「万緑の中や吾子の歯生えそむる」中村草田男
2022/4/19投稿 4/22当ブログ誕生日(1999/4/22開始)本日アースデイ
4/18の朝、ラジオから流れてきた歌に愕然としました。まずは句の解説『どんな歳時記にも載っている句だ。それもそのはずで、「万緑」という季語の創始者は他ならぬ草田男その人だからである。「万緑」の項目を立てる以上、この句を逸するわけにはいかないのだ。草田男自身は、ヒントを王安石の詩「万緑叢中紅一点」から得たのだという。見渡すかぎりの緑のなかで、赤ん坊に生えてきたちっちゃな白い歯がまぶしいという構図。人生の希望に満ちた親心。この親心のほうが、読者には微笑ましくもまぶしく感じられるところだ。私は読んでいないが、この句のモデルになったお嬢さんが、最近、家庭人としての草田男像を書いた本を上梓され評判になっている』(解説より抜粋)。我が子(吾子:あこ)の成長を礼賛し喜ぶ掲句に対して、今回はあまりにも「らんぼう」な歌について。
数字の語呂合わせで、4/18を「良い歯の日」として日本歯科医師会が1993年(平成5年)に制定したとのこと。その朝に聞こえてきた歌は・・「虫歯のこどもの誕生日」。作詞作曲みなみらんぼう、2010/5/12発売。歌詞を聞いて驚き悲しくなりました。その歌詞は・・
2023/06/05 JASRAC指摘により削除・・歌詞はこちら
揚げ足取りです・・まず「虫歯」この表記は誤りです。ムシ歯:う蝕歯とは蝕まれた(むしばまれた)歯の意味です。虫の歯ではありません。「甘いお茶」ケーキに合わないし、わざわざ「甘い」をつける必要もないでしょ。「あしたになったら」治りません!治療受けないと治りません。「虫歯の虫」細菌は居ますが見えません。あまりにも子供騙し!らんぼうです。
歌詞削除・・JASRAC指摘により
「悪いことなどしていない」これは正しい。悪いのは周りの大人です。歌詞の内容から就学前児童と思われます。周りの大人に責任有りです。「前歯がないよ」これまたひどい!おそらく上の前歯(BAAB)のことでしょう。昔は「みそっぱ」(カリエスでおそらく味噌のような色の歯)とか「哺乳瓶カリエス」などの言葉も聞きましたが、上顎前歯(じょうがくぜんし)がなくなる状態は、かなりひどいです。もちろん奥歯もカリエスでしょう。「残りの虫歯」案の定、前歯のみならず奥歯もムシ歯、ひどい状態です。
歌詞削除・・2023/06/05
まず理解して欲しい(気付いて欲しい)のは、我が子の病気を歌にして歌うのか?しかもNHK「みんなのうた」で流れていたようです。「こどものムシ歯ごときで・・」との考えは間違っています。ムシ歯は病気で、しかも不治の病です。歯は使い捨てではありません。乳歯であってもかけがえのない歯です。この歌を幼稚園や小学校でみんなそろって聞いたり歌ったりしていたなら、ゾッとします。まさに掲句とは対照的です。
句の解説にも出てきますが「万緑:ばんりょく」は万緑叢中(そうちゅう)紅一点から生み出された季語です。この紅一点の「紅」とは柘榴の花とのこと(上の画像)。中村草田男の描く親心、かたやみなみらんぼうの歌の親子像、あなたならどちらを選びますか?皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。