BBTime 469 月一本?

BBTime 469 月一本?
「一本の前歯がぬけて入学す」上野 泰

「一本」で検索したら冒頭の句が出てきました。季語は「入学」で春、ご容赦を。画像は「なだのきいっぽん」一本繋がりです、これもご容赦。今回は「月に一本歯ブラシ交換」についての話を一本。

先日、BBTime467「マユツバ話」をアップしましたが、この話もマユツバです。歯ブラシ大手メーカーはこぞって「月一本の交換」を推奨しています。ライオンは『効率よく歯垢を除去するために、「1か月に一度」歯ブラシを交換することをおすすめします』。サンスターは『見た目はOKでも、1か月たったら取替えたい』。花王は『毛先が摩耗・変形すると本来の性能を発揮できませんので、毛が広がっていなくても、1ヶ月くらいで交換するのがおすすめです』・・・これら「月一本交換」は適切なのでしょうか?うがった見方ですけど、歯ブラシメーカーの消費拡大策が見え隠れしている気がします。

ライオンの記事には『「毛先が開いた歯ブラシ」と「新しい歯ブラシ」の汚れ落ちの違いを調べた臨床研究では、「毛先が開いた歯ブラシ」は「新しい歯ブラシ」と比べて約4割ダウンすることが分かりました』・・これは正しいと思いますが「毛先が開く=ひと月」には疑問です。理由1)歯ブラシの毛はそれほど弱い材料ではない。理由2)ひと月で毛先が開くような使い方は「力の入れ過ぎ」であって、適正な磨き方ではない・・・つまり、ひと月しか持たない使い方をしている人は、歯ブラシを毎月交換することよりも、磨き方を変える必要があるのです。

サンスターの記事に『歯ブラシはお口の中へ入れるものなので、清潔な状態を保つことが大切です。歯ブラシのお手入れは水で洗って乾かしているだけのものですから、遅くても1ヶ月に1本のペースで交換することをおすすめしています』とあります。また雑誌「サライ」には『1週間使うと4,000万個の細菌がある場合も…歯ブラシの交換頻度はどのくらい?』との見出しの記事が載っています。記事には『お子さま(平均年齢8歳)の歯ブラシにはなんと15万~100万個、最大で371万個もの細菌が付着していたという結果が出ています。 また、2015年に行った検査で、7日間使用した大人(40代男性)の歯ブラシには驚くことに4,000万個もの細菌が付着していたという結果も出ています。 病院の便器に付着している細菌の数は約500個、学校の和式便器に付着している細菌の数は約33万個と言われているので、歯ブラシがどれだけ不衛生な状態か… 想像するだけでも身震いしますね… とは言っても、毎日使い捨てにする訳にもいかないので、しっかりと除菌した方が安心できますようね』(記事より抜粋)。とショッキングな内容も出ていますが、よーく考えてください。皆さまご存じとは思いますが、歯の汚れ(プラーク)は細菌のかたまりです。文献には『歯頚部や歯の隣接面などには過剰のプラークが形成され成熟プラークとなり、1g中には約10の10乗~11乗個の細菌が存在する』(こちら参照)とあります。10の10乗個とは百億個です。1gに百億個です!口全体では億の単位ではなく兆でしょう。サライ記事にはトイレ(便器)よりも口の方が細菌が多いとも出ています。当たり前です、もともと便の細菌数の方が口の中より少ないのです。

汚い歯ブラシを使いましょうとは言いません。使用後に洗って乾燥させれば、口の中の細菌数にクラブレバ・・。仮に歯ブラシの菌数が4000万個としても、汚れ(プラーク)1グラムだけで百億個ですよ。比較できないくらい、口の中の細菌数は多いのです。もちろん口の中の細菌全てがバイキンではありませんけど。

結論「歯ブラシの交換時期は「毛先の状態」で判断する。使用後は洗って乾燥させる。ひと月で毛先が開く人は「磨き圧」が強すぎるので磨き方を変える」。
前回「エシカル」について書きましたが、いま日本では年間四億本の歯ブラシが消費されているようです。単純計算で国民一人あたり年間四本、三ヶ月に一本の交換です。環境のことも考慮して、あなたなりに「月一本」を考えてみてください。環境問題の話は「プラ依存」にも、ご参照のほど。ではご自愛の程、ご歯愛の程。2780

