予防 2.0 まずはトラスト

予防 2.0-010-0830 まずはトラスト(信頼)

以前は治療(治療的治療)と予防(予防的治療)の関係を
この図のように表現していました。

上の図では治療の延長上に予防が位置していますが、
今の考えは少々変わってきています。

まさしく、治療と予防は氷山のごとし。
治療がベースに有っての予防です。
歯科医師としては、治療の延長上もしくは
治療とは無関係に予防(予防的治療・予防的予防)
は位置していると思っていました。
しかし、まだまだ一般の人々の意識では治療有っての予防のようです。
上の氷山のイラストに例えるならば、
水面下は治療で、水面上は予防です。
来院者はその水面の上下を行ったり来たりします。
すなわち水面上に有れば予防人
水面下に来れば患者さんです。

イラストを見てお分かりのように、
水面下が大きいのが氷山です。
治療を沢山しなさいと言いたいのではなく、
水面下、言い換えれば分数の分母は「信頼」です。

信頼・信頼感がしっかりしている、大きいほど
予防はうまくいきます。なぜなら
日常生活において困り事のない人が、喜んで、自ら時間とお金を費やすでしょうか?残念ながら、まだまだ費やしてくれる人は少数派です。

予防提案を、仮にサプリメントとしましょう。
「このサプリはムシ歯予防に効きますよ!」と声を大にして言ったとしても、
そのサプリが認知されていなければ、
製造元(言った歯医者)の名がある程度知られていなければ 、
人はそのサプリを喜んで買うでしょうか?
ましては飲み続けるでしょうか。

予防に王道(近道)無しとするならば、
まずはベストな治療を施すことで信頼を得るのが近道です。
まずはトラスト獲得です。

 

 

予防 2.0 防人に変身させる!

予防 2.0-009-0830 防人に変身させる!

昨日のブログで「口腔内が健康ある」を維持するのは無理である、
というようなことを書いてふと思いました。
ということは「口腔内はだらだらと病気なのか?」

歴史的には年齢に「歯」があるように
口腔内のだらだら病気は老化と受け取られていたようで、
その昔、老いていくものとして「歯目〇〇」と聞いたことがあります
やはり、老化とされていたようです。

下着を替えるのは
身体的にも精神的にも健康を保ちたいからでしょう。
多くの人は日々着替えると思います。
もちろん、その後洗濯します。

下着の洗濯同様、毎日歯磨きしますよ!
毎日毎朝磨いても、磨き残しがあります
その磨き残しやバイオフィルムが徐々に軽微な歯周炎を
重度なものへと悪化させます。
毎日歯を磨いているのに、歯周炎になる
健康(日常生活に困らない)なのに噛めなくなる
このことを昔の人は「老化」と解釈したのでしょう。

老化だから致し方ない、避けられない
歯は老化するものである
噛めなくなるの当たり前
というようなことが常識となってしまったのかも知れません。

「老化」これは医者にとって便利な言葉です
症状の原因が分からない時に使える便利な言葉です
バイオフィルムの存在、バイオフィルムを除去するPMTC、
が一般的になった今、「あなた(患者さん)も、もう年だから」
は答えになりません。

だらだら病気=老化ではなく、
口腔内に理由は存在するし、
解決法も手にはいることをしっかりと伝えるべきでしょう。

ピンぼけした内容になりましたが
予防と言う言葉の持つイメージ、
歯は老化すると言う誤った過去の常識、
なども予防の普及・定着の妨げとなっていたのかも知れません。

患者さんを防人(さきもり)に変える!
これも歯科医師の仕事です。
防人=予防人(よぼうびと)、歯を積極的に予防する人

 

 

