BBTime 642 癸卯から甲辰

「うつくしや年暮れきりし夜の空」小林一茶

2023/12/31大晦投稿 2024/01/02画像追加・加筆 01/05追加
 大晦日・大晦(おおつごもり)、画像は本年最後の満月(12/27)。句の解説『今年1998年は、一茶に締めくくってもらおう。ここまでくれば、ジタバタしてもはじまらない。一茶とともに、夜空でも眺めることにしたい。ただ、ミもフタもないことを言っておけば、一茶の時代は陰暦の大晦日だから、二カ月ほど先の空を詠んでいる。そろそろ梅も咲いているかもしれぬ早春の夜空だ。だから、相当に今夜とは雰囲気は異なるが、押し詰まった気持ちには変わりはないのである。古句で締めたついでに、鎌倉末期から南北朝に生きた兼好法師の『徒然草』より大晦日の件りを引用して、今年度の『増殖する歳時記』の本締めとしたい。ご愛読、ありがとうございました。「晦日(つごもり)の夜、いたう闇(くら)きに、松どもともして、夜半(よなか)すぐるまで、人の門たゝき走りありきて、何事にかあらん、ことごとしくのゝしりて、足を空にまどふが、暁がたより、さすがに音なく成りぬるこそ、年の名残も心ぼそけれ。亡き人のくる夜とて玉まつるわざは、この比(ころ)都にはなきを、東(あずま)のかたには、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか」。(清水哲男)』(引用元)。本日恒例、毎日新聞「余録」のご紹介。ちなみにタイトルは「癸卯:みずのと う、今年」「甲辰:きのえ たつ、来年2024」。

書き写します。『ウクライナでの戦火はやまず、ハマスの奇襲に端を発したイスラエルのガザ侵攻で世界は混迷を深める。2023年をいろはカルタで振り返る。【い】一寸先にクマ【ろ】露骨な侵略正当化【は】8冠無双【に】日本一のアレ【ほ】ホンマにやるんでっか万博【へ】米中気球で乱気流【と】どうする文雄【ち】地球温暖禍【り】リバウンド、インバウンド【ぬ】抜け道の先に裏金プール【る】ルフィ気取りの怪賊団【を】お年玉どうなる物価高【わ】YMOさみし2人去り【か】ガザ無情【よ】世のなさけ頼みの博物館【た】多様な性が彩る社会に【れ】零細泣く声インボイス【そ】そっと横見てはずしマスク【つ】つらいよ「蛙化(かえるか)」なんて【ね】ネット中傷に規制の網【な】なんでもチャチャットGPT【ら】来日韓迎【む】無実の訴えようやく再審【う】ウマかった風力利権【ゐ】池袋はストに燃え【の】乗ろーカル線【お】おこしやす文化庁【く】薬不足に良薬なく【や】闇はどこまで芸能界【ま】学ばぬ日大【け】減税のち増税【ふ】不正もビッグ特大ハツ【こ】これでどうジャース1000億円【え】エッフェルで撮ってる【て】てんてこ舞いナカード【あ】安全をロスプレイ【さ】札幌降りんピック【き】銀河へ逝った男おいどん【ゆ】緩い地盤に国強硬【め】迷走する「異次元」【み】水に流せぬ風評被害【し】神宮窮状の森【ゑ】「Xって?」とツイートし【ひ】ヒロシマで何を祈った首脳たち【も】もう終わりに2世の苦しみ【せ】世界制したペッパー侍【す】昴(すばる)への旅立ち【京】きょうの夢あすの平和』毎日新聞12/31朝刊「余録」より。昨年2022年「余録」(2021,2020,2019リンクあり)、2018年はこちら(2017,2016,2014リンクあり)。

画像は中川政七商店鏡餅、マグカップはナガオカケンメイ氏デザイン。今年、小生はやはり「【お】おこしやす、おやつ堂へ、おやつどうですか!」。2月23日天皇誕生日に「おやつ堂」は誕生しました。まだまだ超低空飛行ですが、かすかな光を感じております。来年も今年以上に美味しいモノ探しに精進いたします。是非ご来店ください。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 641 エンタメ

