甘さを感じた時の「幸福感」はダイレクトに長寿に繋がったことへの幸福感なのでは?「BBTime 038 無事の人その参」に「あんパンとクリームパンが和らげた被災者の不安」の記事を紹介しました。これぞまさに「あんパンの甘味が無事を実感させる」です。やはり桃は長寿の食べ物のようです。あんパンも!

ベリーニといえば銀座の「オーパ」、一人旅でぶらりと行きますかね。3000
そうそう冒頭の「星野立子さん」にはこんな句も!
「美しき緑走れり夏料理」星野立子


追記:「頑張りんしゃい・・国内最高齢115歳」の記事が出てました。「甘い物が好きで、缶コーヒーや栄養ドリンク、炭酸飲料をあわせて毎日3本は飲む。27日の昼食。「おいしい、おいしい」とにこにこしながら、ご飯やおかずを自分でもりもりと食べた」記事より。この方にとって、甘い物は間違いなく「不老長寿の薬」のようです。

BBTime 261 あんぱん

BBTime 261 あんぱん
「厚餡割ればシクと音して雲の峰」中村草田男

今回、句の解説を読み返して「厚餡:あつあん」=「あんぱん」ではなく、薄皮饅頭やあんぱんのことと知りました。「薄皮の饅頭(まんじゅう)でしょうか。特に冷やしてあるわけでもないのに、手にする「厚餡」入りの菓子はどこか冷たく重く感じられます」解説より

ところで、TED=テドをご存じでしょうか?Technology Entertainment Design でTED 。最近観た「ダニエル・デネット:かわいさ、セクシーさ、甘さ、おかしさ」面白かったので御紹介。簡単に言うと「あんぱん→甘い→人が好む」あんぱんは甘いから人が好んで食べる・・ではなく「人が好んで食べるものが、たまたま甘かった(少なくともヒトは甘いと認識している)」が進化論的には正しいのだそうです。   「さて 今日はダーウィンの逆転した奇妙な推論の他の例を話します 始めは混乱しますがこちらも同じように重要なことです チョコレートケーキは甘いから好きというのはもっともです 男性がこういう女性を好むのはセクシーだから 赤ちゃんを溺愛するのはかわいいから そして ジョークが楽しいのはおかしいから」TEDより

「これらは全て反対です なぜなのかダーウィンが示してくれます まずは甘さですが 私達が甘味が好きなのは糖分探知機として進化したからです 大雑把に言えば 糖分は高エネルギーなので それを好む様に 脳の配線が組まれたのです 私達が好きだからハチミツは甘いのです 「甘いから 私達はハチミツを好む」ではないです 本質的にハチミツに甘さがあるわけではありません ブドウ糖分子を凝視しても それがなぜ甘いのかはわからないでしょう なぜ甘いのかを知るには脳の中を見なければいけません ですから始めに甘さがあり 私達が甘さを好むように進化したと考えるのは 順番が違っています 本当はその反対です 甘さは進化上の関係付けの中で生まれました」TEDより

分かるような分からないような話ですが、おそらく「いつ食べられるか分からない時代に、生き延びるためには高エネルギー食物の方が良い」と経験的に知り、進化の中で「高エネルギー=糖分多し=甘いもの」を選ぶ(好む)ようになったのでは?

世の中には辛党(酒好き)の方もいらっしゃいますが、多くの人は「美味しいお菓子」を口にします。昔の小生、甘いお菓子=ムシ歯の原因=ムシ歯予防の敵・歯医者の敵と思っていましたが今は違います(苦笑)。永い長い進化の中で結果的にヒトは「甘み」を選ぶようになったのです。

砂糖は安価に容易に手に入ります。砂糖の使用を控えましょうと言っても説得力は無いと思います。砂糖の体への弊害はムシ歯以外にも多々ありますが、ゼロにすることは不可能でしょう。要は甘さ・甘みといかに賢く付き合うかでしょうね。1600

BBTime 260 ユニクロカ

BBTime 260 ユニクロカ
「紫陽花や白よりいでし浅みどり」渡辺水巴

浅みどり」を言葉で表現するのは難しいようです。解説に「この「浅みどり」が薄い緑色ではないことがわかる。「白」の次は「青」でなければならないからだ。『広辞苑』を引くと「浅緑」には薄い緑色の意味の他に「薄い萌黄色」と出ている(「空色」とも)。この「萌黄色」がまた厄介で、黄緑色に近い色と受け取ると間違いになる。藍染めに源を持つ色彩に「浅黄色」があり、「薄い萌黄色」はこれに近い。つまり「薄い水色」だ。中世で「浅黄色」というと、薄い青色のことを指した。したがって、いまでは「浅黄色」と書かずに、青を強調して「浅葱色」と表記するのが一般的になっている。私たちが交通信号の「緑」を平気で「青」と言うように、日本人の色意識には、「緑」と「青」の截然とした区別はないのかもしれない」(解説より)

