BBTime 423 風呂上がり

BBTime 423 風呂上がり
「風呂吹にとろりと味噌の流れけり」松瀬青々

美味しい句です!解説には『句も上手いが、この風呂吹大根もいかにも美味そうだ。「とろりと」が、大いに食欲をそそってくる。あつあつの大根の上の味噌の色が、目に見えるようである。松瀬青々は大阪の人。正岡子規の弟子であった。大阪の風呂吹は、どんな味噌をかけるのだろうか。東京あたりでは、普通は胡麻味噌か柚子味噌を使うが、生姜味噌をかけて食べる地方もあるそうだ。私は柚子味噌派である。いずれにしても、大根そのものの味を生かした料理だけに、子供はなかなか好きになれない食べ物の一つだろう。大人にならないと、この深い味わい(風流味とでも言うべきか)はわかるまい。ところで、「風呂吹」とは奇妙なネーミングだ。なぜ、こんな名前がついているのか。どう考えても、風呂と食べ物は結びつかない。不思議に思っていたところ、草間時彦『食べもの歳時記』に、こんな解説が載っているのを見つけた。「風呂吹の名は、その昔、塗師が仕事部屋(風呂)の湿度を調整するために、大根の煮汁の霧を吹いたことから始まるというが、いろいろの説があってはっきりしない」と。『妻木』所収。(清水哲男)』(解説より)。今回は風呂吹きならぬ「風呂上がりに御注意」のお話。

先日、温泉銭湯にゆったりとつかってきました。近所にポツポツと銭湯(温泉)があります(まだ残っています)。その温泉、存在は知ってましたが今回初利用。夕方四時過ぎ、結構冷たい風が吹く中、玄関を入り番台で入浴料(420円)払って男湯へ。昔からある銭湯でよく見かける光景に「体操おじさん」がいらっしゃいます、ここも然り。見た目七十後半のその方はタイル(浴場の床)にお尻を落として、股割り(見事!180度開脚)前屈など、体操と言うよりストレッチを結構長い間されていました。体操後一足先に出られました。

入浴後、脱衣所に行くとその方が床に大の字・・バタンと倒れられたとのこと。ヒートショックです。ヒートショックとは、特に冬の時期、急激な温度差で起きやすい起きやすい現象で『ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動することで起こる、急激な温度変化が影響し、血圧が大きく変化することが原因で起こる健康障害です。失神、脳梗塞、心筋梗塞や不整脈などが引き起こされ、浴室で起こると転倒の危険や、湯船で溺れるなど、命に関わる場合もあります』(出典はこちら)。入浴の際は「入浴前から入浴時の温度差」「入浴後の脱衣所での温度差」などが引き金となります。こちらこちらの記事もご参考に。

レイアウトは様々ですが、その温泉は空間的に玄関と脱衣所が繋がっており、出入り口の戸が開けば外気が脱衣所まで届く間取りでした。玄関と脱衣所の間にロビー(フルーツ牛乳などを飲む空間)が存在する銭湯もあります。その日、外は結構強い冷たい風でしたので出入りのたびに冷気が流れ込み、脱衣所の室温は普段より下がっていたのかもしれません。

見るとその方はのびてます・・頬を軽く叩きながら声をかけても反応なし。ヤバイ!と思い再度声かけすると「んー」と反応あり。数秒後「大丈夫」と弱々しい返事。番台からおばさんがすかさずポカリスエット。一口飲んで再び大の字、ビッショリと冷や汗をかいていらっしゃいました。その後しばらくしてトイレに・・大事には至らなかったようです。

自宅でも入浴直前に浴室を熱めのシャワーで温め、扉を開けたままにして少しでも脱衣空間の温度を上げる。入浴後は脱衣空間ではなく、浴室で水分を拭き取り可能な限り浴室内で着衣するなどの予防策が考えられます。またお風呂上がりのみならず、入浴前の水分補給も効果ありとのこと。ご自愛の程。4120

BBTime 422 革命的

BBTime 422 革命的
「居酒屋の灯に佇める雪だるま」阿波野青畝

今冬は雪不足のようで(鹿児島は降らないので伝聞)「佇める(たたずめる)雪達磨」も少ないのでしょうか。今回は、前々回「うどんの形」に書いていた「革命的デザイン」についてのお話。

