BBTime 306 歯牙接触癖
「或日あり或日ありつつ春を待つ」後藤夜半
ちらほらと梅の開花を耳にするようになりました。明日から二月如月、平成も残り三ヶ月!句の解説には「夜半、晩年の一句。うっかりすると読み過ごしてしまうほどに地味だが、鋭い感性がなければできない句だ。「或日(あるひ)」とは、特筆すべき出来事など何もないような平凡な日の意だろう。「或日」のリフレインは、そうした日々を重ねている時間についての写生である。句の面白さは、そんな平々凡々としか言いようのない時間を過ごしているなかで、しかし、いつしか「春待つ」心が芽生えていることの不思議に気がついたところだ。「春よ、来い」などと大仰に歌っているわけではなくて、自分の心のなかに自然に春を待つ感情が湧いてきている。そのことに気づいたときの、じわりと滲み出てくるような嬉しさ。それがそのまま、読者の「春待つ」心に染み入ってくる。月並みな比喩で恐縮だが、燻し銀の魅力を思わせる句だ。」解説より引用。句のような或る日或る日の所作(行為)が引き起こす奥歯の痛みについてのお話。
タイトルの「歯牙接触癖:しがせっしょくへき:TCH」Tooth Contacting Habit 略して「TCH:ティーシーエイチ」と呼ばれます。先日も40代女性「噛むと奥歯が痛い」、30代女性「奥歯の歯茎がジンジンする」と来院されました。レントゲン撮ってみましたが特に問題はなさそう、ただし奥歯の噛み合わせの面(咬合面:こうごうめん)が、かなりすり減っています。「家族の方から就寝中の歯ぎしりを言われたことはないですか?」『ありません』「現在、スポーツは?」『特にやってません』とのこと。このような時に疑われるのが「TCH:歯牙接触癖」。夜間(就寝中)の歯ぎしり・食いしばりと異なり、昼間(覚醒中・起きている時)のご自身が気がつかない(意識していない)「歯ぎしり・食いしばり」です。
安静空隙(あんせいくうげき・安静位空隙)という歯科用語があります。「上体を起こして、顎の力を抜いて安静にしているときの下の顎の位置を下顎安静位といいます。この状態で上の歯と下の歯の間にできる数mmの隙間のことです」出典はこちら。簡単にいうとTCHとは日中この安静空隙がない状態、すなわち常に上と下の歯が接触・噛んでいる状態のことです。いつも噛んでいることが「歯の痛み・頭痛・肩こり・不定愁訴(ふていしゅうそ)など」を引き起こすので厄介です。歯科医院に行っても「ムシ歯はありません」「問題はないです」の診断で、日中覚醒時のご本人の「知らず知らず」の所作ですので、余計に原因不明となりやすいのです。
画像のように「舌に凸凹(歯型)がある」「ほっぺたの内側に白い線がある」などもTCHの可能性があります。①運転中 ②裁縫など細かい作業 ③パソコン作業 ④料理になどで「歯牙接触癖」が起きやすいと言われます。詳しくはこちらもどうぞ。では具体的に「TCH」をなくすにはどうするか?実は人は一日の中(24時間中)で会話や食事によって上の歯と下の歯が接触する時間は平均18分と言われます。「本来、上下歯列の接触は、咀嚼、嚥下、会話時に瞬間的に起こるということはご存じのことですが、これらは瞬間的な接触ですから、接触時間を加えていったとしても、24時間中20分程度しか接触していない、と報告されています。しかし、癖としてこの接触を、本来の機能時以外にも続けている患者さんがいます」出典はこちら。ご本人の知らず知らずの癖として「継続的に無意識に噛んでいること」が問題なんです。
