BBTime 340 乳と薬

BBTime 340 乳と薬
「枇杷熟れてまだあたたかき山羊の乳」三好万美

山羊乳を飲んだ経験はありませんが、山羊チーズは好きです。先日「授乳中の服薬、諦めないで・・薬の成分、母乳への移行は微量」の記事を見つけました。読売新聞記事「授乳中の服薬、諦めないで…薬の成分、母乳への移行は微量」で、以下引用『国立成育医療研究センター(東京)にある「妊娠と薬情報センター」の肥沼(こいぬま)幸さんは「多くの薬が授乳中も安全に使用できると考えられている」と話す。薬の成分は母乳に移行するが、多くの薬は移行量がごくわずかで、赤ちゃんの健康に影響する可能性は極めて低いという。同センターのウェブサイトでは、安全と考えられる薬の一覧を掲載。「特に慢性疾患のある場合、母親の体調を安定させることは赤ちゃんのためにも重要。一過性の症状でもつらいときには、服用を選択肢の一つとして考えて」と肥沼さん。ただし、自己判断ではなく、医師や薬剤師に相談するよう呼び掛けている。』(記事より)。

山羊のチーズ、サントモールです。安全と考えられる薬一覧はこちらです。歯科で処方する抗生物質(抗菌薬)や痛み止めのほとんどが含まれます。「痛みが出る前に」とか「不安だから」などの理由で服用することは感心しませんが、必要な時には飲んでも大丈夫と言えます。歯科で授乳中の方に気を使うのがもうひとつ「麻酔薬」です。結論から言いますと「歯科麻酔」も問題なしです。記事の後半では食事についても触れてあります。『特定の食べ物を避ける必要はなく、バランスの良い食事を心がけることが大切だ。十分な水分摂取も必要で、できれば体を冷やす冷たい飲み物より、温かいものが望ましい。大井さんは「栄養価の高い具だくさんの汁物や鍋などがお薦め」とする。アルコールは避けたいが、コーヒーなどカフェインを含む飲み物は1日2、3杯なら問題なく、「好きなものでほっと一息つく時間も大事にしてほしい」と話している』(記事より)。

書きながら思い出しました・・「牛は水を飲んで乳とし、蛇は水を飲んで毒とす」出典はわかりませんが、ある講演で耳にしました。少々話は飛びますが、ある講演で次のようなことも聞きました。「牛乳を飲んで吐く子供さんは、牛乳に対する急性中毒症状として吐くのです。もしそのお子さんが吐かずに飲めるようになったとしても、それは急性中毒が慢性中毒になっただけのことです」とのこと。牛乳のみならず体や心が受け付けない(吐く)ものを無理強いすることはいかがなものでしょうか。

必要な時、緊急な時は別として、やはり予防に勝る治療なしです。歯科の多くの疾患は回避可能です。日々のケア・予防を!2980

BBTime 339 しみる!

BBTime 339 しみる!
「くちびるに夏欲しければ新茶飲む」小迫倫子

解説を読むと意外にもお茶は「飲む」ではなく・・『載せようか、載せまいか。何日か思い悩む句がある。偉そうにしているわけではないけれど、私なりの評価が定まらないからだ。この句も、そのひとつ。若々しく新しい感覚ではある。だが、どこか私にはいぶかしい。それは「新茶飲む」という表現のせいだ。これまでの句では、茶は「汲む」ものであり「喫する」ものでありと、「飲む」というストレートな言い方はゼロに近かった。茶には「飲む」だけでは伝わらない風合いがあるので、多くの俳人はあえて婉曲的な表現を選んできたのだろう。そんななかで、作者はずばり「飲む」と詠んでいる。ミルクやジュースと同じ「飲み方」をしている。そういうふうに読める。おそらくは、このあたりの表現法が今後の俳句の大問題になるはずで、当サイトの読者はどうお考えになるだろうか。「喫茶」という言葉が持つ色気を追放したときに、どんな新しい風が吹いてくるのか。私にも、大いに興味がある。その意味で、この作品は重要だと考え紹介することにした』とのことです(引用元)。