BBTime 468 エシカル

BBTime 468 エシカル
「夏掛けのみづいろといふ自愛かな」能村登四郎

「夏掛け」夏用の布団で夏の季語。昨年頃から言葉「エシカル:ethical」を耳にするようになりました。意味は「倫理の、道徳上の。同義にかなった、道徳的な。(薬が)医者の処方を要する」などです。今回、エシカルについて。

日常での「エシカル」は『「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞である。つまり、「法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること」を示す。近年は、英語圏を中心に倫理的活動を「エシカル(ethical)○○○○」と表現し、エシカル「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いが強くなっている』(Wikipedia)とあり、具体例として「エシカル消費・エシカルファッション・エシカルジュエリー・エシカルビューティ」などがあるようです。これらに倣って言うならば「エシカル(歯科)医療」・・つくづく考えます。

エシカル医療:今現在、このような言葉は使われていませんので定義はできませんが具体例を上げるなら1)治療前から「痛いのは嫌なので麻酔してください」ーこのような方(患者)には「痛みを感じるようであれば、麻酔しますけど」と皮肉めいた口調で答えます。2)「抗生物質をください」ー(症例・症状によって)不要な場合は「あなたの場合は抗生物質は不要です」と伝え処方しません。3)歯磨きが極めて不充分な方には「もったいない!あなたの歯ですよ、ひとたびムシ歯になると元には戻りません」等々、やんわりとイヤミを言います。4)「また悪くなったら来ます」との患者さんにはー「悪くなる前に(予防として)来られた方が良いですよ」と少々語気強く伝えます。5)治療すべき歯があるのに「部活や仕事で時間取れないから(来院できません)」の方にはー「あなたの体とどちらが大切(優先すべき)ですか」と婉曲的に伝えます。6)鹿児島弁で言うなら「口の中がチンガラ(滅茶苦茶・崩壊している)」の方にはー「これからの食生活(人生)どうしますか?」との問いを投げかけます・・等々。

このようなことを歯科医師が言うと「俺の歯だから勝手じゃん」という考えをお持ちの方も当然いらっしゃいますし、「歯科医療と言えどもサービス(客商売・人気商売)だろ」「患者の希望通りにしろよ」と言わんばかりの表情をされる方もおられます。それら患者さんの反応の受け取り方は歯科医師それぞれでしょうが、小生は「あなたにも責任があるのですよ」と言いたくなります(声に出して言いませんが、心の声で言います)。なぜなら、ほとんどの歯科疾患「ムシ歯と歯周病」は予防可能だからです。予防することで、治療に伴い消耗消費するもの・・時間、お金、エネルギー、歯科材料、金合金、心など諸々の消耗消費が回避可能です。

「ご自愛ください」「ご自愛の程」耳慣れた表現ですが、歯科予防は「自愛」に尽きると思います。かと言って「歯科予防=自愛=歯磨き」ではありません。歯科におけるご自分でできる「自愛」には限度があります。予防のために「ご自愛」のために、もっと専門家(歯科医師・歯科衛生士)を活用してください。治療のための活用が、二の次三の次になる日が来ることを信じております。画像の記事はこちら。ご自愛の程ご歯愛の程。2270




BBTime 461「耳寄な話」もどうぞ。
食の「エシカル」記事見つけました。

BBTime 467 マユツバ話

BBTime 467 マユツバ話
「うなぎ の日うなぎ の文字が町泳ぐ」斎藤すず子

解説には『季語は「うなぎの日(土用丑の日)」で夏。ただし、当歳時記では「土用鰻」に分類。この日に鰻(うなぎ)を食べると、夏負けしないと言い伝えられる。今年は今日が土用の入りで、いきなり丑の日と重なった。したがって、この夏の土用の丑の日はもう一度ある。鰻にとっては大迷惑な暦だ。句のように、十日ほど前から、我が町にも鰻専門店はもちろんスーパーなどでも「うなぎの文字」が泳いでいる。漢字で書くと読めない人もいると思うのか、たいていの店が「うなぎ」と平仮名で宣伝している。面白いのは「うなぎ」の文字の形だ。いかにも「うなぎ」らしく見せるために、にょろにょろとした形に書かれている。なかには、実際の姿を組合わせて文字に仕立てた貼紙もあって、句の「うなぎ」表記はなるほどと思わせる。作者は、夏が好きなのだ。もうこんな季節になったのかと、町中を泳ぐ「うなぎ」に上機嫌な作者の姿がほほ笑ましい。今宵の献立は、もちろんこれで決まりである。私は丑の日だからといって鰻を食べようとは思わない性質(たち)だけれど、世の中には、こういうことに律義な人はたくさんいる』(一部抜粋)。

