BBTime 478 イシ教

BBTime 478 イシ教
「梨を剥く一日すずしく生きむため」小倉涌史

彼岸を過ぎ鹿児島も涼風が吹くようになりました。解説には『この場合の「一日」は「ひとひ」と読ませる。「秋暑」という季語があるほどで、秋に入ってもなお暑い日がある。残暑である。今日も暑くなりそうな日の朝、作者はすずしげな味と香りを持つ梨を剥いている。剥きながら作者が願っているのは、しかし、体感的なすずしさだけではない。今日一日を精神的にもすずやかに過ごしたいと念じている。「すずしく生きむ」ために、大の男がちっぽけな梨一個に思いを込めている。大げさに写るかもしれないが、こういうことは誰にでもたまには起きることだ。そんな人生の機微に触れた佳句である。ところで、作者の小倉涌史さんは、この夏の七月末に亡くなられたという。享年五十九歳。このページの読者の方が知らせてくださった。小倉さんとは面識はなかったが、ページは初期から読んでくださっており、検索エンジンをつけるときのモニターにもなっていただいた。もっともっと元気で「すずしく生き」ていただきたかったのに、残念だ。心よりご冥福をお祈りします。『落紅』(1993)所収。(清水哲男)』(解説より)。

前回「美味笑」を書いた後「グルメ志向は宗教的思考と同じである」との認識をさらに強くしました。まずは「イシ」について。古語「イシ」の意味をご存じでしょうか?「美し」の表記でイシ。意味は「(味が)よい。うまい」。うまいの意の「美しし:いしし」のイ音便で「いしい」、さらに室町時代に女房詞(にょうぼうことば)として「お」がついて「おいしい」となりました。美味しいの漢字「美味」は当て字です。(こちら参考

「グルメ志向は宗教的思考と同じである」と考える根拠のひとつは「人それぞれ」です。知り合いの「桜島インターのカレーがいっばんうまか(一番美味しい)」とか「ハラがふくれればよか」はたまた「食いもんは何でんよか(何でも良い)」なども聞きます。口の中も同様です。定期的なメンテナンスを欠かさない人もいれば(失礼な表現ですが)口の中が「ちんがらっ(滅茶苦茶)」の来院者もおられます。「イシ教」を信じる人もいれば信じない人もいる。

お釈迦様、イエス様を信仰する人しない人、もちろん自由です。「美味しい」に重きをおかない、評価しない人は概して口の中(歯)に関しても低い価値評価です。低い価値であるがゆえに当然、口の中に問題が生じても放置されてます。信仰は自由、ご自分の歯への価値も十人十色でしょうけど、歯のトラブルでQOL(生活の質)が低下するすることは自明の理であり、ご本人にとって決してプラスにならないと思うのは歯医者だけでしょうか。いいえ、ご本人が一番お分かりと思います。

福岡「美美:びみ」のマスターは「珈琲は生活の句読点」とおっしゃいます。言い得て妙!同様に「美味しい」も生活において日めくりカレンダーの様に、その日その日の締め括り・ピリオドの様な気がします。日に一度「一日一善」まねて「一日一膳」、一日に一度は「美味しい」の言葉を口にしたいもの、その言葉が歯の価値観を高めます・・と信じてやまない今日この頃です。食欲の秋!ご自愛の程ご歯愛の程。5790


BBTime 477 美味笑

BBTime 477 美味笑:びみしょう
「笑ひ茸食べて笑つてみたきかな」鈴木真砂女

先日横浜金米堂(キンペイドウ)の「どら焼き」を頂きました。ひと口含むと思わず笑みが・・これぞ名付けて「美味笑:びみしょう」・・幸せです。真砂女さんも笑い茸よりは、美味しいどら焼きで笑いましょうよ(笑)。句の解説には『軽い好奇心からの句ではあるまい。八十歳を過ぎ、心から笑うことのなくなった生活のなかで、毒茸の助けを借りてでも大いに笑ってみたいという、一見するとしごく素直な心境句である。が、しかし同時にどこか捨て鉢なところもねっとりと感じられ、老いとはかくのごとくに直球と見紛うフォークボールを投げてみせるもののようだ。よく笑う若い女性にかぎらず、笑いは若さの象徴的な心理的かつ身体的な現象だろう。どうやら社会的な未成熟度にも関係があり、身体的なそれと直結しているらしい。したがって、心理的なこそばゆさがすぐにも身体的な反応につながり、暴発してしまうのだ。私はそれこそ若き日に、ベルグソンの「笑いについて」という文章を読んだことがあるが、笑い上戸の自分についての謎を解明したかったからである。何が書かれていたのか、いまは一行も覚えていない。といって、もはや二度と読んでみる気にはならないだろう。いつの間にやら、簡単には笑えなくなってしまったので……。(清水哲男)』(解説より)

「どら焼き」・・調べてみると面白い歴史があります。餡子とカステラ生地の組み合わせで「和洋折衷」の菓子だと勝手に思っておりましたが、何と「和菓子」です。江戸以前まで遡るようです(Wikipedia)。最も今のような形になったのは明治初期のようで『たとえば『たべもの起源事典 日本編』(岡田哲著/筑摩書房)には「明治初期に、東京日本橋大伝馬町の梅花亭の森田清兵衛は、初めて丸形のどら焼きを創作する。銅鑼の形のあんに、薄く衣を付けて皮を焼く。1914年に東京上野黒門町のうさぎやで、編笠焼きが創作され今日のどら焼きができる。網笠焼きより皮を厚くしたのが三笠山である」との記載』(出典はこちら)。ちなみにドラえもんの大好物です。