八十八夜(5/2)が過ぎて十日しか経たぬのに早くも真夏日のニュースを耳にします。これから冷たいお茶を飲まれる機会も増えるでしょう。さて「歯がしみる」という主訴(主なる訴え・一番の困り事)で来院される方がいらっしゃいます。そこで「歯がしみる」についてのお話。次の画像は中村藤吉本店の生茶ゼリイ・・大好きです。宇治本店で「生茶の意味は?」と尋ねたら「イメージです」とのことでした。

冷茶のみならず冷たい飲み物・食べ物で「歯がしみる」は不愉快なものです。冷たいものや甘いもので「歯が痛い」はムシ歯がその主なる原因ですが、痛みではなく「歯がしみる」場合はくさび状欠損が原因のことが多く、知覚過敏で歯がしみることもあります。時に「歯磨きの時に歯がしみます」と・・この場合は歯が原因ではなく「歯の磨き方」が主因のこともあります。細かいようですが、危惧するのは次のようなことです。「歯がしみる」と患者さんが言った場合、歯科医師が取る行動は大きくふた通り、ひとつは「では削って樹脂を詰めましょう」もうひとつは「知覚過敏改善処置をします」です。知覚過敏の処置ならまだしも「削って詰めましょう」となった場合を危惧します。詰める量よりも削る量が多いこともありうるのです・・勿体無い話です。

今朝(5/12)の天声人語です。『病気やトラブルが全くない人生はありません。完璧でなくていい。楕円形のように少々いびつでいいんです』(天声人語より)。もちろん「がん」と「楔状欠損」「知覚過敏」は、はっきり言って違うレベルの病気です。歯科医師として声高には言いません、小さな声で言います「歯も生きてます!冷たいものには冷たいと反応しますよ!」。おそらくヒトは元来常温(おおよそ15-25℃)の食べ物しか口にしなかったと思います。暑い時に冷たいものを楽しむことは有り得なかったことだと想像します。寒い時に熱いものを口にした可能性は充分有りますが、逆である「真夏に氷」のようなことは不可能だったと思います。

歯磨きの時だけ(歯の磨き方が原因)「歯がしみる」については、歯ブラシの持ち方を変えることで解決するでしょう。詳しくは「口友二本」をご参照のほど。誤解なきように付け加えます。「歯がしみる」場合の処置は原因によって違います。削って詰める必要のない場合もあります。日常生活、特に食事の際に困らなければ「経過観察」でも良いこともあるのです。歯は生きてます、温熱刺激(冷たい・熱い)に無感覚では有りません。「歯がしみた」時、日常生活に困らない程度であれば「歯は生きてるんだ」と思って頂き、さらに歯を慈(いつく)しんで貰えば幸いです。本日「母の日」声を揃えて「はは大切!」(母大切・歯は大切)。最後にアクセスが「八十万」超えました!深謝。800370



冒頭の句は「不透明飲料」でも紹介しておりました。

BBTime 338 腹八分三回

BBTime 338 腹八分三回
「母の日の常のままなる夕餉かな」小沢昭一

常のままなる(普段の)ではありませんでしたが、母の作る鶏の唐揚げは心に残る夕餉です。先日ラジオから「胆石:たんせき」についての話・・「予防するにはきちんと三度三度、腹八分の食事を!」とのこと。聴きながら「そんなの無理無理」とひとり反発・・医者のみならず歯医者も患者さんに常々色々とアドバイスします。歯科医なりたての頃、本気で「お菓子をあまり食べないように」とか「しっかり歯磨きするように」などと患者さんや親御さんに話していました。今思えば無理な話です、無理難題を説いていただけで、患者さん特にお子さんにとって馬耳東風であるのも当たり前でしょう。生活習慣病に代表されるように、病気とは「普通の人が常のままなる食事や生活を営むとなってしまうもの」だと思います。

空腹は薬」「十六時間」に書きましたが「空腹が必要」「十六時間以上食事しない」と唱える医者もいます。日に三度腹八分の食事を実践して「胆石予防」を選ぶのか、日に二食の食事で「若々しく健康」を選ぶのか?「万病に効果あり」の薬や医療がないのと同じく「万病予防」の食事の仕方や生活スタイルはありません。「砂糖は諸悪の元」だから摂取制限必要という論もあれば「砂糖は脳に必須」だから摂取すべきとの声も聞きます。要はバランスなのでしょうが、バランスを取れないのが「常のままなる」ですよね。

