BBTime 130 楽予防 

BBTime 130 楽予防
「そらまめのみんな笑って僧のまへ」奥坂まや

そらまめと剃りたての青い坊主頭が重なってしまいました。以前、京都の名刹で坐禅宿泊した時のことです。なぜお坊さんが坊主頭なのか、その理由の一端を小生なりに合点しました。宗教的意味も色々あるとは思いますが、何と言っても坊主頭は手入れが楽です。禅寺の朝は冬でも早く、起床後極めて短時間で禅堂に集合します。便所付属の洗面所は広くなく、ゆっくり洗顔歯磨きなどは無理です。もちろん起床後にシャワーなんてありえません(シャワー設備もありませんし)。コンタクトレンズ装着もままならない慌ただしさです。メガネのお坊さんが多いのも頷けます。

さて、前置きが長くなりましたが、前回の肯定予防に続いて「楽に予防」のお話。タイトル「楽予防:らくよぼう」は楽して予防、楽に予防、楽な予防、楽しく予防、予防楽しみ、楽に楽しく予防の意味です。5パターン考えました。
1)時間帯を考えて楽に予防する
2)場所で楽予防する
3)順序で楽予防
4)やめるで楽予防
5)他人(ひと)まかせで楽予防
順番に見ていきます。

1)時間帯で楽予防:小生テレビ無しのラジオ生活者です。朝 07:15からスペイン語フランス語イタリア語中国語の流れでラジオ講座をBGMとして聞いています。外国語を勉強したい方にこの方法はオススメです。何語をマスターしたいの前に、一日の中でいつだったらラジオ番組を聴くことができるかを十分に検討してください。その時間帯に流れるプログラムであれば勉強継続可能です。いつしかフランス耳になり中国耳になります。可能な時間帯と希望する講座が合わない場合は、その言語を諦めるか、その講座の時間を聴取可能にするかのいずれかです。もちろんテキストはあったほうがベターですが、自転車通勤中であればテキスト使用不可です。予防も同じく、昔々は「333運動」と言って「三食後三分以内に三分間磨く」でした。食後、おやつ後はうがいして、五分から十分時間が取れる時にしっかり磨く。まずはご自分の一日の流れを見直して見てください。入浴タイム、トイレ時間、テレビ時間、ベッドタイム、通勤時間など色々候補があるのではないでしょうか。

2)場所で楽予防:必ずしも洗面所で歯を磨く必要はありません。ポイントは素磨き:歯磨き粉つけずに歯ブラシやフロスだけでの唾液磨きです。唾液での素磨きであれば、歯ブラシ1本で、いつでもどこでも可能です。気になる人は最後に洗面で歯磨き粉をつけて仕上げ磨きです。歯ブラシの始終携帯は無理でしょうけど、フロス(ホルダー付き)の携帯は可能です。いつもポケットに忍ばせておけば、カフェ出てチョコット、通勤バスの中で密かに、運転中にしっかり。ブラシ磨きも朝起きてベッドの中、朝トイレで歯磨き、朝食後洗面で、通勤運転中に車内で、オフィスランチ後デスクで、カフェに寄って帰宅中バスの中で、晩御飯ごテレビ見ながらリビングで、湯船の中で、ベッドで羊が一匹の替わりに・・。

3)順序で楽予防:食事の時の順序では「食事→デザート→御馳走様」ではなく「食事→デザート→水かお茶でうがいゴックン→御馳走様」がベターです。歯磨きの時は「歯磨き→うがい→おやすみなさい」よりも「うがい→歯磨き→おやすみなさい」の方が歯磨き粉(ペースト)の薬効が期待できます。特にフッ素入り歯磨き粉では最後のうがいはNGです。吐き出しておしまいにします。うがいすみすみコッペパンはこちら、その1その2その3

4)やめるで楽予防:プチ断食、週末断食という言葉を聞きます。お菓子断食、ジュース断食も一つの方法かも。わかっちゃいるけど辞められない悪習慣を何かのきっかけに辞めてみるのも一つの方法。