先日ふと「なぜ人は美味しい物にこれほどまでに情熱を注ぐのだろう?」と自問自答しました。比較の例が不適切かもしれませんが、日本においては仏教やキリスト教をはじめとする宗教における「敬虔なる信者」の方々の数よりも「熱狂的グルメ」の数の方が明らかに多いのではないでしょうか。小生は美味を求めることを否定も批判もしません、むしろ肯定します。「グルメ:美食家・食通」と呼ばれる人々はひょっとすると「美味教」なる宗教的思考回路のもとに東奔西走するのかもしれないと、真面目に考えはじめました。

辞書で引くと『宗教:生きている間の病気や災害などによる苦しみや、死・死後への不安などから逃れたいという願いを叶えてくれる絶対者の存在を信じ、畏敬の念をいだきその教えに従おうとする心の持ちよう』(新明解国語辞典より)とあります。

笑いの原点は「安堵」であると聞きます。大昔、ヒトが食べ物だと思い口にした物が腐っていた・・とっさに吐き出して無事だった・・「やれやれ」と安堵。この「吐き出す」「安堵」の一連の口の動きが「笑い」として発達したそうです(昔、笑い療法士セミナーで習いました)。美味しい物が「死への不安」を払拭するとは言えませんが、「美味しい」と感じた時を刹那的に捉えるならば「生きてて良かった!」と実感できるのではないでしょうか。この時の笑みが「美味笑」です。

以前「食べるために」「食べるために生きる」をアップしました。「人は食べるために生きるんや」の言葉に引っ掛かったからですが、美食を一種の宗教と捉えると「食べるために生きる」もアリだと思います。自分の望む人生を、凝縮して凝縮して一瞬の「美味しい」に投影しているように思えるのです。楽しい人生、幸せな一生を皆望みますが、皆が皆そうなるとは限りません。しかし、美味しいものは食べた瞬間・・「美味しい」「生きてて良かった」とほぼ間違いなく感じることができます。「思う一生」を細切れにし凝縮した瞬間が「美味しい」の一瞬と重ね合わせて、人は笑みをこぼすのではないでしょうか。皆さま、美味しいものを食べて、ご自愛の程ご歯愛の程。4790



三曲目は前回紹介しましたが、あまりにも歯がキレイなもんで!もちろん声も顔も!

BBTime 476 尻拭い

BBTime 476 尻拭い
「秋の暮大魚の骨を海が引く」西東三鬼

解説は『つとに有名な句だ。名句と言う人も多い。人影の無い荒涼たる「秋の暮」の浜辺の様子が目に見えるようである。ただ私はこの句に触れるたびに、「秋の暮」と海が引く「大魚の骨」とは付き過ぎのような気がしてならない。ちょっと「出来過ぎだなあ」と思ってしまうのだ。というのも、若い頃に見て感動したフェリーニの映画『甘い生活』のラストに近いシーンを思い出すからである。一夜のらんちきパーティの果てに、海辺に出て行くぐうたらな若者たち。季節はもう、冬に近い秋だったろうか。彼らの前にはまさに荒涼たる海が広がっていて、砂浜には一尾の死んだ大魚が打ち上げられていたのだった。もう四十年くらい前に一度見たきりなので、あるいは他の映画の記憶と入り交じっているかもしれないけれど、そのシーンは掲句と同じようでありながら、時間設定が「暮」ではなく「暁」であるところに、私は強く心打たれた。フェリーニの海辺は、これからどんどん明るくなってゆく。対するに、三鬼のそれは暗くなってゆく。どちらが情緒に溺れることが無いかと言えば、誰が考えても前者のほうだろう。この演出は俳句を知らない外国人だからこそだとは思うが、しかしそのシーンに私は確実に新しい俳味を覚えたような気がしたのである。逆に言うと、掲句の「暮」を「暁」と言い換えるだけでは、フェリーニのイメージにはならない季語の狭さを呪ったのである。『新歳時記・秋』(1989・河出文庫)などに所載。(清水哲男)』(解説より引用)。「La Dolce Vita」のラストシーンとは結びつきませんでした。小生の連想は「老人と海」でした。

前回「BBTime 475 不可逆」で紹介した句の次に載っていたのが掲句。「新編 折々のうた」の解説には・・「『変身』(昭和三七)所収。昭和三十七年、同句集刊行の直後六十一歳で没した岡山県生まれの俳人。新興俳句運動の大立者だが、本業は歯科医、洒脱な文章の随筆でも人気が高い。初期の句の華麗さが多く話題になるが、最終句集『変身』に収められた晩年の作には、懐深く味わい濃い句が多い。男盛りだったが胃癌に勝てず、死を身近に感じる最晩年だった。暗く壮大なものが沖へ静かに退いてゆくのを、作者は心の窓ごしに凝視している。」(「新編 折々のうた」より)。

この解説を読むまで「西東三鬼の本業は歯科医」と知りませんでしたし、西東三鬼の他に俳人である歯科医を未だ知りません。今更ながら、このような非凡なる歯科医がいらっしゃったとは、嬉しくもあり誇らしくもあり。長い長い枕となりました、二晩か三晩もお休みになられたかと(笑)。今回は自戒を込めて歯科医の仕事が「尻拭い」で終わっていいのか?について。言葉「尻拭い」を、歯科医の上から目線とお叱りを受けそうですが、あくまでも「歯科医の尻を叩く」が真意です。

