BBTime 457 地道に自道

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「浦島太郎目覚めの床にあまがえる」夏石番矢

解説は『季語は「あまがえる(雨蛙)」で夏。玉手箱を開けてしまった後の「浦島太郎」落魄の景と読んだ。竜宮城での遊びに飽きて、故郷に戻ってみれば我が家もなければ知る人もいない。三年ほどの滞在のつもりが、実は三百年も(七百年説も)経っていたというお話。やっとの思いで一夜の宿を得て、目覚めると同じ「床」に「あまがえる」がきょとんとした顔で坐っていた。人も風景もみんな変わってしまったなかで、この雨蛙だけは昔と同じ姿かたちをしている。迎えてくれたのは、お前だけか。何故こんなところに雨蛙がいるのかなどの疑問よりも先に、太郎の心は懐かしさでいっぱいになっている。いるはずもない床に雨蛙を配したことで、太郎の孤独がいっそう深まっている。浦島伝説の解釈には諸説あるが、私は地域共同体を外れた者に対するいましめのための話だと思う。伝説の原型は古く『日本書紀』にあって、ある男が海上で出会った絶世の美女とどこか遠い国に行ってしまい、ついに戻ってこなかったという。どうやら、異民族との結婚話らしい。当時の人々には、おそらくまだ共同体防衛の意識などなかったろうから、憧憬譚めいたニュアンスがある。ところが今に伝わる話は、武家が天下を取った鎌倉室町期の脚色らしく、異民族や他所者との結婚や交流は共同体破壊につながるから、これを暗示的にいましめているというわけだ。すなわち、浦島太郎は共同体破壊者であり、そんなけしからん男が最後にはどんな目にあうかという「みせしめ」なのであった。『巨石巨木学』(1995)所収。(清水哲男』(解説より)。解説文に「地域共同体」「共同体破壊者」の言葉があります。今回は地道に自道を!について。

ご存じカーナビです、車に装着してある方も多いでしょう。また手元のスマホにもナビが入っています。先日ナビ使用した時のこと。ふとスマホばかり見ていて、全く周りの景色を見ていないことに気付き、すぐに大方の見当をつけてスマホをしまいました。近頃、新型コロナウイルスによる行動の変化について思うことがあります。多くの人々があまりにも「ナビ依存症」になってしまっているのではないでしょうか。ナビ依存症=言い換えれば「指示待ち」「ナビ通り」の人。さらに言うなら、ナビ(マニュアル)通りにいかないと「このカードは使えません」とか「(あなたの)ペイペイは使えません」などと言って、ちょっとしたトラブル(すんなり行かないこと)を、あれやこれやとトライして解決しようとしません。また、自粛警察の言葉に代表されるように、他人が指示通りナビに沿っていないと、「あなたは悪い」と決めつけて、時に誤った正義感で妙な行動をとる人も。

次第に気温が上がり熱中症のリスクが高まってきても「マスク着用厳守」が正しいのだ!・・これ本当? ウイルスに対して効果の薄いマスク着用よりも・・その時の気温、その場の人数、あなたの素直な判断の方がよほど意味あることだと思います。(ナビ依存症の人々に目安として言っておきながら「国民の誤解だ」と言い放つ大臣は別の意味で、全く話にならん!バカにするな!です)。

今年も「歯と口の衛生週間」・・ナビとは言いませんが、昔からの習慣を信じて疑わない行動も如何なものかと思います。歯磨きの時には歯磨き粉を使うものだ・・あえて使う必要はありませんと断言します。また、小学校で以前よく目にした光景です・・牛乳を飲めない子に「鼻をつまんででも飲みなさい」「頑張って飲めば飲めるようになるから」・・純粋に第三者の目で見ると、これは虐待では?本人の体が拒否しているのに「牛乳を飲め」と強いるのは明らかに虐待です。飲んだ途端に吐き出すのは「急性中毒」のひとつの正しい体の反応です。じきに飲めるようになったとしても、これは急性中毒が「慢性中毒」に移行しただけのものです。

人は「十人十色」。逆の見方をすると物差し(基準)もそれぞれ。あえて万人共通のものは「数字」でしょう。百円は100円だし、朝の八時は8時です。ニューノーマル・新しい日常を鵜呑みにすることなく、羹に懲りて膾を吹くことなく、常に自分の五感をしっかり使って「地道に自道(我が道)」がよろしいのでは?

先日、久しぶりに画像の歯磨き粉を使ってみました。ところが・・使用後に味覚異常発生。美味しいはずのフルーツの味が・・苦いような渋いような。味覚異常の原因はこの歯磨き粉・・そうであれば、この歯磨き粉は味覚に(舌や粘膜には)良くないと言えます。ネット情報、SNS、知り合いからのネタを頭から信じるよりも、もっともっと自分の五感を信じませんか。歯科医療についても同じことが言えます。歯科医師が「ここの治療はこうなります」と言っても、あなたの希望とギャップがあれば、納得し難いのであれば、迷わず「他にどのような選択肢がありますか?」と尋ねましょう。どうしても希望通りの治療計画でなければ、これまた迷わず他の歯科診療所へ行くのも一法。

「明日は又明日の日程夕蛙」高野素十
好きな句です。今日は今日、明日は明日。あなたはアナタ、私はワタシ。右か左か、選ぶのはご自身で。地道に自道を歩むのがよろしいかと。ご自愛の程ご歯愛の程。9270
追加:過去の朝日新聞「折々のことば」に見つけました。


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