AERA の綴じ込み付録です。いつのAERA か不明ですが、まだジョブズ氏ご存命であった時だと思います。8番目の言葉として紹介されているのが「時折、革命的な製品が出てきて、すべての様相を一変させてしまう:Every once in a while a revolutionary product comes along that changes everything.」です。iMac iPod iPhone iPad・・と革命的製品を立て続けに世に送り出しました・・人々の生活は一変しました。その後、Apple Watch AirPods など、これまた人々の生活を変える(であろう)製品を生み出しました。付録の裏表紙には「We innovate out. 我々は革新で苦境を切り抜ける」とあります。

Appleデザインに関する記事『Appleに影響を与えた伝説の工業デザイナー、ディーター・ラムスの「いいデザインの10か条」』を見つけました。十ヶ条とは・・・
1)いいデザインは革命的である。Good design is innovative.
2)いいデザインは製品を使い易くする。Good design makes a product useful.
3)いいデザインは美的である。Good design is anesthetic.
4)いいデザインは理解し易くする。Good design makes a product understandable.
5)いいデザインは出しゃばらない。Good design is unobtrusive.
6)いいデザインは正直である。Good design is honest.
7)いいデザインは長く続く。Good design is long-lasting.
8)いいデザインは首尾一貫している。Good design is thorough down to the last detail.
9)いいデザインは環境に優しい。Good design is environmentally friendly.   10)いいデザインはデザインが最小限である。Good design is as little design as possible.

詳しくは、ぜひ記事を読んでください、動画も是非!これら十ヶ条のひとつひとつに納得します。特に10番目の「最小限である」は、Apple製品には色濃く反映されていると思います。結構以前よりApple製品には「取扱説明書」が付いていません。「使い易く、理解し易く、最小限」であるからこそ使用中に使い方を習得してゆくのだと思います。と同時に残り二分か三分、もしくはそれ以上を使用者に委ねているような気もします。「革命・革新」とは製品が100%そうではなく、使用することで生活を「革命的・革新的」に変えていくのではないでしょうか。

我田引水、親バカちゃんりんです(笑)。「チョコブラシ」デザインのベースには「いつでもどこでも:everytime everywhere」「くさびじょう欠損をつくりにくい」「環境に優しい」などがあります。文献上1498年に現在の歯ブラシの原型が中国で作られました。お分かりのように、五百年前と今とでは食べるものも生活様式も全くと言っていいほど違います、全く同じものは「歯の形」だけ!それ故、歯ブラシの形が五百年間不変だったとしたら・・如何なものでしょうか?チョコブラシが革命的製品と言うのは憚れますが、使う人の「歯磨き」を変えるチカラ(デザイン)を持っていると自負しております。

最後に雪だるまとスノーマンのデザインについて。先日ラジオでこの両者の違いを話してました。スノーマンはパーツが三つ「頭・胴・足(下半身)」、日本の雪だるまは「頭と胴」のふたパーツ、だから達磨さんであるとのこと。句の解説は『繁華街に近い裏小路の光景だろうか。とある居酒屋の前で、雪だるまが人待ち顔にたたずんでいる。昼間の雪かきのついでに、この店の主人がつくったのだろう。一度ものぞいたことのない店ではあるが、なんとなく主人の人柄が感じられて、微笑がこぼれてくる。雪だるまをこしらえた人はもちろんだけれど、その雪だるまを見て、こういう句をつくる俳人も、きっといい人にちがいないと思う。読後、ちょっとハッピーな気分になった。『春の鳶』所収。(清水哲男)』(解説より)。チョコブラシで磨いてもらって「ちょっとハッピー」になって頂ければ幸いです。3720




https://vimeo.com/30462683
追加:付録についてネット検索したら 2011/06/29発売号でした。因みにSteve Jobs氏命日は 2011/10/05。

BBTime 421 耳うどん

BBTime 421 耳うどん
「パンに耳うどんに腰や冬うらら」千坂希妙

バイアスがかかってました(笑)。毎日新聞朝刊(1/13付)に、この句を見た瞬間「耳うどん」が俳句に詠まれてる!と驚き「パンに 耳うどんに 腰や冬うらら」と読んでしまい何度読んでも「?」意味不明・・前回「うどんの形」をアップしたので頭の中に「耳(から)うどん」が茹で上がっていました。皆様は、お分かりのように「パンに耳 うどんに腰や 冬うらら」です。普通に読めばすんなりと解説文も理解できます。(バイアス:思い込みや偏見)

以下解説より『「パンに耳うどんに腰」がある。では、大根には?答えは「足がある」だろうか。とまれ、こうした言葉遊びを楽しむような、いわば能天気でおだやかな日和、それが季語「冬うらら」』(毎日新聞季語刻々より)。

