BBTime 401 石榴と勉強

BBTime 401 石榴と勉強
「実ざくろや妻とは別の昔あり」池内友次郎

『石榴(ざくろ)の表記は「柘榴」とも。夫婦して、さて季節物の何かを食べようというときに、必ずと言ってよいほど話題になる食物があるはずだ。「子供のときは家族そろって大好物だった」とか、逆に「こんなもの、食べられるとは思ってなかった」とか。そういうときに、私も作者のような感慨を覚える(ことがある)。石榴の場合は、おそらくは味をめぐっての思い出話だろう。一方が「酸っぱくて……」と言えば、片方が「はじめのうちだけ、あとは甘いんだよ」と言う。石榴を前にすると、いつも同じ話になるというわけだ。ま、それが夫婦という間柄の宿命(?)だろうか。私は「酸っぱくて……」派だけれど、子供のころに野生に近い石榴しか知らなかったせいだと思う。(中略)たしかに「妻とはべつの昔」に生きていたのだ。石榴といえば、とても恐い句があるのをご存じだろうか。「我が味の柘榴に這はす虱かな」という一茶の句。虱は「しらみ」。江戸時代、柘榴は人肉の味に似ていると言われていたそうだ。(清水哲男)』解説より。今回は言葉「ザクロ」と「勉強」について。

画像はアップルウオッチバンドで、色が「pomegranate:ポムグラネット」・・初めて目にした色名なので辞書を引くと「pomegranate=ザクロの木・実」とあり、さらに「たくさんの種をもつリンゴ」の意と書いてあります。確かにpommeはフランス語でリンゴ。

ザクロといえば「紅一点」の紅は、ザクロの花で王安石の「万緑叢中紅一点:ばんりょくそうちゅうこういってん」が出典です。次は「勉強」について。

ブログ「BBTime 399 耳障り」に書いた「私の日本語辞典・生活の中の身近な漢語を考える」に「勉強の使い方」が出てきました。昔のことです・・遠い記憶で弟の勉強机をデパートか家具屋に買いに行ったシーンです。机が決まりこれから支払いという時に親が「勉強してください」と言うではないですか。幼心に「勉強するのは弟なのに・・?」と不思議でなりませんでした。店員さんとのやりとりで「勉強しますよ」「もうちょっと勉強してください」・・。のちに「勉強する」とは「値引きすること」であると知りました・・やっと今回、半世紀ぶりに理由が判明!

本来「勉強」とは「勉めて強いる」こと。言い換えるなら「商売に励む」転じて客側からは「値引きしてもらう」となったようです。そもそも「勉強する=study」の使い方は明治以降のようで、このラジオ(私の日本語辞典)を聴いた後に「ラジオまいにち中国」放送時に合点しました・・番組では「さあ、今日の学習を始めましょう」!「勉強始めましょう」ではありませんでした。面白いことに英和辞典にstudyの古語として「・・しようと努める」とあります。今回のブログは歯科とは無関係・・ボチボチ読みながらダラダラ磨きしてください(唾液のみで)。7420


BBTime 400 ハレとケ

BBTime 400 ハレとケ
「よく晴れて秋刀魚喰ひたくなりにけり」和田耕三郎

学生時代、秋刀魚定食なら此処という店を決めていました。訳は「秋刀魚が大きい」から、注文時に「内臓そのままで切れ目を入れずに焼いてください」も言い添えて。句の解説には『秋刀魚の句というと、たいていはじゅうじゅう焼いている場面のものが多いなかで、こうした句は珍しい。ありそうで、無い。「よく晴れて」天高しの某日、体調もすこぶる良好。むらむらっと秋刀魚が「喰ひたく」なったと言うのである。この句を読んだ途端に、私もむらむらっと来た。句に添えて、作者は「晴れた日は焼いた秋刀魚を、雨の日は煮たものが食べたい」と書いているが、その通りだ。料理にも威勢があって、とくに威勢のよい焼き秋刀魚などは、威勢良く晴れた日に食べるのがいちばん似合う。秋刀魚は昔ながらの七輪で焼くのがベストだけれど、我が家には無いので、仕方なく煙の漏れない魚焼き器で焼いている。これはすこぶる威勢に欠けるから、そう言っては何だけど、どうも今ひとつ美味くないような気がする。食べ物に、気分の問題は大きいのだ。秋刀魚で思い出したが、学生時代の京都にその名も「さんま食堂」という定食屋があった。メニューは、ドンブリ飯に焼いた秋刀魚と味噌汁と漬け物の一種類のみ。一年中、いつ行ってもこれ一つきりで、毎日ではさすがに飽きるが、よく出かけたものだ。旬のこの季節になると、やはり相当待たされるくらいに繁盛していたけれど、あの店はどうなったかしらん。むろん、厨房にはいつも威勢良く煙が上がっていた。』以上解説より。今回は秋刀魚ならぬチキンに絡めて「晴れと褻:ハレとケ」ハレンタッキー、ケンタッキーについて。