「粕汁にあたたまりゆく命あり」石川桂郎

2023/12/24 投稿 2024/01/02画像追加と加筆
先日(12/21)桜島初冠雪、やっと冬らしい年末が来ました。句の解説『鮭や野菜等に粕を加えてコクを出すという、冬を乗り切る知恵が<粕汁>には詰まっている。桂郎はこの句を病床にあって詠んだ。だからこそ身体のみならず<命>がぬくめられる感覚を抱いたのだろう。この一年の間に死別した人の数を思う。そして、いずれ自分自身の命ともサヨナラをしなければならない時が来ることをも思う。しかし生きている限り、その日まで食べ続けなければならない宿命をわれわれは生まれながらに持っている。(『四温』)季語=粕汁(冬)』(櫂未知子著 食の一句より)。同感!「Music for 介護」「Sweets for 介護」ときて締めは「食こそエンターテインメント!」。この言葉、昔雑誌「dancyu」の表紙に載っていました。

今年(2023)春から本格的に訪問診療に携わるなかで、今更ですが歯科医師の仕事は「食べる」であると痛感しています。健康な人そうでない人、誰にとっても「食べる」は喜びであり生きている証(あかし)でありエンターテインメントであると実感します。句の解説にあるように『生きている限り、その日まで食べ続けなければならない宿命をわれわれは生まれながらに持っている』のです。

ある施設利用者女性は百歳。その方だけは、昼御飯お膳に九皿載っています。ご家族の希望で「おばあちゃんに、好きな物を好きなだけ、食べて欲しい」とのこと。おおかた箸をつけられるのは二割から三割、ご家族はそれでもいいと。これを知った時ショックを受け感動しました。まさに「食こそエンターテインメント」!。栄養のバランスがどうのこうの、ムシ歯のリスクがどうのこうの等々、一切関係無いと気付きました。(失礼な言い方ですが)残された日々をいかに楽しむか。その大きな楽しみが「食べる」です。まさに「エンタメ、生きる、生ききるため」!

以前書いた「BBTime 538 残るは食欲」に・・「阿川佐和子著「残るは食欲」に『書名ともなった「残るは食欲」というのは、そもそもだいぶ昔に悪友、ダンフミが呟いた言葉だ。「愛欲と物欲を捨てた今、自分と俗世を結ぶ唯一の絆は食欲のみ」うまいことを言う女優だと感心した。感心はしたけれど、私はそこまで欲を捨ててはいないと自認した。』(あとがき)」。

余すところ七日、除夜の鐘は百八。百八番目の煩悩が食欲なのかも知れません。今年の大掃除のメニューに口の中の大掃除も加えてください。診療所に出向くのが無理な場合、湯船でゆったりゆっくりじっくりのハミガキを!皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

https://youtu.be/ZcJjMnHoIBI?si=gytN2JaKfE7Z5zwU

朝日新聞 2024年元日の朝刊より

BBTime 640 セイタイハイリョ

円鏡のラジオやせわし年用意」小沢昭一

2023/12/17投稿 2024/01/05追加(セミナー向け)
 小生落語大好きです、まずは解説を。『年用意は、新年を迎えるためにいろいろと支度を整えること。私などは何もしないが、それでも部屋の掃除などをはじめると大変だ。本の山をあっちへやりこっちへやり掃除機をかけたところまではよかったが、その本どもが元の場所に戻らない。どう積み重ねてみても、以前より広い場所を占めてしまう。寝る場所の確保さえ覚束なくなり、本は乱雑に積み上げたほうが狭いスペースですむという真理を発見するに至る。ところで、このときの作者は何をしていたのだろうか。ふと気がつくとつけっぱなしのラジオから、円鏡のせわしない話し声が聞こえてくる。ただでさえせわしないのに……と、さすがの小沢昭一も苦笑の図。これで三平でもからんだヒには、ラジオをぶん投げたくなってしまっただろう。『変哲』所収。(清水哲男)』(引用元)。この方の声は「鈴を転がす」とは言い難いです・・今回は声帯についてのお話「声帯配慮」。ちなみに「セイタイハイリョウ:聖体拝領」はこちら

