新商品を求める酒屋と群がる客ーヒロシの酒部屋No.48

<新商品を求める酒屋と群がる客>
再来週ぐらいに発売予定の芋焼酎がある。
数はかなり少ない。
味の良し悪しに関係なく、ネットからの情報なのか、
発売前にもかかわらず、目新しい客が群がっている。
でもこの方々は、同じ蔵の他の焼酎を買おうともしない。
焼酎ブームの時は、こういう方々も、ある意味、
広告塔になっていたかもしれない。
でもブームの終わった今、蔵も酒屋も
価格に見合ったより満足感のある良い焼酎を
提供して、消費者に評価してもらわないといけない。
もし、こういう方々に酒屋が売っていたとしたら、
商品は育たないであろう。これは蔵にとっても不幸な事である。
でも逆に、そういう客を酒屋が作っていると
私は思っている。
なぜなら、味に関して蔵に進言するでもなく、
目新しさを蔵に求め、それを売る材料にしないと
売る事ができない酒屋が多すぎるからである。
焼酎ブームで市場は広がったが、
ブームの前の様な純粋な取り組みが
できる環境に戻るには、もう少し時間が
必要なのだろうか!?

ヒロシとは

何の為に飲むのか?ーヒロシの酒部屋No.47

<何の為に飲むのか?>
家族や友人と、仲間と、恋人と、
自分へのご褒美などなどリラックスした
心豊かな時間を過ごすためにアルコールは存在する。
ある酒屋さんから相談を受けた。
「ワイン教室を開いているのに、売り上げに結びつかない」
ワインの食文化が元々ないのに、知識だけで飲む訳がない。
気軽に楽しむ事と、人それぞれで味覚の違いがあるから、
その人にとって、素直においしいと感じさせる事が肝要である。
このもっとも基本的で大事な事を酒屋が消費者に浸透させないと、
せっかく探した「ワインの稲葉」のおいしいワインも活かされない。

実際、稲葉さんがこれは売れると判断して持ってきたドイツワインがある。
しかし思う様に売れない。
そのワイン自体はレベルも高く、すばらしい味わいであるが、
食中でより活かされるタイプのワインである。
つまり、食中の豊かな時間を造らないと、売れないかもしれない。
さらにこの造り手もそういう思いで、
このワインを造っているから尚更である。
しかし、当店ではかなり売れているワインである。
日本一消費量の少ないこの鹿児島で、
当店のお客様はほんとうにすばらしい!

ヒロシとはこちら

一般受けする味ーヒロシの酒部屋No.46

<一般受けする味>
焼酎でもワインでもレストランでも
一般受けする味は、
それを求める消費者の人口が一番多いから、
需要と供給のバランスが崩れるとプレミアム商品になったり、
行列ができる店になるのではと思っています。
たとえば、三岳という屋久島の芋焼酎がありますが、
これが異常に人気が高い。
味がどうかと言えば、
私個人の意見としては、
以前の方が自然な味だった様に思う。
ただどちらの味が売れるかは、
今の味の方が一般受けする味なのかもしれません。
先日、銀座でスイーツの専門店、
浅草で行列の天丼の店に行ったが、
まさに一般受けする味で、
たぶんもう行かないだろう。
もちろん一般受けする味でも、
まじめな本物の味もあるけれど、
それはかなり少ない気がする。

隙ーヒロシの酒部屋No.45

<隙>
焼酎のブームも完全に終わり、
良いお客様が顧客として繋がり、
ようやく店頭に希少な焼酎も並べられると思っていたのに、
今だに、偵察に来て、
めぼしい焼酎がなければ黙って帰るどうしようもない連中が来る。
時間が解決してくれるのか、それとも我々に問題があるのか?
いい風に考えれば、
彼らの酒屋巡りの中に入れるだけの価値が当店にあるのか!
でもそれは我々にとっては、かなり迷惑な話である。
それよりも我々の仕事、我々自身、
店のどこかに付け入る隙があるのだろう!
彼らを押し出す様なパワーを造り出したい!

蒸留酒の基本ーヒロシの酒部屋No.44

<蒸留酒の基本>
造りと味のレベルは別にして、
私が蒸留酒を選ぶ時に一番大事にしている事は、
何度も書いている事ですが、
自然な味の流れを持っているかどうかです。
たとえば、

この芋焼酎ですが、今回の製造分(H21年製造)は、
白麹100%にしていただきましたが、
これが自然な流れの味なのです。
ただ、昨年11月に製造した新100%なので、
まだ中の味は出てきていません。
今の味で感じて下さる方は少ないでしょうが、
4月ぐらいから味が集まってくれば、
おいしいと言われる方が増えてくると思います。
それでも前のブレンドした味の方が好きな方は、
金峰櫻井を飲むしかありません。
私は酒屋ですので、物造りの分野まで口を出す事は、
恐れ多い事であるとわきまえていますが、
折角、良いものが出来ているのに、もったいなくて
我慢できず、口を出してしまいました。
でももし、蔵が前のブレンドした味がどうしても
良いと判断されるのであれば、その時は、
私は売るのをやめるしかありません。
好みで判断しているわけではなく、
味わいがきれいな味でもふくよかな味でも
良い蒸留酒の味の流れがあれば、売るだけです。
焼酎に限らず、スコッチ、バーボン、ブランデーなど
良い蒸留酒は、同じ味の流れがあります。
それを舌が感じてしまうので、それに従うしか道がありません。
私の酒人生ですから!