5)他人任せ(ひとまかせ)で楽予防:ライザップのシステムのように食事制限や折れそうになる気持ちを他人の力を借りて(買って)成し遂げる。ムシ歯予防はとても簡単です。定期的に他人に磨いてもらうことです。どのくらいの間隔かは人それぞれですので、その人に合った間隔を計画します。

楽予防は可能です。上記の1)から4)の方法をご自分で実行なさるか、5)の他人任せを取り入れられるか。ムシ歯を予防して損することはありません、得することだらけです。楽に楽しく楽楽予防を!今回のBeat は、少し前のNHKラジオフランス語講座のテーマ曲「One Note Samba」です。1540

BBTime 129 肯定予防

BBTime 129 肯定予防
「谺して山ほととぎすほしいまゝ」杉田久女

「谺」はこだまです。いきなり余談ですが「ヤッホー」と「Yahoo!」は同じ単語です。「ほしいまま」については解説をお読みください。人にとって「欲しいまゝ」は気持ち良い行為だと思いますが、色々と問題が生じかねません。欲しいままに食べていると太りますし、飲んでいると身上(しんしょう)潰しますし、甘味欲しいままはムシ歯を作ります。「節度を持って」は建前で「欲しいまま」が本音です。予防について考えました。

多くの予防具体策は「行為の禁止」で言わば「禁止予防」です。ムシ歯ならば「お菓子食べ過ぎちゃダメ」「ジュース飲み過ぎちゃダメ」「ハイチュウだめ」「・・だめ」。他の生活習慣病においても「食べちゃダメ」「飲んじゃダメ」等々の禁止予防が目白押し。対極にあるのが「強制予防」=「これこれをしなさい!」の類です。「歩きなさい」「運動しなさい」「もっと歯磨きしなさい」「フロスも使いなさい」「定期的に歯医者に行きなさい」などなど。漢方に「中庸」という言葉が出てきます。漢方医学では、例えばやる気のない状態(マイナス)も病気ですが、ありすぎる状態(プラス)も病気と捉えるそうです。どちらもほどほどに、真ん中(バランスのとれた)が良いというのが中庸です。

画像を見てください、歯並びは出てもなく引っ込んでもなくが、綺麗です。これも中庸と言えるでしょう。そこで予防のお話。禁止予防でもなく、強制予防でもなく、言わば「肯定予防」=現状を肯定しつつ、知恵を加えて予防しましょうデス。以前「うがいすみすみコッペパン」で書きましたが、現状において禁止(マイナス)もせず強制(プラス)もしない、現状維持のまま(ゼロ)が多くの人において実行しやすいと思います。

「洗濯機理論」:洗濯機に使用済みタオルを入れて満杯になったら、洗剤と水を入れてスイッチONする。ところが脱水途中でタオルが偏り止まってしまう。そこでまず洗剤を入れ水を張りタオルを投げ込んで行き、タオルがいっぱいになったらスイッチON。これなら途中で止まらない!この場合、引き算もなければ足し算もありません。順序を変えただけです。最近これに似た「楽に良い結果」を見つけました。

目薬はさし方によってその効き方にかなりの差が出るそうです。正しいさし方を遵守すると結構時間がかかります。オススメのさし方はベッドで寝る前、もしくは起床後です(一日三回となると無理ですが・・)。寝てさすので、目からこぼれにくいし目を閉じるのも自然です。寝ることと点眼をドッキング。歯磨きと入浴のドッキングもあります。一日一回で良いのでしっかり磨くことをお勧めしますが、やはり10分以上かかります。そこで湯船に浸かりながらのしっかり磨きです。順序を変えるだけの「楽に良い結果」もいくつかご紹介。