先日、NHKラジオ「健康ライフ」は声帯についてのお話。声帯をケアすることがスムーズな嚥下につながるとのこと、かいつまんで見ていきましょう。読むらじるもご参照の程。
1)声帯の役割:「声帯」は声を出すだけではなくて、食べ物や飲み物を飲み込むことと密接につながっています。良い声を維持することは生活の質の向上につながりますし、食べ物や飲み物を飲み込む機能がうまく働かなくなる「嚥下障害」、さらに命に関わる「誤嚥性肺炎」などの病気を防ぐことにもつながっています。
2)のどの役割は三つ:のどには、大きく分けて「物を飲み込む」「空気を運ぶ」「声を出す」という三つの役割があります。
3)声帯の場所:人間の特徴は音声言語コミュニケーションつまり「話をすること」。言葉を出すために大切な器官が、喉頭の中にある「声帯」でちょうど「のどぼとけ」、のどの真ん中辺りにあります。
4)声帯のもうひとつの役割:誤嚥防止です。「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと。喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は哺乳類にはみんな備わっているんですけれども、人間の特徴はその位置なんですね。人間は言葉で会話をするために、喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は首の真ん中の辺りまで下がってきちゃったんですね。
5)咳反射:喉頭蓋で蓋ができなかった時は「咳反射」といって、声帯が左右ぶつかり合ってくれるんです。加齢や病気などで声帯の筋肉が衰えてしまうと、うまく飲み込むことができなくなることがあります。声帯は声を出すことだけではなく、飲み込むことと密接なつながりがあります。

6)声帯の老化:ゴムのパッキンが劣化することと同様で、左右の声帯が閉じても隙間ができてしまいます。そうすると「声がれ」や「息漏れ」が起きてしまうんです。声帯の老化が進んでしまうと、誤えん性肺炎やえん下障害にもつながります。
7)声帯老化の確認:思いっきり息を吸って「あーーー」と声を出して一息で何秒続くか。この時間を計ることで、声帯の衰えを確認できます。「あーーー」と声を出すときは、普段の会話くらいの大きさで出しましょう。男性で15秒以上、女性で12秒以上が正常で、声が高くなったり、震える、変な声になる場合は要注意です。他にも人から「声が変わった」と言われた。歌い慣れた歌が歌いにくくなったなども老化の表れです。
8)加齢以外の原因:声をあまり使わない。仕事やプライベートで人と話す機会が減ってきますと、筋肉が衰えて声の萎縮が進みます。姿勢も重要です。猫背の方やうつむいて話す方は、肺から上がって来る空気を遮ってしまうので、声の響きに影響を与え、こもった声になります。また、余分に胃酸が出やすい食生活を送っていることも、原因のひとつとなります。アルコールをとり過ぎて、胃酸が食道に逆流して「のどやけ」を起こして声帯を痛めてしまいますし、タバコも声帯にとってはよくないです。
9)声帯の鍛え方:電話やオンライン通話でも会話はできますが、毎日通話の相手を見つけるのも難しいので、1人でもできることとして、本や新聞を声に出して音読することです。また、テレビ番組に参加しているつもりで「あ~、そうそう」などと言ってみたり、クイズ番組なら声を出して答えるのもいいと思います。カラオケや詩吟などもおすすめします。ご自分の気分が楽しくなるような、好きな歌や好きなことを歌っていただくのが一番よいと思います。