前回「眉唾に非ず」は唾液の話でしたが、今回はそれって本当?マユツバじゃないの?のお話。ちなみにうなぎを食べると「精がつく」は眉唾ではなさそうです。詳しくはこちら

1)歯磨きの「333運動」:眉唾っぽい
「333(さんさんさん)運動」とは「毎食後(三食後)三分以内に三分間磨きましょう」です。昭和四十年代頃によく耳にしました。これは間違い(眉唾)とは言いませんが、歯科医として積極的には薦めません。「三食後に磨く」ーこれはオススメします、ただし可能であればですが。朝食前よりは朝食後の方が、予防効果は高いものとなります。朝起きてすぐは「うがい」のみで朝食後に歯磨きがベターですが、忙しい朝ですので朝起きて歯磨きし、朝食後はうがいのみでも構いません。次の「三分以内」ーこれはどちらかというとNG(良くない)です。食事中に歯の表面は酸によってわずかですが溶けている(軟らかい)状態です。その後、唾液のもつ「緩衝作用:かんしょうさよう」によって元の状態(硬い表面)に戻されます。食後三分以内に歯の表面を磨く(歯の表面をゴシゴシする)と傷つけてしまう可能性があります。ご馳走様のあと二、三十分待って磨く方が良いでしょう。最後に「三分間磨く」ーこれは悪いことではないのですが、毎回三分間磨けないこともあるでしょうし、三分間で汚れをきれいに落とすことは無理です。夜だけでも(日に一回は)三分と言わずに、五分から十分は磨いて欲しいところです。

2)歯磨き粉は必須である:個人的意見ですが眉唾です
不要とは言いませんが必須ではありません。歯磨き粉の有効成分は大まかに「研磨剤」と「フッ化物」です。ただし研磨剤は汚れを落とすのみならず歯の表面を傷つける可能性がありますので要注意。歯磨き粉で歯の表面の頑固な汚れ「バイオフィルム」を除去(溶かす)することはできません。バイオフィルム除去はあくまでも物理的除去(ゴシゴシ)のみです。唾液磨き(唾液で磨く)を推奨します。「ハミガキ」「鰯の頭も!」「ソントク」にも書いています、ご参照の程。

3)ムシ歯はできるものである:嘘です
ムシ歯の原因ははっきりしています。歯周病の原因もはっきりしています。子供はムシ歯になるものだ、歳を重ねると歯周病になるのは仕方がないーそんなことはありません。ムシ歯はほぼ100%避けることができます。歯茎の変化(退縮)は加齢によるものもありますが、加齢による変化と歯周病は別です。

4)毎日磨いている:眉唾です(疑わしい)
毎日磨いているのに「なぜムシ歯ができるのだろう?」と思われたことはありませんか。もちろん磨いておられることは否定しませんが、毎日磨いていることと、毎日磨けていること(キレイになった)は別なんです。ご自分で隅々までキレイになったかどうかを知ることはほぼ不可能です。歯科診療所で第三者による定期的清掃をオススメします。

5)治療後金属になるのはしょうがない:眉唾です。
ムシ歯を指摘され治療を受ける前に(歯科医が歯を削る前に)最終的に何が入るかを確認されることを薦めます。「白=樹脂」なのか「銀色=パラジウム合金」なのかを聞いてください。もし「金属です」の答えなら「白いのはできませんか?」と聞かれることを薦めます。また「樹脂(白)でも金属でも可能です」なら、メリットデメリットまで聞いてください。現在、多くの部位で白い樹脂による保険内治療が可能です。

6)キシリトールはムシ歯予防効果あり:眉唾ではないけど
ご存じとは思いますがキシリトールにはムシ歯予防効果があります。ただし、毎日結構な量のキシリトールを摂取(ガムを噛む)し、三ヶ月以上続ける必要があります。思い出したように「キシリトールガム」を噛んでも効果はほぼゼロです。詳しくはこちら