「大根には足がある」もバイアスがかかっているような気がします(笑)。「首がある」も正解では?(青首大根があるでしょ)。さて「お菓子を食べすぎるとムシ歯になる」・・これもバイアス。他の食べ物でもムシ歯になります、砂糖が僅かでも含まれていればムシ歯になり得るのです。肝心なのは「何を食べてもいいので、食べた後にいかにキレイにするか」。お菓子→甘い→砂糖が多く含有であれば、ムシ歯のリスクは高くなりますが「お菓子の食べ過ぎ=ムシ歯発生」ではありません。

さらに「歯を磨けばムシ歯予防できる」も思い込みです。歯を磨くことはできますが、完全に磨き上げることは、ほぼ無理難題なのです。そのため歯医者の口から「あまりお菓子を食べないように」の一言が出るのです。毎日100%磨き上げるのは無理ですが、乱暴な言い方をすると「一週間で磨き上げる」ことは可能です。歯ブラシのみならず、フロスや歯間ブラシも使ってくださいませ。定期的(せめて3ヶ月に1回)な歯科受診もお勧めします。チョコマカ磨きしやすい「チョコブラシ」もオススメです!2120

BBTime 420 うどんの形

BBTime 420 うどんの形
「なんとなく松過ぎ福神漬甘き」岡本 眸

お正月にカレーと聞くと「おせちもいいけどカレーもね!」を思い出します。ククレカレーサイトには『1976年(昭和51年)以降、年末年始に流された買い置き訴求の「おせちもいいけどカレーもね!」というキャンディーズのCMが話題となりました』(ハウス食品)。今回はモノからコトに変える「形」について。

消費が「モノからコト(経験・体験)に変わった」と耳にして久しくなります。少々前の(2016/3/29)記事ですが「モノからコトへ。ユーザーの変化を追え!」には・・『人は体験に価値を見いだす―。モノからコトへのパラダイムシフトが叫ばれて早くも10年がたち、ユーザーの体験価値(UX)の重要性はいたるところで叫ばれています』(記事はこちら)とあります。例として車所有は・・『モノに対する価値観の変化の代表例が、若者の自動車に対する興味関心の低下です。かつて多くの若者は、とにかく車を欲しいと考えたものでした。ところが最近では、自分では車を持たず、必要なときに必要な分だけレンタルできる「カーシェアリング」の登録者数が増加しています。ユーザーは、車を所有すること自体には価値を見いださず、車を利用することで得られる体験価値に対価を支払っています。これはまさに「モノからコトへのパラダイムシフト」です』。また薄型テレビの例は・・『当時、薄型テレビは「作れば売れる」そんな時代でした。高額にも関わらず、生産が追い付かないほど売れたものです。ところが、液晶(プラズマ)パネルさえ手に入れば簡単に作れる薄型テレビは、韓国や台湾などのメーカーが市場に参入した途端に価格破壊が起こり、全世界で過酷なコスト競争時代に突入しました。ユーザーに受け入れられるテレビとは何か。われわれは毎日のように議論し、アイデア出しに明け暮れました。しかしながら、どんなに機能を追求しても、デザインを良くしても、ヒット商品は生まれません。理由は明確です。ユーザーにとって、テレビの経験価値(UX)とは、結局のところコンテンツ(映像)だからです。テレビ自体の機能の差はほとんどなくなり、メーカーがどれだけ頑張って高機能テレビを作ったところで、価値を創出することができなくなってしまったのです』(記事より)。この記事と少しずれるとは思いますが・・

画像はご存じ「AirPods」。巷では「耳からうどん」とも評されました。昨年秋から「うどん」を使用するようになって「モノからコトへ変える形」を痛切に感じます。これまでも良い音質のイヤホン(B&O)とか、ノイズリダクションヘッドフォン(BOSE)も使いましたが、完全コードレスイヤホンの威力には感心させられます。入浴以外はほぼ使用可能で、他のこと(作業・行為)が同時にできます。あたかもラジオの中に入っているような心地よさ(聴こえ良さ)を十二分に堪能してます。

語学学習(聞き流し)や数々の講演会(ラジオ番組)など、装着した途端に語学学校や講演会会場にいるかのようで、ランニングの際にはエンハンサー(背中を押してくれるもの)として聴いてます。ラジオ各局は聴き逃しサービスを用意してますので、昔々の「エアチェック」よろしく「聴き逃しチェック」をこまめにすれば、それはそれは充実したプログラムを享受できます。

