BBTime 647 拙を守る

「木瓜咲くや漱石拙を守るべく」夏目漱石

2024/02/10投稿 2/11追加 2/14追加 2/17動画追加
鹿児島には春がそこまで来ております。句の解説『花そのものではなく、木瓜(ぼけ)という語感に着目した句だ。「拙を守る」とはへんてこな意志と思われるかもしれないが、漱石のような才気横溢した人にとっては、おのが才気のままに流れていくことは、たぶん怖いことだったのだろう。才気には、知らず知らずのうちに現実から遊離してしまうという落し穴がある。小説家にしてみれば、この穴がいちばん恐ろしい。だから、どうしても「拙を守る」強固な意志を持ちつづける必要があった。「世間には拙を守るという人がある。この人が来世生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい」(『草枕』)。そして漱石ならずとも、現代人の多くはいま木瓜になるべきときかもしれない。シャープという名の小賢しさが一掃されたら、どんなに気持ちがよいことか。私が俳句を好むのも、俳人には「拙を守る」人がたくさんいるからである。とは、それこそまことに小賢しい言い方かもしれないが……。『漱石俳句集』(岩波文庫)所収。(清水哲男)』(引用元)。先日目にした記事「認知症を引き起こすアカン習慣13選」について、ズバリ認知症予防のお話。

まず『「拙を守る」とは、漱石が好んだ言葉で、生き方の基本としたものという。世渡りが下手なことを自覚し、それをよしとし敢えて拙を曲げぬ愚直な生き方、俗世に媚びて利を追求する事を卑しとする心』(引用元)。さて記事を見ていきましょう。
「日常生活の改善で発症リスクは約4割も下げられる」・・厚生労働省の推計によると認知症の患者数は2025年に約730万人にのぼり、65才以上の5人に1人は発症するとされている。もはや誰もが認知症に罹(かか)ると思った方がよさそうだ。最近の研究によると普段の習慣が認知症を招く要因になっていることがわかってきた。認知症を予防するためにやってはいけない生活習慣について専門家が解説する(記事)。
「2020年、世界五大医学雑誌のひとつ『ランセット』に、認知症の発症にかかわる12のリスク因子が掲載されました。それは、飲酒、喫煙、糖尿病、肥満、高血圧、頭のけが、運動不足、難聴、社会的孤立、うつ病、教育歴、大気汚染です。これらに加えて、睡眠の重要性も説かれており、これらを改善することで認知症の発症リスクを約4割下げられるといわれています。いまから、認知症になりにくい生活習慣を身につけておくことが重要です」(記事)。

では「アカン習慣13選」とは。
【1】たばこを吸う・・周りの人にも悪影響が!
「中年期(40~64才)以降も喫煙を続けた人は、非喫煙者に比べてアルツハイマー型認知症になる可能性が2倍、血管性認知症は2.9倍高いとされます」。受動喫煙者もリスクが上がるので要注意。・・脳内の循環
【2】愚痴や悪口を言う・・ネガティブ思考が機能低下を招く
「どうせ自分なんて」といったネガティブな思考は認知機能の低下を招く原因になるという。「悪口や批判的な態度は自分のストレスを助長するだけでなく、家族や友人が離れ、社会的な孤立を深める原因になるのでやめましょう」。・・ネガティブ(自己否定)
【3】料理はしない!食事は外食やデリバリーが中心・・“料理”は最適な脳トレに!
コロナ禍の影響でデリバリーが習慣化したり、もともと外食中心の食生活で料理をしない人もいるようだが、料理には脳を活性化させる効果がある。「脳の前頭前野の働きが活発となり、血流が増加したという研究結果も。簡単なものでいいので料理は毎日続けましょう」。・・脳の不活性

【4】面倒なときは歯みがきをサボりがち・・ムシ歯や歯周病が認知症を招く
「歯の健康と認知症の関係は深く、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の発症因子アミロイドβの生成・蓄積を促進させることがわかっています。さらにムシ歯菌が認知機能の低下と関係していることも明らかに」。口腔内の健康が脳の健康につながると覚えておこう。・・歯周病菌が原因
【5】休日は誰にも会わず家でダラダラ~人に会わないと脳が衰える
他者とのコミュニケーションは、脳を刺激し、脳の発達を促進させる。「家にひとりで閉じこもっていては、人と話す機会が減るだけでなく、社会的孤立にもつながります。買い物に行く、カルチャースクールに通うなど、意識的に外出する用事を作って」。・・脳の不活性、ネガティブ
【6】イヤホンをして音楽を聴く・・使用自体を控えるのが望ましい
「イヤホンやヘッドホンを使い、大きな音量で音楽を聴き続けると、音を伝える役割をしている内耳の有毛細胞が徐々に壊れて難聴になりやすくなります。使用は控えた方がよいでしょう。やむなく使う場合は、音量に気をつけ、1日1時間未満に」・・難聴のリスク