タイトルの「ユニクロカ」。ユニクロ力(りょく)とユニクロ化(か)の意味をかけています。小生におけるユニクロの存在は変化しています。当初は「この質でこの値段!(安い!)」が「この質・このデザイン・この縫製・この値段のスタイルに共感します!(買います!)」に変わりました。

H&M 銀座本店、今月16日をもって閉店とのこと。2008年オープン後間もなく行った時、二つの驚き。ひとつは誰が店員さんかすぐに判別しにくかったこと。スタイル・色の展開がやはりスウエーデンテイスト。注意して見渡すと店員さんは首にID カードを下げていました。閉店ということは売り上げがイマイチだったのでしょうか。

H&M銀座店の斜め向かいにユニクロ銀座店もあります。ユニクロの台頭で「ファストファッション」という言葉を聞くようになりました。ウイキペディアには「ファストファッション (fast fashion) は、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態」とあります。ファスト(早い)の由来は「「早くて安い」ファストフードになぞらえて、2000年代半ば頃から呼ばれるようになった。2009年新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた」(ウイキペディア

昔、流行る定食屋は「うまい、安い、早い」でした。今のファストフードは「味そこそこ、値段そこそこ、早い」でしょうか。小生にとって今のユニクロは「結構おしゃれ、リーズナブル、ストレス少なし」ワンシーズンでダメになることもないように思います。身の回りのモノを耐久品と消耗品に分けるとするならば、ユニクロ服はその中間的位置付けでは・・。

BBTime223「歯は白く」にも書いていますが、歯の部分的な詰め物に「インレー」があります。歯を削って型をとって金属や樹脂もしくはセラミックで作ります。白い樹脂(レジン)のインレーと金属インレーの違いや「どちらがいいのですか?」と聞かれます。白いこと(歯の色に近いこと)、接着力、コストなどはレジンインレーの勝ちですが、耐久性に関してはメタルインレーに軍配が上がります。

エルメスポロシャツ1枚(6万円)でユニクロポロシャツ(2000円)が30枚買えます。ポロシャツ30枚はひと夏に3枚消費しても10年分です。耐久性でメタルやセラミックに劣るレジンインレーですが、五、六万するセラミックインレーが十年持つとは言い切れないし、銀色のメタルインレー(金銀パラジウム合金製)よりも安いレジンインレーはセット時(出来上がり)で1500円程度です。一枚のエルメスポロシャツを大事に大事に十年着るのか、数年おきに新品のユニクロポロシャツを着るのか、あなたならどちらを選びますか?低価格で接着性の良い白いレジンインレーの方があなたの笑顔を素敵にすると思うのですがね。・・老婆心ながらレジンよりセラミックよりゴールドより優れているのは天然歯(ムシ歯になっていない歯)です。予防に勝る治療なし!8200

BBTime 259 嘘か誠か

BBTime 259 嘘か誠か
「紫陽花やきのふの誠けふの嘘」正岡子規

リトマス試験紙は紫陽花から作られるとはウソですが・・嘘か誠か?を三つ四つ。
1)子どものムシ歯予防に最も効果的なことは?
2)歯磨き粉は使うの?
3)就寝中は入れ歯は外すの?
4)キシリトールはムシ歯菌を減らすの?

1)小学校卒業の日にムシ歯が一本もないために最も効果的な予防法は・・実は第三者による歯磨きです。多くの場合は母親・父親による仕上げ磨きになりますが、この仕上げ磨きが最も確実なムシ歯予防方法です。それは大変!と思われる親御さんには定期的(1〜2ヶ月に1回)な歯科医院でのチェック・歯磨き・フッ化物応用が手軽な方法です。できれば中学校卒業式まで仕上げ磨きをして欲しいところです。

2)歯磨き粉不要とは言いませんが、使うタイミングがポイント!食後でも就寝前でも磨き始めは「唾液磨き」をオススメします。利点沢山!歯ブラシさえあれば場所を選ばない、長時間(5分以上)磨ける、コストゼロ、唾液の免疫能を利用できるなど利点多し。抵抗ある方には「フリスク磨き」「ミンティア磨き」を勧めます。噛まなければ3分ほどで溶けます、2個で6分間(1個目が溶けてから2個目を口へ)。

3)「イビキがテビキ」「不顕性誤嚥」で書きましたが、イビキによる唾液の吸い込み、すなわち不顕性誤嚥は誤嚥性肺炎の原因のひとつです。口の中の高さ、ベロの表面から上顎の距離が狭くなると気動(空気の通り道)が狭まってイビキをかきやすくなります。入れ歯を外したままお休みになると、特に総入れ歯の方は非常に狭くなります。お休み前に入れ歯をキレイにした後は是非口の中に入れてお休みください。入れ歯を入れると歯茎が痛い方はまずは痛くないように入れ歯の調整を受けられることをオススメします。

