BBTime 101 三月の水
「生まれては光りてゐたり春の水」掛井広通
日本で三月の水、弥生水と聞くと春の水、雪解け水を連想します。前回でBBTimeは100回を迎えました、感謝!前回御紹介したアントニオ・カルロス・ジョビンの「三月の水」の歌詞に感動したので取り上げてみます。まずは訳詞を、出典はこちら。
『枝 石ころ 行き止まり 切り株の腰掛け 少しだけ独りぼっち
ガラスの破片 これは人生 これは太陽 これは夜 これは死
銃 この足 この地面 この身と骨
道路の響き スリングショット 魚 閃光 銀色の輝き
争い 賭け 弓の射程 風の森 廊下の足音
擦り傷 瘤 何でもない…
槍 釘 先端 爪 ぽたぽた
この物語の終幕
トラックが運んでくる一杯の煉瓦 柔らかな朝日の中
銃声 丑三つ時
1マイル やるべき事 前進 衝突
女の子 韻 風邪 おたふく風邪
家の予定 ベッドの中の身体 立ち往生した車
ぬかるみ ぬかるみ
そして川岸が語る 三月の水
人生の約束 心の喜び
浮遊 漂流 飛行 翼
鷹 鶉 春の約束 泉の源
最終行 落胆した貴方の顔
喪失 発見
蛇 枝 あいつ あの男
貴方の手の中の棘 そしてつま先の傷
川岸が語る 三月の水
それは人生の約束 それはあなたの心の喜び
一点 ひと粒 蜂 ひと口
瞬き 禿鷹 突如の闇
ピン 針 一撃 痛み
蝸牛 なぞなぞ 借り鉢 染み
枝 石ころ 最後の荷物 切り株の腰掛け 一本道
そして川岸が語る 三月の水
絶望の終わり 心の喜び
心の喜び 心の喜び
この足 この地面
枝 石ころ これは予感 これは希望…』
南半球の国ブラジルの夏は11~4月、冬は5~7月となるため、三月の水が春の水とはならないでしょう、日本での秋雨でしょうか。この詩を見ていた家族がふと谷川俊太郎みたい・・とポツリ。谷川俊太郎の詩「生きる」です。
『生きる』 谷川 俊太郎
「生きているということ
今生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと
生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと
生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ
生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと
生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ 」
生きているからおなかが空くんです
おなかが空くから食べるんです
食べるから歯を使うんです
使うから磨くんです
・・・三月の水で
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https://youtu.be/-7QU3AL6TDQ