予防 2.0 予防という言葉の

予防 2.0-008-0829 予防という言葉の持つ誤ったメッセージ

長々と「治療的治療」「予防的治療」「予防的予防」
について書いている目的はただひとつ、次のことです。

「治療は今回で終わりです、次回から予防のメンテナンスを
お勧めします」と言ったとしましょう。
もしくは患者さんから
『今日で治療は終わりですか?』との問いに
「はい、治療は終わりました」と答えたとしましょう。
危惧するのは「治療終了」=「口の中は健康」という
メッセージを相手(患者さん)に与えてしまうのではないかということです。
「口の中は健康」=「歯科医院に通う必要はないですよ」
「治療終了」=「通院の必要性なくなりましたよ」
という誤解を与えているのではないかということです。
保存・補綴などの治療も終わり、クリーニングも受けたとします。
その時点では「ほぼ、口の中は健康です」と言えましょう
しかし、その数秒後にはプラークは形成され始めています。
毎秒、毎分、毎時間、毎日・・プラークは厚みを増し、
その分、局部的に確実に炎症は進行しています。

いつも比較するのは爪と髪の毛です。
爪や髪の毛が伸びたことはすぐに分かります。
理由は簡単「見えるからです」
口の中の軽微な炎症は見えません、
バイオフィルムの熟成も見えません
日常生活に支障がないとしても、
口腔内では確実に炎症が進んでいます。

ゆえに「治療終了」=「口の中は健康」=「通院不必要」
というメッセージを与えてはいけないと思うのです。
歯やハグキは食器同様毎日汚れるものです
皿の上で料理が腐っても、その皿は炎症を起こしません。
しかし、口腔内でプラークがたまると確実に炎症は起こります。
炎症は病気であり治療が必要となります。

「治療終了後」=「願う!口腔内健康維持」=「通院必要」
この式が普及するためにも
「予防」という言葉の使い方を再考すべきではないでしょうか。

「口腔内が日常生活において支障無し」は有り得ますが、
「口腔内が健康である(医学的に全くの健康)」はひょっとすると
有り得ないことなのかも知れません。

 

予防 2.0 ビールテイスト飲料は別物

予防 2.0-007-0829 ビールテイスト飲料は別物

なぜビールテイスト飲料が必要なのか

治療的治療から始まり一段落すると、
予防的治療(泡)に移行していきます。
予防的治療のメンテナンスが続くうちに
泡ばっかりだと人は飽きてきます。
そこでビールテイスト飲料への切り替えが必要となります。

メインテナンスそのもので継続的に来院してもらう
そのために予防的治療はビールのおまけ(治療のおまけ)ではなく
治療と同等(ビールと肩を並べる)のものとして認識してほしいのです

ビールテイスト飲料への変換のためには
予防的治療そのものが魅力的なひとつの完結した
商品でなければなりません。
治療的治療は「痛い」「噛めない」「見た目が悪い」など
その人にとって必要不可欠な理由があります。
残念ながら予防的治療に対して
多くの人々は「必要不可欠」である理由をさほど感じてはいません。
日常生活の中で困ることはないのですから当たり前のことです。

困るということで足を運ぶ「治療的治療」かたや
困ってはいないけど足を運んで頂きたい「予防的治療」
確実に足を運んで頂くために「ビールの泡」ではなく、
ビールに似ているけど別のジャンルの飲み物(独り立ちした)である
ビールテイスト飲料への変換が必要だと思うのです。

極端な言い方をすれば
患者さんの方から自ずと足を向ける治療的治療と
必ずしもそうではない予防的治療
その人にとっての意義、目的、理由、必要性なども
当然違うことになります。
よって、ビールのみならず
ビールテイスト飲料も品揃えすべきだと言う考えになるのですが、
皆様いかがでしょうか。

 

予防 2.0 生ビールとアルコールフリービール

生ビールとアルコールフリービール
予防 2.0-006-0828

ビールテイスト飲料を目にするようになって数年でしょうか。
その昔、飲み会やパーティなどで見かけるのは「ガラナ」でした。
その後ガラナは「ウーロン茶」に

昨夜、初めて飲んでみました
ビールというよりはビールをイメージさせる炭酸飲料でしょうか
ビールの替わりではなく、新ジャンルの飲料と捉えるべきでしょう。

適量の泡がないと「美味しくない」と言い、
泡が多いと「泡ばっかり」と嘆きます。
何事もバランスが肝要であることは容易に理解できます。

しかし今回の話は少々違います
なぜ予防的治療がビールの泡ではいけないのか!
泡は消えるからです(笑)
泡はあくまでのビール液体の脇役であり、
泡そのものは価値がない、もしくは価値は低いと思われています。

