BBTime 120 「ユマニチュードとは何か」認知症ケア革命的技法その1

BBTime 120 「ユマニチュードとは何か」認知症ケア革命的技法その1
「行く春やみんな知らない人ばかり」辻貨物船

画像は松尾芭蕉の「奥の細道」出発で「行春や鳥啼魚の目は泪」で有名なシーンです。今回から五回に分けて「ユマニチュード」について聴き取りします。認知症の方への対応のみならず、日常診療においても十分に意味あるスキルです。是非オリジナル音声をお聴きください、絶対ためになります!今(04/17)ならこちらで聴けます。「humanitude:ユマニチュード」とはフランス語で「人間らしさを取り戻す」の意味です。では早速、第一話聴き取ります。少々長くなりますが・・・是非!
*認知症の方の介護でどうしたら良いのか?分からなくなることが少なくないのですが・・
『ご家族だからこそ優しくしたいと思う気持ちを強く持っていらっしゃるのに、それがうまくいかなくてとても辛い思いをしたり、疲れてしまったりと言うことが少なくないように思います。もしかすると介護する方は相手(介護を受ける方)に良かれと思ってやっているにもかかわらず、認知の機能が落ちている場合、それがうまく伝わっていない場合もあります。そんなすれ違いの現状をどうすれば解決できるか今回ご紹介するユマニチュードという技法です』

*そもそもユマニチュードとはどのような意味ですか?
『これは「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語です。認知症になった方は認知の機能や判断の能力が徐々に減ってきたり失われたりしています。その結果強い不安や孤独な気持ちを引き起こしてしまいます。そのような人に対して「私はあなたのことを大切に思っていますよ」と言う気持ちを相手の方に伝わる言葉や表情を使って伝える必要があります。
ケアをする時に最も重要な事は、ケアを受ける人とケアをする人の関係性です。例えば皆さんがものすごく怒っているお医者さんに診てもらうとなった場合、あまりにも相手(医者)が怒っていると心配になりますよね。自分のことを相手に任せて大丈夫なのかと思ってしまうわけです。ですから、この人だったら自分のことを任せても大丈夫だなと思える関係性を構築することが大切で、構築するための技術がユマニチュードであると言えます』

『ユマニチュードの技法を実際に使った実例を紹介します。この方は80代後半の女性で十二指腸潰瘍で入院されていました。治療の結果、十二指腸潰瘍は治り退院を待っている状態ですが、認知の機能がかなり低下していらっしゃって周りの看護師さんがいろいろなケアを提供しようとしても拒絶されていました。例えば口の中にいろいろな薬を塗ろうとしていても次のような状態でした。
患者さん「あーあー」(大きな声で)「いーあーあー」「いーやー」
今お聞き頂いたように看護師さんはケアをしようと一生懸命なんですが、ご本人が拒絶されていらっしゃいます。時には看護師さんに噛み付いたり蹴ったりされていたそうです。この方にユマニチュードのケアを是非やってみたいと言うことで今回やってみました。すると実際やってみた時に起きた変化が次のような驚くべき変化でした。
看護師「良くなった!薬がちゃんと塗れましたよ」「お口が大変きれいになりましたね」「私(看護師)うれしいわ」「私を見てくれる」
患者「口なら見るわよ」
看護師「私の口見てくれる」「どう素敵?」
患者「素敵(笑)」

*今まで周囲の方との会話が全くできなかった状態なのに驚くべき変化ですね、これにはどのくらいの時間がかかっているんでしょうか?
『この方の場合は1分もかかっていないんです。大事な事はこの人に私のことを任せても大丈夫だと思わせる最初が肝心です、最初の30秒が肝心です。最初の30秒をうまくやることでこちら側を受け入れていただければ、ケアを十分に行うことができるようになります。もちろん継続も重要です。この方の場合ユマニチュードのケアを毎日継続しました。そうするとご家族の方が驚くような変化が生まれてきました。
看護師「テルさん、お化粧してる!」
患者テルさん「さっきの男の人(研修医)が私を見て行ったわよ」
看護師「それはテルさんが綺麗だからよ」
看護師さんのケアを全て拒絶していたような方が、退院される最後の日にはベッドに起き上がってご自分で化粧をして髪をとかしていらっしゃいました。この方の人間らしさが取り戻すされた瞬間であっただろうなと思いました』

*一見、会話が成立しないような認知症の方でも、失っていない残っている機能がまだたくさんあると言うことなんでしょうか?
『そうなんです、残っている機能の傾向をこちら(介護側)がはっきりとつかむことが重要となります。人の名前を覚えたりする機能は低下していても、楽しかったり悲しかったりなど感情に基づいた記憶は長く残ります。ですから日ごろから良い感情の記憶をたくさん積み重ねることが重要となります、逆に言いますと嫌な感情が残るような事は避けた方が良いです。例えば入浴が辛かった、口の中をきれいにすることが辛かったなどの嫌な感情の積み重ねが多いと次からのケアにも影響します、より難しくなります。そのために良い感情を積み重ねる工夫が必要となります。ユマニチュードとはこのように残された記憶、機能に働きかける技法であり、その技法は極めてシンプルです。「見る」「話す」「触れる」で、どなたでも実践できます。認知機能の低下している方を介護する上で困っている方は是非このユマニチュードを知っていただきたいと思います』

なかなか文章だけでは伝えにくい内容です、動画もたくさんアップされています。「ユマニチュード」で検索して見てください。二つほどご紹介します。6140


今回のBeat は花見に合うような洋楽をご紹介。Pat Boone の四月の恋です。

 

BBTime 120 「ユマニチュードとは何か」認知症ケア革命的技法その1” への1件のコメント

  1. 河野先生

    ユマニチュードケアは今後どんどん注目される分野ではないかと感じております。
    色々教えてください。

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