ケンタッキーの記事を読みました。「増税後も好調のケンタッキー」「ケンタッキー超復活」「ケンタッキー劇的回復」などです。記事には『「ケンタッキーフライドチキン」が絶好調だ。昨年まで苦戦を強いられていたが、一転して急回復している。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「500円ランチを打ち出し、『ハレの日のごちそう』から『普段使いできる店』にイメージを刷新したことが、業績回復につながった」と分析する――』とのこと。「晴れの日のケンタッキー(ハレンタッキー)」から「褻(け)の日のフライドチキン(まさしくケンタッキー)」への変化戦略には驚きでした。

新明解国語辞典には「晴れ:人前で誇ることのできるような(公式の)機会」「褻・け:(晴れに対して)ふだんの意。改まった場合でないこと」とあります。嘘のようですが歯科臨床で「晴れ」と「腫れ」がかぶることがあります。大昔、ヒトは「晴れる」と狩に出ていました→狩に出ると気分が高揚する→ボルテージが上がる→慢性炎症が急性に転化する→腫れる・・があるようにも聞きました。「歯茎が腫れた・歯が痛い」は誇れることではありませんが非日常です(治療が必要です)。方や歯のお手入れ・予防は「褻:け・普段」です。これから忘年会など何かと「ハレ」が多くありがちな時期、このような時こそ「ケ(普段)」の予防お手入れをお忘れなく。

このブログを書くにあたって十年以上ぶりにフライドチキンを買いに行きました。味を確かめる目的で久しぶりに食べましたが、味は「ハレ」ではなく「ケ」でした・・これもKFCの戦略?さすがケンタッキー。こちらもどうぞ「痩せた?

紹介している動画「目黒のさんま」は大好きな金馬師匠です。庶民から見ると毎回「ハレ食事」の殿様が偶然サンマを食べる・・すなわち「ケの食事」を口にする。毎日「ハレ」のお殿様にとっては庶民の「ケ」がハレに思える・・やはり日頃は「ケ」がよろしいかと!7140



ふと気がつけば・・BBTime 400 でした。祝!400号。

BBTime 399 耳障り!

BBTime 399 耳障り!
「目刺焼くラジオが喋る皆ひとごと」波多野爽波

句を見て「季語は?」と読み返し「目刺が春だ」と・・Wikipediaには『目刺(目刺し、めざし)は、干物の一種。カタクチイワシウルメイワシなどのイワシ類の小魚を塩漬けした後、目から下あごへ竹串やワラを通して数匹ずつ束ね、乾燥させたもの。通常はそのままではなく、焼いて食べる。また「目刺」は季語のひとつでもある。九州、特に大分県宮崎県においては、しばしば唐人干(とうじんぼし)と呼ばれる。日本の創作文化等においては、「貧しい食卓」の象徴として、「目刺一匹のみが白米のおかず」という演出が多くなされる。』とあります。小生、宮崎生まれですが「唐人干」を耳にしたことはありません。今回「耳障りなラジオ」のお話。