7)ムシ歯になってから歯医者に行けば良い:ダメです
ムシ歯という病気は、数ある中でほぼ完全に予防可能な病気です。唯一と言っても良いでしょう。ムシ歯になってから歯科に行って治療を受けても、ムシ歯以前の機能回復は可能ですが、元の歯には戻りません。多くのムシ歯治療は代替医療(別のものに置き換える)でしかないのです。

今年は土用の丑が二回、本日(7/21)と来月二日(日曜)二の丑です。美味しい精のつく鰻料理も健康な歯があっての物種です。鰻料理をブログでお届けすることはできませんので、代わりに落語「鰻の幇間(たいこ)」をお召し上がりください。小生の好きな可楽師匠の味付けで。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。1030

BBTime 466 眉唾に非ず

BBTime 466 眉唾に非ず
「美しき緑はしれり夏料理」星野立子

夏が来れば思い出す♫句です。同時に緑の夏料理って?と考えているうちに夏が終わります。タイトルの「眉唾:まゆつば」とはご存じの通り「正しい(本物)かどうか疑わしいこと」です。眉に唾をつけて見れば、狐や狸のいたずらに騙されない、という俗信に由来するとのこと。今回、眉唾物ではない「つば」のお話。

前回「意味不明」で学校検診に触れましたが、ムシ歯の部位は似通っています。成人の方にも同じような傾向があります。言わばムシ歯の好発部位。まずは上の前歯の隣り合う部位(隣接面):この部位は一番目立つ(他人の目から見える)部位でもありますので、モッタイナイ!ここはブラシだけでは不十分、フロス(糸)が必須です。次に見かけるのが上の一番奥の奥歯の奥の面、特にほっぺた側です:この部位は歯ブラシが届きにくいのでムシ歯好発部位。コツがあります。口を大きく開けるとほっぺた側の筋肉が邪魔して歯ブラシが届きません(奥に入らない)ので、口を開けてブラシを入れたら、歯ブラシをくわえるように口を閉じてください。すると筋肉が緩んで空間が出来ますので、歯ブラシが奥の奥まで届きます。次のイラスト見ていただくと・・ムシ歯好発部位の理由がわかります。

そうなんです。日常生活で唾液によって洗われる部位はムシ歯になりにくく、唾液の届きにくい(唾液によって潤わない)部位はムシ歯になりやすいのです。一番唾液によって潤っている(濡れている)部位は、下の前歯のベロ側です。その部位には「舌下小丘:ぜっかしょうきゅう」があり、そこから唾液が出るからです。ただし、常に唾液で洗われることによって「歯石」が付きやすい場所でもあります。

本来ヒトはいくつかの歯の自浄作用をもっています。野菜をガシガシ食べることで「歯磨き」の効果がありますし、「唾液」によって洗われることで唾液のもつ免疫力も加味され、ムシ歯予防を自分自身で行います。にも関わらずムシ歯を作ってしまうのは理由は明白!食生活の激変・砂糖の過剰摂取などが主因です。

あなたの唾は絶大な「歯を守る力」を持っています・・眉唾ではありません!唾液で歯を磨くことは、あなたにとって非常に有益です。母乳と同じような有益性です。唾液磨きであれば、いつでもどこでも(歯ブラシさえあれば)磨ける、まったくの無害どころか免疫力あり、もちろん無料。これでも未だあなたは「歯磨き粉」を使いますか?・・唾液磨きだけで落ち着かない方は、最後にほんの少し使う程度で十分です。

残存歯(残っている歯)が少ない多くの方が残している歯は下の前歯です。始終唾液によって守られているのが下の前歯です。くどいようですが、唾液の守る力は絶大なんです。しかし唾液のもつ免疫力はデリケートですので、人工的化学物質である歯磨き粉が口に入ると、唾液の免疫力は低下します。もったいない話です。オススメしたい「唾の使い方」は、眉に塗るのではなく歯磨きに使ってください。
皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。8140


追加:朝日新聞「折々のことば」に見つけました。『なみだは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 海です』・・・に倣って
「だえきは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 泉です」