10)誤嚥性肺炎:水や食べ物や唾は、肺に入ってはいけない“異物”です。水や異物が気管から肺に入ってしまうと、肺では対応できませんから炎症を起こします。この炎症を起こすと「誤嚥性肺炎」となります。誤嚥性肺炎の症状として、発熱、せき、たんが出て、呼吸も苦しくなります。何となく元気がないとか食欲がない、唾がたまったようなこもった声、呼吸に伴い首の辺りがゴロゴロ鳴る、などの症状も、誤嚥性肺炎になりやすい特徴です。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年、令和4年に誤嚥性肺炎で亡くなられた方は5万6,000人強で、死因の中で6番目に多い病気です。特に、高齢者の方には気をつけていただきたい病気です。
11)誤嚥防止策:顎を引いて飲み込むことで、のどを口に近づけられますので、飲み込みやすくなります。飲み込みにくくなったら、ストローを使うことをおすすめします。
また、えん下の動作全体が加齢で遅れますので、食事に“とろみ”をつけて流れを緩やかにすることで飲み込みやすくなります。薬をゼリーに包んで飲み込むのも、誤えん防止にいいでしょう。
12)声帯が衰えると:会話をしなくなると、認知症のリスクも高まります。会話には耳や目、脳も使いますので、会話によるコミュニケーションの低下は認知症のリスクを高めるとも考えられます。また、声が出にくいと話さなくなり、さらに声が出しにくくなるという悪循環を招きます。日頃から声を出すこと、これを心がけてほしいです。
13)声帯萎縮の予防:声帯も筋肉ですから、鍛えて萎縮を予防する体操があります。1から10の数字を唱えていただきます。まず胸の前で両手を合わせてください。左右の手を押し合う瞬間に「いちっ」などと短く区切って発声します。短くがポイントです。10まで発声します。これを朝晩2回ずつやってみてください。声帯が鍛えられて筋肉がついてきますから、肺炎の予防につながってまいります。やってはいけないのは、「い~ち」「に~い」「さ~ん」と伸ばし、力を長く入れてしまうことです。

14)声帯を鍛える:人と話す機会を増やす。喉の乾燥を防ぐ。声帯に悪影響を及ぼす生活を改める。
15)人と話す:人と話すことで声帯は鍛えられます、たくさん話しましょう。特にお年寄りや会話が減った人は、話をするということが大切です。会話で声の異変を指摘されたり、大きな病気が見つかる場合もあります。
16)喉の乾燥防止:喉の乾燥は声帯を痛める原因のひとつ。マスクや加湿器を使って、喉の潤いを保つことが大切です。うがいをして口全体を湿らせておくのも良いし、適宜、水を飲むことも良いです。
17)声の衛生に留意:無理な高さでの発声やささやき声、これは避ける必要があります。せきばらい、からぜきは必要最小限にとどめてください。食事は水分もとりつつ、少しずつ、むせないように慌てずゆっくり食べるようにすると良いでしょう。
18)声の衛生に留意2:大量にお酒を飲むと、口の中がアルコールで乾燥してしまいます。さらに気分が高揚して、いつの間にか大声を出すようになるので、ほどほどにするのがおすすめです。思うように声が出ない時、かぜをひいた時は、無理に声を出さないことが一番。
19)声の衛生に留意3:胃から出る胃液が逆流すると、声帯を傷つけます。食べてからすぐ寝ると、胃液や消化途中の食べ物が食道に逆流して、炎症を起こします。胃液はとても強い酸なので、胃液にさらされると声帯に炎症を起こしてしまいます。声帯を守る意味でも、寝る2時間前は食事やお酒を避けてください。また家庭でできる工夫として、寝るときに肩や肩甲骨の辺りを高くすることや、布団の下に座布団を入れると逆流が起きにくくなります。

かなり長くなりましたが声帯の健康のためのお話「声帯配慮」でした。ご存じ「阿吽:あうん」です。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:声帯健康を保つひとつの方法として「朗読」もいいと思います。ふと思い出しました。昔、近所の家から読経の声が聞こえてきたことを。お経であっても朗読のひとつです、昔の人の知恵でしょうかね。オススメの詩を四篇。こちらもどうぞ「寿命延長」。