決して予防的治療、予防的予防は脇役ではありません。
治療的治療と堂々と並ぶ主役なのです
予防的予防・予防的治療・治療的治療は三人の役者です、登場人物です。

ビールテイスト飲料の登場によって、主演ビールの助演が生まれたのではなく、
新しい飲料が生まれたと考えるべきです。
ゆえに、ビールテイスト飲料はビールに似たものではなく、
ビールテイスト飲料なのです。
乾杯!

 

予防 2.0 生ビール理論

予防 2.0-005-0826 生ビール理論
治療的治療と予防的治療の関係

予防と治療の関係についての考察を続けます
ジョッキやグラスのビールをイメージしてください
グラスの中は、下からビール、そして泡、その上が空気です。
ビールの黄金色の液体が治療的治療
真っ白な泡が予防的治療
その上の空気が予防的予防

飲む人(一般の人、患者さん)にとって
最も価値があると思われているものは
苦味ある黄金色の液体です。
これすなわち治療的治療

その上の泡は予防的治療
泡はビールの液体と空気の混ざったものです。
泡がなければビールの美味しさは半減します
かと言って泡そのものは、さほど美味しいものではありません。
泡のもとはビールそのものですが、
空気がなければ泡にはなりません。

さてその空気とは予防的予防
健康な口腔内を対象とした予防処置です。

ビールは治療的治療(従来の治療)
白い泡は予防的治療(従来の予防)
空気は、予防的予防(従来の予防)

今までは治療と予防が意識の中で分離されていましたが、
実際はこの生ビールのように混ざった部分(予防的治療)が
存在すると考える方がベターでしょう。

予防的治療は生ビールの泡である!
次回は生ビールとアルコールフリー(ゼロ)のビール風飲料について

これはオススメのドイツビールで「マイセルズ」
飲む前の裏技を伝授します
テーブルの上で横にして一分間ほどゴロゴロします。
それからグラスへ・・・美味!

 

予防 2.0 守る治療・予防治療

予防 2.0-004-0823
守る治療・予防治療

「予防」と「治療」の意味を再考しています。
おそらく、従来の治療とは「削る治療」
カリエスで充填(削ります)、歯髄炎で治療(削ります)
一方、従来の予防とは言わば「守る治療」→削りません。

治療=削る処置=痛みを伴うことが多い、不可逆的
予防=守る処置=痛みを伴わないことが多い、可逆的

歯科予防とは「守る治療」であり、治療の一分野なのです。
従来の考え方では、健康保険制度は疾病保険であるので、
歯科予防はカバーできない、と言われて来ましたが、
守る治療は治療ですから、
保険がカバーすべき内容となるのではないでしょうか。

予防処置を保険に導入せよと言っているのではありません。
予防処置は厳密には治療であって、患者さん(一般の人)にとって、
必須のものであるということを言いたいのです。

案としてお読みください。
「予防処置」=人々が家庭や職場で行うセルフケアのこと
「予防治療」=診療所で受ける初期治療・歯を守る治療・プロケア
「歯科治療」=従来言われるところの治療
いかがですか?皆様

予防 2.0 口は消化器、予防は消火器

予防 2.0-003-0823
「口は消化器、予防は消火器」

前回「予防処置は消火器」と書きました。
質問です
「ご自宅で出来る火災予防は?」
・・・・・・
よーく考えてみてください。
実は「火の用心」「火の後始末」しかないのです。
火災報知器も燃えにくいカーテンも消火器も、
火が出てからの話です。
繰り返しますが消火器で火災予防はできません。
と言うことは
今現在一般的に言われる「予防処置」は消火器同様
疾患予防は出来ません。
悪化することを回避することができるのです。