先日のサッカーアジアカップの動画を観ていたら何人かの選手がガムを噛んでいました。またMLBの大谷選手もプレー中に結構ガムを噛んでいます。ガムを噛むことには様々なプラス効果があると言われますが、おそらくTCH治療にも効果ありでしょう。フリスクやミンティアを口に入れておくのも良いでしょう。嘘のような本当の治療法が「付箋紙」。付箋紙に「噛まない」「噛み締めない」と書いてしょっちゅう目にするところに貼るという方法です。パソコン画面のふち、冷蔵庫の扉、トイレのドアなどに貼って置きます(詳しくはこちら)。
奥歯の痛みや違和感で歯医者に行っても原因不明の場合、この「TCH」を疑ってみるのも一法(いっぽう)です。7730
https://youtu.be/PH8FXXQ-7lU
https://youtu.be/XLpDiIVX0Wo
同じような内容の記事を見つけましたのでご参照ください。「歯ぎしり・かみ締めの癖にご注意を 抜歯、10年で倍に」朝日新聞2/3記事より。
月: 2019年1月
BBTime 305 諸刃の刷子
BBTime 305 諸刃の刷子
「一生を泳ぎつづける鮪かな」星野恒彦
解説に「季語は「鮪(まぐろ)」で冬。なぜ冬なのか。冬に食べるのが、いちばん美味だからである。鮪にかぎらず、多く動植物の季節への分類は、食べごろをポイントになされている。その意味で、歳時記は人間の食い気がいかに旺盛かを示す「食欲辞典」の趣もある。ところで、掲句は食欲とは無関係だ。おそらくは、魚市場かどこかで丸のままの大きな鮪を見ての感慨だろう。べつに鮪でなくても、鯛や平目でも構わないようなものだが、しかし、鮪の流線型というのか紡錘形というのか、とにかく猛烈なスピードで泳ぐための体型があって、はじめて句が生きてくる。英語では、鮪を「tuna(ツナ)」と言う。ギリシャ語の「突進」という言葉に由来するそうだ。古代から、鮪の高速遊泳に、人々は目を瞠っていたというわけである。すなわち、鮪は一生をひたすら「突進」しつづける魚ということであり、比べれば鯛や平目のイメージは休み休み泳いでいるような感じがする。一生を突進しつづけるとは、勇壮にして豪放だ。が、他方では、何故に突進しなければならないのか。何故に、そんな運命に生まれついたのか。そうした哀しい感情もわいてくる。そういう句だと思う」解説より。
干支にちなんで「猪突猛進」ではないでしょうけど、マグロは「海中では口と鰓蓋を開けて遊泳し、ここを通り抜ける海水で呼吸する。泳ぎを止めると窒息するため、たとえ睡眠時でも止まらない」とウイキペディアにあり、猪突猛進どころか睡眠猛進でイノシシより上手(うわて)です。さてヒトは残念ながら「一生を磨きつづける皓歯かな」です(皓歯:こうし・白い歯)。この時期「歯を磨くと痛い」「冷たいものが滲みる」の主訴で来院する方が多いので、前回「ややこしい」前々回「楔状欠損」に続いて再度歯磨きのお話。
画像は天皇の「三種の神器」のひとつと言われる「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」で片刃ではなく諸刃(もろは)の剣です。「諸刃の剣:もろはのつるぎ」とは「諸刃の剣とは、一方では非常に役立つが、他方では大きな損害をもたらす危険もあるというたとえ。また、相手に打撃を与えるが、自分もそれと同等の打撃を受けるおそれがあるというたとえ」とあります(出典はこちら)。歯ブラシも使い方によっては「諸刃の剣」となってしまうのです。
日本IBMのホームページに楔状欠損について「ブラッシングの害」の記事があります。歯を守る道具である歯ブラシの使い方を誤ると「歯を削る道具」となってしまいます。心当たりの方は是非変えてください。1)始めから歯磨き粉は使わない。2)グー握りをやめて鉛筆握りで磨く。3)歯を磨くではなく、歯を洗うイメージを持つ。以上3点を是非お試しください。
