BBTime 481 咖哩

BBTime 481 咖哩:カレー
「秋風やカレー一鍋すぐに空」辻桃子

「カレェェ鍋 すぐにそら」ではなく「カレーひと鍋 すぐにから」です(笑)。解説は『ややこしい句がつづいたので、スカッとサワヤカに。「空」には「から」の振り仮名。カレーライスは、こうでなくてはいけない。いつまでも、ぐちゃぐちゃと食べるものではない。福神漬かラッキョウを添えて(ベニショウガもいいな)、一気呵成に口に放り込む。食べた後の一杯の水の、これまた美味いこと。健啖の楽しさに充ちた爽やかな句だ。この句を思い出すと、つられてカレーが食べたくなってしまう。カレーは、子供が辛いものにも美味いものがあることを知る最初の食べ物だろう。なかには父親の晩酌相手の塩辛だったという剛の者もいるけれど、たいていはカレーだ。私も、そうだった。塩辛とは辛さが違い、唐辛子のそれとも違い、なんだか不思議な辛さだなと、子供心に思ったことである。ハウス・バーモントカレーもいいけれど、専門店のカレーはやはり唸らせる。ただし、私には激辛は駄目。いつだったか、タイに住んでいたことのある人と一緒に食べたことがあるが、一口でダウンした。その人は、この程度じゃ利かないねと澄ましていた。専門店もいいが、蕎麦屋系の店が出すとろみのある和風味のカレーも好きだ。ただ、そういう店ではよく、水の入ったコップに匙を漬けて出してくる。あれは、いったい何のマジナイなのだろう。あれだけは、ご免こうむりたい。『ひるがほ』(1986)所収。(清水哲男)』(解説より)。今回はカレーについて、ひと言。

実は昨年より月に数回、厨房に立つようになりました。先々を考え「まったく料理できません」では話になりませんので。・・料理に関しては苦い思い出が・・今から四十年近く前、大学三年か四年のゴールデンウイーク。ラグビーの春のリーグ戦が始まったばかりで、連休中ももちろん練習、日によっては午前午後の二回。この時、何を思ったのかチャーハンを自炊。当時たまに作っていましたが、小生にとっては「自炊=苦行」でした。理由は明白。空腹ゆえ料理を作るのに、完成まで食べられない!まさに苦行。料理途中つまみ食いするので、完成時には半分程の量しか残っていませんし、途中つまみ食いするものは、半焼けや半煮え。その自炊チャーハンに当たってしまったのです。使った卵が古かったのか?おかげで連休中、果物しか喉を通らず苦しい連休となりました。それ以来、自炊をやめました。

閑話休題。思い描く味のゴールは熊本市の「洋食屋橋本」の土鍋で供されるカレー。
家人に必要な材料を聞き、リストを作りスーパーに買い出し。数回目からは「牛すじ」に凝り下処理もじっくり。「豚軟骨」に至っては四時間以上かけて。カレールゥもその都度変えて味比べ。食事後の皿洗い・鍋洗いで、スポンジが油でべたべたになるのに驚きながら・・。

近頃では、理想の味に程遠いものの「我ながらまずまずのカレーができた」とひとりほくそ笑んでおりました。カレールゥ以外にカレーフレークの存在も知り使うように。巷のカレー屋は「スパイスカレー」がちょっとしたブーム。足を運びつつ、スパイスカレー(この表現も考えてみれば奇妙)には舌を出しても手は出さないと思っておりました。ところが、小生に刺激を受けた?家人が作ったスパイスカレーが美味!それ以来、ルゥやフレークで作るカレーには戻れなくなりました。

ネットで「印度カリー子」氏の記事で「日本のカレーはイギリス由来の煮込みカレーで、インドのカレーは炒め物」などを読むと妙に感心したり。必須のスパイスも普段に入手可能な「クミンパウダ・コリアンダ・シナモンパウダ」の三種のみ。このレシピで作ってみると、最後に味の調整が必要でした(甘酢と蜂蜜)が、従来のルゥカレーに比ぶれば「すぐに空」「お替り」と言いたくなる程の美味しさでした。

小学生の頃から、母が家で作る様子、当時のバーモントカレーのCM、キャンプでのカレー作り体験などから、カレーとは肉にジャガイモ、にんじんなどを入れて、箱入りカレールゥのもとを加え、煮込んで作るものと洗脳されていましたので、今回のスパイスカレーを自炊可能であることは「眼から鱗・口からヨダレ」でした。思い込みは損すると、実感した次第でした。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。0620


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