蛇足ですが消火器を広辞苑で引くと
「火災にあたって初期消火に用いる小型可搬式の器具」
とあります。これに習って「予防処置」を表現するならば、
「軽微な炎症にあたって初期治療として行う治療」
とでもなりますかね。
となると、やはり予防処置は治療です。
もう一度「予防」と「治療」の言葉の意味や定義を
考え直す必要が有りそうです。

 

 

予防 2.0 予防処置は消火器である

予防 2.0-002-0823
「予防処置は消火器である」

歯科予防処置の中には、はっきりと「予防」と言えるものもあります。
シーラント、カリエスフリーな方のメンテナンス、などでしょうか。
昨日、書きましたように、予防処置と考えられている多くの内容は、
予防処置ではなく「初期治療」「軽微な疾患に対する治療」です。

まずは「予防処置」と「初期治療」を我々(歯科医療従事者)が区別すべきです。
総健全歯の子どもさんへのフッ素塗布、バージンティースへのシーラント・・
などが「予防処置」と言える処置で、それ以外は「初期治療」でしょう。

こう考えると、現在「歯科予防処置」と言っている処置の多くは
「悪化防止処置」であり「予防処置」ではないと言えます。
「悪化防止処置」「軽微な治療」「初期治療」「メインテナンス」などの言葉の方がベターでは?

いずれにせよ、声を大にして言いたいことは、
多くの日本人、ほとんどの大人の口の中は、健康ではなく、
軽微な疾患(軽微なカリエス・軽度の歯周病)に罹患している。
日常生活で困らない=口が健康 ではなく、
日常生活で困らないを持続するために、軽症が重症にならないために、
メンテナンスを受けてほしいということです。

消火器は火災を予防するものではなく、
大きな火事になることを阻止する道具です。
まったく火が出ていない状態で消火器を持ち出す人はいません、
アンラッキーにも消火器を必要とする時とは、
既に火がついてしまった時です。
定期的に来院される方の多く、もしくはほとんどの口腔内には、
小さな火災(炎症)が発生しています。
今、言われている予防処置は消火器なのです。

 

予防 2.0-0822

予防 2.0-001-0822
予防 2.0=よぼうニーテンゼロと読みます。
2.0を語尾に付けたのは、今までの「予防」とは考え方が異なるためです。
新予防考とでも言いましょうか、従来の予防とは違う考え方を展開していきます。

まず「予防」を広辞苑で引くと
「悪い事態がおこらないように前もってそれをふせぐこと。
「火災予防」」とあります。
新明解で引くと『病気・災害などを前もって防ぐこと。
「予防注射・火災予防」』とこれまた載っています。

「予防注射」の例でお分かりのように、
注射する時点では病気ではありません、健康です。
「火災予防」でも然り、予防の時点では火災は発生していません。
消火器はあくまでも、発生した火災が大きくならないようにするための道具であり、
消火器が手元に有れば、火災が発生しないというものではありません。

「ムシ歯予防」「歯科予防」の「予防」を再考して頂きたいのです。
臨床においては、恐らく多くの場合が「予防」ではなく、悪化防止なのです。
歯科の場合、日常生活に困るか困らないかが来院行動の判断の第一歩です。
「日常生活に困らない=健康」ではありません。
来院時にハグキが少し腫れている、ハグキが赤い、これらはしっかり病気です。
ご本人(患者さん)に自覚症状が無い、日常生活に困らない、でも
ムシ歯やシソーノーロー(歯周病)は発症していることが多く見受けられます。

遠回りしたことを書きましたが、
「ムシ歯予防」「歯周病予防」という言葉は、
あなたは「今、健康だけど予防した方がいいですよ」という
意味合い、メッセージを与えてしまう気がするのです。
すると、言われた方(患者さん、来院者)は、健康だから必要ないわ、
必要性は否定しないけど、今は必要ないわ、時間がある時にでも電話するわ・・。

お分かりでしょう。
歯科予防という言葉自体が歯科予防を阻害するひとつの要因になっているような
気がしてならないのです。