1)始めから歯磨き粉は使わない→オススメ歯磨き粉:ライオンのチェックアップです。チューブ表には「フッ化物高濃度配合(1450ppmF)・低発泡・低香味・低研磨・キシリトール」の言葉が表示されてます。楔状欠損を避けるには「低研磨」が有効です。歯磨き粉不使用でも問題ないと小生は確信しますが、気になる方は仕上げに少量使う程度で充分です。
2)グー握りをやめて鉛筆握りで磨く→オススメ歯ブラシ:花王ピュオーラ歯ブラシ薄型コンパクト:HPには「ネバつき・口臭・歯肉炎などの歯周トラブルを意識している人の約半数が歯ぐき下がりを気にしており、歯周疾患、咬合とともに歯みがき時の「強すぎるブラッシング圧」がその原因のひとつであるといわれています。また、ブラッシング圧が強めの人は、いつものクセで無意識のうちに強い力で磨いてしまうことで歯や歯ぐきを傷つけてしまったり、気になる歯ぐき下がりを引き起こす要因となっていることがわかりました。(2016年 花王調べ)」とあります。
3)歯を磨くではなく、歯を洗うイメージを持つ→唾液で(歯磨き粉不使用)歯をだらだら洗う。歯を守る道具が歯を傷める道具にならないために、この三点を試してください。
おまけ:4)ミンティアブリーズ磨きは楽しく長続きします。方法は超簡単!一粒口に入れて歯ブラシでチョコマカダラダラ磨き。5)絶対歯を傷めない洗い方(磨き方)→うがいです、またフロスも歯を傷めません。
マグロの握り・マグロ丼・他マグロ料理を堪能しつづけるためにも、歯ブラシを諸刃の剣にしないことをオススメします。6000
BBTime 304 ややこしい
BBTime 304 ややこしい
「鮟鱇のややこしき骨挵りけり」山尾玉藻
「手篇に弄ぶと書く挵(せせ)るは、その字が表す通り、箸で食べ物をつつきまわすこと。決して行儀がよいことではないが、対象が鮟鱇であることにより、納得の一句となった。河豚にまさる美味と呼ばれる鮟鱇だが、グロテスクな見た目同様、その身もきれいな切り身となるわけではなく、どの部位もかなり複雑な形態をしている。骨にも皮にもゼラチン質の身をまとい、料亭によっては「骨についた身はすべてしゃぶって食べつくしてください」とまで言われるほど。」解説より
イラストは奥歯です。鮟鱇までは複雑ではないにせよ、前歯奥歯ともにシンプルな形態ではなく、加えて歯と歯の隣り合う部位は複雑というよりも磨くには窮屈です。鮟鱇の身や骨ならばしゃぶる事もできますが歯の場合、歯ブラシや糸(フロス)で丁寧に磨くしかありません(小生の意見)。歯を文字通り隅々までキレイにすることは実はかなり「ややこしい」のです。今回、口友二本で紹介した二本についての一言。
どちらか一本ならば「花王ピュオーラ歯ブラシ薄型コンパクト」を選びます。汚れ落ちなら「ライオンSP-T」に軍配を上げますが、だらだら唾液磨きにはピュオーラがベターです。軽くてスリム、鉛筆握りしやすい歯ブラシ。普通と柔らかめの二種類あり、歯茎に問題なければ「ふつう」で良いでしょう。
「ながらスマホ」はオススメしませんが「ながら磨き」「だらだら磨き」はオススメですと言うより必要です。なぜならば、歯の形態は複雑で汚れの溜まりやすい場所はここかしこに有ります。そうなると必然的に磨く時間は長くなります。鉛筆握りしやすく軽いこの歯ブラシ是非お試しあれ。もちろん歯磨き粉つけずに「唾液磨き」で!複雑な形態、窮屈な磨きにくい場所をキレイにするには色々な方向からのアプローチ(歯磨き)が必要となります。鉛筆握り磨きの可能な方にはお勧めの一本です。3636