おまけ:次のような表現もあるんですね、やはり「泉」!
This blueberry infused chocolate cake has our mouths watering! 😋
「口の中が唾液で一杯」の意味でしょうか。
Instagram「kellogggarden」より

BBTime 465 意味不明

BBTime 465 意味不明
「はつきりしない人ね茄子投げるわよ」川上弘美

これは俳句なのか、痴話喧嘩なのかはっきりしません(笑)。解説には『いずれにせよ「はつきりしない人」は、男女を問わずいつの世にもいるのだ。私たちの周囲だけでなく、企業や団体・・・・いや、政治の場でも「はつきりしない/させない」人や事、あるいは「玉虫色のもろもろ」はあふれかえっている。それらには鉄塊か岩石でも投げつけなくてはなるまい。この句で投げられるのは、あの柔らかくて愛しい弾力をもった茄子だから、むしろ愛敬が感じられる。ジャガイモやトマトとは違う。ヒステリックな表情から一転して、茄子がユーモラスな味わいを醸し出している。口調はきついが、カラリとしていて陰険ではない。この人は「投げるわよ」と恐い顔をして威嚇しただけで、実際には投げなかったかもしれないし、投げつけたとしても、すぐにニタリとしてベロでも出したかもしれない。』(解説より抜粋)。今回は近頃よく耳にする「積極的検査」について。

先日(7/11)も報道に『東京都で新型コロナウイルスの新たな感染者が増えていることについて、菅官房長官は積極的にPCR検査の受診を促し、陽性者を探し出している攻めの姿勢の結果だと指摘したうえで、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組んでいく考えを示しました』(引用元)とあります。小生にとってまったくもって意味不明!医学的には、積極的に検査しても消極的に検査しても陰性は陰性、陽性は陽性です。積極的に検査した結果、陽性者数が増えただけで特に心配する必要はない、とでも言いたげに聞こえます。経済を止めたくないのはわかりますが、筋が違います。ロジック(論理・道筋)がごっちゃになっており、明らかに誤魔化しです。「積極的に検査」「攻めの姿勢」など、詭弁にすぎません。

さてこの時期、学校歯科検診結果を携えて子供さんが来院されます。学校の歯科検診では「疑わしきはムシ歯」と診断します。理由はただひとつ「見落とし」を避けたいからです。学校は歯科診療所と異なり、照明や設備などにおいて劣る可能性は否めませんので「疑わしきはムシ歯」と判断します。このため積極的検診で「ムシ歯あり」であっても臨床的には「(要治療の)ムシ歯なし」となる場合があるのです。

小さくとも明らかにムシ歯があった時、「削って詰める」場合と「削らずに様子を見る(経過観察)」場合があります。小生の判断基準はその方の歯の清掃状態です。清掃状態良好ならば経過観察し、不良ならば小さくとも治療を考えます。歯科医院で「削って詰めましょう」と言われた場合に、あなた自身(患者さん)も鏡で確認し、一言「様子見るのは不適切ですか?」と聞いてください。患者さんが子供さんの場合、親御さんが「経過観察は不適切ですか?」と歯科医師に聞いてください。歯は削ったら元に戻りませんので、積極的検診で「ムシ歯陽性」であってもすぐに削らずに「定期観察」「長期観察」の方が良い場合もあります。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。7910


BBTime 464 十万が一

BBTime 464 十万が一
「純白のマスクを楯として会へり」野見山ひふみ

季語は「マスク」で冬の句、解説が結構面白いです。『さて、作者は身構えて物を言わざるを得ない人に会いに行った。実際に風邪をひいていたのかどうかはわからないが、とにかくマスクを「楯(たて)」のようにして話したというのである。「純白の」に、相手に対する挑戦的な姿勢が強調されている。マスク一つで、心強くなれる人間心理は面白い』(解説より抜粋)。黒の方が挑戦的だと思うのですが、当時(1997年発表)一般的マスクで黒はなかったでしょう。マスクからサングラスへ。

『マスクに似た効果があるのはサングラスで、あれもかけ慣れると、なかなか外せなくなる。私は若い頃にいっとき、夜でもかけていた。礼儀上外したときなど、別に身構える相手ではないのに、なんだか自分が頼りなく思えて困ったものだった』