食後の皿です。食後の歯も似た状態で汚れています。子供さんと一緒にレストランに来ています。デザートを楽しんで「御馳走様」で車に乗って家路につく。子供さんの歯の表面にはデザートが着いています、車に揺られて眠ってしまいます。家についても起きなかった子供さんはそのまま夢の中へ・・怖いです!そこで順序を変えます。デザートを楽しんだ後に、水かぬるめのお茶でブクブクうがい。食後の皿の素洗いと同じです(ジュースでうがいはNG)。完璧に汚れは落ちませんが大方の汚れは落ちます。

ムシ歯予防の観点からのみ順序を組み立てるならば、デザートの後にサラダを食べ砂糖なしのコーヒーで御馳走様でしょうか。しかしこれでは美味しさ半減かもしれません。御馳走様直前水嗽(ごちそうさまちょくぜんみずうがい)は可能だと思います。そんなことすると美味しくないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、茶会で懐石料理を経験された方は合点いくと思います。お客が最後に器(漆器)を綺麗に拭いますよね。

いろいろな「肯定予防:こうていよぼう=楽に良い結果」を考えて行きます。頭では必要だ、良いと理解できても、ハードルが高い、建前賛成本音反対では予防実践困難です。まずはやっていることの順序変え、組み合わせで「楽に良い結果」「簡単予防」を考えます。そのためには「思考の切り変え」も必要だと思います。ということで「肯定予防」に必要な思考の切り変えの曲「バケツの穴」が今回のBeat です。また冒頭の句に敬意を評して「山のあなた」もご紹介です(しつこい)。0300


BBTime128 「心をつかむ五つのステップ」ユマニチュード

BBTime128 「心をつかむ五つのステップ」ユマニチュード
「母の日のてのひらの味塩むすび」鷹羽狩行

お結びはシンプルが好みです。句を音読すると俳句は五七五のリズムのみならず「音」もポイントですね。「の」が効果的だと思います。このような句が暗唱されやすい句なんでしょうね。
さて、やっとユマニチュード完結です。このスキル・考え方は本当に日常の多くの場面で活かすべきだと思います。フランス生まれのユマニチュード、やはりベースにあるのは「母の愛」「親の愛」「神の愛」なのでしょうか。
第一話第二話第三話第四話もどうぞ。
「心をつかむ五つのステップ」
*個別のケア(着替え・食事の介助など)をする前や後にもどんな関わり方をするかというのが大事だそうですね。
『はい、よく頂く質問は「相手を見るのが大事だと言われたので、相手の顔の前に近づいたらパチンと叩かれた」というのがあります。その時には今日お話しする一連の手順を踏んでいないことが多いのです。その手順についてお話しいたします。私たちが、知り合いの方の家に食事に招かれた場合、チャイムも鳴らさずにいきなりドアを開けて「今日の食事は何ですか?」とは聞きませんよね。ケアの場合も全く同じで、いきなりケアにいかないということが重要です。5つのステップを踏むことを私たちはお勧めしています。この5つの手順と言うのはまず「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」と名前をつけました。メインとなるのが知覚の連結、いわゆるケアのことで、その前に2つその後に2つのステップを踏むことが必要です。

*ひとつひとつ伺っていきます、まずは出会いの準備ですね。
『出会いの準備と言うのは「私があなたに会いに来ましたよ」と言うことを伝えることです。具体的にはノックします、ちょっとやってみますね。「(ノック)トントントン」3回ノックをします、それから3秒待ちます。もう一度ノックします「トントントン」。それでも返事がなければもう一回ノック「トン」をしてから入ります。もしベッドに寝てらっしゃる場合はヘッドボードなどをノックします。私たちであっても寝ている時に誰かが来ていきなり大きな声を掛けられたらびっくりしますよね。ノックを重ねることによってその方の覚醒のレベルを徐々に上げることが目的です。「ノックの代わりに声をかけてもいいですか」と質問を受けますが、ノックの方がいいです、ノックの方が人の声よりも周波数の幅が広くて聴力の落ちている方にでも伝わりやすいのです。また和室(襖や障子)の場合で、ノックできない時に紙コップの底をポンポンと弾くのでもいいです』