スコッチの不透明な価格ーヒロシの酒部屋No.43

<スコッチの不透明な価格>
18年前にスコットランドの
シングルモルトウイスキーに魅せられて、
少しでもリーズナブルな価格と
味のバランスの良いウイスキーを提供して、
裾野を広げようと取り組んできました。
蒸留酒は良いものが少ないので、3000円ぐらいまでで探すと
大体どれを売るかは決まってきますが、
マッカラン7年、ダルモア12年、クラガンモア12年、
タリスカー10年、ストラスアイラ12年など
しかし、ことごとく、為替相場に関係なく、
価格を騰げられてしまった。
目を付けたウイスキーは全てで、
何か意図的に対応されているとしか、思えない。
その中で、今、3000円でお薦めしているのは、

このノッカンデュー12年。
蒸留酒としての流れが良く、程よくリッチな
味わいで、為替レートに連動してくれて
価格とのバランスも良い。
価格が騰がらない事を願っている。

味覚のギャップーヒロシの酒部屋No.42

この日本酒、福岡の蔵元「杜の蔵」の「一の矢」純吟ですが、
きめが細かく、口が融けてしまいそうなしなやかな味わいで、
かなり気に入ったので、何人かのお客様にお売りしました。
その後の反応がなかったので、敢えて何人かに聞いてみたところ、
「甘い」とか、「すっきりしている」という答えでした。
ピンとこない味だったみたいで、感じてもらえなかった様です。
季節商品のため、
10日までの予約分だけ瓶詰めするという事でしたが、
残念ながら、少しだけ注文しただけでした。
当店の全ての商品は私の舌の判断で決めているので、
私が最後に求めていっている味と、お客様との間に
ズレがあるのかもしれません。
ただたとえばワインだと、当店に売る力があるので、
すぐれていれば、いろんなタイプを仕入れる事ができますが、
日本酒は売れる環境と売る力がないので、たくさんの蔵と
お付き合いする事は無理ですし、それゆえ、絞り込むため、
自分の好みに走っているのかもしれません。
なるべく味覚が偏らない様に、バランスには気を付けていますが、
年齢もあるのかな〜
もし味覚の基準がぶれてきた時は、
味覚の世界から足を洗うべきでしょう!
ただ今回の事で、救いは、
二人の女性がこの酒を気に入ってくれた事でした。

ヒロシとは

インポーターの真の力ーヒロシの酒部屋No.41

<インポーターの真の力>
最近、飲んだこのワイン、
2007 ヴァルポリチェッラ リパッソ

稲葉のワイン

ヴェネト州のカルガーテのワインですが、
このレベルの高さには驚かされました。
懐のあるしなやかさ、きめの細かさ!
心から癒される味わいは、すでにイタリアワインの
域さえ越えている様に感じました。
一時期、規模が大きくなり、
レベルの低下を危惧していましたが、見事に甦りました。

その背景には、アメリカが買ってくれない、
この経済に危機感を持ったが、ワインの稲葉だったら、
価格に見合った以上のより良いワインを造れば、
買ってくれるだろうという信頼感があったのではと
私は、思っている。
なぜなら、他のワインも同様だからである。
これこそ、ワインインポーターの真の力である。
ワインの稲葉に感謝!

うますぎる日本酒ーヒロシの酒部屋No.40

<うますぎる日本酒>
先日、福岡の日本酒の蔵元「杜の蔵」に行ってきました。
そこから昨年暮れに出荷された
純米酒「一の矢」ですが、

一の矢

透明感のある酒質で、口に含むととてもふくよかなのに、
のど越しはキレがあり、見事な出来映えでした。
これだけお客様のリピートが100%の酒もなかなかありません。

そこから、今日、純米吟醸「一の矢」が入荷しました。
純米もすばらしかったけど、この純吟は、もう感動ものでした。
なんというきめの細かさ、懐の深さ、もうとろけそうです。
そしてこの価格!見事としか言いようがありません。
飲まなきゃ、損です。

DSCF0015

こちらが、その末永杜氏です。
造りに関しては言うまでもありませんが、
その味覚がすばらしい。
持って生まれた天性だと思います。
最後の方は、ほぼ杜氏を独占してしまいましたが、
味に対する感じ方に一寸の違いもありませんでした。
ほんとに楽しくて、幸せなひとときでした。
最後、杜氏に蔵の入り口までお見送りいただいた時、
「今日は楽しかった」と一言。
私の方こそ、感謝です。

ヒロシとは、こちら

本来のものーヒロシの酒部屋No.39

<本来のもの>
ある焼酎蔵の、ある焼酎を本来の味に戻していただいた。
この味の流れが、この焼酎の持つ本来の流れの味である。
このきれいな流れが、良い蒸留酒の基本であるが、
ただまだ造って2ヶ月なので、まだ味は乗っていない。
でも小さい蔵というか、小さい造りだからこそ、
優しさ、バランスの良さ、きめの細かさが感じられ、
いい感じの味に仕上がっていて、うまいと思う。
私がその事をしっかり伝えて売っても、
ほとんどの方は、まだそれ程、わからない。
でもその中でも2人、絶賛してくれている。
それで十分なのである。
なぜなら、他の方は、春ぐらいから、
おいしいと言い出すからである。

本来のもの

話は変わるが、最近、中国人が、日本の水資源の豊富さに
目を付けて、山を狙っているらしい。
日本本来の大事な物造りの技術や田舎の自然を大切に
していかないと、将来、骨抜きの日本になってしまうだろう!
政治家や官僚よ、日本らしい本来の姿に回帰せよ!