健康ライフ・・テレビを所有しないため覚醒時はラジオが常時オンです。多くは「NHKラジオ第2放送」を聴いていますが、就寝前や朝、ニュースなどは「第1放送」です。ここ数年徐々に「耳障り」が増えて不機嫌になることしばしばでしたが、数ヶ月前からの極め付けが「ポワン」の効果音なんです。平日(月から金)の朝5時半過ぎに「健康ライフ」が流れます。週ごとにテーマ(病気や臓器)を決めての病気や予防、健康に関する情報番組で毎回8分くらい5回連続のコーナーで、非常にためになるため欠かさず聴いておりましたが、最近「ポワン」「ピピン」などの効果音が挟まれます。まとめやポイントを言う直前に入ります、意図はわからんでもないのですが小生には非常に耳障りで、一瞬の効果音によってそれまでの思考が乱され不愉快になります。ここ数週間、番組から遠ざかっています。

英語の番組・・ついでに言わせてもらうと、以前から耳障りだったのは(笑)基礎英語のみならず多くの英語番組の中の日本語が貧弱なこと!勿論英語は正しいのですが、訳としての日本語がお粗末です。典型が「お父さん・お母さん」・・「私の父は教師です」「母は自宅に居ます」などは全て「私のお父さん・私のお母さん」。親は「きちんとした敬語が使えないと育ちが知れる」と言っておりました。「私の父」「私の母」を使って欲しいと思うのですが。実は番組のなかで結構おじんギャグが飛び出します(笑・もっとも日本人男性講師担当番組に限り)・・個人的には大歓迎。先日は「言うは易く行うは難し=It is easier said than done.」にからめて・・「横山はやすし、西川はきよし」!!聴いた瞬間、目がテンでしたが小生にはウケました。・・返歌「言うは恥ずかし、言った後はもっと恥ずかし」。

子ども科学電話相談・・夏休み・冬休みに関係なく今では毎週日曜日にあるようです。この「子ども科学電話相談」での「次のお友達は」の表現です。なぜ「次の質問者」とか「質問する人は」と言わないのでしょう。なぜ友達でも知り合いでもないのに「友達」と言うのでしょうか?子ども向けの番組であるからこそ、英語番組も同様ですが教育番組であるからこそ、より正しい日本語をNHKには使って欲しいのですがね。

朝に限らず夜の番組でも、アナウンサーやキャスターが妙に燥ぐ(はしゃぐ)ようになりました。感情不要とは言いませんが、意味のないハシャギや時に幼児語のような言い方(トーン)など小生にとっては耳障りなんです。

ニュースの内容(原稿)も然り・・。折々に農産物の収穫についてのニュースが流れます。聴く前からニュースの筋書きが読めます。「夏に長雨だったがその後晴れが続いて、例年よりも小振りだけど甘みが強い」のように、いつもと違ってマイナスなことがあったけど結果は大丈夫!のような筋書き。農産物に限らず様々なイベントでも同様です。原稿の雛形があって「数字=月日や量」と「地名や氏名」などを入れ替えただけのようなニュース・・リアル感が薄いのです。

一方で毎回欠かさず聴いているのが「私の日本語辞典」。ゲスト毎に様々な視点で、日本語を見たり深めたりとそれはそれは興味深い内容です。進行役の秋山和平アナウンサーの日本語に対する情熱にはほとほと感心させられます。より正しい日本語とは? より品のある日本語とは? 日本語の持つ多様性とは?等々、毎回日本語とはいかなるものかを再認識させられます。「歩く日本語辞典」の面々がNHKには多くいらっしゃるのに、先に勝手に述べたような「耳障り」を指摘されないのでしょうかね。民法と違って「NHKの日本語」はより正しく、より品があり、日本語の拠り所だと思うのは今や過去なのでしょうか。