百年人生といえども後戻りできない一方通行で、ひとつのルートしか歩めません。だとすればご自分で生活スタイルを選ぶしかないでしょう。特に選ばなければ「常のままなる(普通の)人生」を歩んでそれなりに病気になるのです、おそらく。万病予防可能な生活スタイルは存在しないので、せめて複数の病の予防可能なスタイルを選んではいかがでしょうか?歯医者としてアドバイスするならば個人的には「一日二食」です。色々な情報は知識として価値あるものですが、鵜呑みにすると矛盾だらけの予防法となってしまいます。ご自分に合った実践可能な病気予防の生活スタイルを作ることが肝要かと思います。

ちなみにオススメラジオ番組はふたつ。ひとつ目はNHKラジオ第1の朝五時半過ぎからの「健康ライフ」。毎週月曜から金曜日放送で週ごとにテーマ(病気・臓器)別の内容です。ふたつ目は民放の朝八時「日本全国8時です」の月曜日が医療の話です。まさしく「聴くお薬」オススメします。9570



追加:胆石の話が文章化されてましたので御紹介します。『予防法は?・・胆石を作らないための予防が大事になります。予防の基本は「脂肪の少ない食生活」「1日3食、規則正しい食事」「腹8分の食事」「食物繊維を十分に摂る」ことです。脂肪の多い食事。天ぷらなどを食べた後に発作を起こす人が多いので、胆石のある人は十分に注意してください。1日3食は基本で、それを2食、さらに1食にすると、胆嚢で胆汁が濃縮され過ぎて医師ができやすくなります。1日3食を。そして、食物繊維は、コレステロールを吸着して排泄してくれるので欠かせません。一言でまとめると、「規則正しく、脂肪の少ない食生活」です』出典はこちら。・・追加を書いて気がつきました(5/11)。「医師ができやすくなります」は「石ができやすくなります」の間違いですよね。

BBTime 337 リステリン

BBTime 337 リステリン
「黄金週間終わるブラシで鰐洗い」斉田 仁

今年のゴールデンウィーク(黄金週間)もアッという間に終わりました!句の解説に「連休明けのがらんとした動物園での一コマ。生きていても剥製のように動かない鰐だけどゴールデンウイークに沢山の人の視線を背中に集めて疲れただろう。ゴシゴシとブラシでその背中を洗われて気持ちよさそう。ゴールデンウイークを黄金週間と表記したことで「黄金」という言葉の硬質感とごつごつの鰐の背中の硬さが響き合っていい感じだ。鰐の背中を洗うブラシの音まで聞こえてきそう。「俳句が出来ないときは動物園に行ったらいいよ」と俳句を始めたころ一緒に句会をやっていた年上の俳人からアドバイスをもらった。動物は楽しい想像力をかきたててくれるからだろうか。連休明けの一日、ベンチに座って動物たちをぼんやり眺めるのもいいかもしれない」(解説より)とあります。勝手に「鰐と歯ブラシ」をイメージしましたが、ブラシで洗うのは歯ではなく背中なんですね。たまに目にするニュースが「カバの歯磨き」です。ふと思いました、砂糖を摂取しないのに磨く必要あるの?単なるパフォーマンスなのでしょうか。今回はワニやカバとは無関係な「リステリン」のお話。

マウスウオッシュ「リステリン」をご存じでしょうか?百年以上の歴史があります。リステリンのページには『誕生物語:19世紀半ば、産業革命によって大躍進を遂げていたイギリスでは、その繁栄の一方で、作業中の事故で大ケガを負う人が後を絶たず、多くの方が、治療の甲斐なく犠牲になっておりました。なぜなら、当時はまだ消毒技術が確立されておらず、手術が成功しても、傷口から細菌に感染して亡くなるリスクが高かったからで す。外科医のジョゼフ・リスター博士は、この凄惨な光景を目の当たりにし、犠牲者を救うため、消毒薬の研究に取り組みはじめました。「一人でも多くの人を助けたい」博士の情熱は、画期的な消毒薬を生み出すことに成功しました。そして、1865年に世界で初めて消毒薬を使った外科手術を行い、重症の患者を救うこ とに成功するのです。その後、手術による死亡率は劇的に減少し、この功績により、リスター博士の名は世界中の医学界で知られるようになりました』(引用元)。今は琥珀色のオリジナルのみならず、様々な特徴の色々なリステリンが販売されてます。特色ごとに十色あり、まさに十品十色!