年明けに腕にした(手にした)Apple Watchはまだまだ使いこなせていませんが、AirPods同様「モノからコトへ変えるモノ」であることを実感します。アメリカ建築の三代巨匠のひとり「ルイス・サリヴァン」の有名な言葉「Form follows function.」・・『「形式は常に機能に従う。(form ever follows function. )」は通常「形式は機能に従う。(form follows function. )」に短縮されて用いられる。近代以前の建築は、形態を作る時に様式を根拠にしていた。当時の自動車が馬車を模倣したように「歴史」に従っていた。サリヴァンは方程式を解いていくと、結果的に美しいものができると説いた。この言葉はバウハウスなどモダニストの合言葉にもなった。』(Wikipediaより)。彼の言葉を逆さにして「Function flows from form.=機能(できること)はカタチから生まれる」(flow from:Success flows from health and intelligence.成功は健康と頭の良さから生まれる)・・まさに「コトを変える形」

何度か紹介している「チョコブラシ」・・これも「コトを変える形」と自画自賛しております。ご興味ある方はお試しください。次回はアップル製品に影響を与えたと言われているデザイナーに関する記事「Appleに影響を与えた伝説の工業デザイナー、ディーター・ラムスの「いいデザインの10か条」について。0970




おまけ:福神漬けについて句の解説より引用『おせち料理や餅に飽きた頃のカレーライスは、新鮮な味がする。添えられた福神漬に、作者はこんなに甘い味だったのかと、感じ入った。普段、福神漬をことさらに味わって食べることはなかなかないけれど、この場合、作者はたしかに味わっているのである。そこで、なんとなく松の過ぎていった感じが、読者にもなんとなくわかるような気がしてきて微笑ましい。福神漬はむろん七福神を連想させる効果もあるわけで、作者に残るいささかの正月気分とも呼応している。それにしても、ありがたい七福神を漬物にしてしまったという「福神漬」の命名は大胆不敵だ。ちなみに福神漬の中身は、ダイコン、ナス、レンコン、ナタマメ、ウリ、シイタケ、シソの七種類。明治十八年(1885)創製の東京名産である。』(解説より)。

BBTime 419 百年一緒

BBTime 419 百年一緒
「一所懸命紅梅も白梅も」西嶋あさ子

まだお正月気分に浸っていたいのに「紅梅白梅」とはちと早いのですが、これまたご容赦を。句の解説には『NHK放送文化研究所によると、「一所懸命」は武士が賜った「一か所」の領地を命がけで守り、それを生活の頼りにして生きたことに由来した言葉で、これが転じて「物事を命がけでやる」という意味となったという。そのうち文字のほうも、命がけで守り通すことから、一生をかけての意味を強め「一生懸命」とも書かれるようになったようだ。今では「一生懸命」と表記・表現される場合が多くなり、多くの新聞や雑誌、放送用語で統一して使用されているという。しかし、掲句を見ると、やはり「一所」でなければならないことが確かにあると思う。ひとところを死守するのは、人間も植物も同じである。毎年同じ場所で、同じ枝からほつりほつりとほころび始める。梅の花がことにつぶらで健気に感じられるのは、冴え返る清冽な空気によるものだろう。一所懸命という音には、凛々しさとともに、痛々しいような切なさもどこかに感じられる。身を切る空気のなかで咲く梅のもつ不憫さも、この言葉は抱えているのである』(解説より)。今回は一所と同じ「一緒」についてのお話(古くは一緒は「一所」と表記:新明解国語辞典より)。

拙ブログお読みの方は「ハハーン」とお分かりのように「百年一生」「百年一笑」に続いての「百年一緒」です。新明解国語辞典には「一緒:二人以上の人が同じ行動をすること」とあります・・そうです、ヒトと歯は「百年一緒」まさしく一蓮托生(正確には歯の方が若干(数年)短くなりますが)なんです。

一蓮托生・百年一緒のわけは?ズバリ「歯は新陳代謝をしないから」です。言わずもがな他の部位は新陳代謝いたします。例えば爪は6か月、皮膚は28日、髪の毛が2年から6年、心臓は3週間、胃は1週間、肝臓は2か月などで細胞が入れ替わります。3か月でほぼヒトの体の細胞が全て新しくなるとも聞きます。速いヒトでは2年で髪の毛に至る体の全てが生まれ変わることになります・・しかし歯は新陳代謝しません。そこで必要な事は・・・?