*次にケアの準備ですね。
『はい、ケアの準備とはこれから行うケアの内容を相手にしっかり伝え、同意を得るというステップです。相手に「これから体を拭きますよ」「食事の介助をしますよ」「着替えをしますね」と伝えます。けれどまずその前に、「今日はお天気が良かったから汗をかきましたね」とか「さっぱりしましょうか」などと言いながらお風呂にお誘いするのが良いでしょう。ここで重要なのは相手の方が「嫌だなぁ」という逡巡したそぶりを見せた場合に、どうしても私たちは今やるべき事は今やらないといけないと思いがちです。相手の納得が得られない時には、まず3分間は頑張るん(今すべきことを伝える)ですが、3分間伝えても相手が同意しない場合には無理強いしないほうがいいと思います。どうしてもこれこれをしないといけないと無理強いすると、相手の方に辛い感情が残ってしまいます。そのことで次回からより難しくなってしまいます。その記憶(辛い感情)は30分位でなくなってしまうことがよくあるので、一旦諦めて30分ぐらい待ってみるのも1つの方法です』

*どうしても必要なケア「薬を飲ませる・食事を取らせる」の場合はどうしたらよいでしょうか?
『このような場合に諦めても良いのかとジレンマに陥ってしまうと思いますが、本当にそのケアを今やらないといけないのか、この後ケアを継続できないことを考えるとあきらめると言うのも選択肢の1つです。無理矢理ケアをしてしまって相手との関係が悪化してしまうと、今後私たちのお願いがすべて聞いてもらえなくなってしまいます。ですから薬を飲まないことも一回位しょうがないと言う気持ちでやってみられるといいと思います。』

*次は知覚の連結ですね。
『知覚の連結、すなわちケアを行うことです。これは目から入る情報と耳から入る情報と触れられている事から入る情報が、みんな一致する必要があります。「気持ちいいですね」と言いながら腕を掴んでしまっては、伝えようとしているメッセージとこちら側の行為が一致しません。場合によっては腕をつかまれるということが攻撃を受けていると解釈されることもあります。相手の方に全ての面において心地よさを与えるっているかどうかを考慮する必要があります』

*感情の固定、これはどういうことなんでしょうか?
『例えばデートをしてその日別れる時に、相手の方から「お疲れ様でした」と言われたらどういう気持ちになりますか?今日のデートは一体何だったんだろうと思いますよね。「お疲れ様」ではなく「今日はとっても一緒に過ごして楽しかったわ」ということを相手に伝えるとことが、また次に相手に会うときに重要なポイントです。ケアも全く同じです。今日行ったケアが良いものだったと言う感情残して次回のケアをしやすくする、シャワーであれば「気持ちよかったですね」「さっぱりとしましたね」「とてもきれいになりましたね」と相手の状況を前向きに評価してください。その時はできるだけ「見る・話す・触れる」を同時に組み合わせたほうがよろしいでしょう』

*そして最後が再会の約束ですね。
『再会の約束をします。お部屋を出る時に「じゃあまた来ますね」と言うことを伝えると、次来た時に「待ってたよ」と良い反応を得ることが多いのです。誰かが私のために約束をしてくれたと言うことが「あなたは大切な人間である」ということを相手に分かって頂くことになり、良い反応を得ることが多いです。誰かが私のために約束してくれたと言う記憶が社会とのつながりを取り戻したと言うことにもなります』
*5回に分けてのお話し、有り難うございました。
本田先生の今回のお話、内容は理解できるのですが、実践するとなるとかなりこちら側(ケアする側)に心の余裕が必要な気がします。これも必要なスキル・考え方として日々の臨床に取り入れていこうと思います。合わせてぜひご覧ください