ウドンが短くなりました。ノイズキャンセリング搭載です。近い将来、ノイズキャンセリングではなく「耳障りキャンセリング」搭載モデルが出ないでしょうか・・期待します。最後に句の解説を御紹介『私のようなラジオマンからすれば、句の中身は「ひとごと」じゃない(笑)。それはともかく、ラジオをつけっぱなしにして目刺しを焼いている作者は、少々ムシの居所が悪いと見た。どうせラジオは「ひとごと」ばかり喋(しゃべ)っているのだから、自分には関係はないのだから、いま大事なのは「ひとごと」じゃない目刺しのほうである。こちらに集中しなければ……。と思いつつも、少しはまたラジオを聞いてしまう。そしてまた「ひとごと」放送に腹を立て、またまた目刺しに集中する。そのうちに、しかし目刺しもラジオも「皆ひとごと」に思えてきてしまう。そんな図だろうか。目刺しは、あれで焼き方が難しい。黒焦げになったり生焼きになったりするから、これはもうしょっちゅう焼いている酒場のおばさんなどにはかなわないのである。ラジオをつけていてもいなくても、うまく焼けないので苛々する。そこで「みんなラジオが悪いのよ」と言いたくもなる作者の気持ちは、わからぬでもない。いや、よくわかる。ところで「ひとごと」は漢字で「他人事」と書く。最近のラジオやテレビでは、これを平気で「たにんごと」と読むアナウンサーやタレントがいるが、あれは何とかならないものか。「ひとごと」ながら、恥ずかしいかぎりである。『鋪道の花』(1956)所収。(清水哲男)』・・ラジオからの耳障りを所詮「他人事:ひとごと」とスルーできないカルノでした。
先日から「note」始めました。5890


BBTime 398 情け無い!

BBTime 398 情け無い!
「マラソンの余す白息働きたし」野沢節子

まずは句の解説より『季語は「白息(しらいき)・息白し」で冬。そろそろ、連日のように吐く息が白く見えるようになる。いわゆるリストラの憂き目にあった人の句ではない。「余す白息」から、作者の健康状態のよくないことがすぐに読み取れる。健康な人であれば、「余す」の措辞はなかなか出てこないだろう。せいぜいが「吐く白息」くらいだろうか。ところが作者には、走りすぎるマラソン・ランナーの吐く白い息が、羨ましくも生きていくエネルギーの余剰と写ったのだ。自分には到底、あんなふうに「白息」を「余す」ようなエネルギーはない。いくら働きたくても、私には余すエネルギー、体力などないのだから無理だろう。しかし、みんなと同じように私も身体を使って働きたいのだ。切実にそう思う作者の目に、ランナーの白息がどこまでもまぶしい……。』(解説より)。今回は市民マラソン大会にまつわるお話。

減量のため今夏より十年以上ぶりに朝ラン開始。黙々と走るだけでは面白くないので目標設定のためレース参加を考え、日頃から走っている友人とある大会のフルの距離を二人で半分ずつ走るペアマラソン(ハーフでリレー)に申し込みました。結果は落選・・あらら残念と思っていたところ同じ大会で「メディカルサポートランナー」の募集を知り早速応募。「40名~50名程度(先着順)」とありホテル予約などを考え大会事務局に確認したところ、何と「歯科医師は該当しません」との返事。

確かに募集要項には「医師、看護師、救急救命士の資格をお持ちの方、日本スポーツ協会(旧 日本体育協会)公認アスレティックトレーナーの方を対象に、参加者の安全を見守っていただき、緊急時には救急救命活動を行っていただく『メディカルサポートランナー』を募集します」とあり歯科医師の文字は見当たりませんが・・情けなくなりました。大会事務局(市役所)の認識が「歯科医師は非該当」・・歯科医師の言わば企業努力不足でこのような認識をさせているのでしょうけど「情け無い!」が本音です。母校の所在都市であったために尚の事、情けなくなりました。歯科医師は「歯のことしか分からない、治療できない」・・よってメディカルサポートランナーは無理だと判断されたのでしょうか。歯科医師として情け無い話です。事務局との電話では、やんわりと歯科医師としての気持ちを伝えました。

他のレースを探します。電話で「来年また(ランナーとして)申し込んでください」と言われましたが「残念ながらそのような認識をお持ちの大会は遠慮させてもらいます」と答えました。最後に句の解説の後半をご紹介『句は作者の境遇を何も知らなくても読むことができるが、少し付言しておく。句は、作者の二十数年来の宿痾であったカリエスがやっと治癒した後に書かれたものだ。一応名目的な健康は取り戻したものの、むろんそう簡単に体力がつくわけのものではない。病気から解放された信じられないような嬉しさと、しかし人並みの体力を持ちえない哀しみとの交錯する日常がつづいていた。このとき、作者は既に三十八歳。一度も働いたことはなく、あいかわらず両親の庇護の下にあった。焦るなと言うほうが無理だろう。なりたくて、病気になる人は一人もいない。しかし不運としか言いようのない境遇のなかにあって、作者と同じく多くの病者が俳句をよすがとし、その世界を更に豊饒なものとしてきた。俳句が今日あるのは、社会的弱者の目に拠るところが実に大きいのである』・・読む中で「よすが」に引っかかりました。新明解国語辞典には「よすが(縁):何かをする上で、たよりや助けとなるもの(こと)」とあります。今回落選したとはいえ、歯科医師としてランナーの「よすが」になればと思いましたが残念でした。ランは続けます!2520


