BBTime 115 疲れない脳の作り方その1:脳の集中力の限界

BBTime 115 疲れない脳の作り方その1:脳の集中力の限界
「花疲泣く子の電車また動く」中村汀女

花見に限らず、遊園地でも運動会でも帰りの電車で疲れて憤る(むずかる)光景を昔はよく目にしました。今は自家用車利用のためぐっすり寝ているのでしょうか、「花疲れ」が季語。カルノはラジオ党です(テレビ不所持)。以前ご紹介した「加温の不思議」も朝のNHKラジオ「健康ライフ」で聞きました。今また再放送で聴くことができます(4/5現在)。タイトルの脳の話もここで聴きました。

疲れない脳の作り方 科学から見る瞑想」(再)予防医学研究者 石川善樹
第一話「脳の集中力の限界」を聞き取ってみます。一字一句同じではないのですがご容赦のほど。
*人間の集中力には限度があるそうですね・・・
『20世紀の心理学者の大発見なんですが「私たち人間が一日に使える意思決定の総量は限られている」という研究があります。具体的には、朝にどんな服を着ようか?お昼に何を食べようか?メールにどう返事しようか?など、意思決定をするたびに私たちの心がすり減っているという事なのです。一日に許された使える意思決定を使い果たしてしまうと、後は理性よりも欲望によって行動してしまうようになるのでついつい食べ過ぎたり、我慢がきかずにひとに対して声を荒げたりしてしまうのです。』

*ならば一日の後半になったらイライラするのは仕方がないということでしょうか?
『脳を疲れさせないということが非常に大事となります。そのためには二つの方法があります。ひとつ目は意思決定をあまりしないことで、朝にどういう服を着ようかと考えるのではなくて前の夜に準備しておく。要は直前になって慌てて考えることをしないということです。二つ目はそもそも一日に使える意思決定の総量を増やすという方法です。その方法とは「瞑想する」ことなんです。最新の脳科学の研究では一日五分程度の瞑想を続けることで心が穏やかになる、免疫力が高まる、意思決定の総量が上がる、集中力、想像力の向上などが報告されています。』

*正直言って「瞑想」と聞くと宗教のようなイメージですが・・・
『20世紀後半になるまでは「瞑想」は宗教の対象でしたが、1990年代に入りファンクショナルMRI という脳の中を見ることができるテクノロジーが一般に普及しました。その結果、瞑想は宗教から科学の対象となりました。特にそのきっかけを作ったのがダライ・ラマというお坊さんです。彼は非常に科学に興味を持っていまして、チベットのお坊さんたちを次々にファンクショナルMRI に送り込んだんです。その結果、瞑想が明らかになってきました。科学的にも瞑想とはただ単に悟りを開くためのメソッド(手法)ではなくて脳の機能全般を鍛える基礎的な方法であるということが明らかになってきました。最近ではスポーツ選手や企業でも積極的に瞑想を取り入れるようになってきています。』

*訓練をすることで脳そのものを変化させることができるのですか?
『そうなんです、筋肉を鍛えることができるように脳も鍛えることができるというのが大発見だったんです。これまで私たち研究者は脳は変化しないだろう、脳は若い頃に完成してしまって後は衰える一方だろう、と考えていました。ところが脳は訓練すればするほど機能のみならず構造そのものも変わってくるということがわかってきました。ロンドンタクシーの運転手の研究があります。ロンドンタクシーの運転手になるには数年間にわたる激しい勉強が必要です。ロンドンのありとあらゆる小さい通りの名前や道を覚えないといけないからです。ある研究者が勉強したての運転手の卵と数年間の勉強を終えた人の脳を比べて見ると、記憶力を司る脳の中の海馬(かいば)と呼ばれるエリアが大きくなっていることがわかりました。この研究結果で訓練によって脳の構造そのものが筋肉のように変化するんだということが証明されました。』

*瞑想も脳に影響を与えると考えてよいのでしょうか?
『はい、瞑想は脳を鍛える基礎的な方法ですので、海馬だけではなく脳の様々な部位にも影響を与えます。例えば感情を司る扁桃体(へんとうたい)という場所があります。扁桃体はネガティブな感情を司っていて、私たちが怒ったりイライラしたりする時に扁桃体が活発になっています。通称、扁桃体ハイジャックと呼ばれる現象があります、怒りやイライラが脳全体をハイジャックしてしまうのです。通常は理性を司る前頭前皮質が扁桃体の暴走を抑えているのですが、怒りが大きいと逆に扁桃体が前頭前皮質を押さえ込んでしまいます。ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが脳の中に充満し理性が効かなくなってしまうのです。ただし瞑想によって扁桃体を小さくできることがわかっています。一日五分程度の瞑想を続けることによって、いちいち小さなストレスに反応しなくなることが報告されてます。』

*どのくらいの期間瞑想を続ければよいのでしょうか?
『お坊さんは何十年も瞑想をされてますが、そこまでしなくても効果があるということも大発見だったんです。ジョン・カバット・ジン先生によって8週間程度の瞑想プログラムで扁桃体が縮小する方法を考案しました。具体的な瞑想の方法は次回解説いたします。』画像はジョン・カバット・ジン先生
今回のBeat はロンドンタクシーに敬意を表して冒頭にタクシーが登場する動画「Birdy の People Help The People」です。9990


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