BBTime128 「心をつかむ五つのステップ」ユマニチュード

BBTime128 「心をつかむ五つのステップ」ユマニチュード
「母の日のてのひらの味塩むすび」鷹羽狩行

お結びはシンプルが好みです。句を音読すると俳句は五七五のリズムのみならず「音」もポイントですね。「の」が効果的だと思います。このような句が暗唱されやすい句なんでしょうね。
さて、やっとユマニチュード完結です。このスキル・考え方は本当に日常の多くの場面で活かすべきだと思います。フランス生まれのユマニチュード、やはりベースにあるのは「母の愛」「親の愛」「神の愛」なのでしょうか。
第一話第二話第三話第四話もどうぞ。
「心をつかむ五つのステップ」
*個別のケア(着替え・食事の介助など)をする前や後にもどんな関わり方をするかというのが大事だそうですね。
『はい、よく頂く質問は「相手を見るのが大事だと言われたので、相手の顔の前に近づいたらパチンと叩かれた」というのがあります。その時には今日お話しする一連の手順を踏んでいないことが多いのです。その手順についてお話しいたします。私たちが、知り合いの方の家に食事に招かれた場合、チャイムも鳴らさずにいきなりドアを開けて「今日の食事は何ですか?」とは聞きませんよね。ケアの場合も全く同じで、いきなりケアにいかないということが重要です。5つのステップを踏むことを私たちはお勧めしています。この5つの手順と言うのはまず「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」と名前をつけました。メインとなるのが知覚の連結、いわゆるケアのことで、その前に2つその後に2つのステップを踏むことが必要です。

*ひとつひとつ伺っていきます、まずは出会いの準備ですね。
『出会いの準備と言うのは「私があなたに会いに来ましたよ」と言うことを伝えることです。具体的にはノックします、ちょっとやってみますね。「(ノック)トントントン」3回ノックをします、それから3秒待ちます。もう一度ノックします「トントントン」。それでも返事がなければもう一回ノック「トン」をしてから入ります。もしベッドに寝てらっしゃる場合はヘッドボードなどをノックします。私たちであっても寝ている時に誰かが来ていきなり大きな声を掛けられたらびっくりしますよね。ノックを重ねることによってその方の覚醒のレベルを徐々に上げることが目的です。「ノックの代わりに声をかけてもいいですか」と質問を受けますが、ノックの方がいいです、ノックの方が人の声よりも周波数の幅が広くて聴力の落ちている方にでも伝わりやすいのです。また和室(襖や障子)の場合で、ノックできない時に紙コップの底をポンポンと弾くのでもいいです』

*次にケアの準備ですね。
『はい、ケアの準備とはこれから行うケアの内容を相手にしっかり伝え、同意を得るというステップです。相手に「これから体を拭きますよ」「食事の介助をしますよ」「着替えをしますね」と伝えます。けれどまずその前に、「今日はお天気が良かったから汗をかきましたね」とか「さっぱりしましょうか」などと言いながらお風呂にお誘いするのが良いでしょう。ここで重要なのは相手の方が「嫌だなぁ」という逡巡したそぶりを見せた場合に、どうしても私たちは今やるべき事は今やらないといけないと思いがちです。相手の納得が得られない時には、まず3分間は頑張るん(今すべきことを伝える)ですが、3分間伝えても相手が同意しない場合には無理強いしないほうがいいと思います。どうしてもこれこれをしないといけないと無理強いすると、相手の方に辛い感情が残ってしまいます。そのことで次回からより難しくなってしまいます。その記憶(辛い感情)は30分位でなくなってしまうことがよくあるので、一旦諦めて30分ぐらい待ってみるのも1つの方法です』

*どうしても必要なケア「薬を飲ませる・食事を取らせる」の場合はどうしたらよいでしょうか?
『このような場合に諦めても良いのかとジレンマに陥ってしまうと思いますが、本当にそのケアを今やらないといけないのか、この後ケアを継続できないことを考えるとあきらめると言うのも選択肢の1つです。無理矢理ケアをしてしまって相手との関係が悪化してしまうと、今後私たちのお願いがすべて聞いてもらえなくなってしまいます。ですから薬を飲まないことも一回位しょうがないと言う気持ちでやってみられるといいと思います。』

*次は知覚の連結ですね。
『知覚の連結、すなわちケアを行うことです。これは目から入る情報と耳から入る情報と触れられている事から入る情報が、みんな一致する必要があります。「気持ちいいですね」と言いながら腕を掴んでしまっては、伝えようとしているメッセージとこちら側の行為が一致しません。場合によっては腕をつかまれるということが攻撃を受けていると解釈されることもあります。相手の方に全ての面において心地よさを与えるっているかどうかを考慮する必要があります』

*感情の固定、これはどういうことなんでしょうか?
『例えばデートをしてその日別れる時に、相手の方から「お疲れ様でした」と言われたらどういう気持ちになりますか?今日のデートは一体何だったんだろうと思いますよね。「お疲れ様」ではなく「今日はとっても一緒に過ごして楽しかったわ」ということを相手に伝えるとことが、また次に相手に会うときに重要なポイントです。ケアも全く同じです。今日行ったケアが良いものだったと言う感情残して次回のケアをしやすくする、シャワーであれば「気持ちよかったですね」「さっぱりとしましたね」「とてもきれいになりましたね」と相手の状況を前向きに評価してください。その時はできるだけ「見る・話す・触れる」を同時に組み合わせたほうがよろしいでしょう』

*そして最後が再会の約束ですね。
『再会の約束をします。お部屋を出る時に「じゃあまた来ますね」と言うことを伝えると、次来た時に「待ってたよ」と良い反応を得ることが多いのです。誰かが私のために約束をしてくれたと言うことが「あなたは大切な人間である」ということを相手に分かって頂くことになり、良い反応を得ることが多いです。誰かが私のために約束してくれたと言う記憶が社会とのつながりを取り戻したと言うことにもなります』
*5回に分けてのお話し、有り難うございました。
本田先生の今回のお話、内容は理解できるのですが、実践するとなるとかなりこちら側(ケアする側)に心の余裕が必要な気がします。これも必要なスキル・考え方として日々の臨床に取り入れていこうと思います。合わせてぜひご覧ください

今回のBeat はボブ・マーリーの「One Love」です。9500

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