「山のあなた」カール・ブッセ 上田敏訳
山のあなたの空遠く
「幸ひ」住むと人のいふ
噫 われひとと尋めゆきて
涙さしぐみ かへりきぬ
山のあなたになほ遠く
「幸ひ」住むと人のいふ

「われは草なり」高見順
われは草なり
伸びんとす
伸びられるとき
伸びんとす
伸びられぬ日は
伸びぬなり
伸びられる日は
伸びるなり
われは草なり
緑なり
全身すべて
緑なり
毎年かはらず
緑なり
緑の己れに
あきぬなり

われは草なり
緑なり
緑の深きを
願ふなり

ああ 生きる日の
美しき
ああ 生きる日の
楽しさよ
われは草なり
生きんとす
草のいのちを
生きんとす

自分の感受性くらい」茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ陰ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
宮沢賢治


BBTime 639 Sweets for 介護

「数へ日の素うどんに身のあたたまり」能村登四郎

2023/12/09投稿
 早いもので今年も残り三週間、まさに「看看臘月尽:みよみよろうげつつく」。まずは句の解説から『季語は「数へ日」で冬。日数の残りも少ない年末のこと。感覚的には、まだ少し早いかもしれない。が、あらためて壁のカレンダーをを見ると、今年もあと三週間しか残していない。これからは何かと慌ただしく、一瀉千里で今年も暮れていくのだ。忙しいということもあるが、そんな思いのなかでの独りの外食は、見た目にデコラティブな料理よりも、シンプルの極みたいなものがしっくりと来る。「素うどん」などは、その典型だ。とりあえずの「身のあたたまり」ではあるだろう。が、もう少し「素うどん」を敢えて句にした作者の実感に迫っておけば、シンプルな食べ物からしか受けることのできない恩寵に、ひとりでに感謝する響きが込められている。おかげで「身」も暖かくなった。そして、心の内もまた……。年末の多忙は、多く整理の多忙だ。来る年を迎えるために、身辺も心の内もさっぱりとしておきたい。その気持ちが、たとえば「素うどん」の「素」にすんなりとつながっていく。そういうことだと掲句を読み、今日はどこかの立ち食いの店で「素うどん」を食べたくなった。それも「七味」ではなく「一味唐辛子」を、さっと振りかけて。『人間頌歌』(1990)所収。(清水哲男)』(解説より)。前回「Music for 介護」の続編です。

太宰府梅園の干菓子(ひがし)「よろつよ」。「Music for 介護」の通り、現在訪問診療中に音楽を流しております。その方(治療やケアの対象者)とコミニュケーション可能ならばリクエストにお応えします、困難な場合は師走ですので洋楽クリスマスソングを流します。今まで断られたことはありません、好評です。ケアの途中で口ずさむ方、頷くようにリズムを取る方など様々。その方が聞こえづらい場合も音楽をかけます。音楽があると従事者(こちら側)もスムーズに施術が進みます。スマホがあれば可能ですので、是非トライしてみてください。そこで(調子に乗って)次なる試みが「sweets:スイーツ」!

梅園の「宝満山:ほうまんざん」。ある訪問先でのこと。居宅(ご自宅)訪問、九十代半ばのお母さんを娘さんがみていらっしゃる。私たちが行くと、それぞれ(相手に対する)不満や愚痴を苦笑をまじえて話されます。聞きながら思います「それぞれにストレスが溜まっている?」そこで一案!そうだ「お菓子だ」「スイーツだ」。帰りしな飲み物など頂きますので、まずは日頃の御礼ですと「よろつよ」をお渡しました。よろつよを口にお茶を飲みながら、少しでもお二人のストレス減少できるのでは、が狙いです。

これは「うその餅」。「美味しいを守る」に書いておりますように「おやつの宅配!月に一度、オススメの和菓子もしくはスイーツをお届けし歯磨きがおまけで付きます。お菓子の持つ「甘い力」によって、御本人のみならず介護をする方のストレスも軽減できること請け合い」のようなシステムを考えております。口腔ケアがゴールではなく、その一歩先の「美味しい」まで届ける、いかがでしょうか。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。