『古風な小説や映画に出てくる怪盗などがしばしばアイ・マスクをして登場するのは、一つには顔を見られたらいけないこともあるが、そのこと以上に、あれはまず自分自身を鼓舞するための道具なのではなかろうか。風邪のマスクに話を戻せば、SARS騒ぎの中国の街で、ほとんどの人たちがマスクをしている映像は記憶に新しい。あの場合はむろん自己鼓舞とは無関係だけれど、あれだけの人々がマスクをしていたら、それまでの人間関係が微妙に変化する部分もあったのではないかと思う。句が言うように、たかがマスクとあなどれないのである。『俳句歳時記・冬』(1997・角川mini文庫)所載。(清水哲男)』(解説より)。

この解説が書かれたのが2003年12月、誰がコロナ禍を想像したでしょうか。SARSも中国起源であることを考えると、やはり中国は人口のみならずウイルス人口も世界一なのでしょう。今回はマスクが「楯」なのか「矛:ほこ」なのかについて。

今月文月二日の毎日新聞に記事「マスクと感染リスク」を読みました。『ようやく全国で移動制限が解除された。まだマスク着用など、感染対策をする新しい生活様式が必要とされる。一方で、熱中症が心配される夏である。「マスクをしないとダメなの?」と思っている人は多いだろう。   その答えは、立場によって違う。マスクの効果を調べた動物実験で、感染リスクが半分に抑えられたという。だから感染症が専門の立場からは、リスクを下げるには、マスクの着用が必要だとなる。一方で、熱中症が専門の立場からは、マスクをつけた状態で運動すると、心拍数、呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇したという報告がある。だからマスクをはずして休憩することも必要だという。結果として、科学的根拠に基づくべき厚生労働省や政府の立場からの指針は、両論併記となる。「外してよい」などと発表し、万一、感染者が出たら責任を問われてしまうからなおさらだ。』(記事より)。

『フェーズ・局面の視点から考えても、春先と今とは違う。春先には感染力の強さも感染ルートも、有効な対策も未知で、新規感染者数も1日で700人、入院者数も1万人に近づきベッドが逼迫(ひっぱく)し、緊急事態宣言が全国に拡大された。しかも、無症状の人にも感染力があるとわかった。だから拡大期には無症状の人もマスクをして、感染リスクの抑制が優先されるべきだ。』(記事より)。しかし今は夏、春先とは違うフェーズです。

記事にあるように「万が一の十分の一」つまり「十万が一」「1/100,000」です。「さらに半分に感染リスクを下げたい人には」すなわち「二十万が一・1/200,000」のリスクとなります。言い換えれば「二十万人に一人の陽性者」からの感染を考慮する方は「マスク必要」と言えます。「マスクをしないとダメなの?」の問いには、記事の最後『多くの人にとって怖いのは、ウイルスよりも、周りの目なのかもしれない』を根拠とすると「周りの目を気にする方はマスクをしましょう」となります。ところで、あなたは二十万人いや十万人の人と濃厚接触する可能性のある立場の方ですか?ご自愛の程ご歯愛の程。6250



エンニオ・モリコーネ氏死去の報に触れて・・・合掌。

BBTime 463 恙なく

BBTime 463 恙なく
「恙なき雲つぎつぎに半夏かな」廣瀬直人

解説が少々難解です・・『季語が「半夏(はんげ)」であるのは間違いないが、どの項目に分類するかについては、いささか悩ましいところのある句だ。というのも、単に「半夏」といえば一般的には植物の「カラスビシャク」のことを指すからである。だが、私の知るかぎり、この植物を季語として採用している歳時記はない。ならば当歳時記で新設しようか。でも、待てよ。歳時記をめくると、半夏が生えてくる日ということから「半夏生(はんげしょう)」という季語があって、こちらは全ての歳時記に載っている。今年は昨日7月2日がその日だった。そこで悩ましいのは、掲句の中味はカラスビシャクを知っていても、こちらの季語の意味を知らないと解けない点である。すなわち、「恙(つつが)なき雲」は明らかに、半夏生の日の天気によって米の収穫を占った昔の風習を踏まえている。梅雨の晴れ間の空に「つぎつぎに」生まれる白い雲を眺めながら、作者は昔の人と同じように吉兆を感じ、清々しい気持ちになっているのだ。だとすれば、何故「半夏かな」なのだろう。ここをずばり「半夏生」と押さえても字余りにもならないし、そのほうがわかりやすいし、いっこうに差し支えないのではないか。(後略)』(解説より一部)。冒頭画像は半夏生(今年は今日)

