BBTime 550 Stay Foolish!

「バカだなと目が言うホットウイスキー」火箱ひろ

句の解説を読んで・・確かにウイスキーの湯割りをホットウイスキーとは呼びませんね。『サントリーの「ウイスキー入門」によると、ホットウイスキーは「あたたかいグラスから柔らかに香るウイスキーのおいしさは格別」「アウトドアで飲めば、暖をとるのにも効果的」とある。蜂蜜やシナモンなどを加え、お湯割りと言わないところがお洒落感を募らせる。寒い日に頬を明るく染めて、大きなマグカップで飲むホットウイスキーは、気心の知れた者同士がよく似合う。掲句の「バカだな」は声には出していないが、発しているも同然、しかも甘い言葉として。男が女に向かって言う「バカだな」も、女が男に向かって言う「バカね」も、どちらも言葉通りでないことをふたりはじゅうぶんに承知している。というわけで立派なのろけ句なのだが、ほんわかあったかい気分になるのは、やはりホットウイスキーの効果だろう。『火箱ひろ句集』(2013)所収。』(解説より)。今回は「バカな覚悟」について、12/15付のほぼ日「今日のダーリン」より。

以上「今日のダーリン」12/16付より

「バカ」と聞くとジョブズの2005年6月にスタンフォード大学卒業式でのスピーチを思い出します。『亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は多くの印象的な言葉を残した。中でも2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは、自らの生い立ちや闘病生活を織り交ぜながら、人生観を余すところなく語り、広く感動を集めた。「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」』(引用元)。「Stay Hungry. Stay Foolish. And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.  Stay Hungry. Stay Foolish.」(全文はこちら)。・・ハングリーであれ。愚か者であれ。

小生(歯科医)における「バカな覚悟」とは、ムシ歯予防カフェ開店です。カフェに通うだけで歯の健康維持ができる・・そんなカフェです。今日のダーリンにあるように『いまに「適応」するだけでなく、「予測や予想」を考え、そこに向かって進むのでもなく、「望み、望まれている未来」に向かって歩んでいく。これは、「ちょっとバカ」に思われるという覚悟が、とても大切だということをも意味していますよねー』。まさにそんなバカな、バカみたいなこと、バカもやすみやすみ言え・・「ムシ歯をつくらせないカフェ」・・来夏に鹿児島市でオープンします(バカな覚悟として宣言)。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 549 唇

「数へ日やレジ打つときの唇うごく」小原啄葉

画像はどう見ても「レジ打つ人」の唇には見えません(笑)が。皆さんマスクしておられますので、そもそも「唇」は隠れています。今回は「唇」についてのお話。解説には出てきませんが「唇うごく」は「くちうごく」と読むのでしょう(おそらく)。先日の朝日新聞「折々のことば」に目が留まりました。

『唇のまわりに、文化が横たわっている。 ミッシェル・セール  食べる、味わう、話す、歌う、泣く、笑う、愛撫(あいぶ)する。口は文化を最も基本的なところで担う器官だ。知性の原型もそこから蠢(うごめ)きはじめる。赤子は物の形状を囓(かじ)って確かめるし、考えるとはそもそもが、ものごとを吟味すること、つまり味わい分けることだ。そしてホモ・サピエンス。語源をたどれば「味わう人」を意味する。フランスの哲学者の『五感』(米山親能訳)から』(朝日新聞12/16付「折々のことば」)。

かなり前ですが、拙文に「さてタイトルの三つの語句(マンジャーレ・カンターレ・アモーレ)。イタリア語をかじった方はご存じ、イタリアに興味ある人にも耳なじみの言葉でしょう。イタリア人は「食べる・歌う・愛する」ために生きていると、よく日本では評されます。これに関するイタリア人の興味深い記事を見つけました。来日後はじめこそ面白いと感じたが、あまりにも目にするので、今では次元の低いステレオタイプだと思うようになったとのこと。同時に、ふと気がついたそうです。この三つはすべて「口という器官」が関係している!言われてみればそうですね。食べる、歌うはもちろんのこと、彼の解釈では「愛する=キス」で、やはりくち」(ハナ通信No.73)。

イタリア人と言えば・・こんな言葉も。『「陽気にならないと、人はいい仕事ができないぞ」ディエゴ・マルティーナ  日本文学研究家・詩人が引くイタリアの塗装職人の言葉。一日中マスクをしているからか、それとも世間の空気のせいか、仕事中は鼻歌をほとんど歌わなくなった。歌は嫌な仕事にものせてくれるし、まわりの空気もほぐす。適度のゆるみがないと、作業も軋(きし)んで不快な音を立てる。イタリア人は何より「余裕」を大事にする。無理をするのは御法度。『誤読のイタリア』から』(朝日新聞7/26朝刊「折々のことば」より)。歌う・・まさにカンターレ!