おまけ:文珍さんの本の中でややこしいを「赤子の小便」とも(笑)「赤子=ややこ+小便=しい」。ネットを見ると、ややこしい(赤子しい)の対義語がおとなしい(大人しい)とのこと本当かいな?ややこしいの意味は「複雑で厄介である」。歯をキレイにするのは赤子しい、ご自愛の程、唾液磨きの程。
BBTime 303 楔状欠損
BBTime 303 楔状欠損
「米磨げばタンゴのリズム春まぢか」三木正美
作者はお米を研ぐ(とぐ・磨ぐ)水の温み(ぬるみ)に春を感じたのでしょうか。洗うのではなく「研ぐ」理由は「精米後に残った糠(ぬか)を洗い落とすためにお米の粒同士をこするようにして研ぐ必要がある」とのこと(こちらに詳しく)。
「楔状欠損」は「くさびじょうけっそん」もしくは「けつじょう欠損」と読み、歯ブラシの誤用や噛む力などでくさび状に生じる欠損のことです。歯冠(しかん)の歯茎に近い部にできやすく「歯がしみる」「ものが詰まる」「歯磨きの時にピリピリする」などの症状で来院されます。治療はムシ歯同様に樹脂を詰めることになります。患者さんの「これはムシ歯ですか?」の質問には「ムシ歯ではないけれどムシ歯と同じ治療となります」と説明します。
原因のひとつは「歯ブラシの誤用」:過度な力での歯磨き、歯磨き粉の使い過ぎ、歯ブラシのグー握り、横磨きなどが考えられます。歯医者から見るとモッタイナイ話です、もちろんご本人にとっても。原因を説明すると多くの患者さんはエッ!という顔に「ムシ歯にならないためのしっかり磨きが逆にダメージを与えていたの?」と怪訝な表情をされるのです。
画像はサンスターのページから拝借。サンスターやライオンも「グー握り」より「鉛筆握り」を推奨しています。先月「口友二本」で同じようなことを書いておりますが、それ以降にかなりの楔状欠損を目にしましたので同じ話題に触れました。タンゴのリズムに乗せて歯を磨くのはOKですが、ペングリップをお忘れなく。(歯科医師として)いつも思います。「歯を磨く」ではなく「歯を洗う」ほうが過度な力を入れずに済むような気がします、もっと良いのは「キレイにする」かも。磨くではなく洗う、洗うよりもキレイにする!力を抜いてペングリップで。1700
https://youtu.be/ba1n3uvM-xY
おまけ:句の解説より「気がつくと「タンゴのリズム」で「米を磨(と)」いでいた。たぶん、鼻歌まじりにである。なるほど、タンゴの歯切れの良い調子は、シャッシャッと米を磨ぐ感じに似あいそうだ。想像するに、作者は直接手を水につけて磨いではいないようである。何か泡立て器のような器具を使っていて、それがおのずからシャッシャッとリズムを取らせたのだろう。手で磨ぐ場合には、そう簡単にシャッシャッとはまいらない。そんなことをしたら、米が周囲に飛び散ってしまう。子供時代の「米炊き専門家」としては、そのように読めてしまった。(中略)いつだったか辻征夫に「『ラ・クンパルシータ』って、どういう意味なの」と聞かれても、答えられなかったっけ」(解説より)。ちなみに「タイトルの「Cumparsita(クンパルシータ)」とは、イタリア語の「Comparsa(仮装行列)」がなまったもので、「Cumparsita」はその縮小語」とのことです(出典はこちら)。
BBTime 302 ヤメルカイ
BBTime 302 ヤメルカイ
「美しき名を病みてをり花粉症」井上禄子
画像は「病める貝(あこや貝)」です。
「病める貝の吐き出した美しい異物、それが真珠です。澁澤龍彦
鷲田さんのことば:人生とは長患いみたいなもの。思うようにはゆかぬその思いを、人は内に痼(しこ)りのように溜(た)め込む。その痼りがもし、吐瀉(としゃ)物のように形の崩れたものではなく、瑕(きず)のない美しい球となって吐き出されたなら、それこそ患う人性への究極の慈悲といえるかもしれない。幼き頃よりの夢を叶(かな)えるべく、老いて天竺(てんじく)に向かう親王の幻想と怪奇の旅を描いた小説『高丘親王航海記』から。(鷲田清一)」折々のことば1/13より。