「如何にいます父母 恙無しや友がき 雨に風につけても 思い出づる故郷」唱歌故郷(ふるさと・1914年発表)の二番の歌詞です。ここに出てくる「恙無し:つつがなし=病気や異状が無く、いつもと変わりがない様子」は、画像のツツガムシによる病気「ツツガムシ病」に由来すると昔聞いたことがありましたが、誤りでした。「恙虫=恙虫病→恙無し(病気になっていない)=健康で変わりない」ではなく正しくは「恙(病気や災難のこと)=これを引き起こす妖怪が恙虫→その後にダニ(画像)が原因であると判明し「ツツガムシ」と命名(1899年)」とのことで、妖怪恙虫が先で実在のツツガムシが後でした。詳しくはこちら「つつがなしや」もどうぞ。長い枕となりました(笑)、今回は「恙なく」について。

ほぼ毎日目を通すサイト「ほぼ日」の今日のダーリンに
じぶんの生きている周辺の空気を、
なんの意識もせずに思い切り呼吸できる。
つまり、じぶんの一日中吸っている空気を信じられる。
これ、考えてみたら当たり前のことですよね。
これも言わばツツガナシ、コラムは続いて
なんにも特別なことを考えたりせず、
思い煩ったりもしないで生きていけるって、
根本的に大事なことなのだと思います。
信じられる環境に生きていることが、
人をのびのびさせてくれる。
そういう環境があってこそ、
人それぞれのいいところが発揮されていく。
それは、さまざまな場所で実際にやってみて
証明されつつあることのようです。』(6/30今日のダーリンより前半)

同感です!朝日新聞「折々のことば」6/7には
『生き物として生きる以上、
中と外をきっちり分けることなんてできないの。
中村桂子
呼吸、飲食、排泄(はいせつ)、悪寒、そして聴く、嗅ぐ。たしかに物が出入りしたり、互いに共振したり。人はあくまで自然の一部。環境の内、他の生命とのつながりの内にあることを忘れてはならないと、生物学者は言う。そして「『地球に優しくしましょう』。それって上から目線よね」とやんわり諫(いさ)める。インタビュー「生きることは、時間を紡ぐこと」(「暮しの手帖」第6号)から。』

今日のダーリンに加えこの文章も、ごもっともだと思います。
ヒトは何気なく空気を吸い込み、木になる実を採り、地に生える草を摘み、海や川で魚を森で獣を狩り、深く考えることなく口に運んでいたのだと思います。医療がなかったため妖怪の仕業と恐れ、時に病に倒れていたのでしょう。この頃「ムシ歯」は世にほぼ存在しませんでした。いまだに野生の動物はムシ歯とは無縁です。ヒトのみが禁断の果実を口にして「ムシ歯」という「恙」に悩むようになったのです。今のようにムシ歯が問題となったのは恐らくここ二百年のこと。あまりにも短期間に次から次へと「禁断の果実」を口にしてしまったのです。ムシ歯のみならず、飲酒喫煙による問題、食べ過ぎによる肥満など枚挙にいとまがありません。妖怪恙虫の正体は「煩悩」ではないでしょうか?

ムシ歯における「アマビエ」は残念ながら存在しません。日々歯を磨くしかありません。歯磨きを考えずに(歯を磨かずに)生活したい方は「旧石器時代」の食生活に変えるしか方法はありません、不可能です。平成令和の食生活を楽しみたい方は「食べる」のワンセットとして「歯磨き励行」しかないのです、残念ながら。恙なく食を楽しむために、ご歯愛の程、歯磨きの程。

歯磨きとは直接は関係ないのですがヒントを見つけました。イチロー氏が答えます、オススメです。おとなクラスの「質問:感情を抑えるにはどうしたらいいですか」に答えて「その先のことを考えるんですよ」。これヒントかも、美味しく食べて余韻に浸るとき「また美味しく食べるには」と考える・・すると「歯を磨こう・キレイに保とう」と歯ブラシに手が伸びるのではないかと・・我田引水ですかね。ではでは 4820