4)キシリトールによってムシ歯菌が減り予防効果ありは誠ですが・・。「キクシル・トーク」の中に見つけてしまいました。キシリトールガム・タブレットは「あ、そうだキシリトールガムを噛もう」程度では予防効果は期待できません!以下引用
「出産を控えた妊婦さんからお年寄りまで、ほとんどの人がむし歯の原因菌であるミュータンス菌を持っています。キシリトールは砂糖と同じくらいの甘みがある成分で、ミュータンス菌を減らす機能があります。日常的に摂取することにより、むし歯のリスクを減らします。小さいお子さんがいるご家庭では、周りの大人の方が摂取することでお子さんへのミュータンス菌の伝播を防ぎ、むし歯のリスクを減らすことができます。
むし歯予防のポイントは ①歯みがきをきちんとする ②フッ素入りの歯みがき剤を使う ③正しい食生活 ④年2回の歯の定期健診 の4つ。私たちはこれを「むし歯予防の四つ葉のクローバー」と呼んでいます。そして、クローバーの芯の部分に位置づけられるのがキシリトールです。

日本フィンランドむし歯予防研究会ホームページより
キシリトールを摂取するたびに、この4つを思い出してください。
歯の健康の貯金は、全身の健康の貯金になります。将来後悔しないために、若いうちからむし歯予防に努めたいですね。」キクシル・トークより引用

この図表の下の部分の文章をお読みください。
「むし歯リスクの高い成人が無作為に2群に割り付けられ、キシリトール群はキシリトール(2.5g/day)という成分の入ったガムを、対照群はコントロールガムを1回5分間、1日6粒、1年間咀嚼しました。その結果唾液中のミュータンス菌がキシリトール群(64名)は有意に減少しました。」キクシル・トークより引用
まず、キシリトールの量が重要で1日あたり2.5g必要です。そのガムを1日6粒、1回5分間。すなわち1日30分間、1年間ガムを噛んでの結果です。相当高いハードルだと思いませんか?昨日ひと粒、今日ふた粒噛んだ程度では全く予防効果は期待できないと言えるでしょう。

別サイト「日本フィンランドむし歯予防研究会」に載っている表です。ここでは3ヶ月以上の摂取を勧めています。毎日続けないとすぐさまムシ歯菌のレベルが元に戻る(元の木阿弥)ということです。

昨日の誠が今日の嘘に、今日の嘘が明日の誠に・・?ムシ歯予防には王道(近道)なしでしょうか。ネットやCMを鵜呑みにせず、かかりつけ歯医者を上手に利用されることをオススメします。5650
https://youtu.be/La4Dcd1aUcE

BBTime 258 主人公

BBTime 258 主人公
「かき氷くづしどうでもよかりけり」奥坂まや

句の解釈はともかく鹿児島でかき氷と言えば「しろくま」が有名、どう食べるかは人それぞれ・・です。さて台風とともに蹴球(しゅうきゅう:サッカー)も去りました。ポーランド戦の後、ネットで韓国紙の「一番の被害者は観客」という記事を目にして、ふと「主人公はだれ?」と自問自答。主人公は文字通り一人です、やはり選手でしょう。スポーツにおける観客、コンサートや寄席、レストランやラーメン屋の客皆同じく期待してお金を払う訳ですが、当然のことながら時に期待外れのことがあります。

スポーツの目的は色々でしょうけど、試合となれば選手はまず勝つことが目的で、勝てなければせめて引き分けに持ち込むのは当然でしょう。もし改善点があるとするならば勝敗を決めるシステムだと思います。仮にポーランド戦が柔道ならば両者に「教育的指導」の判断があったかも知れません。サッカーに「教育的指導」がなければ、勝つために負けないために選手や監督がやったことに観客はブーイングはしても「一番の被害者」とは筋違いのような気がしますがね・・。

「主人公」の由来は禅語です。「瑞巌和尚、毎日自ら主人公とび、た自ら応諾す。及ち云く「惺惺着や、。他時異日、人のを受くること莫れ、喏喏」(『無門関』第十二則)瑞巌和尚という方は、毎日自分自身に向かって「主人公」と呼びかけ、また自分で「ハイ」と返事をしていました。「はっきりと目を醒ましているか」「ハイ」「これから先も人に騙されなさんなや」「ハイ、ハイ」といって、毎日ひとり言をいっておられたというのです」出典はこちら

昔、歯科医師駆け出しの頃、ムシ歯の多い子供の親御さんに「甘いものをあまり食べさせないように」と言っていました。今思えば噴飯物、サッカー同様「主人公は誰?歯は何のために存在?」です。歯はムシ歯にしないために口の中に在るのではなく、食べたいものを味わうために存在する言わば道具です(もちろん臓器です)。その道具をぞんざいに扱うとダメになりますよということです。治療方針・治療内容についても同じで、こちら(歯科医師)は治療法について提案しますが、あくまでも決定するのは患者さん自身です。あなた(患者さん)が主人公です。歯医者が必要性を説明してもあなた自身が必要性を感じなければ、それは不要です。ただしその処置・治療を受けなかった場合に起こりうるリスクも歯科医師にしっかり聞いた上で決定してください。

「ご自愛ください」は好きな言葉です。どうぞ「心歯体」をご自愛ください。かき氷で鼻にツーンときて、歯にもキーンときたらそれはアラームです。チェックをオススメします。ご歯愛のほど!4030