「百年一緒」は目出度い席で謡われる「高砂」に通じます。掛け軸に見られる老夫婦・・「俗謡に「おまえ百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで」と謡うものがあり、これも『高砂』の尉・姥に結びつけて考えられている。俗説として、「百」は「掃く」、すなわち姥の箒を意味し、「九十九まで」は尉の「熊手」を表すのだという」(Wikipediaより)。驚きですね!高砂の老夫婦は熊手と箒で掃除しています。・・もうお分かりですね!百年一緒のコツは「掃除」です。新「高砂」図では(じょう:老人)は歯ブラシを、(うば:老女)は糸ようじを持って欲しいところです(一笑)。「百年一生」「百年一笑」「百年一緒」のためには諦めていただいて、チョコマカ磨いてください。チョコマカ磨きしやすい「チョコブラシ」をデザインしました、ご興味ある方はこちらをご覧ください。6750

BBTime 418 百年一笑

BBTime 418 百年一笑
「三日月ほどの酔いが情けの始めなり」原子公平

掲句は季語が「三日月」で秋です、ご容赦の程。解説には『季語は「(三日)月」で秋。長い酒歴のある人でないと、こういう句は詠めまい。『酔歌』という句集があるほどで、作者は無類の酒好きだった。「三日月ほどの酔い」とは、飲みはじめのころの心的状態を言っている。ほろ酔い気分の一歩手前くらいの心地で、酔っているとは言えないけれど、さりとて全くのシラフとも言えない微妙な段階だ。おおかたの酒飲みは、この段階でぼつぼつ周囲の雑音が消えてゆくことが自覚され、自分の世界への入り口にあるという気持ちが出てくる。すなわち、シラフのときには自制していたか抑圧されていて表には出さなかった(出せなかった)「情け」が動き「始め」るというわけだ。「情け」といっても、いろいろある。「情にほだされ」て涙もろくなることもあるし、逆に「情が高ぶって」怒りやいじめに向かうこともある。加えて、曰く言いがたい酒癖というものもある。だが、いずれにしても、「知」よりは「情」が頭をそろそろともたげてくるのがこの段階なのであって、飲み始めた当人にその情がどこに向かうのかがわかりかけるのも、この段階だ。作者は今宵もひとりで飲みながら、長年にわたる飲酒を通じて生起した様々な心的外的な出来事を振り返って、すべての「始め」はこのあたりにあったのだなと合点している。「情けは人のためならず」と言うが、酒飲みの情はその日その日の出来心によるから、人に情けをかけたとしても、必ずしも自分のためになるとは言いがたい。酒好きには、しいんと身につまされる一句だろう。『夢明り』(2001)所収。(清水哲男)』(解説より)。今回は「智と情」についてのお話。BBTime 416「百年一生」もご参照のほど。

画像は昨年晦日(2019/12/30)の朝日新聞「折々のことば」です。『智は、いつも、情に一ぱい食わされる。 ラ・ロシュフコー 人がなす推論や判断は、期待や恐怖、自愛や憎悪といった感情に知らぬまにバイアスをかけられ、あらぬ方向に向かう。希望的観測というのはその典型だ。知性は撓(たわ)みやすいものなのだ。だからだろう、知性はみずからに明確な根拠や厳密な方法を課してきた。推論や判断は、性急にではなく丹念に、そして注意深くと。17世紀フランスの公爵の『箴言(しんげん)と考察』(内藤濯(あろう)訳)から。(鷲田清一)』 句の解説にもあるように「情(感情)が智(知性・科学的根拠)に勝る」のが人の性(さが)。健康より「美味しい・甘い」が優先されるのでヒトは太り、ムシ歯のリスクが高まります。

これから「百年一生」の時代です・・かと言って必ずしも「健康=幸福」とも言い切れないと思います。「一病息災」に一理あるのも然り、健康の為に生きるのではなく、自己の満足のために生きる。時に、不健康でなことであっても人々が「喜び」を優先させるのも、これまた「人の性」。

「破顔一笑:はがんいっしょう」とは、顔をほころばせて、にっこり笑うこと(出典)。百年一生のためには、情が智に勝る事もある、欲が理性に勝つ事もある、これが人生でしょうねと 2020年の始めに「百年一笑」・・これもなかなか良いんじゃないとほくそ笑むのでした(一笑)。

ご存じの方も多いでしょう、黒田清輝の「智・感・情」です。詳しくはこちらこちらをご参照ください。話飛びますが「美術館に行く人は「長生きする」傾向、英大学の調査で判明」の記事を見つけました。長寿の秘訣のひとつに「美しいものに触れる」があるようです。そう言えば、夏目漱石「草枕」は・・・
『山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高こうじると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟さとった時、詩が生れて、画が出来る。』  やはり、人生に「美しい・美味しい」は必須です・・百年一笑!
「智:wisdom」にかけての曲です。6400