https://youtu.be/MEiTeKlAAgU

BBTime 397 勿体無い!

BBTime 397 勿体無い!
「白湯一椀しみじみと冬来たりけり」草間時彦

今年の立冬は八日ですので句はフライングです。老婆心ながら「白湯」はさゆと読み「飲用のための沸かした湯」のこと。今では家の中は暖房もきき、窓枠はサッシですので隙間風も入らず「しみじみ」を感じることは少なくなりました。今回は「勿体無い」話を三つ。「WSD:楔(くさび)状欠損」「歯磨き不足」「捨てました」・・今まで何度も書いておりますが、やはり日々臨床で毎日のように出会うものですから。まずは「楔状欠損」について。

原因として「噛み合わせ・歯ぎしり」も文献に出てきますが、小生の感触ではおそらく九割以上は「ゴシゴシ磨き」だと確信します。冬になると(水道水の温度が下がると)「歯磨きの時に痛い・しみる」との主訴で来院される方が増えます。鏡で見てもらいながらゴシゴシ磨きの弊害を説明し、治療はムシ歯と同じように表面を少し削って(勿論ムシ歯があればそれも除去して)樹脂を詰めます・・勿体無い話です!
1)ムシ歯ではないのにムシ歯と同じ治療を受ける必要があるのが、勿体無い!2)ご本人はムシ歯予防(ゴシゴシ磨き)のつもりが結果的にムシ歯(様欠損)を作ってしまったことが、勿体無い!3)ゴシゴシ磨きのために費やした歯ブラシと歯磨き粉と時間が、勿体無い! 次は「歯磨き不足」。

例えば上の前歯を考えます。歯磨き不足でムシ歯を作り、そのムシ歯が深くなり歯髄(しずい:血管や神経を含む)まで炎症が及び、歯髄を取り除き土台をたて白い歯を被せたとしましょう。作り物とわからないようなナチュラルな陶器の歯(一本十万円)を選択したとします。どんなに色や形がナチュラルであっても所詮偽物、作り物の歯。偽物が十万だとしたら、あなたは本物にいくらの値段をつけますか?はっきり言います、本物は百万でも買えません!勿体無い話です。

「捨てました」・・これは先の二つとは次元の違う話ですが、被せ物や詰め物が外れての来院の際に「捨てました」と言われる方・・勿体無い!外れたものが金属の場合、保険がカバーしている金属であっても貴金属です。組成は金銀銅でそれぞれ12%,
52%,15%(メーカーによって若干違いますが、金12%は同じ)で、金と銀で約60%以上、さらにレアメタルのパラジウムを20%含みます。貴金属を「捨てました」は勿体無い!。再セット(外れたものを再使用する)できる場合は治療費も時間も少なくてすみます。外れた物がなければ、ゼロからの治療になります・・勿体無い!因みにパラジウムは排ガスの触媒として使われるために、時に金より高値がつくこともあるレアメタルで貴金属に分類されます。

「勿体無い」を調べてみると、「勿体」とは仏教用語で直訳すれば「かたち(体)がない(勿い)」言い換えれば「色即是空:しきそくぜくう」に通ずるとのこと。詳しくは「勿体無いはありがたいお言葉!」「もったいない」「忘れえぬ言の葉」を是非。一部引用します『例えば、夕食のおかずに出されたお魚は、本来海の中で泳ぎまわっている存在です。ところが、何の因果かめぐり巡って、今、私の目の前のお皿に載っている。このお魚の生命を粗末にしてはもったいない、というのが「もったいない」の根本です』(引用元)。