辞書には「尻拭い=他人の不始末の責任を取らされること」とあります。ここでの他人とは「患者さん=ムシ歯を作った人・歯周病になった人」をさします。さて先日、不動産業を営む友人との会話で「最後はデベロッパかな」とのこと。一般的にデベロッパとは「デベロッパー(developer、開発者)とは開発業者のことで、大規模な宅地造成やリゾート開発、再開発事業、オフィスビルの建設やマンション分譲といった事業の主体となる団体・企業のことである。ディベロッパーとも言う」とありますが、友人の意味するところは「まちづくり」のようでした。

友人の話にビシッと尻を叩かれました・・「尻拭いで終わっていいのか」。ブログにも度々書いてますように、最もリアルなムシ歯の原因は「磨き残しの存在」です。あえて言うなら「他人の不始末:その方の歯磨き不足」によってムシ歯は発生します。ムシ歯になった方(患者さん)が来院し、治療し金銭を頂く。甘いものを食べてムシ歯になり、歯科医が治療しお金をもらい、歯科医は「甘い生活」を営むことができる・・素直に考えてシャレにもならん構図だと思います。

最終的にはデベロッパを考えている・・人に住居を提供して、家賃や仲介料をもらう。一般的な不動産業であっても世の中には必要な仕事です。現状に満足せず、さらに世の為人の為を思い、まちづくりへと。常々思うのです・・ムシ歯の治療、痛みをとるなど、人の為の仕事ではありますが、表現を変えれば「人の不幸につけ込んで・・」の仕事です。歯科医(もしくは歯科診療所)が尻拭い(ムシ歯治療)ではなく「歯垢拭い:しこうぬぐい」を今以上に行えば、これこそ「世の為人の為」です。

この図式はかなり昔に考えたものです。CURE=治療、CARE=手当てを必要とする方は患者さんであり、平穏な日常よりもマイナスに位置する、言わば不幸な人です。歯科医は治療などによって、噛めるようにしたり痛みをとったりしますが、マイナスからゼロの位置(平穏な日々)に戻しただけで、プラスのハッピー(幸福)を与えてはいません。より幸せは図式の真ん中より右上の部分です。当時「3C:サンシー、三つのC」とよんでセミナーをしていました。キュア、ケアに続く三つ目のCはズバリ「しあわせ」の「し」です。キュアケアなどの治療は尻拭いですが「歯垢ぬぐい」に軸足を移せば人々は「歯の痛み」も「噛めない不便さ」も味わう必要がありません。まさに「歯垢ぬぐい」は世の為です。尻拭いから「歯垢ぬぐい」へ

三つ目の「C」は果たして何なのか?今やっと見えてきました。歯科医の言い訳になりますが、日本における歯科医療(図式の左下)が「人の不幸につけ込んで」に甘んじて、積極的に「人をより幸福にする」に歩みを進めないのは、歯科予防(図式の右上)のビジネスモデルが確立されていないからです。保険診療の枠組み・システムで治療行為では収入を得ることはできますが、予防行為のみでビジネスとして成立させるにはハードルが相当高いのが現状です。小生が思う三つ目の「C」は真面目にCAKE:ケーキ!今回はここまで(笑)続きはいずれ。

画像は、覚えている人は知っている・・「おしりだって洗ってほしい」のCM。
「おしりだって洗ってほしい 皆様、手が汚れたら洗いますよね。こうして、紙でふく人って、いませんわよね。どうしてでしょう。紙じゃとれません。おしりだっておんなじです。おしりだって洗ってほしい。ToToウォシュレット 暖かいお湯で洗います。おしりだって、洗ってほしい。」1983年頃のCM、約40年前なんですね。

歯も同じです・・「私の歯も洗ってほしい」。そうなんです、ご自分では隅の隅まで洗えないんです。だからこそ「洗ってほしい」→「洗ってあげます」→ここでCAKEの登場(続きは今度)。皆様ご自愛のほど、ご歯愛の程。3120



三曲目はイタリア映画つながりで・・美女はイギリス人です。

おまけ:朝日新聞コラム「折々のことば」より
「のぞみはありませんが ひかりはあります」新幹線の駅員さん
千葉・本妙寺の掲示板にあった言葉(江田智昭著『お寺の掲示板』所収)。臨床心理家・河合隼雄が残したジョークから引かれた文言。河合が新幹線の切符を買おうとしたら、駅員にこう言われた。瞬間、この言葉の深い含蓄に感激し、同じ言葉を大声で返すと、駅員は「あっ、『こだま』が帰ってきた」とつぶやいたという。希望をなくしても仏様の光はずっと人を照らしている。」2020/9/13朝刊

BBTime 475 不可逆

BBTime 475 不可逆:ふかぎゃく
「がつくりと抜け初むる歯や秋の風」杉山杉風

画像は八月末日の桜島。「初むる」はソムル「杉風」はサンプウと読みます。句の解説は『江戸の大きな魚屋で、芭蕉の門人。芭蕉の経済的後援者だったことは有名。深川の芭蕉庵も彼の下屋敷だった。右(上)の句は『猿蓑』にのるが、初案は「がつくりと身の秋や歯の抜けし跡」として、芭蕉あて書簡に出る。これだと詠嘆が勝ちすぎて、句は集中度に欠ける。改案にはおそらく芭蕉の手が入っているのだろう。近年「がっくり」の語がはなはだしく流行するが、この句あたり、最も早い時期の文学的用例かもしれない。語感を鋭くとらえている』(新編折々のうた 大岡信より)。初案改案を読むに、この「抜け初むる」は乳歯が抜けたのではなく、永久歯が歯周病(歯槽膿漏)によって抜けたのでしょう。作者は抜けた歯を手に「人生の秋」・・おそらく晩秋を感じたのかもしれません・・今回は可逆不可逆についてのお話。