今回のBeat はボブ・マーリーの「One Love」です。9500

BBTime127 「何かに強くこだわる・着替え」認知症ケア革命的技法

BBTime127 「何かに強くこだわる・着替え」認知症ケア革命的技法
「力ある風出てきたり鯉幟」矢島渚男

この句を見て自宅窓から眺めていますが一匹も泳いでいません、時代でしょうか。今回「ユマニチュード」第四話です。第一話第二話第三話もそれぞれどうぞ。
ユマニチュード第四話「何かに強くこだわる・着替え」
*今回はケアを受けている人が何かに強くこだわっている場合にどうすれば良いのか?について教えてください。
『例えば、御自宅にいらっしゃるのに「家に帰る」と言ってどこかに行ってしまおうとする時、「ここがあなたのお家ですよ」と否定したり「なんでそんなことを言うの」と、ついつい家族の方は言ってしまいがちですが、こういう場合ご本人としては「ここにいることが不安です」ということを別の表現で伝えようとしていると考えてください。そうしてその気持ちを抑圧しないようにした方が良いです。ダメだと言われて嫌な感情だけが記憶に残る、そうするとますますここにいることに不安を感じるようになり、悪循環の始まりになります』

『この場合、基本的なコミュニケーションの技術「見る・話す・触れる」を使って対応します。まずは目の高さを合わせて正面からゆっくりと近づいていきます。イメージとしては相手の視線を掴みに行くような感じです。いきなりその方の顔の前に出てしまいますと、まるでびっくり箱を目の前で開けたようなことになりますので、できれば3メートル位手前からその方に近づいていきます。そして「どこかに行きたい」とおっしゃっているのであれば、なぜそこに行きたいのかを聞いてあげて下さい。もちろん筋が通っていない場合、例えば退職して何年も経つのに「仕事に行く」とか、その方は90歳過ぎて子供さんも50歳過ぎているのに「小学校に迎えに行く」とか、このようなこともあります。私たちケアする方にとっては全く現実的ではないことであっても、ご本人にとっては重要な理由になっているのです。記憶は新しいものから徐々に失われていきます。ご本人は90歳でもその時は30代まで遡っているのかもしれません。「あなたの子供さんは50歳を過ぎていますよ」と言うのではなくて「じゃあ、お迎えにいきましょう」と出かける準備をして実際に出かけてみることもひとつの方法です。こうすることで自分の希望が妨げられた、断られたと言う辛い感情が残らないのです。認知の機能が落ちていらっしゃる方は出かける準備をするうちに、興味の対象の矛先を変えるだけで、気が変わったり、忘れてしまうこともよくあります。「じゃあ出かけるために洋服を着替えましょう」と別の部屋へ移動するうちに行きたかったと言う気持ちを忘れてしまわれることもあります。また実際にご自宅を出て庭を歩いているうちに「おうちへ帰ろう」とご本人からおっしゃることもあります』

*そのような行動と合わせて、相手がイライラしているときにはどう対処すればよろしいのでしょうか?
『相手がイライラしていると私たちもイライラしますよね、しかし、そこをグッと堪えて「あなたのことを大事に思っていますよ」ということを相手にしっかり伝えることがケアの重要な技術なんです。その方と私たちに危険の及ばないことを確認した上で、その方の気分が落ち着くようなところにゆっくりと触れてみることが良いでしょう。具体的には感覚の鈍いところ、背中や肩やふくらはぎです。そのような場所にゆっくりと触れる、しかも手のひらを大きく広げた状態で触れると良いです。触るときはまるで飛行機が着陸するかのように指先からゆっくりと触れて、また離れる時は逆に飛行機が離陸するように、別の言い方をすると名残を残すように手を離して行きます。相手の方をぎゅっと抱きしめる、ハグすることも効果的です。認知の機能の低下した方と過ごしていると相手の方からハグされる場面もよくあることです。ハグに応えてこちらもハグすることも効果的です』