BBTime 417 門松の竹

BBTime 417 門松の竹
「まつかれてたけたくひなきあしたかな」作者不詳

ネットで見つけた画像です、よく見ると竹が水平に切ってあります。「寸胴:ずんどう」と呼ばれネット記事には『門松の寸胴は水平に竹が切られている状態のものを指します。こちらの形が実は門松の本来の形状で、そぎの切り方は後ほど現れた形です。元々は寸胴の方が一般的で、江戸時代以前は寸胴でした。江戸時代になっても武家の家では寸胴の門松が飾られたと言われています』(出典はこちら そぎ:斜めにカット)とありました。

では斜めカット(そぎ)の由来は・・結構えぐい話です。冒頭の句の解説に『新年早々、頭の体操です。この句は、どう読んだらよいのでしょうか。時は戦国時代。元亀四年正月。浜松北方の三方ケ原で武田軍との合戦に破れ、浜松城に逃げ帰りシュンとしていた徳川家康のもとに、武田方よりこれみよがしに上掲の句が届けられた(昔の戦さは呑気なところがあった)。読んでみると、「松(松平=徳川)枯れて竹(武田)類なきあしたかな」とあり、要するに、これからは武田の天下なんだぞと書いてあった。家康にしてみれば、結局はこの敗戦が生涯唯一のものになるわけだから、その意気消沈ぶりもすさまじかったに違いない。そんな心境の彼に、句の追い討ちである。まいったなあ。落ち込んでいると、徳川方にも知恵者がいた。「殿、おそれながら……」と、彼は独自の読み方を披露してみせたのである。すなわち、「松枯れで武田首無きあしたかな」と。これで家康も元気になった。で、ここからが本題。いまだに東京などで門松の竹を槍のように尖らせているのは、このときの「武田首無き」という徳川方の解釈に由来している。武田の地元である山梨県や外様大名の支配下にあった土地では、門松の竹は節のところから水平に切り落として飾るのが普通だ。お宅は、どちらでしょうか。(清水哲男)』(解説より)とあります、血生臭い話です。

来週月曜日(1/6)より今年の本格始動の方も多いことでしょう。「口は生きるの1丁目」、「百年一生」の百分の1の2020年今年、ご自愛の程ご歯愛の程!年の始め、エンジン始動にはこの曲を!6100


おまけ:あるラジオ番組でゲストデザイナーが「今年2020は、アヒルが卵を背負って歩いているようだ」と、言い得て妙!ひょっとすると子年ならぬアヒル歳?

BBTime 416 百年一生

BBTime 416 百年一生
「松過ぎの又も光陰矢の如く」高浜虚子

箱根駅伝をみていたらサンスターの秀逸なCMに出会いました。干支にかけての「マウス」かどうかは不明(笑)ですが「100年マウス・100年ヘルス」「口は、生きるの1丁目」・・良いですね!  サンスターサイトには『人生100年時代、サンスターが目指すのは、お口の健康を起点とした、全身の健康と豊かな人生。毎日習慣として行う歯みがきなどのオーラルケアは、お口の健康を守り、そして全身の健康を守ることにもつながっています。100年食べ、100年しゃべり、笑う。一人ひとり、自分らしく輝いた人生、豊かな人生を送るためにも、お口のケアを大切にしていただきたい。そのために、サンスターにできることは星の数。そんな思いを込めて企業CMを製作しました。』(サンスターより)。

『登場する0才の赤ちゃんは生えたばかりの歯が2本。女性は87才にして現役モデルを続けるフランシスさんで、現在でも自分の歯20本を保っています。これから歯とともに生きていく子供にとっても、大人にとっても、オーラルケアは人生を豊かにする大切な健康習慣です。  サンスターは今後もお口の健康を起点としながら全身の健康に寄与する情報・サービス・製品をお届けすることで、人々の健康寿命の延伸に寄与することを目指していきます。』(サンスターより)。

出演者プロフィール   Frances Dunscombe
数々の有名ブランドからも指名される87歳現役モデル。London Fashion Week に登場した最高齢モデルであり、世界各国からの取材も多数。ファッション雑誌でも表紙を飾り、Zalandoなどの大手広告のモデルにも抜擢され、現在も世代を超えたアイコン的な存在として活躍中。お口のケアを大切にし、今でも自分の歯は20本ある。また日々、心の底から正直に笑うことを大切に生活しており、モットーはポジティブでいること。』(サンスターより)。

このモデルさん、87歳ならばこの方の歯(永久歯)は81歳。動画にも歯が登場しますが、体の中で最も歳とらない(老けない)のが歯です!言い換えれば「まめな歯の手入れ」が若々しさを保つ1丁目なのです。

まめな手入れを可能にする歯ブラシ「チョコブラシ」をデザインしました。ご興味ある方はこちらをどうぞ。百年にちなんでの曲を選びました。5700



追加:百年一生の次は「百年一笑」!こちらもどうぞ。さらに「百年一緒」も!

