予防は何処で?
二つの文章(ひとつは本)を読みました。
ひとつはこちら、岡山大学名誉教授の文章。
http://www.scj.go.jp/ja/event/houkoku/pdf/101217-houkoku6.pdf
もうひとつはホリエモンの新刊本、
「金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?」
です。
教授の文章の中にあります。
「ここで、国民健康保険法というのをちょっと考えてみますと、大正11年に制定されまし た。これは医療保険制度でして、病人さんが困っているときに何とか助けてやろうという ので生まれた保険制度でございます。それが昭和36年国民皆保険になりますと、歯科医師 の生活を左右する法律になってしまいました。したがいまして、歯科医師はこの保険制度 に縛られて生きていく、それに縛られて国民の健康な生活を考えるようになってきたわけ です。
この保険制度のところで一番のポイントは、病気を対象にしているのが健康保険です。 したがいまして、病気でないものは対象にならない。確かに大正11年のころは、病気とい うものはそういうふうな考え方でよかったと思いますけれども、最近は健康の連続相とい う発想が生まれてきています。・・・続く」
端的に解釈すると、病人(患者さん)は病院・医院にて病気を治す。
では病人でない人が予防のために行くところは?
現実的には、健康な人を、(初期の)病気と診断して
治療というよりは、極めて予防に近いケアを提供しているわけです。
まあ、これもひとつの方法でしょうけど、なんかしっくり来ないのが本音です。
健康保険制度を否定する気はさらさらありませんが、
歯科医師として、世の中の流れとして「治療より予防」だと思います。
歯を削ることには、医療費の公的負担は可能だが、
歯を守ることには、保険はカバーしない
となると、予防は何処で可能なのか?
予防に特化した施設をつくっても、支払いは完全自費となるわけです。
理想は「治療は保険」「予防も保険」でしょうけど、
制度の変更を当てにしていても、いつのことやら。
(あくまでも噂ですが、予防が保険に導入される時に、一部の治療が保険から外される、という話もあります。「治療の一部だけ保険」「予防は保険」となるかも)
さて、ホリエモンの本の139頁に
「あとやってほしいのは、自宅への出張歯磨き&ホワイトニングサービス」
とあります。同感です。
結局、利用者(健康な人)にとってきちんとした受け皿(施設・システム)がないということが問題のようです。