養殖真珠を簡単に説明します。人が他の貝(ドブ貝)から作った「核」と呼ばれる小球を真珠貝の中に無理やり入れ込みます。真珠貝はその異物(核)を貝体内で無害化すべく貝殻の成分でコーティングしていき、何層にもコーティングされたものが真珠となります。よって「病める貝」(詳しくはこちらやあちら)なんです。
「人生とは長患いみたいなもの」・・まさしくそう思います。煩悩・欲望という核(異物)を植えつけられ、もしくは自ら手にしての人生、それが「人性:じんせい=人間としての性質」だと言われればそれまでですが。植えつけられた「痼り」を「自己解釈」「自己都合」などで幾重にも肯定化してゆきます、その結果・・。
これを読んで面白いと思いました。ムシ歯予防は逆なんです。煩悩欲望によってスイーツを食べると、あなたの真珠である「歯」は幾重にも砂糖でコーティングされます。しかし、その都度ありがたくないコーティングを取り除けば、生まれ持った真珠は幾つになっても白いまま輝き続けるのです。
「No sweets, No life」大賛成です。甘味のない人生なんて!ムシ歯をつくるからといって「甘いものをヤメルカイ?」辞めたくないです!だからこそ人も「病める貝」であり「人生とは長患い」だと合点します。みなさん諦めて歯を磨きましょう。「吐瀉物のように形の崩れた」ムシ歯ではなく「瑕(きず)のない美しい」健康な歯を保ち美味しい人生を送るために!冒頭の句は「花粉症」が季語で春、あしからず。0780
BBTime 301 シセキ巡り
BBTime 301 シセキ巡り
「よく食べてよく寝て人日となりぬ」青山 丈
「人日:じんじつ」って何?人日とは本日一月七日のことです。「古来中国では、正月の1日を鶏の日、2日を狗(犬)の日、3日を猪(豚)の日、4日を羊の日、5日を牛の日、6日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていた。そして、7日目を人の日(人日)とし、犯罪者に対する刑罰は行わないことにしていた。また、この日には7種類の野菜(七草)を入れた羹(あつもの)を食べる習慣があり、これが日本に伝わって七草がゆとなった。日本では平安時代から始められ、江戸時代より一般に定着した。人日を含む五節句が江戸幕府の公式行事となり[1]、将軍以下全ての武士が七種粥を食べて人日の節句を祝った」ウイキペディアより引用。ここに出てくる五節句とはご存じ「年間の五つの節句。人日(じんじつ)(正月7日)・上巳(じょうし)(3月3日)・端午(たんご)(5月5日)・七夕(しちせき)(7月7日)・重陽(ちょうよう)(9月9日)」のことです(コトバンクより)。今回はよく食べるためのシセキを巡るお話。
画像は「The Pioneer Plaque:パイオニアプラーク」と呼ばれる銘板で「この金属板は1972年と1973年に打ち上げられた宇宙探査機パイオニア10号・11号に取り付けられた銘板で、人類からのメッセージを絵で記したものである」(ウイキペディアより)。プラークとは「銘板」のことでもあります。夏目漱石関連のプラークもロンドンにあります。銘板:めいばん=小型の平板に銘柄(仕様)を表示したものである。銘柄を表記する板、またはプレート、コーションラベルのこと。
歯科で言うプラーク:plaqueは歯垢(しこう)のこと、そのプラークをベースに石のように固くなったものが「歯石:しせき」。史跡巡りの際に目印となるのが「プラーク」・・正月早々駄洒落ですみません(笑)。下の画像は漱石滞在の家屋。