楔状欠損予防策は上のイラストのように「鉛筆握り」で磨くこと。歯磨き不足解消法は、子供さんであれば親御さんが磨いてあげる、大人の方なら「歯は磨いても、もらうもの」ですので、定期的に歯科医院でPMTC(専門家による歯磨き)を受けてくだい。最後に詰め物などが外れた場合は捨てずに「持参する」事をオススメします。金属でなく白いものであっても、歯科医にとって多くの情報を持っていますので捨てずにご持参ください。

「白湯:さゆ」は水を沸かしただけです。中華料理の「白湯:パイタン」は勿論別です。『パイタンは、豚骨、豚すね肉、豚の背脂、鶏ガラ、鶏の脚などを主材料にし、長時間材料が煮くずれるくらいまで煮込んで作る。脂肪が入ることによって、白く濁ったスープとなる』(引用元)。表記は同じでも、白湯の持つ温かさと(鉄瓶ならば)ほのかな甘みをしみじみと味わい飲む・・日本ならではの「勿体ない」です。0450


 

BBTime 396 残るサイド

BBTime 396 残るサイド
「一線を越えて凍る尾觝骨」春海敦子

終わりました・・。画像はご記憶にあるように準決勝開始前のNZチームの「ハカ」に対してイングランドがとった奇襲作戦です。イングランド選手がハーフウェイライン(中央線)を越えたため、後日罰金約35万円が科せられました。この時は「なるほど、さすがイングランド」「何もせずにハカを見ないとは流石」と肯定的に受け取りました、勝つことへの執念を感じました。一線(ハーフウェイライン)を越えたことは頂けませんが。

イングランドは決勝で南アフリカに負け銀メダル(準優勝)。ところが今度はメダル拒否!これはダメです。ラグビー発祥地のナショナルチームがこの態度はダメでしょう。小生が学生の頃、耳にしていたのが(不適切な表現ですが・サッカー関係者には失礼と思いますが)サッカーは「野蛮(人)の紳士的スポーツ→だから手を使わない」で、ラグビーは「紳士の野蛮的なスポーツ→だから手を使って良い(何をしても良い)」と。ラグビーにおいては、あくまでも「ベースは紳士である」と。

心中はわかりませんがイングランドの行動を見る限り「ノーサイド」はなかったことになります。ラグビーを愛する者として起源のイングランドにはポイント(点数)のみならずスピリット(精神)も追い求めて欲しいと思います。試合終了後のオブストラクションの反則でペナルティですよ、これは。

一時期、日本の柔道が低迷した時に、理由として日本選手は「一本勝ち」にこだわるが、外国選手(日本以外)は「勝ち」にこだわる。柔道がポイント制の今、いわばセコイ手であってもポイント稼いだ方が勝つ・・しかし現在、日本柔道は盛り返しました。黒帯の小生としてはポイント重視は否定しませんが「道」と名乗るからには「一本勝ち」にこだわって欲しいのが本音です。

対照的に「美しい勝利」が南アフリカです。黒人初のキャプテンの元「ワンチーム」で堂々たる勝利。やはりラグビーの神は見ていたのです。ネルソン・マンデラ氏が御存命なら滂沱の涙だったことでしょう。国際的には「ノーサイド」よりも「フルタイム」の方が一般的のようですが、ノーサイド精神なくしてラグビーを語りたくはありません。次のW杯まではイングランドではなく南アフリカを聖地としましょう!

最後に冒頭の句の解説を紹介します、意味深です。『凍るは「こごえる」と読ませるのだろう。うーむ、丸ハダカか。「一線を越えて」という古風な言いまわしが、かえって生々しい。行為の直後のことを詠んだ句も珍しい。この人、鋭い感受性を持ってるし、素直でいい性格もしてるだろうな。でも、お友だちにはなれない気がする。この句を読むかぎりでは、まったく詩的なセンスが合わないからだ。とはいえ、かなり凄い句ですよ。ユーモラスだが、下品に落ちていないところが……。無季と読みたい』(解説より)。今回、イングランドの行動が自らの品を落としたことは確かです。0200



おまけ:イングランドのペナルティにレフリーから「喝!」





「BBTime 393 ノーサイド」もどうぞ!