不可逆を辞書で引くと「ある化学変化が生じた状態を元に戻すような変化を起こすことが不可能なこと」。つまり「元に戻せないこと」です。歯科における「不可逆」の最たるものが「ムシ歯」で、過去にも書いてますが「ムシ歯の治療」は失った歯質(歯の部分)を人工的材料で置き替えたに過ぎません。歯周病もほぼ同等で、炎症によって失った歯槽骨(歯を支える骨)を元のように戻すことはできません。よって作者は「抜け初むる」となったのです。

かたや「可逆」は?極めて初期のムシ歯であり、初期歯周病の「歯肉炎」です。この段階であれば「実質的欠損(実際の損失)」はほとんど生じていませんから、まだ元に戻すことが可能です。数日でムシ歯になるわけではありません、歯磨きしなかったからすぐに歯肉炎になるわけではありません。歯科臨床の経験的では、週に一度ほぼ完璧に磨ければ元に戻せます。しかし残念ながら御本人では完璧磨きは無理ですので、日々数回磨きましょうとなるのです。

歯科医としての希望は「月一回」の専門家(歯科衛生士・歯科医師)による歯のクリーニングです。月一回の頻度は、これまた残念ながら現時点で「保険適用外」です。今回、台風十号通過後に「事前報道ほど激しくなかった」との声をちらほら聞きますが、無事が何よりです。JRの計画運休、コンビニ閉店、鹿児島離島の島外避難等々、表現は不適切ですが「ハズレ」が良いのです。歯科予防も同様、月一回お会いして「問題なしです、無事です」が一番・・と日々思います。ご自愛の程ご歯愛の程。1790

BBTime 474 菌増殖

BBTime 474 菌増殖
「ぐんぐんと夕焼の濃くなりきたり」清崎敏郎

九月です、やっと早朝に新涼を感じます。画像は夕焼けではなく朝焼けの桜島。句の解説に『「ぐんぐんと」夕焼けていく空を見るのは、これから深い秋にむかってからのことになる。なんだかとても幼い発想のようにも見えるが、ここまでぴしりと言い切るのは、なまなかな修練ではできないと思う』(一部抜粋)。夏の空気と秋の空気の大きな違いは「湿気」だと思います。「湿度・湿気」について面白い記事を見つけました、今回は菌の増殖について。

画像はマクドナルド・・小生は十年に一度くらいの頻度でしょうか。記事とは『マクドナルドのバーガーは腐らないという通説への返答』です。この「返答」をマクドナルドが出した理由は・・『最近のあるTikTokの投稿を受けてのものではないかと推測している。その動画ではある女性が、靴箱に保存していた、1996年に買ったことを示す紙袋からフライドポテトとバーガーを取り出し、どちらも腐っていない24年ものだと見せびらかしている。この動画は50万ビュー以上を獲得している』とのこと。

以下、公式返答『2020年8月31日 適切な環境でなら、私どものバーガーは、ほかの大半の食べ物と同じく腐ることがあります。しかし、腐るためには、一定の条件が必要です──具体的には、湿気です。食べ物自体かその環境に湿気が充分なければ、細菌やカビは繁殖せず、したがって腐敗する可能性は低くなるでしょう。ですから、もし食べ物が充分に乾燥している、または乾燥すると、カビや細菌が繁殖する、または腐敗する可能性は低くなります。自宅で作る食べ物も乾燥するままにしていれば、同様の結果が見られるでしょう。』(返答前半)。

続き『注意して見てみれば、皆さんがご覧のバーガーはパサパサに乾燥しきっていて、決して「買った日と同じ」ではありません。実際のところ、私どものバーガーは100%米農務省の検査済みビーフのみでできています。私どものパテには保存料もつなぎも入っておりません。唯一加えられるのは、グリルで焼くときの塩とコショウ少々です。』(返答後半)。

返答が「詭弁」に聞こえるのは小生だけでしょうか(きべん:本来つじつまの合わない事を強引に言いくるめようとする議論)。また返答が正しいとするならば条件次第で「マクドナルド」は、非常に優れた(干物のような)保存食になりうるとも言えるでしょう(笑)。

では「腐るためには一定の条件が必要」その条件とは・・食品における「細菌発育の3条件」を見つけました。三つとは「栄養・水分・温度」  栄養:ヒトにとって栄養となる食品は、細菌にとっても栄養源となります。調理器具類では、食品の残さや汚れが細菌にとって栄養源となります(引用元)。  水分:細菌は、食品中の水分を利用して増殖します。水分含量50%以下では発育しにくく、20%以下では発育できません。  温度:ほとんどの細菌は、10~60℃で増殖し、36℃前後で最もよく発育します(引用元)。

この三条件「栄養・水分・温度」が揃うと細菌が増殖し、結果的に食物が腐敗します。ふと「口腔内環境:口の中の状態」は?と考えました。かなり似通っているはずです。調べてみると、果たしてそうでした。1)まず水分は十分にあります・・『口湿 99ている』(引用元)。2)次に温度は・・『Plasmansらは湿湿湿2629湿7894る』(引用元)。意外にも細菌が最もよく繁殖する36°Cよりは低いようです。3)さて栄養は・・もちろん食事として摂りますので十分にあります。

口の中が細菌増殖の三条件を十二分に満たしていることは明白です。細菌が発育増殖すれば、ムシ歯となり歯周病が悪化し、口臭の原因ともなります。かと言って口の中を「水分ゼロ」「温度10°C以下」は無理な話。となると「栄養」をいかに減らすかが肝要です。ちなみに口の中で「食物」自体が腐ることはありません(腐った食べ物を口にすることはあり得るでしょうけど)。栄養は日に三度四度五度と口に入りますので、暖かく(26~29°C)潤った(十分な水分あり)環境の口の中で、細菌は増殖し放題です。もう、お分かりのように適切な「歯磨き」が必須です。

