BBTime 316 究極の治療

BBTime 316 究極の治療
「春のかぜこんぺいとうが効きました」田辺香代子

この方には金平糖が薬となったようです。プラセボ(偽薬:ぎやく、プラシーボ)効果という言葉があります。「プラセボ効果とは、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられることを言う」ウイキペディアより。今回は気になる記事について。先日「歯の神経抜く治療は半数が再発!?…感染防御が不十分のケース多く」の見出し。「歯の痛み金平糖で消えました」とはならないので・・記事を読んでいきましょう。

イラストのように歯の中には、根っこの先の小さな穴から血管と神経がきています(図では下の方から)。ムシ歯は図の上の方(歯冠部:しかんぶ)から進行します。歯髄(しずい:血管と神経)が感染すると歯髄炎となり痛みを感じるようになり、「ムシ歯が深いので神経を取りますね」となります(抜髄:ばつずい)。多くは物理的に歯髄を除去(抜髄)します。引き千切って掻き出します。その後空っぽになった歯髄腔(しずいくう)に薬剤(多くはガッタパーチャ)を詰めて一区切りとなります。

記者の方が指摘する問題(再発)はここから始まります。「この治療、痛みが取れれば、とりあえずはOKと思ってしまいますが、その後に問題を抱えてしまうことが少なくありません。細菌を含んだ組織の取り残しなどで、治療後に根の先端から歯茎の周囲に感染が広がってしまうのです。根の治療後をエックス線写真で調べると、なんと4~6割に陰影が見えるという大学病院の報告もあります」記事より。

記事ではラバーダムやマイクロスコープ(顕微鏡、メガネタイプ拡大鏡にあらず)にも触れていますが、結論から言うと記事の最後に「神経を抜く歯内療法はうまくいかないから『しない』方がいいでしょ。だから『しない療法』って言うんですよ」と、虫歯外来を担当する親しい歯科大学教授が「なんちゃって歯内療法」をシャレにしていました。しないですめば苦労はしませんよ。筆者もすでに根にトラブルを抱える身、どうするか現在進行形で悩んでいます。そこで、せめて新たに歯を傷めないために、定期的に歯科に通って、虫歯が進む前に対処するべく努めてはいます。それが歯にとってベスト、長い目で見てきっと安上がりですね。」とあるように「しない療法・治療しない」が最高の治療なんです。

話飛びますが、昔スキューバダイビングをしていました。よく行ったスポットは007のロケ地にもなった丸木浜(鹿児島坊津)です。潜っていると画像のような海の生物が目の前に!貝類、サザエなども目の前に!潜りながら思いました。「なぜ、逃げないんだろう?」当たり前です。彼らの棲家がそこであり小生が侵入者です。極論を言えば「人はここに来てはいけない」のです。そう思った時から捕るのをやめました。

これはご覧になった方も多いでしょう、歯科用パントモと呼ばれるレントゲン像です。学生時代に歯科エックス線の授業で海外のパントモ(特にアメリカ)がよく出て来ました。それらを見ていてふと「根充(根の治療)してない」「アメリカは抜髄・根充はせずに抜歯なのかな」と思いました。理由がありました、米国ではすぐ訴訟(歯科医が訴えられる)になるので再発の可能性のある治療は避けるとのこと。

自己弁護・言い訳です「歯科医も人」神様じゃありません。歯医者目線では治療した全ての歯において「神経抜いたあとピタッと根充して再発しない」なんて「無理でしょ」と大きな声では言いませんが、小さな声できっぱりと言いたくなります。ラバーダムやマイクロスコープ使用は今の保険点数(保険の料金)、診療形態、患者さんの経済的希望を考慮すると厳しいです。一本の歯の根の治療に十万円も払いますか?被せ物まで含めると一本あたり軽く二十万円超えます。「それを言っちゃおしめえよ」と言われますが「人が人の歯を削ってはいけない」し「人が人の歯の神経を抜いてはいけない」のです。

歯ブラシ一本の値段、様々です。しかしこの一本の歯ブラシで数十万の治療費を回避できるのも事実です。究極の治療とは予防です。後手後手治療ではなく先手先手予防へ頭を切り替えるだけで可能なのですが・・ね。これまた難しいのも事実です。最後に記者の方も「しないですめば苦労はしませんよ。筆者もすでに根にトラブルを抱える身、どうするか現在進行形で悩んでいます」と書いてますように、すでに抜髄処置を受けた方で再発した時は、再度根管治療(根の治療)を受けるか抜歯の二択です。はっきり言って現在「根尖病巣」を持つ方はその事実を受け止めて、他の歯が轍を踏まないようにされるのがベターだと思います。究極の治療とは「予防」です。治癒率50%の治療を「しない」為にも先手先手予防へ。9670

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