さて、歯石のつきやすい場所は下の前歯(両側糸切り歯までの六本)の舌側(ぜっそく)です。理由はそのすぐ近くに唾液の開口部があるからです。鏡を見ながらベロを上に上げると一本の筋がピーンと見えます。筋(小帯:しょうたい)の歯に近い方の付け根にプクッと膨らんだ部分が左右一対あります。この舌下小丘から唾液が出てくるために下の前歯の舌側はいつも唾液で濡れており、結果的に唾液中のカルシウム成分が沈着して歯石となって行きます。ところが唾液にはムシ歯予防効果もあるために、もっともムシ歯になりにくいのも下の前歯のベロ側なんです。
過去にも書いておりますが是非「唾液磨き」をオススメします。唾液磨きの利点は「1)唾液の持つムシ歯予防効果を活用できる。2)歯磨き粉不要。3)歯磨きする場所が広がる(洗面以外でも可能)。4)うがいの必要ないため「だらだら磨き」が可能」などです。溜まった唾液ゴックンに抵抗感のある方は、磨く前に水やお茶で口をゆすいでから磨かれると良いでしょう。
いつも唾液で潤っているのが下の前歯でムシ歯になりにくい、反対に唾液が届きにくいのが上の前歯の唇側なんです。皆様、思い当たる節があると思います。上の前歯はムシ歯治療受けたけど、下の前歯は無い。繰り返しますが唾液にはムシ歯予防効果があります!その唾液を使わずお金を出して歯磨き粉を買って磨くなんて・・。気になる方は気になった時に歯磨き粉を使われたらいかがでしょう。
本年四月をもって平成も終わり新元号に変わります。言い換えれば「新時代」へ突入します。これを機に旧習慣から新習慣へ変えてみられては?小生もここ一年ほどで「米抜き」「朝食抜き」の生活に変えましたが、結局どうってことない(苦痛なし)!今の方が絶対ベターと感じます。あなたも是非「唾液磨き」を新習慣に!8120
BBTime 300 お餅の前に
BBTime 300 お餅の前に
「子規うさぎ虚子いぬ年や年巡る」矢島渚男
明けまして御目出度う御座います。今年もよろしく!今年はいのしし:亥年。ご存じの通り「子丑寅卯辰巳午未申酉戊亥」は本来方角や時刻を意味します。上の画像は「亥の子餅:いのこもち」これは十一月(旧暦十月:亥の月)の亥の日に食べるそうです。亥は方角なら大方「北北西」。時刻だと午後九時から十一時の刻。(図を参照)
さて、この時季気をつけて欲しいのが「お餅」です。喉に詰まって事故につながることがあります。やはり日本人にとってお正月を味わう中に「お餅」が登場します。お餅を食べる際に気をつけて欲しいことは「小さく切る(と言ってもお餅はひっつきますので要注意)」「食事前・食事中はお茶や汁物などで口の中を十分に濡らす」「急がずゆっくり食べる」他にも誤嚥防止のために「お酒は控えめに」「食事中に急に話しかけたり笑わせたりしない」などがポイント、詳しくはこちらやこちら。もし詰まったらまずは「口の中の餅を手でかき出す」です。
さて、昨年末に義歯安定剤について患者さんと話す中で、小生の安定剤に対する認識が変わりました。これまで「安定剤はできるだけ使うべからず」と思っていましたが、今は賢く使う方が良いと考えます。安定剤を文字通り「義歯を安定させる」具体的には「噛んで痛くないようにする」と理解していましたが、今回認識を変えたのが安定剤の「接着:ひっつく」効果です。義歯、特に下の総入れ歯において吸着を求めるのは結構困難です(特に保険内総義歯では)。そこで「ひっつく安定剤」をワンポイントで使う・・以下ラボへのレポートより引用。