最後に、うがった見方ですけど動画が本当だとすると・・仮説1)栄養不足:ハンバーガーには栄養がなかった 仮説2)水分不足:購入時すでにバーガーは干からびていた、もしくは靴箱が乾燥箱であった 仮説3)温度不足:靴箱は、かなり低温の環境に置いてあった・・皆様、どう思われますか。ご自愛の程ご歯愛の程。0070

BBTime 473 食前食後

BBTime 473 食前食後
「秋暑しあとひとつぶの頭痛薬」岬 雪夫

句の如く暑い毎日・・ウンザリです。『こんなにも暑さがつづくと、月並みな挨拶を交わすのさえ大儀になってくる。マンションの掃除をしにきてくれている女の人とは、毎日のように短い立ち話をしているが、最近ではお互いに少し頭をさげる程度になってしまった。会話をしたって、する前から言うことは決まっているからだ。出会ったときのお互いの目が、それを雄弁に語ってしまっている。こうなってくると、なるべく外出も避けたくなる。常備している薬が「あとひとつぶ」になったことはわかっているが、薬局に出かけていくのを一日伸ばしにしてしまう。むろん「あとひとつぶ」を飲みたいときもあるけれど、炎暑のなかの外出の大儀さとを天秤にかければ、つい頭痛を我慢するほうを選んでしまうのだ。こんなふうにして、誰もが暑さを避けつつ暑さとたたかっている。この原稿を書いているいまの室温は、34度。こういうときのために予備の原稿を常備しておけばよいのだが、それができないのが我が悲しき性…。「俳句」(2013年8月号)所載。(清水哲男)』(解説より)。今回は「食前食後」についてのお話。

画像は食前酒です、以前こんな話を聞きました。ペンション(南仏)のオーナー曰く「(レストランなど)三三五五集まるので、早く来られた方は食前酒を召し上がってもらいます。皆が集まったらテーブルへ」・・食前酒のひとつの意味は「皆が揃うのを待つこと」もあるようです。ちなみに薬を飲む時の「食前・食後・食間」とは?

食前:食事開始(食べ始め)の20~30分前で『食前とは、食事の20〜30分前のことです。食べ物や胃酸の影響を受けたくない薬や、糖尿病の際に食事で高くなる血糖値を下げるための薬などは、食前に飲むことが多くなります。また、胃の調子を整える食欲増進剤や、食べたあとの吐き気を事前に抑える薬などは食前に飲むと効果的です』(引用元)。食後:食べ終わって20~30分以内で『食事が終わって20〜30分後までのことです。食事の後は胃の中に食べたものがあるので、胃への刺激が少なくなります。食後の薬は飲み薬の中で最も多いタイプです。主に食べ物と一緒のほうが吸収が良くなる薬や、空腹時に飲むと胃を荒らす薬などは食後に飲みます』(引用元)。食間:しょっかんとは『食間とは、食事の最中だと思われている方も多いようですが、食事と食事の間という意味で、食事を終えてから約2時間後が目安です。空腹の状態で飲むと吸収が良い薬や、胃の粘膜を保護するための薬などは食間に飲みます』(引用元)。

これは食後酒。さて少々我田引水ですが「歯磨きは食前それとも食後?」と聞かれたら、皆さんはどのように答えますか?「もちろん食後でしょう」と聞こえてきそうです。『食後酒(しょくごしゅ)とは、食事の後に余韻を楽しむために飲むアルコール飲料の総称。ディジェスティフdigestif)とも言う』(引用元)。食事の余韻に浸りながらの食後酒、おしゃべり・・の最中に「歯を磨きなさい」なんていわれたら興醒めします。

こんな考え方はいかが?料理が盛られる前の皿はもちろんキレイです。ピッカピカのはずです。前客の食べた後の汚れが残っていようものなら・・。では、ご自分の口の中は?歯は?食事前には隅々までキレイですか、歯はピッカピカですか。おそらく答えは「いいえ」でしょう。この場合は食事前に歯を丁寧に磨くほうが良いのではないでしょうか。

ご存じ口腔内のプラーク、歯の汚れは細菌です。プラークが少ないほど、歯を溶かす(ムシ歯を作る)ムシ歯菌も少ないのです。すなわち食前に歯がキレイなほど、酸生産量も少なくなります。残念ながらゼロにはできませんが、ムシ歯菌が少ないほど、ムシ歯になるリスクは減るのです。

そこで提案。食後は「水うがい」で歯の素洗い、食間もしくは食前にじっくり歯の汚れを落とす。もちろんお休み前もしっかり磨く・・就寝中は口の活動(おしゃべり・食べるなど)がほぼ無いので、口腔内の菌増殖が増えますゆえ「寝る前の歯磨き」は有効です。食事前に舌でご自分の歯を舐めてみて「ヌルッと」した方は食前磨き、「ツルッと」の方は食後食間磨きでも宜しいかと。ご自愛の程ご歯愛の程。8720

BBTime 472 Wマスク

BBTime 472 Wマスク
「涼風をいひ秋風をいふ頃ぞ」矢島渚男

句の解説は『暦にしたがえば、いまごろの風は秋風。しかし、実感的にはまだ夏だから涼風(夏の季語)というほうが似つかわしい。さあ、どちらにしようか。この時季の俳人は困るのでしょうね。そんな心中をそのまま句にしてしまったというところでしょうか。話は変わりますが、何年か前に、春の選抜高校野球でマスコミが「さわやか甲子園」というのは間違いだと、本気で怒っていた俳人がいました。なぜなら「さわやか」は秋の季語だからというのですが……。どんなものですかねえ。『木蘭』所収。(清水哲男)』(解説より)。「爽やか」が秋の季語だという事を初めて知りました。本当に暑い、異常な程の暑い日々ですが、早朝の空気にわずかですが「秋」を感じるようになりました。今回は、口の外のマスク+口の中のマスク=W(ダブル)マスクについて。

