美味しい御菓子なのか?

ここ数日Twitterに書いていて思いました。
ムシ歯予防についてです。
1−美味しい御菓子を作る材料・器具・スキルがあるのに、売る方法がない。売るシステムがない。どうすればいいのか。
2−ムシ歯予防を完璧に遂行するスキル(歯科医院側の)・器具・材料があるのに、それが普及していかない。なぜか?

歯を磨けば、磨いてもらえばムシ歯にならないことは周知の事実です。
しかも、これは歯科医師・歯科衛生士にとって可能なことです。
しかし、実際にはカリエスは発生します。

ふと思いました。
美味しい御菓子(カリエスフリーであること)と思っているのは、
歯科医師だけなのかもしれないと思ったのです。
小学1年生が、本当にカリエスフリーを美味しい御菓子(ものすごく価値のあること)と思うでしょうか。
親御さんが、同じくこの菓子は美味しいと思うでしょうか?
思わないでしょう。
前にも書きましたが、1年生が勉強が大事と思うでしょうか。
思わないでしょう。

6歳で生え始めた永久歯の価値を本人が自覚するのを18歳としましょう。
この美味しい御菓子は、12年間噛み続けて初めて美味しいと感じることになるのです。いろいろ考えれば考えるほど、壁を感じます・・・。

デュボントンのケーキ

GAPをうめる方法

GAPをうめる方法

GAP

 

ギャップをなくす方法を4通り考えました。
仮にAが歯科医の勧めるレベル、Bが人々の日常としましょう。
ここでは、人々の日常より高いところに歯科医の勧める内容があるとします。
高いハードル=ギャップ、このギャップの存在が「ムシ歯は100%予防可能」であるのにもかかわらず、100%予防できない現状をつくり出している、と考えます。

1−BをAのレベルへ引き上げる。
患者教育(個人的にはあまり好きではない言葉ですが)、情報提供等によって歯科医の提唱するレベルまで日常をレベルアップしてもらう。具体的にはホームケアの内容のアップに加え、プロケア(歯科診療所でのケア)を定期的に受けてもらうことなどが当てはまるでしょうか。
アップ

2−AがBのレベルに下がる(妥協する)。
患者目線まで、歯科医が降りてゆき、最大限可能なことをする。ムシ歯が出来てから歯医者に行くという従来のスタイル。
ダウン

3−AとBが、ともに歩み寄ってCに。
出来るだけひと月に一度のプロケア、もしくはせめて2ヶ月に一度のプロケアを勧めるのがA。かたや6ヶ月に一度で充分とするB。そこで3ヶ月に一度にしましょうとする、歩み寄りC。
歩み寄り

4−AとBの間のギャプを別のDで埋める。
ギャップをなくす方法を、もうひとつ考えました。存在するギャップを、AでもなくBでもなくCでもない、まったく別のDで埋めてなくす方法です。
埋める
ギャップをなくす方法は、上記の1、2、3のいずれかではなく、相手(患者さん、健康な人)に合わせて選んだり、複合的に組み合わせたり出来ると思います。加えて方法4:別のモノで埋めるという手法。イメージとしては、メタボ対策必要な人において、内科と日常の間に存在する「スポーツジム」です。学校と日常の間に存在する「塾」です。

5−歯科におけるスポーツジム・塾とは
今、考えているのはカフェです。その名も「ハノカフェ」(歯のカフェ)。まだ大雑把にしか考えはまとまっていませんが、「食べる楽しみ」と「ムシ歯予防=歯に対する敬意」をどうにかして直結できないかと思うのです。歯科医と一般人の思うところを変えるのではなく、別のDをつくり出すことで解決できないでしょうかね。ムシ歯予防とカフェを結びつけるのは、やはりギャップがありますか(笑)。

GAP

予防のギャップ

予防のギャップ(へだたり)

GAP1:認識した時には遅い!時間的、年齢的なギャップ。
例えば、小学校一年生自身が勉強の必要性を充分に理解できるでしょうか?
恐らく、理解していないでしょう。学生自身が勉強の必要性を自覚できるの    は個人差はあるにせよ、早い子供であっても中学受験が近づく五年生後半と    か六年生くらいではないでしょうか。中学受験がなければ、高校受験前の中2    か中3かも知れません。
ムシ歯予防も同じです。

GAP2:タイミングのギャップ、前と後では大違い!
例えば、自動車等の保険。一番お得に感じるのは事故直後に保険加入できれば・・と思いますが、そうはいきません。ムシ歯も同様で、ムシ歯前の処置とムシ歯後の処置では大きな差が生じます。
もちろん、ムシ歯前の処置がすべてに置いてお得!