【7】欲求は悪!“三大欲求”はできるだけがまん!・・欲求は満たすことこそ大切です
「認知症予防には、ストレスをためないことが大切です。人が心の底からリラックスできる状態は実は、食欲・性欲・睡眠欲の三大欲求が満たされることで成立します。性欲を満たす方法は、異性と体を重ねるだけでなく、ペットなどの動物や子供と触れ合ったり、“推し活”などの疑似恋愛でもかまいません。“ときめくこと”で、脳が活性化されます」・・脳の不活性
【8】美を維持するため筋トレは必須!毎日、ダンベルを上げています!・・筋トレのやりすぎはかえって危険!
「認知症予防に運動は大切。筋力維持を目的とした適度な筋トレはいいですが、50代以上でムキムキになるくらいの過度な筋トレは、けがや病気のもとに。認知症予防が目的なら有酸素運動が有効です。おすすめは、週2~3回、1回30分以上のウオーキング。認知機能の低下防止だけでなく、代謝がよくなり血糖値や血圧の改善も期待できます」・・怪我、ストレス
【9】ちょっとした不調でもすぐ市販薬をのむ・・必要以上の服薬は控えた方が◎
ちょっとした不調ならば、ドラッグストアなどで手に入る薬をのんで様子をみるという人も多いが…。「市販の風邪薬、花粉症薬、胃酸の分泌を抑える薬、せき止め薬、睡眠改善薬などの中には、認知機能に影響を及ぼす成分が含まれているものも。過度な服用は控え、不調時は病院で適切な薬をもらいましょう」。・・薬は毒

【10】簡単な計算にすら電卓を使う・・計算は効果的な脳トレに
「脳は使わないとどんどん衰えてしまうので、日常生活で計算する習慣を作るのがおすすめです。たとえば、買い物をしながら合計金額を算出することで、計算力と記憶力が鍛えられます」・・脳の不活性
【11】失敗が怖い。得意なことしかやりたくない・・ささやかな“初体験”を心がけて
「年齢を重ねると何事も慣れ親しんだものを選びがちですが、新しい体験をすると脳の神経細胞が活性化。いつもと違う道を通る、新しい店に入るなど、ささやかでいいので“初体験”を心がけて」・・脳の不活性、ネガティブ
【12】いつも同じ人としか話さない・・知らない人との会話が脳の刺激に
「親しい人との会話は気楽で楽しいですが、緊張感が不足するかも。初対面やあまり話したことのない人との会話の方が、相手がどんな人か探りながら話すので脳への刺激も強くなります」・・脳の不活性、ネガティブ
【13】心配性で、何度も確認したくなる・・声を出して笑ってみよう!
「スウェーデンの大学が行った調査によると、心配性な人ほど認知症になりやすいとのこと。人は笑うと脳が活性化し、心身もリラックスします。心配性な人は、意識的に声を出して笑ってみて」(出典)。脳の不活性、ネガティブ

・中国原産。実が瓜のような形であるところから「木瓜」。「木瓜」を「もっけ」と呼んでいたのが 次第に 「もけ」→「ぼけ」になった。(「ぼっくわ」→「ぼけ」の説もある) ・花の色は赤、白、ピンクなど。枝にトゲがある場合とない場合がある(引用元)。

拙(小生)なりにまとめてみます。(2/11追加)
1)喫煙・・脳内の血液循環悪化
2)愚痴悪口・・ネガティブ・自己否定
3)料理しない・・脳の不活性
4)歯磨きサボリ・・歯周病菌による慢性炎症
5)人に会わない・・脳の不活性、ネガティブ
6)イヤホン使用・・難聴のリスク
7)我慢・・脳の不活性、ヒト本来の否定
8)筋トレやりすぎ・・怪我リスク、ストレス
9)薬の服用・・薬は毒
10)暗算しない・・脳の不活性(漢字の確認でも可)
11)失敗が怖い・・脳の不活性、ネガティブ(今さら失敗はない)
12)同じ人のみ・・脳の不活性、ネガティブ
13)心配性・・脳の不活性、ネガティブ
さて、いくつ当てはまりましたか?ご覧のように殆どが脳の不活性、言い換えれば「脳を使わない」。「廃用性萎縮:はいようせいいしゅく」使わないと使えなくなる!脳をもっともっと使いましょう、よりポジティブに、より楽しく。例「テレビ捨ててラジオ聴こう」「クルマ捨てて歩こう」さっそく今日から、いや今から!
皆様ご自愛の程ご歯愛の程。
2/14追加・・セミナー用2040年問題(詳しくはこちらを)。