雑誌「プレジデント 」の七月号(6/12発売)に「病気にならない生き方10」との記事を見つけました。6/12発売時点では「新型コロナウイルスの第2波襲来が確実視されている。そこで、生活習慣の改善で免疫力を高める方法を紹介する」とのサブタイトル・・まさに今(8/24)第2波の真っ只中。今からでもできることから是非、では早速10の方法とは・・以下抜粋引用。
1「マスク」手洗いとの併用でインフル最大51%減。ウイルスの感染経路は三つ「空気感染」「接触感染」「飛沫感染」・・通常はこの中の二つ、接触感染と飛沫感染が主流で、この二つを遮断することが重要である。「接触感染」予防に手洗い、「飛沫感染」軽減にマスク。   2「水うがい」水道水で1日3回 風邪の発症率36%減。たとえウイルスが体内に入っても、上気道の粘膜細胞に吸着して感染症状を引き起こさせないことが肝要であるため、うがいはしたほうがいい・・普通の水道水で1日3回のうがいを。   3「緑茶」含まれるカテキンでインフル発症率87%減。緑茶に含まれるカテキンには、急性感染症に対して抗ウイルス作用を示す多くの報告がある。細胞実験では緑茶に含まれるカテキンが、ウイルスの増殖を抑制している。緑茶を生活に取り入れるのは感染のリスク低下になるはずだ。

4「歯磨き」口腔内の清潔保ちインフル発症率90%減。口腔内環境が悪い人は、免疫物質IgA(侵入した病原体を無力化するように働く)が少ない。   5「睡眠」5時間以下だと風邪発症4・5倍に。睡眠時間のみならず「睡眠の質」も関係するが、せめて睡眠時間は5時間を切らないように。   6「飲酒」毎日お酒を飲むと風邪のリスク54%低下。ストレス軽減や血流改善で免疫力を高める側面があるのかもしれない。特に上気道を温めることもいい。しかし、飲みすぎは免疫力を確実に低下させる。

7「日光浴」ビタミンD補給でインフル発症50%減。近年、ビタミンDは「万病に効果アリ」と、みられるようになってきた。しっかり日光を浴びれば、1日で75マイクログラムものビタミンDを作れるといわれています。日光浴のみで推奨濃度の九割に達するという説もある。1日に20分は日の光を浴びたい。   8「血圧安定」生活習慣病を治し免疫細胞を活性化。免疫細胞が効率的に働けるように糖尿病の管理、血圧の安定といった、生活習慣病を放置しないことが感染しても重症化させない大きな鍵になる。   9「体型維持」太りすぎも痩せすぎも重症化・死亡リスク増。その人の生活習慣の”積み重ね”が大きく表れるのが、体形。BMI(ビーエムアイ:体重kg÷身長m÷身長m)が23~27の間が最も死亡リスクが低かった。   10「体内時計」リズムがズレると免疫力60%ダウン。体内時計は体のそれぞれの生理機能が、最も働くべき時刻にピークを迎えるように整えてくれます。このリズムが乱れると病を発症し、免疫力が低下することがわかっている。

以上、十の方法について駆け足でご紹介しましたが、口に関することが二つ「水うがい」「歯磨き」入っています。口腔内(口の中)を清潔に保つことはまさに「口の中のマスク」。歯をきちんと磨き、水うがいの励行で口の中にもマスク。外出時の着用で「ダブルマスク」です。ご自愛の程ご歯愛の程。8390


BBTime 471 エアロゾル

BBTime 471 エアロゾル
「歯痛に柚子当てて長征の夜と言いたし」原子公平

先ずは句の解説を・・『夜の「歯痛」は心細い。歯科医に診てもらうためには明日まで待たなければならないし、そのことを思うだけでも、痛みが増してくるようである。とりあえず、手元にあった冷たい「柚子(ゆず)」を頬に当ててみるが、ちょっと眠れそうにないほどの痛みになってきた。とにかく、このまま今夜は我慢するしかないだろう。そんなときに、人は今の自分の辛さよりももっと辛かったであろう人のことを脳裏に描き、「それに比べれば、たいしたことではない」と、自分を説得したがるもののようだ。』(解説より前半)。句では「柚子」ですが、古来(江戸時代)、歯痛の時に人々が神頼みしたのは「梨」でした。先日『WHO「歯科定期検診は先送りを、エアロゾル感染めぐり研究必要」』の記事を目にしました。今回はコロナ禍における歯科受診について。

記事は・・『世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が抑制されている地域で歯科医院が再開していることに伴い、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した新型コロナ感染から患者やスタッフを守る必要があるとの見解を示した』。現時点で確たる証拠はないものの・・『WHOは、エアロゾル発生の可能性がある処置についてより多くの研究が必要と指摘。現時点で歯科医院の治療椅子から新型コロナに感染したというデータはないが、エアロゾルに関する研究対象には口内に風や水をかけるスリーウェイシリンジや歯の表面をきれいにする超音波洗浄装置、研磨などが含まれるとした』(記事より)とのこと。