GAP3:意識する人のギャップ
ギャップ1にも通じることですが、勉強と同じく本人の意識は高くありません。当事者と認識者が別人(多くは子供が当事者で、親が認識者)です。

他にも、空間のギャップ、結果が出る(認識される)時のギャップなどありそうです。

GAP

予防は何処で?

予防は何処で?

二つの文章(ひとつは本)を読みました。
ひとつはこちら、岡山大学名誉教授の文章。
http://www.scj.go.jp/ja/event/houkoku/pdf/101217-houkoku6.pdf
もうひとつはホリエモンの新刊本、
「金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?」
です。

教授の文章の中にあります。
「ここで、国民健康保険法というのをちょっと考えてみますと、大正11年に制定されまし た。これは医療保険制度でして、病人さんが困っているときに何とか助けてやろうという ので生まれた保険制度でございます。それが昭和36年国民皆保険になりますと、歯科医師 の生活を左右する法律になってしまいました。したがいまして、歯科医師はこの保険制度 に縛られて生きていく、それに縛られて国民の健康な生活を考えるようになってきたわけ です。

この保険制度のところで一番のポイントは、病気を対象にしているのが健康保険です。 したがいまして、病気でないものは対象にならない。確かに大正11年のころは、病気とい うものはそういうふうな考え方でよかったと思いますけれども、最近は健康の連続相とい う発想が生まれてきています。・・・続く」

端的に解釈すると、病人(患者さん)は病院・医院にて病気を治す。
では病人でない人が予防のために行くところは?
現実的には、健康な人を、(初期の)病気と診断して
治療というよりは、極めて予防に近いケアを提供しているわけです。
まあ、これもひとつの方法でしょうけど、なんかしっくり来ないのが本音です。

健康保険制度を否定する気はさらさらありませんが、
歯科医師として、世の中の流れとして「治療より予防」だと思います。
歯を削ることには、医療費の公的負担は可能だが、
歯を守ることには、保険はカバーしない

となると、予防は何処で可能なのか?
予防に特化した施設をつくっても、支払いは完全自費となるわけです。
理想は「治療は保険」「予防も保険」でしょうけど、
制度の変更を当てにしていても、いつのことやら。
(あくまでも噂ですが、予防が保険に導入される時に、一部の治療が保険から外される、という話もあります。「治療の一部だけ保険」「予防は保険」となるかも)

さて、ホリエモンの本の139頁に
「あとやってほしいのは、自宅への出張歯磨き&ホワイトニングサービス」
とあります。同感です。
結局、利用者(健康な人)にとってきちんとした受け皿(施設・システム)がないということが問題のようです。

割とオススメ

 

メタボとムシバ

メタボとムシバ
メタボリックシンドロームとムシ歯(歯周病)
共通点は両者とも生活習慣病と言われます。

厚生省によると「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義しています。

ムシ歯は原因(プラークの存在)と結果(ムシ歯になる)が極めて明確な病気です。
すなわち、歯の表面に長期間プラークが存在すればムシ歯になる、ということがはっきりしています。
皆さん、他にこのような病気があるでしょうか?
一方で、メタボリックシンドロームとの大きな違いは、
「原因を第三者が容易に除去可能である」だと思います。
体内脂肪を第三者が除去することは困難ですが、
歯の表面についたプラークを取り除くことは容易です。

このように「ムシ歯」においては、
犯人が明確で、その捕らえ方も比較的容易です。
しかしなぜ、ムシ歯は無くならないのでしょうか?
生活習慣がベースにあるからというのも一因。

食事前に手が汚れていればきちんと洗います
にもかかわらず、汚れた歯で食事することは日常茶飯事。
理由は、歯の汚れは見えないから(見にくいから)
手の汚れは目に見えます、
汚れが落ちたことも目で確認できます。
口の中はさにあらず・・

食事のために歯を使います
使った歯をきれいに洗いましょう
そうすれば、病気にもならないし食事も美味しく頂けます。

こんなシンプルなことがなぜもっと容易に実現できないのか?
不思議です。

シンプルイズベスト!