BBTime 646 自ら然り

「春立つと古き言葉の韻よし」後藤夜半

2024/02/04 立春投稿 2/5追加
暦では春。句の解説『韻は「ひびき」と読ませる。昔から、立春の句や歌は数多い。それだけに、後代になるほどひねくりまわし過ぎた作品が目立つようになってきた。止むを得ないところではあるけれど、だからこそ、逆に立春という題材をどう扱うかは、俳人や歌人の腕の見せどころでもある。「芸の人」夜半としては、そこでしばらく考えた。考えた結果、立春のあれやこれやの情景を捨て去って、一見すると素朴な発想のこの一句に落ち着かせることにした。さすが、である。つまり、この句には古今の名句や名歌のひびきが、すべて収まってしまっているからだ。さりげなく「他人のフンドシで相撲をとる」のも、立派な芸というべきだろう。脱帽。(清水哲男)』(引用元)。この時期、好きな句です。句とは関係なく「自然:じねん」「自ら然り:おのずからしかり」について。
もうひとつ好きな句のご紹介(2/5追加)
「雨の中に立春大吉の光あり」高浜虚子

北原白秋の詩「薔薇二曲」
「薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花サク。 
ナニゴトノ不思議ナケレド。

薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
照リ極マレバ木ヨリコボルル。
光リコボルル。」

薔薇は向井バラ園@mukai_rosegarden 

ネットで見つけた文章
『なんのことはない。薔薇の木に薔薇が咲いたというだけだ。
しかし、考えてみれば不思議なことではないか。だれもなにも教えていないのに、時期がくればちゃんと咲くのだから。 
 動物だって、右足が出れば左足がでるというように、左右交互に手足が動くから歩いたり走ったりできるのだし、呼吸をすることも、心臓が動くことも、自分の意志とはまったく関係ない働きである。
 すべての生き物に備わっているこの不思議な働き。
 これこそ、天からの授かり物だろう。
 春来たらば草自ずから生ず、である。』(引用元)。
自ずから生ず・・まさに「自ら然り」自然(じねん)です。

自然(じねん)をネットで見ると・・
『「春は名のみの風の寒さや」
 暦の上では春なのに寒い日々が続くとき、この「早春賦(そうしゅんふ)」の詞章を想い出す人は優れた感受性の持ち主である。今や人間は大自然に住まうのでなく、改造された人工環境の中で生活している。
 今日、私たちが「自然」と言う場合、山川草木や雨や風など、人間を取り巻く外的な環境のことを指す。そのような自然環境は人間に対立するものであり、自分たちに都合のよいように改造できるものと考えてきた。その結果、地球の温暖化や砂漠化、水や大気の汚染などの様々な問題を惹起した。どれもこれも人間の我が儘が原因である。人間は自然を支配しようとするが、自然は人間の支配の対象ではない。
 仏教では、自然を〈じねん〉と訓じて「自ら然る」という意味に解する。人間の作為のない「そのまま」の在り方が自然である。法(真理)が「そのまま」に顕現していることを示す法爾(ほうに)と自然とは同義語で、その両者を合わせて「自然法爾(じねんほうに)」「法爾自然(ほうにじねん)」という四字熟語ができた。
 浄土宗開祖の源空は、「法爾自然」を略して法然と号した。浄土真宗を開いた親鸞は、「自然法爾章(じねんほうにしょう)」と称する一文を認め、その中で「自然といふは、自はをのづからといふ、行者のはからひにあらず、然といふはしからしむといふことばなり」(『末燈鈔(まっとうしょう)』)と説いている』(引用元)、こちらも。

薔薇がバラとして何事もなく咲くように、ヒトもまた自然(じねん)。Wikipediaには特徴として『直立二足歩行 現存生物で唯一ヒトのみが直立二足歩行を行う。 二足歩行のみなら鳥類やカンガルー、一時的な二足歩行であれば一部の哺乳類が行えるが、頭から足までまっすぐ伸ばした直立姿勢を取るのはヒトのみ』
『コミュニケーション能力 脳・声帯が発達しており、(身振りだけでなく)音声(音声言語)・手話や文字(書記言語)によるコミュニケーションを図れる』
加えて『全体として「大型」「群れる」「中速度で長距離を移動する」「調理された質の良い、多様な食物を食べる」「投擲など自分の体から離れたものを利用する」ことが動物としてのヒトの特徴・生態的地位といえる』(引用元)。

シンプルに考えるに、ヒトは「歩く」「食べる」「話す」が自然(じねん)、自ら然りでしょう。歩くについては「BBTime 644 歩く!」を、食べるは「BBTime エンタメ」を、話すは「BBTime 640 セイタイハイリョ」もご覧ください。皆様、是非ご自愛の程ご歯愛の程、自ら然りで人生を楽しみ尽くしませんか!