エアロゾルとは『粉塵や煙、ミスト、大気汚染物質などといった空気中に浮遊している粒子のことで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の原因の1つでもあるとされている』(引用元)。確かに歯科では歯の切削時には水で冷却しますし、スリーウエイシリンジ(水・空気・水+空気)を始終使いますので、リスクゼロとは申しません。定期的に来院することで得られるメリットと感染リスクを皆様が判断されるのが良いでしょう。勿論歯科医としては定期来院は必須と考えますので、来院して欲しいと思います。

画像は「戸隠神社:とがくし」。江戸時代、歯科医がいなかった頃は「戸隠様」にお願いしたとのこと。『江戸時代、歯が痛くなると口中医という現代の歯科医院のようなところで、主に抜歯をしてもらっていましたが、一般庶民には治療費が高く、通うことができなかったようです。では、どうしたのか? 所謂、加持祈祷を行ったのです。具体的には、「九頭龍大神を祀っている戸隠神社(長野県長野市)で、歯を患った者が3年間『梨』を絶って参拝すると治る」という言い伝えがあり、信仰したようです。戸隠神社に行くことができない江戸庶民は、梨の実に自分の名前と痛む歯の場所を、例えば「右上の奥から3番目」などと書いてから神社のある戸隠山の方角を向いてお祈りし、その後、梨の実を川へ流したと言われています』(引用元)。落語「佃祭」にもこの話が出てきます。歯医者のいる現代、痛くなったら歯科へ。願わくは痛くなる前に歯医者へ。皆様ご自愛の程ご歯愛の程。6900



BBTime 470 食べる歩く

BBTime 470 食べる歩く
「けふいちにち食べるものある、てふてふ」種田山頭火

句の「てふてふ」が春の蝶なのか夏の蝶かはさておき、解説には『山頭火は有季定型を信条とした人ではないので、無季句としてもよいのだが、便宜上「てふてふ(蝶々)」で春の部に入れておく』と春に分類されています。

続けて『放浪行乞(ぎょうこつ)の身の上で、いちばん気がかりなのは、むろん「食べるもの」だ。それが「けふ(今日)いちにち」は保証されたので、久方ぶりに心に余裕が生まれ、「てふてふ」の舞いに心を遊ばせている。好日である。解釈としてはそんなところだろうが、ファンには申し訳ないけれど、私は何句かの例外を除いて、山頭火の句が嫌いだ。ナルシシズムの権化だからである』(解説より)嫌いな理由は次の通り。

『元来、有季定型の俳句俳諧は、つまるところ世間と仲良くする文芸であり、有季と五七五の心地よい音数律とは、俗な世間との風通しをよくするための、いわばツールなのである。そのツールを、山頭火はあえて捨て去った。捨てた動機については、伝記などから推察できるような気もするし、必然性はあると思うけれど、それはそれとして、捨てた後の作句態度が気に入らない。理由を手短かに語ることは難しいが、結論的に言っておけば、有季定型を離れ俗世間を離れ、その離れた場所から見えたのは自分のことでしかなかったということだ。そんなことは、逆に俗世間の人たちが最も執心しているところではないのか。だからこそ、逆にイヤでも世間とのつながりを付けてしまう有季定型は、連綿として受け入れられてきているのではないのか。せつかく捨てたのだったら、たとえば尾崎放哉くらいに孤立するか、あるいは橋本夢道くらいには社会批判をするのか。どっちかにしてくれよ。と、苛々してしまう。まったくもって、この人の句は「分け入つても分け入つても」自己愛の「青(くさ)い山」である』(解説より)。お時間ある方はこちら「あなたの幸せ」もどうぞ。

今まで、句の通り字面通りに解釈してきたので、解説を読んで浅学を恥じる次第であります。今回は「食べ歩き」ではなく「食べる」と「歩く」が長寿への道のお話。

先日、最新の平均寿命データが発表されました。ご覧のように日本人男性81.4歳、女性87.5歳です。意外なのが男女とも最長寿国が香港であることです。中華料理が主因でしょうか?『2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となり、ともに過去最高を更新したことが31日、厚生労働省が発表した簡易生命表で分かった。前年に比べ、女性は0.13歳、男性は0.16歳延び、いずれも8年連続のプラスとなった。女性は5年連続で世界2位、男性は3年連続で3位だった』(記事より)。また『同省(厚生労働省)の試算では、19年に生まれた日本人で75歳まで生きる人の割合は女性が88.2%、男性は75.8%。90歳までの割合は女性が51.1%で、男性が27.2%だった』・・昨年生まれた女性の半数は90歳まで生きる可能性がある・・やはり「百年人生」到来!

終わりに『同省は介護を受けたり、寝たきりになったりせずに生活できる「健康寿命」を算出しており、最新の16年は男性72.14歳、女性74.79歳だった。どれだけ平均寿命に近づけるかも課題となる』(記事より)とあります。多くの人が願う「ピンピンコロリ」のピンピン人生が平均寿命よりもおおよそ十年短いことに要注目です。ラスト十年、床に伏せての「ネンネンコロリ」より寿命を味わい尽くしての「ピンピンコロリ」の方が宜しいかと。そこで「食べ歩き」が大事!