先日、義歯使用の方が「リステリンいいですね」と・・この方ご自分の歯があまり残っておらず上下とも義歯使用中です。残存歯(ざんぞんし:残っている歯)の清掃が不十分であったために、歯ブラシに加えてリステリンを勧めてみました。残存歯の少ない方は、歯のない部分(歯茎・粘膜)が多くあります。歯ブラシで歯を磨けても、歯茎や粘膜を歯ブラシで磨くことはあまりないと思います。粘膜のシワの部分に汚れが溜まっていることもありますが、歯ブラシゴシゴシだとかえって傷めかねません。そこで登場するのがリステリン!

個人的には「オリジナル」がリステリンをもっとも実感できると思いますが、初心者の方にはオススメしません(笑)。構えず口に含むと次の瞬間、口の中が灼熱地獄となり吐き出してしまいます。十品十色をひとつずつ試してみるのも良いでしょう。使い方のポイントは、就寝直前に義歯と残存歯をきれいにして、義歯を口の中に戻し、リステリンを口に含み30秒間グチュグチュして吐き出す。吐き出したあとはうがいせずに、そのまま「お休みなさい」がベターです。

リステリンHPに「通常の歯磨きでケアできるのは、お口のわずか約25%*・・歯磨きとは文字通り、「歯を磨く」ことであり、歯磨きだけでお口の中をケアできる割合は、歯の表面積である約25%*のみ。 歯を磨いただけでは落とせない舌や歯ぐき、咽頭粘膜などお口全体の汚れをキレイにするために、正しい対処法を知る必要があります」とあります(引用元)。歯を28本お持ちの方も少ない方もゼロの方もリステリン使用を加えてみてはいかがでしょうか。9040



過去にもリステリンについて書いてます。是非どうぞ!「BBTime 156 扁平苔癬退散」「BBTime 158 25%しか

BBTime 336 羊羹猪羹

BBTime 336 羊羹猪羹:ようかんちょかん
「大南風黒羊羹を吹きわたる」川崎展宏

解説に『季語は「南風(みなみ)」。元来は船乗りの用語だったらしく、夏の季節風のことだ。あたたかく湿った風で、多く日本海側で吹く強い風を「大南風」と言う。旅先だろうか。作者は見晴らしのよい室内にいて、お茶をいただいている。茶請けには「黒羊羹」が添えられている。外では猛烈な南風がふきまくり、木々はゆさゆさと揺れざわめいている。近似の体験は誰にもあるだろうし日常的なものだが、それを「黒羊羹」を中心に据えて詠んだワザが、情景をぐんと引き立たせ異彩にした。実際にはどうか知らないけれど、黒い羊羹は素材の密度がぎっしりと詰まっているように見える。人間で言えば沈着にして冷静、どっしりとしている。その感じをいわば盤石と捉え、激しくゆさぶられている周辺の木々と対比させながら、「大南風」の吹く壮観を詠み上げた句だ。動くものは動かぬものとの対比において、より動きが強調される。この場合の動かぬものとは、しかし目の前のちつぽけな羊羹なので、多分に作者のいたずら心も感じられ、激しい風の「吹きわたる」壮観を言ってはいながら、全体としては陽性な句だ。秋の台風だったら、こうはいかない。やはり夏ならではの感じ方になっている。以下、蛇足。羊羹でもカステラでも、あるいは食パンでも、私は端(耳)の部分が好きだ』(引用元)とあります。解説読んでも「南風と黒羊羹」の関係性がなんとも不可解なんですが・・今回は「外郎外伝」に続いて羊羹のお話。

羊羹と豚汁の関係性は?と聞かれたらどう考えますか。「羊」と「羹に懲りて膾(なます)を吹く」の「羹:あつもの」で羊羹です。羊の肉も入ってなければ「羹:野菜や肉を入れた熱い吸い物」でもありません。にもかかわらず「羊羹」とはこれいかに?