唇の脇役」も投稿しております、どうぞ。「唇のまわりに、文化が横たわっている」を考えるに、動物であれば何はさておき「食べる」ことが最優先事項。まさに物事のイロハとはイ=胃、ロ=くち、ハ=歯となります。これがヒトなら、より正しくは恐らく「歯口胃=ハロイ」。歯と口を同じとすれば「ハ・イ」。「ハイ」に携わるのが「ハイシャ(歯医者)」・・おあとが宜しいようで 皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 548 耳

「楽観的蜜柑と思索的林檎」神野紗希

これを見るとただ単に連語?と思えるような俳句です。解説には『句集「すみれそよぐ」(朔出版)から。ミカンとリンゴを楽しんでいる感じ。我が家の卓上には、ミカンとリンゴのほかに黒くなりかけた欲情的バナナ、すこし硬い禁欲的キウイ、そして軟化した蠱惑的(こわく)柿がある。そういえば、物理学者で俳人、随筆家だった寺田寅彦に今日の句の先例のような句がある。「客観のコーヒー主観の新酒かな」』(毎日新聞2020.12.25朝刊)。さて、今回は前回「歯と眼」に続く「耳」・・耳寄りなお話。

炬燵みかんで楽観的、ニュートンやジョブズでりんごは思索的なのでしょうか。さて小生の好きな耳に「食パンの耳」があります。色々な活用法がありますが、マイブームは「耳とデュカ」です。いたってシンプル、耳にデュカをのせオーブンで5分ほど焼き、オリーブオイルをのの字にかけてハイ、イタダキマス、サラダがあれば最高です。

昨今毎日のように耳にする「フードロス」問題、まことにもったいない話です。水上勉さんの本に「野菜の切れ端、葉っぱなどを使いちゃんとした料理にするのが精進料理である」というような下りがありました、御意。パンの耳のさらに良いことは「安い」こと。いつもパン屋にあるとは限りませんが重宝しています。美味しく頂いて食物の有り難みを感じ、同時に歯の有り難みも噛みしめてください。

先日、拙ブログの読者の方より「曲の選考基準は?」との質問、お答えします。二つあります。ひとつはブログ内容に「ちなんだ曲」。もうひとつは「いい曲みっけ!」での選択。今回は「いい曲みっけ」の曲です。数日前朝、ラジオから昔懐かし「September」のイントロ・・ところが男性アナウンサーは曲名紹介で「December」・・あれ?十二月ではなく九月でしょ!と突っ込みました。再度、曲の終わりに「ディッセンバー」と。調べましたら何とありました。もちろん原曲はアース・ウインド・アンド・ファイアの「セプテンバー」で、この曲のクリスマスバージョン「ディッセンバー」があったのです。もう一曲は「林檎」にちなんでフランス人歌手「Pomme:ポム(林檎)」の曲です。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 547 歯と眼

BBTime 547 歯と眼
「レノン忌より小さき記事なり開戦忌」藤本章子

前回アップから日が流れました。さて、ご存じのように本日12/08はジョン・レノンの命日、1981年のことで満四十歳。また日本人にとって12/08は「真珠湾攻撃」(ハワイ時間12/07)。日本が開戦に踏み切った日に平和を謳ったジョン・レノンが亡くなるとは・・涙。句の解説には『今日十二月八日はかつての大戦の開戦日であり、ジョン・レノンの命日でもある。日本人にとって、いや世界の人類にとって、どちらが社会的に大きな出来事であったかは言うを俟(ま)たない。だが、この日の新聞はレノンの忌のことを大きく取り上げていたというのである。むろんレノン忌のことも風化させてはなるまいが、開戦の日のことはなおさらだろう。だが、ジャーナリズムとは残酷なもので、戦争の記憶の風化を嘆く舌の根も乾かぬうちに、かくのごとくに事態を風化させて平然としている』(解説より抜粋)。今回は最近目にした記事について。

雑誌プレジデント12.3号です。タイトルは「歯と眼の大問題」・・歯科と眼科について比較しながら誌面は進みます。主たる病気と治療法、かかる患者費用、はたまた大学の国家試験合格率や給料の比較まで。歯科医から見ると特に目新しい記事はあまりないように感じました。目を通し終わって強く感じたことは(connoteの読者の皆さんならおわかりでしょうが)根本的なことに着目していない!

例えば「緑内障」・・日本での失明原因1位。「しかし、緑内障の根本的な原因は今のところ不明です」(34頁より)。「白内障」・・「白内障は、糖尿病安堵に合併して起こることもありますが、原因の大半は加齢によるもの。誰にでも起こる老化現象の一つです」(36頁より)。原因不明もしくは加齢による病気ですから、人にとって避けられない病気と言えます。

一方歯科では「歯周病」・・「歯の表面に「バイオフィルム」と呼ばれる歯周病菌の巣窟をつくります。・・それによって、歯周組織が破壊されていくのです」(38頁より)。また「毎回1時間磨いてくれたら、歯周病は治る」(41頁より)とも。歯科の二大疾患は「ムシ歯」と「歯周病」、原因はともにバイオフィルムであり、バイオフィルムの物理的除去によって発症を阻止することができるのです。ズバリ言います!緑内障や白内障の発症を避けることはできませんが、ムシ歯と歯周病はほぼ完全に予防できるのです。この点が根本的に異なるのです。

オマケをひとつ。前回「アマゾン脱出!」でコーヒーカウンティ(coffee county)を紹介しました。小生、毎朝ハンドドリップで淹れて飲んでおります。加えて月に最低2本は赤ワインを楽しみます。このため月に一度の歯のメンテナンス時に、ステイン(外来性着色)をとってもらいます。偶然インスタグラムで見つけたこの歯磨き粉「MASHIRO:マシロ」結構良さそうです。ポイントは使う量を少量にすること。ケチって使う方が懐に優しいし、何と言っても歯に優しいのです。ピンクのザクロとグリーンのハーブミントの二種のフレーバーがあり、30gで1800円。今回の歯磨き曲はもちろんジョン・レノンの「Happy Xmas(War Is Over)」。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。