*着替えを嫌がる場合がどうすれば良いのでしょうか?
『可能であれば複数で対応する、介護する人とご家族の方と役割を分担して行う方法があります。重要な事はみんなが一緒に手を出すのではなく、役割を二つに分けるのです。ひとりは注意を引き付ける、楽しくお話をする、優しく触れるなどでその方の注意を十分に惹きつける。その方が楽しい時間を過ごす一方で、その間に他の人が着替えを行うのです。一度に周りの人が声をかけたり、触れたりするとケアを受ける人の方が不安になって拒否することがあります。またその際には「今から手を拭きますね」と実況しながら、「気持ちよくなりますね」「さっぱりしますね」というような前向きの言葉をかけることもお忘れなく。ご家族がその方以外にはいらっしゃらない、もしくはひとりでケアをしないといけない、このような場合も当然あります。こういう時にはその方の注意を惹きつけておくモノを用意しましょう。例えばペットとかご本人がお好きなお人形や写真など、その方の注意を引くことができるモノ、しかもそれがお好きなものである、そのようなものを常に手元にいくつか用意しておくと良いのではないでしょうか』

*時に、うまくいかないこともあると思います。うまくいかない時にはどうすればよいでしょうか?心に余裕がないとできませんよね。
『うまくいかない時はあります。うまくいかなくても自分を責める必要は全くありません。うまくいかなかった時は、なぜ上手くいかなかったのかなあと考えて頂ければ良いです。多くの場合、お伝えしたことのどこかに答えがあると思います。ひとつひとつ、やってみられれば良いと思います。そして、これ以上無理だという場合には周りに助けを求めてください。全部自分で引き受けない、自分ひとりで悩まない、頑張りすぎないことも介護には必要なことです』
今朝(5/5)のラジオでユマニチュードについてリスナーの方の質問に答える話があり、その中での情報です。「高齢者ケア研究室」がユマニチュードの動画をアップしています、是非見てください!

今回のBeat はボーズのスピーカーの動画で見つけました、リフレッシュしてくれそうな曲です。PARKS の”Sweater Weather”です。4760


ラインスタンプ第二弾「漢字オバケ2
第一弾「漢字オバケ1」はこちら

 

 

BBTime126 いたりきたり

BBTime125 いたりきたり
「茶畑のずり落ちさうでずり落ちず」丘本風彦

この句を見ると「確かにそうだ」まさしく言い得て妙。ここ十日ほど桂枝雀師匠の「山のあなた」の穴にズッポリと嵌っております、ハイ。師匠の他の演目も色々と観ました。YouTubeには彼の落語論・対談もアップしてあります。「緊張の緩和理論」シリーズは落語の笑いの種明かしのような話です。「代書屋」は有名ですが、今回のオススメは「いたりきたり」、自宅で飼うペットの創作落語です。冷静に考えてみると、どうでも良いことが哲学的な話にまで昇華されているように思えます。是非どうぞ!4200

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この季節この句を思い出します。焼きでもボイルでも好きです!好相性は温燗(ぬるかん)ですかね。さてお待ちかねユマニチュードその3、聞くたびに書くごとに認知症ケアのみならず、日常歯科臨床においても重要必要なスキル・知識だと痛感します。オリジナル音声はこちら、今週木曜日夜までは聴くことができると思います、善は急げ!はよ聴きや。ハイ、膳はゆっくり・・というのが今回のお話です。第一話はこちら、第二話はこちらへ。

*今回は話を聞く場面についてのユマニチュードです。こちらの問い掛けにある程度返答はあるけれども、会話がうまく噛み合わない場合にはどうしたらよいのでしょうか?
『まずは相手の方の目をしっかり見るということが重要です。「あなたがここにいるという事を私はわかっていますよ」ということを相手に伝えるためです。その方の正面に位置をとって、相手の視線の高さに目を合わせることがポイントです。また「知っているの?どうなの?合っているの?間違っているの?」と畳み掛けるような質問の仕方は絶対にやらない方が良いと思います。認知症の特徴は何か情報が入ってきた時、理解するまでに時間がかかります。さらにそれに反応するまでにまた時間が掛かるのです。ですからひとつのことを尋ねたら、だいたい三秒ぐらいの間(ま)をおいて、次の言葉をかけることが重要です。また質問するより言い切る方が良いでしょう。質問は相手を混乱させるきっかけになることもあります。例えば「お散歩にいきましょうか?お風呂にしましょうか?」と選択を迫るのではなく「お散歩に行きましょうね」と言い切ってしまってご本人の反応を見て、これは受け入れているな、これは断っているな、ということをこちらで判断するようにした方が良いでしょう』