中国の話です。羹(あつもの)には、羊の肉のみならず猪羹(ちょかん:豚肉の汁、豚汁)や魚羹、鶏羹など四十八もの種類があり、その中の羊肉の羹を羊羹と呼んでいました。日本に伝来した頃、日本人は獣肉を食べませんでしたので、羊肉の代わりに小豆や小麦で作ったもの(団子)を入れました。この団子が汁から独立したものが羊羹の原型で、蒸し羊羹へと進化します。その後、江戸時代になって小麦粉の代わりに寒天を入れるようになったのが今の「羊羹」なんです。詳しくは本「新和菓子噺」をどうぞ。画像は本文です。

本の中には「なぜ饅頭に「頭」があるのか」「本来は栗はなくとも栗饅頭」など興味深い和菓子噺が満載です。読んで改めて和菓子と日本人の関係・和菓子の奥深さを知りました。皆さん、和菓子を頂きましょう!その後は歯磨きをお忘れなく。7500

BBTime 335 外郎外伝

BBTime 335 外郎外伝
「暮れ際の紫紺の五月来にけり」森 澄雄

令和初日5/1の暮れゆく高千穂峰(たかちほのみね)、天孫降臨の地とされる霊峰です。「天孫降臨(てんそんこうりん)とは、日本神話において、天孫邇邇藝命(ににぎのみこと)が、天照大御神神勅を受けて葦原の中つ国を治めるために高天原から日向国高千穂峰へ天降(あまくだ)ったこと」(Wikipediaより)。平成から令和へ変遷しました。真偽のほどはさておき伝承的には、この秀峰に天降った神様(瓊瓊杵尊)から令和天皇に繋がっていることを思うと感慨深い夕暮れでした。瓊瓊杵尊のひ孫が神武天皇(初代)で126代目が新天皇です。さて前回「滑舌改善」で外郎について触れましたが、今回は由来について。

外郎の由来についてネット検索すると、やはり薬の透頂香(とうちんこう:外郎薬)が起源のようです。『ういろうは仁丹と良く似た形状・原料であり、現在では口中清涼・消臭等に使用するといわれる。外郎薬(ういろうぐすり)、透頂香(とうちんこう)とも言う。中国において王の被る冠にまとわりつく汗臭さを打ち消すためにこの薬が用いられたとされる。14世紀元朝滅亡後、日本へ亡命した旧元朝の外交官(外郎の職)であった陳宗敬[2]の名前に由来すると言われている。陳宗敬は王朝を建国する朱元璋に敗れた陳友諒の一族とも言われ、日本の博多に亡命し日明貿易に携わり、輸入した薬に彼の名が定着したとされる』(Wikipediaり)。

薮光生(やぶみつお)氏の著書「新和菓子噺」には次のようにあります。「鎌倉時代に中国で礼部員外郎(れいぶいんういろう)の役職にあった陳宗敬が、日本に来て透頂香という薬を広めるのですが、「外郎」という役職にあった人が伝えた薬であったことから、「外郎」といわれるようになりました。その陳さんは、やがて改名して陳外郎と名乗るのですが、菓子の外郎は、その陳さんがお客様をもてなすためにつくった菓子にはじまるといわれています」(一部抜粋)。

また『以前読んだ本に、この薬と役職名、菓子の名の勘違いから、的はずれの勘違いのことを指す透頂香を別読みした「トンチンカン」なる言葉が誕生したと書かれていたことを記憶していますが、成程と思わせられる話です』とあります(131頁より)。フリスクの元祖とも言える「透頂香:とうちんこう」と伝えた人の役職名「外郎」が、お菓子の「外郎」となって今に伝わる・・なんとも「外郎」の本伝のみならず外伝も面白い!外郎を末長く楽しむためにも歯の予防をお忘れなく。ふと、小さん師匠に「トンチンカン」に似た演目があることを思い出しました(こちらは万金丹)。ちなみに「トンチンカン」には「鍛冶などで師が鉄を打つ間に弟子が槌を入れるため、ずれて響く音の「トンチンカン」を模した擬音語であった。 音が揃わないことから、ちぐはぐなことを意味するようになり、さらに間抜けを意味するようになった。 漢字で「頓珍漢」と書くのは当て字である」とも(出典はこちら)。7330