BBTime 415 新年信念

BBTime 415 新年信念
「明けぬとも美しき初日かな」カルノ

あけましておめでとうございます、今年も宜しくです。新年の信念として「甘い力」をアップします。画像は元旦(元日の朝 06:55)の夜明け前。

「甘い力」
四十年も前のこと。歯科大入学後間も無く、先輩の口からため息のようなひと言「敗者だ」。新聞に「ムシ歯のワクチン開発につながる研究」の見出し。先輩曰く「実用化されれば歯科医不要、敗者だ」。「将来どうなるんだろう」とその時思った。

杞憂に終わった。しかしそれは喜ぶべきことではなく、憂うべきことだと、今思う。日々「ムシ歯の真の原因は?」と自問自答。「カイスの三つの輪」という古典的病因論を大学で習った。三つの輪とは「歯・細菌・砂糖」で、これらが重なるとムシ歯になるという極めてシンプルな理論。予防のためには輪の重なりを減らせば良い。歯をなくすことは本末転倒なので、残る二つの輪を小さくすることでリスクは減り予防につながる。細菌を減らすために歯を磨き、砂糖を減らすためにお菓子を食べないようにする。これまたシンプルで可能だと信じていた。歯科医なりたての頃、ムシ歯の小学生に「歯をしっかり磨き、あまりお菓子を食べないように」と注意し、親御さんには「お菓子を制限してください」と忠告した。磨き残しのある年配の方に「しっかり磨くように」と真顔で諭していた。

これは間違いではないのか?無理難題を強いているだけではないか?と疑い始めたのが、ここ十年。まさしく「発見」であった。卵焼きにも焼肉のタレにも砂糖は入っている。ケーキやジュースだけではない、しかもムシ歯菌にとっては卵焼きもケーキも同じ。砂糖の摂取量を減らすことはできても、ゼロにすることは無理である。細菌すなわち汚れにおいても同様で、磨けば予防できると信じていた。磨けば予防可能、これは事実。しかし完璧に磨くことはできないのが現実。フロスや歯間ブラシを併用しても、歯の汚れを自力のみで完璧に取り去ることは不可能に近い。左手の汚れは、目で見て右手で落とすことができ、落ちたか否かを確認できる。ところが口の中はさにあらず。汚れている箇所を確認しないまま闇雲に磨き、汚れが落ちたか否かを確認することもできない。日常生活で不可能なことを、あたかも可能であるかのように説き、時にムシ歯をつくったのは自業自得であるかのように説明してきたことを心密かに恥じた。「甘いものを食べ過ぎず歯を磨けばムシ歯にならない」は、実生活においては正しくないのである。試験管の中では「カイスの三つの輪」は正しい、しかし口の中では正しいとは言えない、少なくとも現実的ではない。

「ヒトは甘いものが好きである」を進化の過程で検証すると「ヒトが選ぶものは甘い」がより的確だそうだ。摂食する際に高カロリーのものを選ぶようになり、結果的にそれら高カロリーのものはヒトにとって「甘かった」とのこと。原始人のみならず現代人を魅了してやまない「甘い力」。ヒトやアリのみならず、ムシ歯菌をも引きつける「甘い力」は絶大である。

近年、ムシ歯をはじめ多くの病気について予防の重要性が声高に説かれる。「予防に勝る治療なし」は言うは易く行うは難し。とはいえ数ある病気の中でも病因が明らかなのはムシ歯をおいて他にない。そこで「甘い力」の利用を考える。老若男女から愛され、癒しや喜びを与える甘い力を利用しない手はない。