*会話が成立しない反応がない場合はどうすれば良いのでしょうか?
『まずはこちらの発している情報が相手に届いているか否かということを確認する必要があります。横から後から話しかけていることがないかどうか、距離が遠すぎないかどうか、声が高すぎたり大きすぎたりしていないか、このようなことを確認します。特にお年を召して聴力が低下している方の場合に、ついつい周りの人が大きな声で話しがちです、これは周りの人から怒鳴られ続けているとも取られかねないので、ますますご本人は不安になります。ですから「あなたは安心してここに居ても良いのですよ」という安心感を与えるためにも声の大きさ、高さは重要です』
*相手に近づいて適切な大きさでゆっくり喋ることが重要なんですね。
『そうです。見る・話す・触れるというコミニュケーションのいくつかの要素を組み合わせることが重要で、ひとつだけではダメです。たとえ反応がなくても組み合わせて伝えると言う事はとても大切な事です。目の前にいる人(介護する人)は敵ではないことを伝える、私はここに居ても良いのだという安心感を持っていただくために重要で、介護の様々なケアを受け入れてもらうための大切な一歩なのです』

*続いて食事の世話をする場面です。ご自分で食べることができるはずなのになかなか食べてくれない場合、どのようなことを考えれば良いのでしょうか?
『食欲がなくて食事が進まない方も当然いらっしゃいます。お食事を召し上がらない場合にはその理由を御本人に聞いてみると良いと思います。例えば、お皿にとてもきれいな模様が書いてある場合にその模様を虫と間違われて「このような虫がついている食事はとても食べられません」とおっしゃった方が実際いらっしゃいました。この方の場合、お皿を変えたら食事ができました。食事の環境がその方にとって安心なのか、はたまたその方を不安にしているのかをしっかり見極める必要があります。その時に相手から情報をよりよく引き出すためにもコミュニケーションの技術が必要となります。

また認知機能が低下してくると、順序立てて物事を行ったり自分自身がとるべき行動がわからない、例えばどのお皿から食べれば良いかということがわからなくなる場合があります。そのような場合、お膳に載っているお皿の数が多すぎることが食事の進まない原因になっていることもあります。ひとつのお皿にひとつずつ載せて出す、これを食べてから次のお皿を出す、このような工夫もやってみられたら良いと思います。お箸がうまく使えなくなった場合には、指で食べられる工夫も必要です。おにぎりであるとかクラッカーの上におかずをのせてパーティー食のような食事もひと工夫です。また味覚は加齢とともに変化してくるので甘みを少し強くしたり、スパイスや薬味を使って味に変化をつけることによって食事が進むこともあります。これはひとつひとつやってみるしかないので、いろいろなことを試してみられると良いと思います』

*次に介助が必要な場合についてはどうでしょうか?
『よくやりがちな事はその方の横に座って、横からスプーンで食べ物を口元に運ぶ。これは御本人にとってみればいきなり何かを口の中に突っ込まれたと受け取られかねません。まずは御本人の正面に位置して、食べてもらいたいものをスプーンに載せて、目の高さに持ち上げる。しっかり見てもらってから口の中に入れるというように、ひとステップ増やすことが必要です。やはりその時には言葉を添えることも大切で「はい次、次」ということではなく「美味しいお魚ですよ」「いい香りがしますよ」「季節の味ですね」などの言葉を添えて口に運んであげるようにしてください』第三話終了

やはり「間」は大事ですね。落語を聴いていると「間」の妙に感心します、是非こちらもお聴きください(しつこい!)。今回のBeat は「Nat King Cole のUnforgettable」です、二曲めは親娘ならではの間合いなのか「Natalie Cole LIVE – Unforgettable」です。3040