ご存じのように「8020:はちまるにいまる」とは80歳で歯が20本、20本の歯があれば満足できる食生活が可能であるとの意味です。これからは「0020:丸々ニイマル」100歳で自分の歯が20本となるのでしょう。歯科医師としては「ニイマル」と言わず、幾つになっても28本(7×4=28)全部とは言いませんが、歯を失ってほしくないのが願いです。長寿の基本は「口から食べる」であり、口から食べるには「歯」が必要です。

さて歩くについて、「1日8000歩で「死亡リスク半減」 米国で研究報告」の記事を見つけました。『1日の歩数が多い人ほど死亡リスクが低いことが、40歳以上の米国人を対象とする観察研究で明らかになりました。1日4000歩の場合と比べ、6000歩歩く人では死亡リスクは低下し、8000歩ではほぼ半減していました。一方で、歩く速さは死亡リスクに影響しないことも示されました』。記事はさらに続きます。

『歩数が多い人には、以下の特徴がありました:年齢が若い、BMIが低い、食事の質が低い、学歴が高い、飲酒者が多い、併存疾患(糖尿病、心臓病、がんなど)の有病率が低い、運動制限のある(歩行の継続が困難または杖などが必要)人が少ない、健康状態が良くないと申告した人が少ない。喫煙率には差は見られませんでした』(記事より)。一日一万歩や歩く速度に、こだわる必要はなさそうです。先ずは昨日よりも多く歩くこと!昨日より多く歩けば、いつしか一日八千歩になりますから。

「食べ歩き」は人生の楽しみのひとつです。「食べる」と「歩く」が長寿の王道であることもお忘れなく。やはり百年人生は一歩一歩自分の足で歩むのが宜しいかと。ご紹介の曲は「歩く」ではなくスキップにちなんでの一曲。ご自愛の程ご歯愛の程。4370
「けふいちにち食べるものある、てくてく」カルノ


本文とは無関係ですが、この通りなのかな?と思いましたので。

BBTime 469 月一本?

BBTime 469 月一本?
「一本の前歯がぬけて入学す」上野 泰

「一本」で検索したら冒頭の句が出てきました。季語は「入学」で春、ご容赦を。画像は「なだのきいっぽん」一本繋がりです、これもご容赦。今回は「月に一本歯ブラシ交換」についての話を一本。

先日、BBTime467「マユツバ話」をアップしましたが、この話もマユツバです。歯ブラシ大手メーカーはこぞって「月一本の交換」を推奨しています。ライオンは『効率よく歯垢を除去するために、「1か月に一度」歯ブラシを交換することをおすすめします』。サンスターは『見た目はOKでも、1か月たったら取替えたい』。花王は『毛先が摩耗・変形すると本来の性能を発揮できませんので、毛が広がっていなくても、1ヶ月くらいで交換するのがおすすめです』・・・これら「月一本交換」は適切なのでしょうか?うがった見方ですけど、歯ブラシメーカーの消費拡大策が見え隠れしている気がします。

ライオンの記事には『「毛先が開いた歯ブラシ」と「新しい歯ブラシ」の汚れ落ちの違いを調べた臨床研究では、「毛先が開いた歯ブラシ」は「新しい歯ブラシ」と比べて約4割ダウンすることが分かりました』・・これは正しいと思いますが「毛先が開く=ひと月」には疑問です。理由1)歯ブラシの毛はそれほど弱い材料ではない。理由2)ひと月で毛先が開くような使い方は「力の入れ過ぎ」であって、適正な磨き方ではない・・・つまり、ひと月しか持たない使い方をしている人は、歯ブラシを毎月交換することよりも、磨き方を変える必要があるのです。

サンスターの記事に『歯ブラシはお口の中へ入れるものなので、清潔な状態を保つことが大切です。歯ブラシのお手入れは水で洗って乾かしているだけのものですから、遅くても1ヶ月に1本のペースで交換することをおすすめしています』とあります。また雑誌「サライ」には『1週間使うと4,000万個の細菌がある場合も…歯ブラシの交換頻度はどのくらい?』との見出しの記事が載っています。記事には『お子さま(平均年齢8歳)の歯ブラシにはなんと15万~100万個、最大で371万個もの細菌が付着していたという結果が出ています。 また、2015年に行った検査で、7日間使用した大人(40代男性)の歯ブラシには驚くことに4,000万個もの細菌が付着していたという結果も出ています。 病院の便器に付着している細菌の数は約500個、学校の和式便器に付着している細菌の数は約33万個と言われているので、歯ブラシがどれだけ不衛生な状態か… 想像するだけでも身震いしますね… とは言っても、毎日使い捨てにする訳にもいかないので、しっかりと除菌した方が安心できますようね』(記事より抜粋)。とショッキングな内容も出ていますが、よーく考えてください。皆さまご存じとは思いますが、歯の汚れ(プラーク)は細菌のかたまりです。文献には『歯頚部や歯の隣接面などには過剰のプラークが形成され成熟プラークとなり、1g中には約10の10乗~11乗個の細菌が存在する』(こちら参照)とあります。10の10乗個とは百億個です。1gに百億個です!口全体では億の単位ではなく兆でしょう。サライ記事にはトイレ(便器)よりも口の方が細菌が多いとも出ています。当たり前です、もともと便の細菌数の方が口の中より少ないのです。

汚い歯ブラシを使いましょうとは言いません。使用後に洗って乾燥させれば、口の中の細菌数にクラブレバ・・。仮に歯ブラシの菌数が4000万個としても、汚れ(プラーク)1グラムだけで百億個ですよ。比較できないくらい、口の中の細菌数は多いのです。もちろん口の中の細菌全てがバイキンではありませんけど。

結論「歯ブラシの交換時期は「毛先の状態」で判断する。使用後は洗って乾燥させる。ひと月で毛先が開く人は「磨き圧」が強すぎるので磨き方を変える」。
前回「エシカル」について書きましたが、いま日本では年間四億本の歯ブラシが消費されているようです。単純計算で国民一人あたり年間四本、三ヶ月に一本の交換です。環境のことも考慮して、あなたなりに「月一本」を考えてみてください。環境問題の話は「プラ依存」にも、ご参照のほど。ではご自愛の程、ご歯愛の程。2780