「安定剤」今年最後のコメントが安定剤になるとは思いませんでした。常々「抜歯」と「義歯安定剤」は歯医者の敗北だと思っていました。抜歯:智歯以外の抜歯についてですが、なぜこの歯を救えなかったのだろうと抜歯の際には心で泣いています。安定剤:抜歯と似たような理由ですが、自分自身の義歯への治療技術の未熟さを嘆いていました・・が、ここ数日の体験で安定剤への見方が変わってきました。別に歯科医のプライドを患者さんに押し付ける必要もないし、歯科医技工士患者三者のゴールは患者さんの「美味しい」の一言が口から・義歯から発せられること。痛い時に痛み止めを飲む、二日酔いの時にドリンク飲んで復活する、パーティ出席で着飾る・・などと同じように考えてもいいのではないか?ただし前提があります。まずはリベースなり修理して合わせたけど、下顎総義歯が浮いてくる・上顎総義歯がゆるい場合は安定剤使用もありかと思うようになりました。ゴールは「味わえる」「笑える」「唄える」ですから。歯科医が安定剤専門家になって、安定剤の必要な症例にはアドバイスしてあげる方がいいように思います。
こじつけですが「お餅を味わうためのアドバイス」
まずは「安定剤について」1)噛むと入れ歯部分が痛い・義歯が不安定→まずは歯医者に行って調整・修理してもらう。2)数回歯科医院に足を運んだけど解決しない・満足できない→はっきりと不平不満を伝える・歯医者を変える。3)ある程度は合ってきたがもう少し改善したい→安定剤について歯科医に相談してみる。4)必要な時には安定剤を使う。5)安定剤は必ず使うものではありません!
次に「夜間の義歯の取り扱いについて」1)入れ歯を外した状態でも残っている歯でしっかり噛める(残っている上の歯と下の歯できちんと噛める)方はお休み前に歯と義歯をきれいにして必要に応じて洗浄剤を使う(義歯を口から外して洗浄剤につけたまま休む)。2)入れ歯を外すと噛めない方(歯茎を噛んでしまう・歯茎と歯茎で噛む)は、入れ歯をきれいにして両方(上も下も)口の中に戻してお休みください。詳しくは「イビキがテビキ」「不顕性誤嚥」「ゾーン確保」を参照のほど。3)義歯洗浄剤の使用時間は箱書きによると短いものでは「3分間」です。一晩中洗浄剤につけないといけないということはありません、ご注意ください。
掲句の解説より「指を折って数えてみると、ということは、子規と虚子とは七歳違いだ。二人の干支など思ったこともないけれど、こうして並べられてみると面白い。子規の柔軟さはたしかに「うさぎ」を思わせ、虚子の狷介さは「いぬ」に通じるところがあるような気がする。で、子規が年男ならば、今年は何巡目になるのだろうと、誰もがつい数えてみたくなる。これまた、俳句の妙味というものだろう。それぞれの人には干支があり、今年もまたそれぞれに年が巡ってきた。どんな年になるのだろうか。私が小学一年生くらいで干支を覚えたてのころ、家族や知人にそれぞれの干支を聞きまくったことがあった。自分は「とら」、父は「ねずみ」、母は「たつ」と、みな違っていた。で、遊びにきた叔父に聞いてみたら、「哲ちゃんと同じだよ。とらだよ」と答えた。私は覚えていないのだが、そのときとっさに口をとんがらせたらしい。「そんなことないよ。だって、おじさんはもう大人じゃないか。おんなじトシじゃないじゃないか」。後年、よく母が笑いながら話してくれたものだ」解説より。ちなみに正岡子規は1867年、高浜虚子は1874年生まれです。最後に鹿児島市の今年の初の日の出です。本日三日朝にやっと拝めました。
今年も「カノート:connote」をよろしくお願いします。余談ですが「子」が一番で「子=正月」が正しいのでは?と思いました。ネットによると「昔々、中国では冬至を含む月、すなわち十月が年の始まり=正月」だったようです。そういえば拙ブログでも似たようなことを書いておりました、ご参照のほど「歯ロウィン」。6430