「ムシ歯予防はワインと同じ」ミテン投稿2011/01
「この世でワインほど文明的なものはない」
アーネスト・ヘミングウェイ(アメリカの小説家1899-1961)
この言葉は「午後の死」に出て来るフレーズでこう続きます。
「この世でワインほど文明的なものはないし、
これほどの極致に到達した自然物も少ない。」
これには納得大賛成です。
筆者にとってワインは文化であり、
単なるアルコール飲料ではありません。
さてタイトル。
なぜムシ歯予防がワインと同じかをお話しします。
『歯を磨くことは、大きく言えば「人生をより味わうため」。
人生をより深く味わうために「切磋琢磨ハブラシ」で
自己磨きと同時に、専門家にも磨かせてください』
(ハナ通信No.72)。
『この際、口という器官を「人生を味わうための器官」と
とらえてみてはいかがでしょうか』(No.73)。
『字面を見ても「幸福増大ケア」の方が良さそうでしょ!
悪くなって歯の治療を受けるより(最小不幸治療)も、
白い歯を保つ習慣(幸福増大ケア)へ切り替えてみませんか?』
(No.74)と、
ハナ通信に書きながら、ふと考えました。
食事であれば「単に満腹になればいい」、
お酒なら「酔えればいい」、
服でも「着られればいい」という考え方はありますし、
否定する気もありません。
ワインに関しても同じことが言えます。
となると、その人の人生、人生観も同じく十人十色です。
もうお分かりでしょう。
「悪くなってから治せばいい」という考えも存在します。
「人生を味わうために・・」とは言え、味わい方は人それぞれ。
歯科医から見て、ムシ歯にするのはもったいないと思っても、
それはあくまでも歯科医師の物差し。
食事でもワインでも服でも、何を選ぶかは、その人の物差し。
ムシ歯予防を望むか否かは、その人の価値観、文化!
ご存じ、ワインはヨーロッパを中心とする文化で、
日本においては舶来品。
日本は木造建築、海に面しているなどで、
大陸とは異なり「使い捨て」的な文化・習慣が
つくられたのかもしれません。
北欧では当たり前の「歯科予防」、
例えばPMTC(歯のクリーニング)も、
北欧から日本に導入されてまだ十数年です。
ゆえに歯科予防は焼酎や日本酒ではなくやはりワインなのです。
もうひとつ、ワインの特徴として
「熟成」というある一定の時間を必要とします。
ワインの産地、葡萄の品種、銘柄(作り手)などによって、
その期間はさまざまですが、十年、二十年で
やっと飲み頃になるワインも多くあります。
上の図を見て下さい。
ご本人(子どもさん)が、歯の価値、白い歯の価値、
健康な歯の真価を認識できるのは何歳でしょうか?
永久歯が生え始める六歳で可能でしょうか?
無理だと思います。
勉強を例にイメージしてみて下さい。
親や学校の先生から「勉強しなさい」と言われても、
高校受験を目の当たりに、
また大学受験が迫って来て、
初めて「自ら勉強しなければ」と
実感できるのではないでしょうか。
自覚が遅すぎて不合格となっても浪人という方法はあります。
しかしムシ歯になってしまったら、
終わりです(元に戻すことは不可能です)。
持って生まれた「ダイヤの原石」を磨くことなく
「ただの石」にしてしまうのです。
ここで御理解願いたいのは、子どもさんに自覚しなさい、
と言っているのではないのです。
子どもさん御本人は15歳とか18歳になって
初めてしっかり理解できるのです。
歯が熟成(本人が白い歯の価値を認識できるまで)するまで
15年、20年かかるのです。
この熟成を必要とする点においても、
まさしくワインです。
ちなみに、熟成をお手伝いをすることも歯科医師の仕事なのです。
歯はまさしく「極致に到達した自然物」です。
生えて来た時は「白い歯」。
気がつけば、その白い歯が
「黒い歯:ムシ歯」になってしまうのは、
ひょっとするとあなたの文化が関与しているのかも。
「ずっと白い歯」という文化・習慣を手にしてみませんか、
喜んでお手伝いします!