ムシ歯発生をゼロにする方法は本当にあるのか。カイスの輪において「歯」をゼロにはできない、「砂糖」ゼロもほぼ不可能に近い、残るは「細菌」。思うに「何を食べるか」よりも「食べた後、どうするか」である。砂糖てんこ盛りのスイーツを食べても、完璧に磨き上げればムシ歯にはならない。日常において、ムシ歯の真の原因は砂糖ではなく「行動」だと確信する。口の中から如何にして汚れを減らすかが、最も模索すべきことだと思う。歯ブラシに加え糸ようじ、歯間ブラシ、フッ化物などを駆使することは可能でも、この離れ技を多くの人に求めるのは、これまた無理難題である。ズバリ、解決法をひと言で言うならば「歯は磨いても、もらうもの」。プロ(歯科衛生士・歯科医師)による定期的なクリーニングを加えるのが一番現実的だと思う。「えっそんな」と思わず、髪の毛を触って欲しい。その髪を切ったのは誰ですか?多くはプロのはず。月に一度でいいのである。月に一度「歯は磨いても、もらうもの」を実践頂ければ、ムシ歯発生ゼロは可能だ。「そんなこと近くの歯医者も言ってるよ」と聞こえてきそうだが、おそらく甘い力を使ってはいない。甘い力を利用した予防とは「ムシ歯予防カフェ」。月に一度、できれば二度、三度と足を運んでもらえば完璧である。スイーツを楽しんだ後にプロに「磨いてもらう」甘い仕掛け。甘い力で行動変容を促し、しっかりと予防を日常に組み込む。スイーツをムシ歯の主犯と捉えるのではなく、スイーツの持つ「甘い力」を予防に生かす。これぞまさしく「ムシ歯ワクチン」システム。カフェは現在構想中だが、発見を発明に、発明から文明文化へとムシ歯予防を進化させたい。

初日です!読んで頂きありがとうございます。今年も読み応えある文章をお届けできればと思いつつ・・ワイングラスに手が伸びます。ではまた 4640


 

BBTime 414 亥年の余禄

BBTime 414 亥年の余禄
「その前に一本つけよ晦日蕎麦」鷹羽狩行

今年も大晦日になりました・・皆様の一年はどのような歳でしたか?句の「その前に」には「名残惜しさ」を含んでいるような気がします。余禄をもって振り返ってみます。イラストの出典はこちら

今朝(12/31)の毎日新聞「余禄」より・・『元号が令和になった2019年。いろはカルタで振り返る。【い】イチロ邁進(まいしん)の野球人生【ろ】ロン待つ黄泉路(よみじ)ヤスがゆく【は】板門店またいではみたが【に】24時間戦えません【ほ】補助金取れんナーレ【へ】ベスト8でにわかファン【と】都知事にバッハの戦慄(せんりつ)【ち】チッ、チケット当たらず【り】輪禍悲痛【ぬ】抜き差しならぬ日韓【る】は客を呼ぶ【を】沖縄の心、国知らず【わ】ワンチームに遠い世界【か】家族差別も根絶へ【よ】世つなぐ京アニ愛【た】台風停電で逐電ちくでん)【れ】令和平安絵巻【そ】ゾゾをヤフーでラインして【つ】ついに撮った漆黒の穴【ね】子年に祈る子の平安【な】なんと、クリステル【ら】来夏よりパリで璃花子の夢【む】無理だ老後2000万【う】宇宙のかなたにタッチダウン【ゐ】いつまデモ香港【の】のれんに腕押し弾劾訴追【お】汚職ドットコム【く】グレた世界に少女の怒り【や】闇トークでやめトーク【ま】毎月勤漏統計【け】契約者なめたらいかんぽ【ふ】文化財切断の言語道断【こ】小判ザメ原発に群がる【え】エリカロシアも薬物で【て】電池で革命ノーベル彰【あ】アフガンの井戸は枯れぬ【さ】の疑枠【き】球速より球児に休息【ゆ】ゆめゆめブレぬジット【め】目黒のサンマも貴重品【み】短い国会長い政権【し】シンゾーにトウモロコシ全部【ゑ】炎上恨めし首里パリ【ひ】ヒナコだけどシブコ【も】文科省の考えぬ力【せ】税上げてポイント甘言【す】の一手【京】教皇の祈り、核なき世界』(毎日新聞「余禄」より)【ん】ん!これはいいぞ「チョコブラシ」。記事リンクは、小生が勝手に選びましたので、ひょっとすると的外れがあるかもです、ご容赦の程。

最後に「いろは」の俳句をご紹介・・「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」久保田万太郎 余禄ならぬ余談ですが、過去の「余禄」をリンクしておきます。201220142015201620172018 ということで、今年一年の皆様の「connote.jp」へのご訪問に感謝!皆様、よいお年玉を!4040